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芋掘り大会シーズン2
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入学から二ヶ月ほど経ち、妾も学園に慣れてきた頃。
王宮で毎年行われている芋掘り大会が再び開催されることとなったため、妾はヤンヤンと自らの宮に戻って来た。
燃え盛る炎ノ宮では妾のひさびさの帰宅にみな歓喜して、あれやこれやと世話を焼きたがるので困ってしもうたわ。
特にミンミンはよっぽど寂しかったのか、妾に抱きついて涙まで流しておった。
なんと、あの騎士の彼氏と別れたらしい。
その辺りちょっと後々詳しく聞かねばならぬな。
今回の妾の目的はもちろん芋掘り大会もあるが、何より王宮図書館に行くことじゃ。
宮にいられるのは三日だけなので中日の芋掘り大会を抜かすと今日と明後日しかない。
寂しがって妾にへばりついて離れないミンミンと、帰って来たのでさらに世話を焼こうとするヤンヤンを撒くのが大変そうじゃ。
それにせっかく帰ってきたからと、今日の晩餐は王宮で家族揃って摂ることになっている。
きちんとした格好をするのはいいのじゃが、ひらひらの丈の長いスカートと宝石が散りばめられた髪飾りでは抜け出して庭を疾走して図書館に行くのは無理かもしれぬ。
どうやってヤンヤンとミンミンの目を盗んで王宮図書館に行こうかと考えておった妾じゃが、帰宅したその日は抜け出すことができなかった。
晩餐では父上と王妃、二人の側妃、それに兄姉が揃い踏みで警備も厳重。
まさに猫の子一匹抜け出ることを許さないといった様子じゃった。
晩餐では妾の学園生活に興味津々な兄姉の質問が飛び交い、まさしく主役は妾で、喋り続けて何を食べたか思い出せないほどじゃ。
宮に戻るとすぐに寝てしもうた。
「おはようございます、ひめ様」
「うむ。おはようなのじゃ」
翌日は芋掘り大会当日。
朝からスケジュールがいっぱいで、さっそく朝食、着替えて畑へ。
妾ってこんなに忙しかったっけ?
ヤンヤンとミンミンに連れられて宮の庭師たちが作る芋畑で今年の出来を聞く。
「おはようございます、バーミリオン様。今年の芋は小ぶりですが、甘みがあって数も多いです」
見知った老年の庭師は古い麦わら帽子を取ると頭を下げながら言った。
「まあ、小さいのしか出来なかったのですか?」
「困りましたね」
ヤンヤンとミンミンがぼやく。
妾はいつもなら「なんと体たらくな~」とか「負けてしまうではないか~」と庭師を叱りつけるのじゃが、今年はそれどころではなかった。
「そうか。そういう年もあるじゃろ。今年は暑かったからの」
とだけ答えた。
なぜかヤンヤンとミンミンが「なんと寛大な」「思いやるお言葉! 成長しましたね」などと感激しておったが・・・・・・。
そして例年通り芋掘り大会が始まったのじゃ。
それぞれの兄姉たちの宮と同じく、妾の宮でも総出で芋畑が掘り返される。
毎年、芋掘りをする妾は、もんぺ姿で芋の青々とした葉の中に分け入り、蔓を引っ張る。
ヤンヤンとミンミン、それに宮の働き手たちももちろん畑で芋を掘る。
蔓をぐいぐい引きながら、妾ははたと気づいた。
いつやるか?
今じゃね?
辺りを見回すと、固い蔓と悪戦苦闘しておる者たちは妾など見ておらぬ。
そういえば、去年も抜け出してフェニックスの畑を見に行ったのじゃ。
これはいける、と踏んだ妾は、抜き足差し足その場から離れ始めた。
ゲームで鍛えたスキーニングの技をまたしても披露する時がきたようじゃ。
芋の葉がそこそこ大きいのでしゃがんだ妾はよく見えないはず。
妾の宮から王宮図書館まではそこそこ距離がある。
図書館は父上のおられる王宮を挟んで反対側にあるからじゃ。
ただ、妾の宮は王宮を囲うように建つ兄姉たちの宮の中でも図書館に近い方だった。
畑を抜け出した妾はもんぺ姿のおかげで走りやすいこともあって、十五分ほどで王宮図書館の端に着いた。
体術の授業のおかげで足が速くなったやもしれぬ!
ビバ! 学園生活!
四階建ての図書館の正面玄関ではなく、裏手に向かうと、妾は一階の手が届く高さの窓を確認してみた。
どこか開いているかも?
うろうろしていると、なんと中からジャージャーと水音が聞こえる部屋があり、そこは窓が全開になっていた。
そう、トイレじゃ。
トイレの窓から入るなんて普段は絶対しないのじゃが、今は致し方ない。
覚悟を決めて窓の桟に飛びつき、中を覗いてみる。
頬かむりをした下働きのおばさんが熱心に床を磨いていた。
すると、隣の部屋から声がした。
「ちょっと~こっち手伝ってくれる~?」
隣のトイレにもう一人掃除のおばさんがいるらしい。
「はいはい。まったく仕方ないねぇ」
デッキブラシを手にしたまま掃除のおばさんが去って行く。
今こそ妾の腕力で窓を乗り越えねば。
鉄棒にぶら下がる体術の授業を思い出し、妾は華麗に窓を乗り越えた。
ちょっと外壁を蹴り蹴りして登ったけど、それはいいじゃろ。
濡れた床に降り立つと、見つからないよう素早く移動しようと廊下に出る。
案の定、人影はなかった。
今は大事な芋掘り大会が開催中じゃからな。
ほとんどの者が出払っているはず。
こんな時に図書館に来るのは掃除の下働きの者くらいじゃ。
妾はスタコラサッサと廊下を駆けて行こうとして、足音に気づいた。
畑用のブーツはかかとが硬くて音が出てしまう。
ブーツを引っ張って脱ぐと両手に持って裸足でトテトテと駆けて行ったのじゃ。
王宮で毎年行われている芋掘り大会が再び開催されることとなったため、妾はヤンヤンと自らの宮に戻って来た。
燃え盛る炎ノ宮では妾のひさびさの帰宅にみな歓喜して、あれやこれやと世話を焼きたがるので困ってしもうたわ。
特にミンミンはよっぽど寂しかったのか、妾に抱きついて涙まで流しておった。
なんと、あの騎士の彼氏と別れたらしい。
その辺りちょっと後々詳しく聞かねばならぬな。
今回の妾の目的はもちろん芋掘り大会もあるが、何より王宮図書館に行くことじゃ。
宮にいられるのは三日だけなので中日の芋掘り大会を抜かすと今日と明後日しかない。
寂しがって妾にへばりついて離れないミンミンと、帰って来たのでさらに世話を焼こうとするヤンヤンを撒くのが大変そうじゃ。
それにせっかく帰ってきたからと、今日の晩餐は王宮で家族揃って摂ることになっている。
きちんとした格好をするのはいいのじゃが、ひらひらの丈の長いスカートと宝石が散りばめられた髪飾りでは抜け出して庭を疾走して図書館に行くのは無理かもしれぬ。
どうやってヤンヤンとミンミンの目を盗んで王宮図書館に行こうかと考えておった妾じゃが、帰宅したその日は抜け出すことができなかった。
晩餐では父上と王妃、二人の側妃、それに兄姉が揃い踏みで警備も厳重。
まさに猫の子一匹抜け出ることを許さないといった様子じゃった。
晩餐では妾の学園生活に興味津々な兄姉の質問が飛び交い、まさしく主役は妾で、喋り続けて何を食べたか思い出せないほどじゃ。
宮に戻るとすぐに寝てしもうた。
「おはようございます、ひめ様」
「うむ。おはようなのじゃ」
翌日は芋掘り大会当日。
朝からスケジュールがいっぱいで、さっそく朝食、着替えて畑へ。
妾ってこんなに忙しかったっけ?
ヤンヤンとミンミンに連れられて宮の庭師たちが作る芋畑で今年の出来を聞く。
「おはようございます、バーミリオン様。今年の芋は小ぶりですが、甘みがあって数も多いです」
見知った老年の庭師は古い麦わら帽子を取ると頭を下げながら言った。
「まあ、小さいのしか出来なかったのですか?」
「困りましたね」
ヤンヤンとミンミンがぼやく。
妾はいつもなら「なんと体たらくな~」とか「負けてしまうではないか~」と庭師を叱りつけるのじゃが、今年はそれどころではなかった。
「そうか。そういう年もあるじゃろ。今年は暑かったからの」
とだけ答えた。
なぜかヤンヤンとミンミンが「なんと寛大な」「思いやるお言葉! 成長しましたね」などと感激しておったが・・・・・・。
そして例年通り芋掘り大会が始まったのじゃ。
それぞれの兄姉たちの宮と同じく、妾の宮でも総出で芋畑が掘り返される。
毎年、芋掘りをする妾は、もんぺ姿で芋の青々とした葉の中に分け入り、蔓を引っ張る。
ヤンヤンとミンミン、それに宮の働き手たちももちろん畑で芋を掘る。
蔓をぐいぐい引きながら、妾ははたと気づいた。
いつやるか?
今じゃね?
辺りを見回すと、固い蔓と悪戦苦闘しておる者たちは妾など見ておらぬ。
そういえば、去年も抜け出してフェニックスの畑を見に行ったのじゃ。
これはいける、と踏んだ妾は、抜き足差し足その場から離れ始めた。
ゲームで鍛えたスキーニングの技をまたしても披露する時がきたようじゃ。
芋の葉がそこそこ大きいのでしゃがんだ妾はよく見えないはず。
妾の宮から王宮図書館まではそこそこ距離がある。
図書館は父上のおられる王宮を挟んで反対側にあるからじゃ。
ただ、妾の宮は王宮を囲うように建つ兄姉たちの宮の中でも図書館に近い方だった。
畑を抜け出した妾はもんぺ姿のおかげで走りやすいこともあって、十五分ほどで王宮図書館の端に着いた。
体術の授業のおかげで足が速くなったやもしれぬ!
ビバ! 学園生活!
四階建ての図書館の正面玄関ではなく、裏手に向かうと、妾は一階の手が届く高さの窓を確認してみた。
どこか開いているかも?
うろうろしていると、なんと中からジャージャーと水音が聞こえる部屋があり、そこは窓が全開になっていた。
そう、トイレじゃ。
トイレの窓から入るなんて普段は絶対しないのじゃが、今は致し方ない。
覚悟を決めて窓の桟に飛びつき、中を覗いてみる。
頬かむりをした下働きのおばさんが熱心に床を磨いていた。
すると、隣の部屋から声がした。
「ちょっと~こっち手伝ってくれる~?」
隣のトイレにもう一人掃除のおばさんがいるらしい。
「はいはい。まったく仕方ないねぇ」
デッキブラシを手にしたまま掃除のおばさんが去って行く。
今こそ妾の腕力で窓を乗り越えねば。
鉄棒にぶら下がる体術の授業を思い出し、妾は華麗に窓を乗り越えた。
ちょっと外壁を蹴り蹴りして登ったけど、それはいいじゃろ。
濡れた床に降り立つと、見つからないよう素早く移動しようと廊下に出る。
案の定、人影はなかった。
今は大事な芋掘り大会が開催中じゃからな。
ほとんどの者が出払っているはず。
こんな時に図書館に来るのは掃除の下働きの者くらいじゃ。
妾はスタコラサッサと廊下を駆けて行こうとして、足音に気づいた。
畑用のブーツはかかとが硬くて音が出てしまう。
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