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学園編
魔法師の選出
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魔法師について説明する。
この国には魔法を巧みに操る魔法師と呼ばれる役職がある。
国に仕える魔法師たちは魔塔と呼ばれる研究機関に属しており、それぞれの使える魔法属性に分かれて、日々魔法の研究に勤しんでいた。
属性について説明しよう。
この世界には五つの元素に分かれており、
火・水・風・土(地属性)・空(無属性)
といった属性がある。
そして人々は自分達の魂の傾向性に近い魔力や魔法の属性を使えるようになっており、魔法師達も各々の属性に長けた者たちが競い合うように日々魔法の研究と修練に励んでいる。
ただし他の属性が全く使えないわけではなく得意な属性魔法以外はだいたい十分の一ほどの力しか出ないようだ。
ほとんどの魔法師たちはそんな無駄な努力をするぐらいなら得意な分野を磨いた方が効率的で良いと考えており、そういった理由から、それぞれ自分たちの属性魔法の研究に没頭しているのであった。
というわけで全属性持ちであるアレクがどれだけ希少な存在であるかがわかるだろう。
そんな希少な存在であるアレクは本日もフラン先生のふくよかな胸のふくらみを見ながら、(今回はアイリーン不在)いそいそとエリクサー作りに励んでいるのであった。
♢
《アレク視点》
僕は剣術大会の優勝後に剣術の授業を少なくして魔法科の授業を増やすことにした。
その理由は一つ。
僕が剣術の授業で立ち合いを希望する上級生達にいつも囲まれることになったからだ。そして、その度に何十人もの相手と試合をさせられたからだ。
僕がいくら断ろうにも、上級生たちは凄い剣幕で乗り込んできては勝手に闘いを挑み始めるのだ。
もはや僕に断る余裕すらなかった。
しかもユランのような女の子は全く来ないばかりか、ゴツいおっさんみたいな生徒ばかりから絡まれる。
もう!せっかく優勝したのにさ!
こんなのやってらんないよ!!
僕が愚痴るのも仕方のない事だと思う。
というかこれで愚痴が出ない方がおかしいよ。
しかも優勝したにも関わらず、女子生徒たちからは大した反応はなく、むしろカインを倒した事で敵認定されちゃったしさ。
え?
なんなの?
しまいには「カエル王子」と呼ばれる始末。
一応、僕、本物の王子だし、しかも第一王子だし、栄えある国立学園の剣術大会の優勝者なんですよ?
にも関わらずさあ、
なんか、踏んだり蹴ったりなんだけど、
どういうこと?
ということで、そうした理由で僕は魔法科の授業を受けていた。
ここ最近フラン先生からはエリクサー作りを依頼されており、一日のノルマは瓶5本分である。
髪の毛を提供するか、自分で作るかどちらか選べということだったので、時間の許す限りは自分で作ることにした。
今日の授業はアイリーンと一緒ではないのが残念だけど、先生はあの割と可愛いフラン先生 (性格はヤバいけど) と二人きりなんだよね。
なんという好条件なのだろうか。
これも僕が魔法科の授業を喜んで受けている理由だ。
しかし問題もあった。
「あれ作るのに結構な時間がかかるから嫌なんだよなあ」
僕はそう愚痴りながらもフラン先生のたゆんとした膨らみには抗えない。
そういうことで僕はフラン先生のためにいそいそとエリクサー作りをすることになったのである。
まぜまぜ……。
(眼福眼福・・・)
「そういえばアレク王子」
「え?何ですか?」
「魔法科の二年生の男の子が失踪した事は知っていますか?」
「えっ?そうなんですか?」
まぜまぜ。
「ええ、寮に帰ってきたはずなのに急にいなくなったそうなんです」
「ああ、なんかこの前、寮の生徒たちが騒いでたな」
まぜまぜ……。
「それじゃあ、アレク王子はあまりご存じないのですね」
「そうですね」
まぜまぜ……。
「土魔法の授業を受けている子だったんですけどね。ほらあのエリクサーの研究の時に手伝ってくれた生徒ですよ」
「うーん、誰でしたっけ」
「あの、おとなしい男の子ですぅ」
「ああ、そういえばいましたね。彼がどうかしたのですか?」
「それがぁ、授業についていけなくて学園を出て行ったらしいんですよね」
「え?そうなんですか」
まぜまぜ……。
「私にもわかりませんけど、そういう噂が流れているみたいです」
「へぇー、どうして……、へっくしょん!」
アレクはポケットからハンカチを取り出す。
ちーん。
アレクが鼻をかむ。
まぜまぜ。
「あ、もうそろそろ出来ますよ」
「あ、ああ、はい、わかりました」
すると鍋の中にある液体が光り出す。
「出来ましたね!」
「はい、そうですね」
フラン先生は喜びのあまりにエリクサーを作るアレクの側に近寄った。
接近してくるフラン先生をマジマジと見るアレクは照れたのか頬を紅潮させた。
(フラン先生やっぱり可愛いな、それに……)
「それでは瓶に移して、次も頑張りましょう!」
おー!
おー!
元気よく拳をあげるフラン先生。つられて僕も拳をあげてしまった。その勢いでフラン先生の大きな胸が弾む姿に目が釘付けとなってしまう。
もしアイリーンがその場にいたらかなりの修羅場になっていたかもしれない。
いや修羅場という表現すら生ぬるいな。
こんな状況アイリーンに見られたら、ひょっとしたら僕は明日行方不明となっているかもしれないな。
(ヤバいヤバい。アイリーンがいないからといって油断しちゃいけないな)
あ、背筋に悪寒が、
アイリーンのおかげで僕の防衛本能が久しぶりに働いてくれたようだ。
僕の理性が目覚めて、目の前の抗いがたい誘惑にも打ち勝ってすぐに現実に戻ってくれた。
本当に良い仕事をしてくれる。
いや現実に戻ったのはそれだけじゃない。
「エリクサー作るのって僕だけなんだよな……」
僕は小さな声で呟いた。
でも大切な髪をこれ以上切られるのも嫌だし、フラン先生に髪の毛を提供するのもなんか危ないんだよな。こちらが妥協しすぎると髪の毛を渡すのが当たり前みたいな関係になりそうで怖い。
作るのは面倒でも今は我慢するしかないな。
こうして僕が2本目のエリクサーを作っている時、
「そういえばアレク王子、もうすぐ魔法科では魔法師の選抜試験があるのをご存じですか?」
「いや、知らないです」
まぜまぜ。
「アレク王子ならかなりの魔力もありますし、他に全属性の魔法使いはいませんので、是非!出場してくださいね!」
「え?僕が出るんですか?」
「ええ、是非に!」
(めんどくさいんだけど、え?またこないだみたいな試合あるの?)
僕はそう思ったものの、キラキラと期待に目を輝かせているフラン先生を見てしまうと、とても断れるような雰囲気ではなかった。
「そんなにざっくりした感じで決めていいんですか?」
まぜまぜ。
「大丈夫ですよぉ!私が推薦しますからぁ!」
「いや、でもフラン先生の推薦があったといっても一年生が出るわけにはいかないんじゃないですか?」
「いえいえ、アレク王子は一年生といっても上級生と変わらないほどの魔力を持っていらっしゃいますから、全然大丈夫ですよぉ!」
「そうなんですか?んー、じゃあ、まあ、出ても良いですよ」
「やったぁ!!」
またフラン先生の胸がたゆんと弾んだ。
そのせいでまた僕の理性が揺らいでしまう。
全然エリクサー制作に集中できない。
「え?なんでフラン先生が喜ぶんですか?」
「だって、今年の水属性の生徒は不作らしくて、皆魔法師選抜に出るほどの子がいなかったんです。アレク王子なら全然大丈夫ですよ!この前の大洪水魔法なんか出したら一発で優勝ですよ!」
「は、はは……」
(あの後アーシェラ学園長にこっぴどく叱られたんだどなあ)
まぜまぜ。
「それじゃあ私の方で登録しておきますね♪」
「あーー、はい、ソレっていつですか?」
「今週末です♪」
「えっ!?は、早くないですか?」
「え?そうですかぁ?」
(この世界の人たちって超マイペースなんだよな……こっちの都合も考えてほしいんだけどな)
「まあ、アレク王子なら楽勝ですよ♪」
「は、はは」
この先生に何を言っても無駄だと感じた僕は諦めて魔法師選別大会に出ることにした。
「よろしくお願いしますね♪」
(はぁ……あーあ、しゃーないなー……)
今日のフラン先生は上機嫌でかなり可愛いさアップだった。僕はそんな幸せそうにしているフラン先生をしっかりと愛でている。
(これでマッドサイエンティストじゃなければ最高の先生なのになあ)
この後エリクサーを無事作り終えた僕はようやく今日のノルマを達成した。
「もう、疲れたよ」
僕はそう言いながらフラン先生の研究室を出る。
「明日もまた来てくださいねぇ♪」
フラン先生はうきうき気分で手を振りながら僕を見送ってくれた。
(サ○エさんかよぉ)
僕は疲れながらも心の中ではツッコみながら魔法科の校舎を出た。
♢
《フラン先生視点》
アレク王子が研修室を出た後、私はホッと息を吐いてようやく安堵したのです。
「あー、魔法師選別大会の代表者が決まって本当に良かったですぅ」
実は魔塔主から魔法師選別大会の代表者を決めろと以前から言われていたのです。でもアレクのエリクサー制作事件のせいで私は連日徹夜で研究していたこともあって完全にそのことを忘れていたのです。
そして、つい先日のことです。
「フラン先生、魔法師選別大会の代表者はどうなっとるかの」
「え?」
(ふぅえぇぇ!か、完全に忘れてたぁぁぁ!)
私は水の魔塔主に呼び出されてようやくそのことを思い出しました。
「あ、あの、代表者です、よね、だ、大丈夫です。もう決まっておりますね、はい」
私は苦しまぎれの嘘をつきました。
だって、徹夜で研究してたんだもの。
ね?仕方ないですよね?
「お、そうかの、それじゃよろしく頼むぞい」
「は、はい!」
(や、ヤバい、どうしよう……)
すでに魔法師選別大会まであと二日しかないのです。
今から四年生に頼むのも難しいし、今頼んだら確実に恨まれますぅ……。
はい、これは完全に詰みってやつですね。
はー、どうしよう、どうしよう。
そうして悩み続ける私に神は救いの手を差し伸べてくださいました。
目の前に一つの光明が現れたのです。
「失礼します。エリクサーを作りに来ました」
あぁぁぁ!そうだこの子にお願いしよう!
私は九死に一生を得るとはこういうことかと思いました。そういえば最近彼は婚約者がいるにもかかわらず私の胸ばかり見ているんですよね。
まあ、若い男の子だし、私の魅力に抗えないのは仕方ないですけどぉ、せっかくだからちょっとぐらいは無理なお願いも引き受けてくれるかもしれませんね。
(どうしようかしら、そうだ!こないだ失踪した生徒の話から切り出しましょう!)
「そういえば最近……」
そうして私は自分の胸しか見ていないいたいけな生徒を簡単に籠絡するとが出来ました。
何も知らないアレク王子は魔法師選別大会の代表者を簡単に引き受けてくれたのです。
良かったぁ!これでなんとか代表者の登録ができるのですぅ!
さあアレク王子が心変わりする前に急いで登録を済ませに行きましょう!
ふんふんふん♪
こうしてフラン先生はアレク王子の出場手続きを済ませるために小走りで学園事務所へと向かうのであった。
この国には魔法を巧みに操る魔法師と呼ばれる役職がある。
国に仕える魔法師たちは魔塔と呼ばれる研究機関に属しており、それぞれの使える魔法属性に分かれて、日々魔法の研究に勤しんでいた。
属性について説明しよう。
この世界には五つの元素に分かれており、
火・水・風・土(地属性)・空(無属性)
といった属性がある。
そして人々は自分達の魂の傾向性に近い魔力や魔法の属性を使えるようになっており、魔法師達も各々の属性に長けた者たちが競い合うように日々魔法の研究と修練に励んでいる。
ただし他の属性が全く使えないわけではなく得意な属性魔法以外はだいたい十分の一ほどの力しか出ないようだ。
ほとんどの魔法師たちはそんな無駄な努力をするぐらいなら得意な分野を磨いた方が効率的で良いと考えており、そういった理由から、それぞれ自分たちの属性魔法の研究に没頭しているのであった。
というわけで全属性持ちであるアレクがどれだけ希少な存在であるかがわかるだろう。
そんな希少な存在であるアレクは本日もフラン先生のふくよかな胸のふくらみを見ながら、(今回はアイリーン不在)いそいそとエリクサー作りに励んでいるのであった。
♢
《アレク視点》
僕は剣術大会の優勝後に剣術の授業を少なくして魔法科の授業を増やすことにした。
その理由は一つ。
僕が剣術の授業で立ち合いを希望する上級生達にいつも囲まれることになったからだ。そして、その度に何十人もの相手と試合をさせられたからだ。
僕がいくら断ろうにも、上級生たちは凄い剣幕で乗り込んできては勝手に闘いを挑み始めるのだ。
もはや僕に断る余裕すらなかった。
しかもユランのような女の子は全く来ないばかりか、ゴツいおっさんみたいな生徒ばかりから絡まれる。
もう!せっかく優勝したのにさ!
こんなのやってらんないよ!!
僕が愚痴るのも仕方のない事だと思う。
というかこれで愚痴が出ない方がおかしいよ。
しかも優勝したにも関わらず、女子生徒たちからは大した反応はなく、むしろカインを倒した事で敵認定されちゃったしさ。
え?
なんなの?
しまいには「カエル王子」と呼ばれる始末。
一応、僕、本物の王子だし、しかも第一王子だし、栄えある国立学園の剣術大会の優勝者なんですよ?
にも関わらずさあ、
なんか、踏んだり蹴ったりなんだけど、
どういうこと?
ということで、そうした理由で僕は魔法科の授業を受けていた。
ここ最近フラン先生からはエリクサー作りを依頼されており、一日のノルマは瓶5本分である。
髪の毛を提供するか、自分で作るかどちらか選べということだったので、時間の許す限りは自分で作ることにした。
今日の授業はアイリーンと一緒ではないのが残念だけど、先生はあの割と可愛いフラン先生 (性格はヤバいけど) と二人きりなんだよね。
なんという好条件なのだろうか。
これも僕が魔法科の授業を喜んで受けている理由だ。
しかし問題もあった。
「あれ作るのに結構な時間がかかるから嫌なんだよなあ」
僕はそう愚痴りながらもフラン先生のたゆんとした膨らみには抗えない。
そういうことで僕はフラン先生のためにいそいそとエリクサー作りをすることになったのである。
まぜまぜ……。
(眼福眼福・・・)
「そういえばアレク王子」
「え?何ですか?」
「魔法科の二年生の男の子が失踪した事は知っていますか?」
「えっ?そうなんですか?」
まぜまぜ。
「ええ、寮に帰ってきたはずなのに急にいなくなったそうなんです」
「ああ、なんかこの前、寮の生徒たちが騒いでたな」
まぜまぜ……。
「それじゃあ、アレク王子はあまりご存じないのですね」
「そうですね」
まぜまぜ……。
「土魔法の授業を受けている子だったんですけどね。ほらあのエリクサーの研究の時に手伝ってくれた生徒ですよ」
「うーん、誰でしたっけ」
「あの、おとなしい男の子ですぅ」
「ああ、そういえばいましたね。彼がどうかしたのですか?」
「それがぁ、授業についていけなくて学園を出て行ったらしいんですよね」
「え?そうなんですか」
まぜまぜ……。
「私にもわかりませんけど、そういう噂が流れているみたいです」
「へぇー、どうして……、へっくしょん!」
アレクはポケットからハンカチを取り出す。
ちーん。
アレクが鼻をかむ。
まぜまぜ。
「あ、もうそろそろ出来ますよ」
「あ、ああ、はい、わかりました」
すると鍋の中にある液体が光り出す。
「出来ましたね!」
「はい、そうですね」
フラン先生は喜びのあまりにエリクサーを作るアレクの側に近寄った。
接近してくるフラン先生をマジマジと見るアレクは照れたのか頬を紅潮させた。
(フラン先生やっぱり可愛いな、それに……)
「それでは瓶に移して、次も頑張りましょう!」
おー!
おー!
元気よく拳をあげるフラン先生。つられて僕も拳をあげてしまった。その勢いでフラン先生の大きな胸が弾む姿に目が釘付けとなってしまう。
もしアイリーンがその場にいたらかなりの修羅場になっていたかもしれない。
いや修羅場という表現すら生ぬるいな。
こんな状況アイリーンに見られたら、ひょっとしたら僕は明日行方不明となっているかもしれないな。
(ヤバいヤバい。アイリーンがいないからといって油断しちゃいけないな)
あ、背筋に悪寒が、
アイリーンのおかげで僕の防衛本能が久しぶりに働いてくれたようだ。
僕の理性が目覚めて、目の前の抗いがたい誘惑にも打ち勝ってすぐに現実に戻ってくれた。
本当に良い仕事をしてくれる。
いや現実に戻ったのはそれだけじゃない。
「エリクサー作るのって僕だけなんだよな……」
僕は小さな声で呟いた。
でも大切な髪をこれ以上切られるのも嫌だし、フラン先生に髪の毛を提供するのもなんか危ないんだよな。こちらが妥協しすぎると髪の毛を渡すのが当たり前みたいな関係になりそうで怖い。
作るのは面倒でも今は我慢するしかないな。
こうして僕が2本目のエリクサーを作っている時、
「そういえばアレク王子、もうすぐ魔法科では魔法師の選抜試験があるのをご存じですか?」
「いや、知らないです」
まぜまぜ。
「アレク王子ならかなりの魔力もありますし、他に全属性の魔法使いはいませんので、是非!出場してくださいね!」
「え?僕が出るんですか?」
「ええ、是非に!」
(めんどくさいんだけど、え?またこないだみたいな試合あるの?)
僕はそう思ったものの、キラキラと期待に目を輝かせているフラン先生を見てしまうと、とても断れるような雰囲気ではなかった。
「そんなにざっくりした感じで決めていいんですか?」
まぜまぜ。
「大丈夫ですよぉ!私が推薦しますからぁ!」
「いや、でもフラン先生の推薦があったといっても一年生が出るわけにはいかないんじゃないですか?」
「いえいえ、アレク王子は一年生といっても上級生と変わらないほどの魔力を持っていらっしゃいますから、全然大丈夫ですよぉ!」
「そうなんですか?んー、じゃあ、まあ、出ても良いですよ」
「やったぁ!!」
またフラン先生の胸がたゆんと弾んだ。
そのせいでまた僕の理性が揺らいでしまう。
全然エリクサー制作に集中できない。
「え?なんでフラン先生が喜ぶんですか?」
「だって、今年の水属性の生徒は不作らしくて、皆魔法師選抜に出るほどの子がいなかったんです。アレク王子なら全然大丈夫ですよ!この前の大洪水魔法なんか出したら一発で優勝ですよ!」
「は、はは……」
(あの後アーシェラ学園長にこっぴどく叱られたんだどなあ)
まぜまぜ。
「それじゃあ私の方で登録しておきますね♪」
「あーー、はい、ソレっていつですか?」
「今週末です♪」
「えっ!?は、早くないですか?」
「え?そうですかぁ?」
(この世界の人たちって超マイペースなんだよな……こっちの都合も考えてほしいんだけどな)
「まあ、アレク王子なら楽勝ですよ♪」
「は、はは」
この先生に何を言っても無駄だと感じた僕は諦めて魔法師選別大会に出ることにした。
「よろしくお願いしますね♪」
(はぁ……あーあ、しゃーないなー……)
今日のフラン先生は上機嫌でかなり可愛いさアップだった。僕はそんな幸せそうにしているフラン先生をしっかりと愛でている。
(これでマッドサイエンティストじゃなければ最高の先生なのになあ)
この後エリクサーを無事作り終えた僕はようやく今日のノルマを達成した。
「もう、疲れたよ」
僕はそう言いながらフラン先生の研究室を出る。
「明日もまた来てくださいねぇ♪」
フラン先生はうきうき気分で手を振りながら僕を見送ってくれた。
(サ○エさんかよぉ)
僕は疲れながらも心の中ではツッコみながら魔法科の校舎を出た。
♢
《フラン先生視点》
アレク王子が研修室を出た後、私はホッと息を吐いてようやく安堵したのです。
「あー、魔法師選別大会の代表者が決まって本当に良かったですぅ」
実は魔塔主から魔法師選別大会の代表者を決めろと以前から言われていたのです。でもアレクのエリクサー制作事件のせいで私は連日徹夜で研究していたこともあって完全にそのことを忘れていたのです。
そして、つい先日のことです。
「フラン先生、魔法師選別大会の代表者はどうなっとるかの」
「え?」
(ふぅえぇぇ!か、完全に忘れてたぁぁぁ!)
私は水の魔塔主に呼び出されてようやくそのことを思い出しました。
「あ、あの、代表者です、よね、だ、大丈夫です。もう決まっておりますね、はい」
私は苦しまぎれの嘘をつきました。
だって、徹夜で研究してたんだもの。
ね?仕方ないですよね?
「お、そうかの、それじゃよろしく頼むぞい」
「は、はい!」
(や、ヤバい、どうしよう……)
すでに魔法師選別大会まであと二日しかないのです。
今から四年生に頼むのも難しいし、今頼んだら確実に恨まれますぅ……。
はい、これは完全に詰みってやつですね。
はー、どうしよう、どうしよう。
そうして悩み続ける私に神は救いの手を差し伸べてくださいました。
目の前に一つの光明が現れたのです。
「失礼します。エリクサーを作りに来ました」
あぁぁぁ!そうだこの子にお願いしよう!
私は九死に一生を得るとはこういうことかと思いました。そういえば最近彼は婚約者がいるにもかかわらず私の胸ばかり見ているんですよね。
まあ、若い男の子だし、私の魅力に抗えないのは仕方ないですけどぉ、せっかくだからちょっとぐらいは無理なお願いも引き受けてくれるかもしれませんね。
(どうしようかしら、そうだ!こないだ失踪した生徒の話から切り出しましょう!)
「そういえば最近……」
そうして私は自分の胸しか見ていないいたいけな生徒を簡単に籠絡するとが出来ました。
何も知らないアレク王子は魔法師選別大会の代表者を簡単に引き受けてくれたのです。
良かったぁ!これでなんとか代表者の登録ができるのですぅ!
さあアレク王子が心変わりする前に急いで登録を済ませに行きましょう!
ふんふんふん♪
こうしてフラン先生はアレク王子の出場手続きを済ませるために小走りで学園事務所へと向かうのであった。
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