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第17章:理解という名の祝福
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交際を始めてから数ヶ月。リサはある計画を立てた。
「翔太さん、連休に旅行に行きませんか? 一泊二日で、温泉旅館に」
翔太の目が輝いた。
「本当ですか? 僕、旅行…大好きです! でも…」
彼の表情に翳りが差した。
「両親に、報告しなきゃいけません。リサさんのこと、まだちゃんと話してなくて…」
リサは覚悟を決めていた。
「私から、ご挨拶に行きましょう。お二人に、私の気持ちを伝えたいんです」
次の週末、リサは緊張して翔太の家を訪れた。翔太の両親・健一と淑子は、礼儀正しいが、どこか警戒した眼差しでリサを迎え入れた。障害を持つ息子に、年上の女性が近づいてきた。心配しない親はいない。
お茶をいただき、挨拶を交わした後、リサは座り直して切り出した。
「本日は突然お邪魔して申し訳ありません。私は、翔太さんとお付き合いをさせていただいております」
両親の表情が硬くなった。リサは続けた。
「翔太さんからは、お二人がこれまでどれほど翔太さんを支え、彼のペースで成長を見守ってこられたか、伺っています。私は…その翔太さんと出会い、彼の誠実さ、優しさ、そして好きなことに対するひたむきな情熱に、心から惹かれました」
リサの声には、熱い想いがこもっていた。
「私は40歳で、過去に失敗もしました。だから、人の痛みや、立ち直る大変さを、少しは理解できるつもりです。翔太さんのことも、『障害者』という一面だけでなく、一人の立派な男性として見ています。この気持ちに偽りはありません」
彼女は深々と頭を下げた。
「どうか、翔太さんと真剣にお付き合いさせてください。そして、今回の旅行にも、ご理解をいただけませんでしょうか」
長い沈黙が流れた。
最初に動いたのは、母・淑子だった。彼女の目から、ぽろりと涙が零れた。
「リサさん…」
声が詰まった。
「あの子…翔太は、初めて『恋人ができた』って、あんなに嬉しそうに報告してくれました。でも、私たちは…『またこの子を傷つける人が現れたんじゃないか』って、怖くて…すみません、そんな風に思って」
父・健一も、目頭を押さえていた。
「翔太は、人を疑うことを知らない、純粋な子です。だからこそ、私たちはいつもハラハラしてきた。でも…リサさん、あなたの言葉には、息子を一人の人間として尊重する気持ちが溢れていました」
淑子がリサの手を握った。
「どうか、あの子をよろしくお願いします。旅行も…気をつけて行ってきてください。楽しんできてね」
二人は揃ってリサに頭を下げた。リサも慌てて頭を下げ返し、こみ上げてくる感動を必死にこらえた。
旅行は、箱根の静かな温泉旅館だった。初めての恋人同士の旅行に、翔太は終始興奮気味だったが、リサの落ち着いた態度に助けられ、二人はゆったりとした時間を過ごした。夕食後、露天風呂から見上げる星空の下で、翔太がそっと呟いた。
「リサさんがいてくれるって、奇跡みたいです」
「私もそう思う」
「翔太さん、連休に旅行に行きませんか? 一泊二日で、温泉旅館に」
翔太の目が輝いた。
「本当ですか? 僕、旅行…大好きです! でも…」
彼の表情に翳りが差した。
「両親に、報告しなきゃいけません。リサさんのこと、まだちゃんと話してなくて…」
リサは覚悟を決めていた。
「私から、ご挨拶に行きましょう。お二人に、私の気持ちを伝えたいんです」
次の週末、リサは緊張して翔太の家を訪れた。翔太の両親・健一と淑子は、礼儀正しいが、どこか警戒した眼差しでリサを迎え入れた。障害を持つ息子に、年上の女性が近づいてきた。心配しない親はいない。
お茶をいただき、挨拶を交わした後、リサは座り直して切り出した。
「本日は突然お邪魔して申し訳ありません。私は、翔太さんとお付き合いをさせていただいております」
両親の表情が硬くなった。リサは続けた。
「翔太さんからは、お二人がこれまでどれほど翔太さんを支え、彼のペースで成長を見守ってこられたか、伺っています。私は…その翔太さんと出会い、彼の誠実さ、優しさ、そして好きなことに対するひたむきな情熱に、心から惹かれました」
リサの声には、熱い想いがこもっていた。
「私は40歳で、過去に失敗もしました。だから、人の痛みや、立ち直る大変さを、少しは理解できるつもりです。翔太さんのことも、『障害者』という一面だけでなく、一人の立派な男性として見ています。この気持ちに偽りはありません」
彼女は深々と頭を下げた。
「どうか、翔太さんと真剣にお付き合いさせてください。そして、今回の旅行にも、ご理解をいただけませんでしょうか」
長い沈黙が流れた。
最初に動いたのは、母・淑子だった。彼女の目から、ぽろりと涙が零れた。
「リサさん…」
声が詰まった。
「あの子…翔太は、初めて『恋人ができた』って、あんなに嬉しそうに報告してくれました。でも、私たちは…『またこの子を傷つける人が現れたんじゃないか』って、怖くて…すみません、そんな風に思って」
父・健一も、目頭を押さえていた。
「翔太は、人を疑うことを知らない、純粋な子です。だからこそ、私たちはいつもハラハラしてきた。でも…リサさん、あなたの言葉には、息子を一人の人間として尊重する気持ちが溢れていました」
淑子がリサの手を握った。
「どうか、あの子をよろしくお願いします。旅行も…気をつけて行ってきてください。楽しんできてね」
二人は揃ってリサに頭を下げた。リサも慌てて頭を下げ返し、こみ上げてくる感動を必死にこらえた。
旅行は、箱根の静かな温泉旅館だった。初めての恋人同士の旅行に、翔太は終始興奮気味だったが、リサの落ち着いた態度に助けられ、二人はゆったりとした時間を過ごした。夕食後、露天風呂から見上げる星空の下で、翔太がそっと呟いた。
「リサさんがいてくれるって、奇跡みたいです」
「私もそう思う」
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