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1、『ブックカフェ ラーシャ』
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3人で新しく買った服に着替えてお店を出る。今日は現国王の誕生祭だ。昨日からワクワクしすぎて、夜はなかなか寝付けなかった。
予定としては、最初は3人で一緒に回り、コンテストの時間だけビートとトマさんに子供たちを預けることになった。そして今は屋台巡りの真っ最中だ。テルとヒナはあまりこういう祭りに来たことがないらしく、朝からはしゃぎ続けている。
「2人ともまず何を食べたい?」
「あそこのきれいなアメ食べたい!」
「まずはご飯でしょ、ヒナ。朝ご飯食べて来てないんだから。あ、右にあるじゃが団子はどう?」
「いいね! ヒナもそれでいい? アメはご飯の後に買ってあげる」
「うん、じゃが団子すき! いいよ!」
食べるものが決まったところで、列に並ぶ。じゃが団子とは、じゃがいもともち米などを混ぜたお団子だ。モチモチしていてとてもおいしい。お店によってタレの味が違うので食べ比べてみるのも面白い。
「じゃが団子3つください」
「はいよ。ちょっと待ってな」
目の前で出来立てのじゃが団子にタレが塗られていく。美味しそうな匂いにいくらでも食べれそうな気持ちになるが、1つの入れ物に5個入っており満腹感も得られる。
「はい、お嬢ちゃんと坊主の分だ」
「「ありがとう!」」
屋台の人がテルとヒナに直接手渡してくれた。早速とばかりに口に入れると熱かったのかハフハフと熱を逃している。
私ももらって一口食べると、じわっと口の中にソースの味が広がった。
「おいしい……」
「だろ? 試行錯誤を重ねて作った自慢のタレだ。おいしいに決まってる」
おじさんは私達にニカッと笑いかけてから、またじゃが団子を作り始めた。座って食べようと思い2人を連れて、待ち合わせの場所でもある広場へ向かう。
噴水の近くに座るところがあったため、そこで熱々のじゃが団子を食べる。今日はあそこ行きたい、あれ食べたいといって目を輝かせている2人を見ながら、コンテストのことを考える。
いったい何人くらいの観客がいるのだろうか。モデルさんたちの中に私が入り込んでもいいのかと後ろ向きな想像が止まらない。
すると、テルがビート達を見つけたらしい。手を振って知らせている。
「あ、トマさんとビートさんだ! こっちだよー」
「早いな。あ、じゃが団子食ってたのか」
「これおいしいよね。特にタレが絶品」
「そうなんだよ! 俺と親父もそれ好きでさ。あとで食べるんだ。で、テルとヒナはこれからのことは聞いてるか? サラがコンテストに出るから俺たちと一緒に周るぞ」
「うん、ちゃんとヒナ聞いてたよ! サラお姉ちゃんのワンピースまた見れるの楽しみ!」
「ちゃんと聞いてて偉いな。じゃあこれからコンテストが始まるまで、何か食べにでも行くか。サラはステージの裏でノーラが待ってると思うからそこへ行ってみろ」
「わかった。2人をよろしくね。トマさん、テルとヒナをお願いします」
「おう、サラちゃん。任せとけ。そら行くぞ」
ビートとトマさんがそれぞれ子供と手を繋いで歩いていく。私はステージ裏にいるノーラさんのもとへと向かった。
「さあ、サラちゃん。いよいよ本番よ。まずはあのワンピースを着てね。そしたら軽くメイクをして髪をセットするから」
ステージ裏は、ほかのデザイナーさんとモデルさん達でザワザワとしていた。モデルさんはどの人もスタイルが良く、衣装を着こなしている。
どんなジャンルでもいいらしく、ロックな洋服を着た人やセクシーな人、可憐な衣装など様々だった。見ているだけでも楽しくて気分が上がってくる。
「まず、ステージに立った後を説明するわね。1人ずつ台になってるところを歩いていくの。そのあとポーズを決めてステージ裏へ戻ってくる。ここまでが一連の流れね」
なるほど、日本のモデルたちのランウェイと一緒か。歩き方に気をつけないと。
「よし、できた! もうそろそろ始まりそうだしあそこで待機してて。1番前の客席から見ているわ。頑張って!」
「はい、ありがとうございます」
少し緊張するけど、この緊張は気持ちがいい。気分が高揚する感じ。ほかの出演者達も集まってきたな。
ドキドキしていると、司会者の声が聞こえてきた。
「さあ、それではメインイベント、ファッションショーの開幕です! どうぞ!」
ワアッと歓声が上がる。私もどうせなら目一杯楽しもう。
そう思って、ステージの幕から光の当たる道へと歩き出した。
予定としては、最初は3人で一緒に回り、コンテストの時間だけビートとトマさんに子供たちを預けることになった。そして今は屋台巡りの真っ最中だ。テルとヒナはあまりこういう祭りに来たことがないらしく、朝からはしゃぎ続けている。
「2人ともまず何を食べたい?」
「あそこのきれいなアメ食べたい!」
「まずはご飯でしょ、ヒナ。朝ご飯食べて来てないんだから。あ、右にあるじゃが団子はどう?」
「いいね! ヒナもそれでいい? アメはご飯の後に買ってあげる」
「うん、じゃが団子すき! いいよ!」
食べるものが決まったところで、列に並ぶ。じゃが団子とは、じゃがいもともち米などを混ぜたお団子だ。モチモチしていてとてもおいしい。お店によってタレの味が違うので食べ比べてみるのも面白い。
「じゃが団子3つください」
「はいよ。ちょっと待ってな」
目の前で出来立てのじゃが団子にタレが塗られていく。美味しそうな匂いにいくらでも食べれそうな気持ちになるが、1つの入れ物に5個入っており満腹感も得られる。
「はい、お嬢ちゃんと坊主の分だ」
「「ありがとう!」」
屋台の人がテルとヒナに直接手渡してくれた。早速とばかりに口に入れると熱かったのかハフハフと熱を逃している。
私ももらって一口食べると、じわっと口の中にソースの味が広がった。
「おいしい……」
「だろ? 試行錯誤を重ねて作った自慢のタレだ。おいしいに決まってる」
おじさんは私達にニカッと笑いかけてから、またじゃが団子を作り始めた。座って食べようと思い2人を連れて、待ち合わせの場所でもある広場へ向かう。
噴水の近くに座るところがあったため、そこで熱々のじゃが団子を食べる。今日はあそこ行きたい、あれ食べたいといって目を輝かせている2人を見ながら、コンテストのことを考える。
いったい何人くらいの観客がいるのだろうか。モデルさんたちの中に私が入り込んでもいいのかと後ろ向きな想像が止まらない。
すると、テルがビート達を見つけたらしい。手を振って知らせている。
「あ、トマさんとビートさんだ! こっちだよー」
「早いな。あ、じゃが団子食ってたのか」
「これおいしいよね。特にタレが絶品」
「そうなんだよ! 俺と親父もそれ好きでさ。あとで食べるんだ。で、テルとヒナはこれからのことは聞いてるか? サラがコンテストに出るから俺たちと一緒に周るぞ」
「うん、ちゃんとヒナ聞いてたよ! サラお姉ちゃんのワンピースまた見れるの楽しみ!」
「ちゃんと聞いてて偉いな。じゃあこれからコンテストが始まるまで、何か食べにでも行くか。サラはステージの裏でノーラが待ってると思うからそこへ行ってみろ」
「わかった。2人をよろしくね。トマさん、テルとヒナをお願いします」
「おう、サラちゃん。任せとけ。そら行くぞ」
ビートとトマさんがそれぞれ子供と手を繋いで歩いていく。私はステージ裏にいるノーラさんのもとへと向かった。
「さあ、サラちゃん。いよいよ本番よ。まずはあのワンピースを着てね。そしたら軽くメイクをして髪をセットするから」
ステージ裏は、ほかのデザイナーさんとモデルさん達でザワザワとしていた。モデルさんはどの人もスタイルが良く、衣装を着こなしている。
どんなジャンルでもいいらしく、ロックな洋服を着た人やセクシーな人、可憐な衣装など様々だった。見ているだけでも楽しくて気分が上がってくる。
「まず、ステージに立った後を説明するわね。1人ずつ台になってるところを歩いていくの。そのあとポーズを決めてステージ裏へ戻ってくる。ここまでが一連の流れね」
なるほど、日本のモデルたちのランウェイと一緒か。歩き方に気をつけないと。
「よし、できた! もうそろそろ始まりそうだしあそこで待機してて。1番前の客席から見ているわ。頑張って!」
「はい、ありがとうございます」
少し緊張するけど、この緊張は気持ちがいい。気分が高揚する感じ。ほかの出演者達も集まってきたな。
ドキドキしていると、司会者の声が聞こえてきた。
「さあ、それではメインイベント、ファッションショーの開幕です! どうぞ!」
ワアッと歓声が上がる。私もどうせなら目一杯楽しもう。
そう思って、ステージの幕から光の当たる道へと歩き出した。
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