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幼少期編
師匠の意地
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ワシの名はガルシアと申す。
サトゥーラ王国の宮廷魔法師の総帥であり、魔塔では一番偉い立場にある。
ある日、ワシは国王陛下に呼び出され、急遽第一王子に魔法を教えることになった。
なんでワシがと思ったが、国王陛下の親バカっぷりを見ていると下手な事も言えん状態だと理解し、仕方なく王子の師となることを受け入れたのだ。
「アレクは5歳にしてすでに魔法が使えるようになったのだ。そなたの指導を受ければ王国一の魔法師となるに違いあるまい」
「そうですな。まだ殿下の魔法を見るまで何とも言えませぬがワシの指導に耐えられるのであれば王国一といかなくとも相当な魔法師となれましょう」
「うむ、では頼んだぞ」
「御意」
陛下は政治における判断は今まで間違えたことはない。臣下の者たちや王国民からも陛下は賢王と称えられるほどに政において素晴らしい功績を残しておる。
それほど陛下の智力は素晴らしい。
しかし、子煩悩が過ぎるのか、子に関しては政のようにはいかぬようじゃ。
(やれやれ、しかし引き受けたからにはやるしかあるまい)
とはいえワシも多忙の身。普段から結構忙しいのじゃがのう。じゃが陛下の命とあれば仕方あるまい。
ワシは部下に今持っている仕事の半分を押し付けることにした。部下たちは血の涙を流しておったが、仕方あるまい。部下たちにもまた成長の機会となるじゃろうて。
こうしてワシは心を鬼にして部下に仕事を任せ、アレク王子の師となった。
♢
修業1日目、
ワシはアレク王子に会うため、王城に出仕した。
アレク王子と対面するとワシは驚愕した。
それはアレク王子の顔立ちが国王陛下とは全く違い、王妃様とも違ったからじゃ。
(どういうことかの?)
まさか赤子が入れ替わったのかとも思ったが、ワシは魔力感知のために持ってきた魔道具で王子の体内にある魔力を調べた。
(ふむ、国王陛下と王妃様の魔力に似た波動を感じる。陛下の実子であることは間違いなさそうじゃ、しかし、陛下と王妃様の魔力の波動は感じるものの、魔力自体は異なる。これはどういう事じゃ?)
通常、親子であれば、水、火、土、風とその他の属性は同じく継承される。父、母の属性が違えば、どちらかの属性を継承する。
しかし、アレク王子から感じられる魔力は国王陛下と王妃のそれとは違った。
ワシはアレク王子に魔法を使うよう命じた。
するとアレク王子は全くもって詠唱せず、すぐに手から水を出しよった。
(な、なんじゃと!?無詠唱じゃと!?ど、どういう事じゃ!?)
魔法師はまず魔法を行使するために呪文を唱える必要がある。そして体内の魔力を循環させ、魔力を手に集中し発動させる。
詠唱は神の僕である精霊との対話。
呪文たる言霊は精霊に語りかけ、魔力を発現させるための手助けをしてもらうのじゃ。
しかし、アレク王子の魔法は違う。精霊の手助けを借りずにそのまま自らの魔力で魔法を発現させたのじゃ。
(ど、どういう理屈なのじゃ?)
ワシは困惑した。
とりあえず魔法を行使した後のアレク王子のドヤ顔が少しムカついたので杖で頭を小突いておいた。
師として魔法を教えに来たつもりが、ワシが王子から魔法の根源を学ばされるとは、何とも、耄碌したのかのう。
しかし、ワシも師としての立場がある。
このままではいかん。
何とか威厳を保ちつつ、魔法を教えなければならん。
アレク王子の魔法発現の仕組みを解明しつつ、アレク王子に魔法を教えなくてはならないということじゃ。
(これはなかなか厳しいものじゃのう)
しかし、ワシは同時にこのような機会を得たことを国王陛下に感謝した。
(久しぶりに驚いたが、これは奇跡とも言えるほどにまたとない好機、王国魔法師にとっては魔法史に残るほどの革命となるはずじゃ)
今までの魔法理論を覆す事態となったが、アレク王子の魔法発現の仕組みさえ解明してしまえば今の魔法理論は更に進化する。
ワシは歳がらにもなく身震いするほどに歓喜した。
とりあえずアレク王子にどんどん魔法を使わせて発現までの過程を調査するとしようかのう。
久しぶりに幼子に戻った時のような気分じゃ!ワクワクしてくるわい!
ワシは嬉々として実験体を見るようにアレク王子を見つめた。
♢
こうしてアレク王子の魔法修行は始まった。
毎日、空雑巾を絞るようにアレク王子に何度も何度も魔法を行使させ、ガルシアはその都度、発現する魔法の原理を解明した。
日を重ねるごとにアレク王子はますます魔力が増え、魔法の威力が上がっていった。
こうしてアレク王子の魔法が上達すると共にガルシアは新たな魔法理論の研究を進め、一年後には王国にある魔法原理を覆す、新しい魔法理論を発表した。
ガルシアが発表した新たな魔法理論によって王国では魔法師たちによる魔法革命が起きる。
魔法師ならば誰もが無詠唱魔法が行使できるほどになり、アレク王子の無詠唱魔法は王国魔法師たちに深い影響を与えたのであった。
サトゥーラ王国の宮廷魔法師の総帥であり、魔塔では一番偉い立場にある。
ある日、ワシは国王陛下に呼び出され、急遽第一王子に魔法を教えることになった。
なんでワシがと思ったが、国王陛下の親バカっぷりを見ていると下手な事も言えん状態だと理解し、仕方なく王子の師となることを受け入れたのだ。
「アレクは5歳にしてすでに魔法が使えるようになったのだ。そなたの指導を受ければ王国一の魔法師となるに違いあるまい」
「そうですな。まだ殿下の魔法を見るまで何とも言えませぬがワシの指導に耐えられるのであれば王国一といかなくとも相当な魔法師となれましょう」
「うむ、では頼んだぞ」
「御意」
陛下は政治における判断は今まで間違えたことはない。臣下の者たちや王国民からも陛下は賢王と称えられるほどに政において素晴らしい功績を残しておる。
それほど陛下の智力は素晴らしい。
しかし、子煩悩が過ぎるのか、子に関しては政のようにはいかぬようじゃ。
(やれやれ、しかし引き受けたからにはやるしかあるまい)
とはいえワシも多忙の身。普段から結構忙しいのじゃがのう。じゃが陛下の命とあれば仕方あるまい。
ワシは部下に今持っている仕事の半分を押し付けることにした。部下たちは血の涙を流しておったが、仕方あるまい。部下たちにもまた成長の機会となるじゃろうて。
こうしてワシは心を鬼にして部下に仕事を任せ、アレク王子の師となった。
♢
修業1日目、
ワシはアレク王子に会うため、王城に出仕した。
アレク王子と対面するとワシは驚愕した。
それはアレク王子の顔立ちが国王陛下とは全く違い、王妃様とも違ったからじゃ。
(どういうことかの?)
まさか赤子が入れ替わったのかとも思ったが、ワシは魔力感知のために持ってきた魔道具で王子の体内にある魔力を調べた。
(ふむ、国王陛下と王妃様の魔力に似た波動を感じる。陛下の実子であることは間違いなさそうじゃ、しかし、陛下と王妃様の魔力の波動は感じるものの、魔力自体は異なる。これはどういう事じゃ?)
通常、親子であれば、水、火、土、風とその他の属性は同じく継承される。父、母の属性が違えば、どちらかの属性を継承する。
しかし、アレク王子から感じられる魔力は国王陛下と王妃のそれとは違った。
ワシはアレク王子に魔法を使うよう命じた。
するとアレク王子は全くもって詠唱せず、すぐに手から水を出しよった。
(な、なんじゃと!?無詠唱じゃと!?ど、どういう事じゃ!?)
魔法師はまず魔法を行使するために呪文を唱える必要がある。そして体内の魔力を循環させ、魔力を手に集中し発動させる。
詠唱は神の僕である精霊との対話。
呪文たる言霊は精霊に語りかけ、魔力を発現させるための手助けをしてもらうのじゃ。
しかし、アレク王子の魔法は違う。精霊の手助けを借りずにそのまま自らの魔力で魔法を発現させたのじゃ。
(ど、どういう理屈なのじゃ?)
ワシは困惑した。
とりあえず魔法を行使した後のアレク王子のドヤ顔が少しムカついたので杖で頭を小突いておいた。
師として魔法を教えに来たつもりが、ワシが王子から魔法の根源を学ばされるとは、何とも、耄碌したのかのう。
しかし、ワシも師としての立場がある。
このままではいかん。
何とか威厳を保ちつつ、魔法を教えなければならん。
アレク王子の魔法発現の仕組みを解明しつつ、アレク王子に魔法を教えなくてはならないということじゃ。
(これはなかなか厳しいものじゃのう)
しかし、ワシは同時にこのような機会を得たことを国王陛下に感謝した。
(久しぶりに驚いたが、これは奇跡とも言えるほどにまたとない好機、王国魔法師にとっては魔法史に残るほどの革命となるはずじゃ)
今までの魔法理論を覆す事態となったが、アレク王子の魔法発現の仕組みさえ解明してしまえば今の魔法理論は更に進化する。
ワシは歳がらにもなく身震いするほどに歓喜した。
とりあえずアレク王子にどんどん魔法を使わせて発現までの過程を調査するとしようかのう。
久しぶりに幼子に戻った時のような気分じゃ!ワクワクしてくるわい!
ワシは嬉々として実験体を見るようにアレク王子を見つめた。
♢
こうしてアレク王子の魔法修行は始まった。
毎日、空雑巾を絞るようにアレク王子に何度も何度も魔法を行使させ、ガルシアはその都度、発現する魔法の原理を解明した。
日を重ねるごとにアレク王子はますます魔力が増え、魔法の威力が上がっていった。
こうしてアレク王子の魔法が上達すると共にガルシアは新たな魔法理論の研究を進め、一年後には王国にある魔法原理を覆す、新しい魔法理論を発表した。
ガルシアが発表した新たな魔法理論によって王国では魔法師たちによる魔法革命が起きる。
魔法師ならば誰もが無詠唱魔法が行使できるほどになり、アレク王子の無詠唱魔法は王国魔法師たちに深い影響を与えたのであった。
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