息子と母の純愛物語

MisakiNonagase

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第13章 転機の訪れ

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大学3年生の秋、淳也にある転機が訪れた。サークルの後輩から、こっそりと言われた一言が、彼の考え方を変えるきっかけとなった。

「先輩、彼女年上さんなんですね」

飲み会の後、後輩が淳也を引き留めてそう言った。

「え?何のこと?」淳也は内心動揺しながらも、平静を装った。

「先週の土曜日、池袋のホテル前で見かけたんです。先輩と、すごくきれいな女性が手を繋いで出てくるところ」

淳也の心臓が高鳴った。確かに先週の土曜日、淳也と真澄は池袋で買い物をして、ラブホテルで休憩をしていた。

「あ、あれは…」淳也は言葉に詰まった。

「大丈夫ですよ、秘密にしておきますから」後輩は笑った。「ただ、年上女性ってすごくお似合いだなって思って」

「ありがとう…」淳は必死だった。

「すごく仲良さそうでしたよ」後輩は怪訝そうな顔をしたが、それ以上追求はしなかった。

その夜、家に帰ると、淳也は真澄にすぐに報告した。

「まずい。後輩に見られてた」

「えっ?」真澄の顔が青ざめた。「誰に?何て言ったの?」

「サークルの後輩だけど、親子だとは知らない。年上の彼女だと思ってる」

「それならまだマシだけど…」真澄は安堵のため息をついた。「でも、これからはもっと気をつけないと」

「うん」淳也はうなずいたが、内心では別のことを考えていた。

この事件以来、淳也は将来について真剣に考え始めた。今はまだ大学生で家に住んでいるから、二人の関係を隠し通せる。しかし、就職して家を出たら?あるいは、いつか結婚することを周りから期待されたら?

「真澄、ちょっと話がある」ある夜、二人きりになった時、淳也が切り出した。

「なに?」

「僕たちの関係、いつかはバレるかもしれない」

真澄は息を呑んだ。「どうして急に?」

「だって、現実的だよ。僕が就職して、一人暮らしを始めたら、周りから彼女の話をされるだろう。でも、今の僕は真澄以外と付き合えない」

「それは…」真澄の目が潤んだ。

「それに、もしバレたら、僕より真澄のほうが立場が危うくなる。社会的に、母親である真澄のほうが厳しい目に遭う」

「わかってる」真澄の声はかすれていた。「ずっと前からわかってる」

「だから、少し距離を置くことを考えたほうがいいかもしれない」

「距離を…置く?」真澄の顔から血の気が引いた。

「別れるってことじゃない」淳也は慌てて説明した。「ただ、物理的に離れることで、バレるリスクを減らそうって」

「どういうこと?」

「つい、うっかりでバレてしまうことは絶対に許されないと、あらためて思ったんだ」

「就職する時、東京から少しだけ離れた場所を選ぼうと思ってる。そうすれば、日常的には別々に暮らすことになるけど、たまに会うことができる」

真澄はしばらく黙っていた。「…それが賢明かもしれないね」

「寂しくなるけど、真澄を守るためなら」淳也の声も震えていた。

「私も寂しくなる」真澄は淳也の手を握った。「でも、あなたの将来のためにも、それがいいのかも」

「関係は続けるよ」淳也はきっぱりと言った。「ただ、会う頻度が減るだけ。LINEや電話で繋がってるから」

「うん」真澄は涙をこらえながらうなずいた。「それなら…頑張れる」

その会話以来、淳也の就職活動の方針が変わった。東京の企業ばかりを見ていたが、地方の拠点がある企業にも目を向けるようになった。

「淳也、就職活動はどうなってるの?」ある日、父が尋ねた。

「まだ迷ってるよ。東京がいいけど、地方にもいい企業があるみたいで」

「地方かあ」父は考え込んだ。「でも、家から通えないとなると、一人暮らしだな」

「うん。でも、それも経験だと思って」

兄も同意した。「確かに、一度は一人暮らしを経験したほうがいいよ。自立心が養われる」

真澄は黙ってうつむいていた。彼女だけが、淳也の本当の理由を知っていた。

夜、LINEで真澄が送ってきた。

「本当に地方に行くの?」

「うん。北関東の企業に応募してみる。開発部門なら、地方の拠点の方が大きいから」

「寂しくなるなあ」

「僕も。でも、たまに会えるよ。週末に実家に帰ったり、中間地点でデートしたり」

「それなら…頑張る」

「うん。僕たちなら乗り越えられる」

就職活動が本格化する中、淳也はいくつかの企業から内定をもらった。その中には、北関東に大きな開発拠点を持つ企業も含まれていた。

「この企業に決めようかな」淳也が家族に報告した。

「北関東かあ。ちょっと遠いな」父は心配そうだった。

「大丈夫だよ。2時間くらいだし」

「まあ、本人が決めたことが一番だよ」兄は賛成した。

真澄だけが複雑な表情を浮かべていた。「体調に気をつけてね。食事もちゃんと取って」

「うん、心配しないで」

内定が決まり、卒業までのカウントダウンが始まった。淳也と真澄は、残された時間を大切に過ごそうと決めた。

「卒業まであと半年ね」ある夜、真澄がベッドで呟いた。

「うん。でも、別れじゃないよ。新しい関係の始まりだ」

「そうね」真澄は淳也の胸に顔を埋めた。「あなたが家を出るまで、たくさん思い出を作ろう」

「そうしよう」淳也は彼女を抱きしめた。

彼らはこの転機を前向きに捉えようとした。距離が離れても、心は繋がっている——そう信じて。


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