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第4章:最後の模試と、サクラサク2月(小6・冬)
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1. 12月のどん底と、深夜の励まし
2025年、12月。
カレンダーが最後の一枚になると、塾の空気は「緊張」を通り越して「悲壮」に近くなった。
最後の志望校判定模試。遥人は、得意なはずの算数で手痛いミスを連発し、合格可能性30%という数字を突きつけられた。
(このままじゃ、朱里との約束が守れない……)
絶望感で、食卓のご飯も喉を通らない。そんな夜、PCのメールソフトが「ピコン」と微かな音を立てた。
件名:大丈夫。
差出人:Nakada Akari
遥人くん、今日の模試の結果、落ち込んでるでしょ?
私も一度、40%まで落ちたときあったからわかるよ。
でも、遥人くんが教えてくれた電流の問題、私、今日全部解けたんだよ。
遥人くんは、私が一番尊敬してるライバル。
1月の直前講習で、また笑って会おうね。
信じてるよ。
その短い言葉に、遥人は救われた。
誰にも見せない涙を袖で拭い、彼は再びペンを握った。
「ありがとう」と返信したい気持ちを抑え、代わりに計算用紙に「合格」と二文字だけ書きなぐった。
2. 決戦の2月1日
2026年、2月1日。
東京の中学入試が幕を開けた。
遥人と朱里は、それぞれ別々の会場で、自分たちの「4年間」を解答用紙にぶつけた。
試験開始のベルが鳴る直前。
遥人は、筆箱の中にある「朱里からもらった合格祈願の消しゴム」をそっと撫でた。
朱里は、遥人がメールで教えてくれた「歴史の年号の語呂合わせ」を何度も頭の中で反復した。
離れていても、心は同じ場所にある。
そして数日後。
発表はインターネットで行われた。
遥人はリビングのパソコンの前に、両親と並んで座っていた。
震える手でマウスをクリックし、受験番号を探す。
「……あった」
「遥人! 受かったわよ!」
母の歓喜の叫び。父の力強い握手。
けれど、遥人が一番に確認したのは、自分の結果ではなかった。
すぐに自分の部屋に駆け込み、PCを立ち上げる。
メールボックスには、既に1通のメッセージが届いていた。
件名:受かったよ!!!
遥人くん、私も合格したよ!
夢じゃないよね? 本当に良かった……。
明日、塾に報告に行くとき、会えるかな?
「よっしゃ……っ!」
遥人は、誰もいない部屋で拳を突き上げた。
二人の4年間が、ついに報われた瞬間だった。
3. 「実は……」という告白
合格の興奮が冷めやらぬその夜。
二人はそれぞれ、親に「隠し事」を打ち明ける決意をした。
仲田家では、朱里が母に夕食の後片付けを手伝いながら切り出した。
「お母さん、実はね……。塾に、ずっと好きな子がいたの。その子も、今日合格したんだって」
すると、母は驚く風もなく、クスクスと笑った。
「あら、野上くんのこと?」
「えっ!? なんで知ってるの?」
「あなた、塾の帰りに駅でバイバイするとき、ずっとその子の背中を目で追ってたじゃない。お姉ちゃんの時と同じだなって、お父さんと話してたのよ」
朱里は顔を真っ赤にして、タオルに顔を埋めた。
一方の野上家でも、遥人が父に報告していた。
「父さん。合格したら、ディズニーランドに行きたいんだ。……女の子と、二人で」
父は少し驚いたように眉を上げたが、すぐに優しく笑った。
「そうか。あの仲田さんか」
「……え、バレてた?」
「男っていうのはな、好きな子の話になると少しだけ声のトーンが変わるんだ。お前が塾の話をするとき、いつも彼女の名前が出てたからな」
親たちの意外な「公認」に、二人は拍子抜けしながらも、深い感謝を感じていた。
自分たちの恋は、決して勉強を邪魔するものではなかった。
むしろ、お互いを高め合うための、魔法のような力だったのだと、親たちも理解してくれていた。
4. 待ちわびた約束の日
2026年、3月。
小学校の卒業式を終えた数日後。
二人は、舞浜駅の改札前で待ち合わせた。
塾の重いリュックではなく、お洒落な私服を身にまとった二人。
「……なんか、変な感じだね」
「うん。でも、やっと、ちゃんと隣で歩ける」
遥人が勇気を出して、朱里の右手をそっと握った。
朱里は驚いて少し肩を跳ねさせたが、すぐにその手をぎゅっと握り返した。
春の柔らかな日差しの中、二人の「約束の1日」が始まった。
2025年、12月。
カレンダーが最後の一枚になると、塾の空気は「緊張」を通り越して「悲壮」に近くなった。
最後の志望校判定模試。遥人は、得意なはずの算数で手痛いミスを連発し、合格可能性30%という数字を突きつけられた。
(このままじゃ、朱里との約束が守れない……)
絶望感で、食卓のご飯も喉を通らない。そんな夜、PCのメールソフトが「ピコン」と微かな音を立てた。
件名:大丈夫。
差出人:Nakada Akari
遥人くん、今日の模試の結果、落ち込んでるでしょ?
私も一度、40%まで落ちたときあったからわかるよ。
でも、遥人くんが教えてくれた電流の問題、私、今日全部解けたんだよ。
遥人くんは、私が一番尊敬してるライバル。
1月の直前講習で、また笑って会おうね。
信じてるよ。
その短い言葉に、遥人は救われた。
誰にも見せない涙を袖で拭い、彼は再びペンを握った。
「ありがとう」と返信したい気持ちを抑え、代わりに計算用紙に「合格」と二文字だけ書きなぐった。
2. 決戦の2月1日
2026年、2月1日。
東京の中学入試が幕を開けた。
遥人と朱里は、それぞれ別々の会場で、自分たちの「4年間」を解答用紙にぶつけた。
試験開始のベルが鳴る直前。
遥人は、筆箱の中にある「朱里からもらった合格祈願の消しゴム」をそっと撫でた。
朱里は、遥人がメールで教えてくれた「歴史の年号の語呂合わせ」を何度も頭の中で反復した。
離れていても、心は同じ場所にある。
そして数日後。
発表はインターネットで行われた。
遥人はリビングのパソコンの前に、両親と並んで座っていた。
震える手でマウスをクリックし、受験番号を探す。
「……あった」
「遥人! 受かったわよ!」
母の歓喜の叫び。父の力強い握手。
けれど、遥人が一番に確認したのは、自分の結果ではなかった。
すぐに自分の部屋に駆け込み、PCを立ち上げる。
メールボックスには、既に1通のメッセージが届いていた。
件名:受かったよ!!!
遥人くん、私も合格したよ!
夢じゃないよね? 本当に良かった……。
明日、塾に報告に行くとき、会えるかな?
「よっしゃ……っ!」
遥人は、誰もいない部屋で拳を突き上げた。
二人の4年間が、ついに報われた瞬間だった。
3. 「実は……」という告白
合格の興奮が冷めやらぬその夜。
二人はそれぞれ、親に「隠し事」を打ち明ける決意をした。
仲田家では、朱里が母に夕食の後片付けを手伝いながら切り出した。
「お母さん、実はね……。塾に、ずっと好きな子がいたの。その子も、今日合格したんだって」
すると、母は驚く風もなく、クスクスと笑った。
「あら、野上くんのこと?」
「えっ!? なんで知ってるの?」
「あなた、塾の帰りに駅でバイバイするとき、ずっとその子の背中を目で追ってたじゃない。お姉ちゃんの時と同じだなって、お父さんと話してたのよ」
朱里は顔を真っ赤にして、タオルに顔を埋めた。
一方の野上家でも、遥人が父に報告していた。
「父さん。合格したら、ディズニーランドに行きたいんだ。……女の子と、二人で」
父は少し驚いたように眉を上げたが、すぐに優しく笑った。
「そうか。あの仲田さんか」
「……え、バレてた?」
「男っていうのはな、好きな子の話になると少しだけ声のトーンが変わるんだ。お前が塾の話をするとき、いつも彼女の名前が出てたからな」
親たちの意外な「公認」に、二人は拍子抜けしながらも、深い感謝を感じていた。
自分たちの恋は、決して勉強を邪魔するものではなかった。
むしろ、お互いを高め合うための、魔法のような力だったのだと、親たちも理解してくれていた。
4. 待ちわびた約束の日
2026年、3月。
小学校の卒業式を終えた数日後。
二人は、舞浜駅の改札前で待ち合わせた。
塾の重いリュックではなく、お洒落な私服を身にまとった二人。
「……なんか、変な感じだね」
「うん。でも、やっと、ちゃんと隣で歩ける」
遥人が勇気を出して、朱里の右手をそっと握った。
朱里は驚いて少し肩を跳ねさせたが、すぐにその手をぎゅっと握り返した。
春の柔らかな日差しの中、二人の「約束の1日」が始まった。
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