『1994年の消えない痣(あざ)』ルーズソックスを脱げなかった私へ

MisakiNonagase

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第4章:1994年10月〜12月(高1・秋〜冬)「聖夜の換金」

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秋から冬へ。空気の乾燥とともに、敦子の心も乾いていった。この時期、彼女はもはや「罪悪感」を完全に捨て、自分を効率的な「ATM」へと作り変えていた。

10月5日: 涼しくなってきた。カーディガンを新調。もちろん、自前の「売上」で。

10月12日: テレカの穴を数える。今日だけで3枚使い切った。公衆電話が私の本当の居場所。

10月18日: 50代の「パパ」。ホテルで説教された。「もっと自分を大事にしろ」だって。3万受け取りながら、心の中で「お前が言うな」と毒づく。

10月25日: 109前。ルーズソックスを履き直す。これが私の商売道具。

10月30日: 銀行の残高が100万を超えた。15歳で100万。同級生が文化祭で騒いでいる間、私は札束を数える。

11月5日: ポケベルに「0840(おはよう)」の嵐。朝から営業。

11月10日: 顔も覚えていない男から、いきなり「結婚しよう」とベルが入る。0510(ドンビキ)。

11月15日: 最近、ご飯が美味しくない。コンビニのパンばかり食べている。

11月22日: 自分の体なのに、誰かに貸し出しているレンタルビデオみたいな感覚。

11月28日: 初めてブルセラで「指名」が入った。制服の匂いを嗅ぐ男。無機質な目で見つめ返す。

12月1日: 12月。街が浮かれ始める。稼ぎ時。スケジュール帳が真っ黒。

12月5日: 期末テスト。解答用紙に嘘の答えを書き、放課後のアポに急ぐ。

12月10日: 「114106(愛してる)」なんて数字、もう見飽きた。もっと実用的な数字を頂戴。

12月15日: 寒い。ホテルのシャワーでお湯を出しっぱなしにする。

12月20日: 今日は1日で4回転。5万、3万、4万、3万。計15万。

12月24日: クリスマスイブ。3人の男と順に会う。プレゼントは「ティファニー」のオープンハートが2つ重なった。明日、質屋に行こう。

12月25日: クリスマス。最後の客を見送った後、一人で立ち食いそば。これが私の聖夜。

12月26日: ブランド品を換金。10万になった。サンタクロースは私自身だ。

12月28日: 仕事納め。手帳に「お疲れ様、自分」と書く。

12月31日: 紅白を見ながら、来年の目標を立てる。「あと200万稼ぐ」。

(10月~12月のうち、主要な30日分の記録を抽出)
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