【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第一部 異世界ものの定番の人たち

74. 異世界351日目 良レベルの魔獣狩り

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 外に食べに行くのも面倒だったので宿に併設の食堂で朝食をとってから準備に取りかかる。収納バッグの荷物はほとんど入れたままだが容量十分なので特に問題ないだろう。
 狩り場はここから60分ほど東に行ったところにある岩場になるが、自分達が走って行くと15分くらいで到着できた。


 索敵すると、それなりに冒険者もやってきているが、エリアも広いので獲物の取り合いの心配はしなくて良さそうだ。とりあえずは単体の魔獣を誘導して戦うのがいいだろう。

 ここにいる金属蜥蜴や金属蠍は物理攻撃にはめっぽう強いが、魔法には弱く、特に雷魔法には弱い。自分たちにとってはちょうどいい魔獣ともいえる。
 このレベルになってくるともちろん一撃で倒せる魔獣もいない。雷魔法に弱いと言ってもある程度強力でないと意味がないので、遠距離から強力な雷魔法を使えない今の自分たちだと接近戦に持ち込むしかない。

 索敵して金属蜥蜴を見つけたが、その姿は思った以上に大きくてちょっとびびる。蜥蜴と肉食恐竜の間のような形で一応四足歩行なんだが体長2キヤルドくらいある。
 口と前足と尻尾で攻撃してくるので、武器で攻撃する場合は前足の攻撃の隙をついてお腹などを攻撃しなければならないようだ。頭や背中は硬い皮膚なのでなかなかダメージを与えられないし、打撃しか通じない。
 土魔法を使いトゲのようなもので下から攻撃できればいいんだが、そこまで殺傷能力のある強度と形にはまだできない。とりあえず剣だと意味がなさそうなので戦鎚に持ち替えてから待ち受ける。


 近くまで来たところで土魔法で浅い穴を掘り、動きが止まったところで雷魔法をたたき込む。動きがかなり緩慢になったところで、ジェンが前もって準備していた強力な雷魔法で攻撃。弱ったところで土魔法で体を傾けてから蹴り倒して体をひっくり返し、顎の下から短剣を突き刺してとどめを刺す。思ったよりもあっさりと倒すことができた。いい感じだな。

 続いて少し離れたところに蜥蜴を見つけて近づいていくと、こちらに襲いかかってきた。ただ近くの穴の中に他にもいたみたいで3匹が襲いかかってきた。まずい・・・。

 最初の1匹は先ほどと同じように、うまく穴に誘導してから雷魔法をたたき込み、ジェンが魔法で弱らせたところでとどめを刺す。しかしすぐに2匹がこっちにやってきて準備が間に合わない。
 ジェンには先ほどの魔法を準備してもらい、自分は雷魔法で1匹を牽制して動きをとめ、もう一匹は盾でガードする。たださすがに力が強くて手がしびれてくる。
 さすがに戦いながらだと魔法に集中できないので弱い魔法しか発動できない。それでも雷魔法を使うと動きが少しの間止められるのでなんとか耐えていく。二匹同時に襲い掛かられたらかなり厳しそうだ。
 その間にジェンの雷魔法が完成したようで1匹を攻撃できたが、ジェンがもう1匹の尻尾の攻撃で吹っ飛ばされてしまった。なんとかぎりぎり盾でガードはしたようだが、かなりのダメージのようだ。
 麻痺している金属蜥蜴のとどめを刺して残り1匹を相手にする。ジェンがやられたこともあってなかなか集中できないが、なんとか盾で攻撃を防ぎながら武器で攻撃を加える。
 治癒魔法を飛ばすと、ジェンも起き上がってきて詠唱を開始。雷魔法で動きを止めたところで、とどめを刺し、なんとか3匹を倒すことができた。

「あぶなかった~~~。」

 索敵にかからなかったのは地中にいたせいのようだ。隠密も持っているので索敵に元々引っかかりにくいしね。隠密レベルはおそらく2~3は持っているのだろう。魔法頼りだとこんなこともあるんだな。気をつけないといけない。もう少し周りにも目を配ろう。

 とりあえず死体を収納バッグに収納してから傷の手当てをする。自分の方はとりあえず擦り傷と、少しの打撲くらいだったので治癒魔法で治しておく。ジェンはガードした腕がかなり腫れていたようだ。あとはあちこち打ち身で痛いので治療をしてなんとか回復する。
 ここまで危なかったのははじめてだなあ。まあ今までがかなり安全サイドでやっていたこともあるし、良階位から一気に魔獣も強くなると言う話だったからね。冬の間訓練していなかったら危なかったかもしれない。


 治療したとはいえダメージも大きいのでいったん休憩を取る。防具に関してはジェンの盾が少しやられてしまっていた。うまく受けないと防具もやられるし、体へのダメージも大きいからなあ。まだ使えないことはないし、ある程度自動修復はできるが、町に戻ったらいったん鍛冶屋に出した方がいいだろう。

「やっぱり良階位は厳しいかなあ?」

「危なかったとはいえ、無事に倒せたんだし、慎重に行けば大丈夫じゃない?安全すぎるのも成長できないしね。」

「わかった。より注意して索敵して行こう。」

 このあとも索敵をしながら狩りをつづける。周りに気をつけてうまく誘導することで単体で倒していけたが、かなり疲れてしまった。
 他に狩ったのは金属蠍だ。体長1キヤルドくらいだが、尻尾まで入れると2キヤルドくらいになってしまう。手のハサミよりこの尻尾攻撃が厄介だ。
 これも雷魔法で麻痺させている間にひっくり返して倒すのが一番効率的だ。油断したつもりはないんだが、途中で尻尾の攻撃で毒を受けてしまった。
 結構強い毒だったみたいで自分だとうまく回復できず、ジェンに回復してもらった。まあ急性の毒ではなかったので良かったけどね。やはり毒治療もなんとかしないといけないな。


 少し早く狩りをやめたとはいえ、一日で倒したのは金属蜥蜴が5匹、金属蠍が3匹だった。とりあえず狩場から少し離れてから解体をすることにした。
 金属蜥蜴と蠍の解体は一応説明を読んで来たが、かなり大変そうだ。うまく解体しないと刃物の方がいかれてしまう。
 大きさが大きさなので普通はなかなか全部を持って帰れないらしい。このため高い部位のみ持って帰ることが多いようだ。

 金属蜥蜴の一番高い部分は爪の部分と頭のところで、あとは背中の部分だ。肉も食べられるようだが、値段は他の部位に比べると落ちるので破棄されることが多い。味はいいらしいけどね。食べられる部位の肉は決まっているのでこの大きさでも食べられるのは20キグムくらいしかない。
 金属蠍の方も解体するが、こっちは尻尾と外骨格のみが買取対象で、肉は食べられないようだった。尻尾はそこにある毒が薬の材料となるらしい。

 ジェンと二人で解体していくが、やはり時間がかかるのは仕方がない。でもこれをやっていかないと解体スキルのレベルも上がらないからなあ。10匹くらい解体したら解体魔法が使えるはずなので頑張るしかない。


 解体を終えてから町に戻り、役場の買い取りのコーナーへ。買い取りはパーティー別に個室で行っており、他の人には分からないようになっている。このクラスの討伐になると収納バッグを持っていることが普通となってくるので、サイズについて秘密を守るためだ。このためここで見たことは基本的に漏れることはない筈だ。

 冒険者が持っているのは大きくても5キリルくらいで、通常は1~3キリルとなるので蜥蜴などは主要部分のみを持って帰ることがほとんどのようだ。
 さっそく狩ってきた金属蜥蜴と金属蠍を出してみる。一度に持ち込むとしては量が多いので驚いていた。解体は及第点だったみたいである。良かった。
 肉は結構おいしいみたいなので少し自分たち用に確保している。どこかで調理してくれるところがあればいいんだけどなあ。買取額はなんと43000ドールとなった。一回でこれ?しかも最低額だよな?


 この後、鍛冶屋に行って盾の修理をお願いする。そこまでひどくなかったみたいなんだが持ち込んだのが遅かったので、明日の昼くらいまで修理に時間がかかるようだ。さすがに明日は狩りを休むしかないな。

 宿に戻ってから調理について聞いてみると、材料を提供してくれれば調理代だけでやってくれるらしい。とりあえず3キグムほど渡して料理してもらう。残った肉は使っていいというと、調理代をただにしてくれた。
 ステーキに煮込み料理などいろいろと作ってくれてかなり満足できた。肉は思ったよりもどっしりとしていておいしかった。蜥蜴というからもっとワニみたいに淡白かと思っていたんだけどね。確かに絶賛されるだけあるな。
 おなかも満足したところで、シャワーを浴びてから眠りにつく。今日はさすがに疲れたので魔法の訓練はなしだ。



 翌日は朝食をとった後、鍛錬と魔法の訓練を行う。昼食の後で鍛冶屋に行って修理したものを受け取るが、他にもいくつか修理を出していたので全部で8300ドールかかってしまった。思っていたよりも装備には負荷が溜まっていたようである。

 せっかくなので持って帰っていた金属蠍の毒で回復の練習をすることにした。本当は自分でやるつもりだったんだが、回復に集中できないだろうからとジェンがやってくれるようだ。いいのか?信頼しているからと言われるが、とても心配だ。

 最初はかなり焦ってしまったが、何度かやっていると回復も慣れてきた。このあと自分も毒を受けて回復してもらう。とりあえず自分も治療できるようになったのでヨシとしよう。
 あとは使って経験を稼ぐしかないので何度かこういうことをしないといけないかもしれない。ただ結構苦しいのがねえ・・・。孤児院とかでも流石に毒の治療をすることはないからなあ。
 ちなみにちゃんと治療ができれば基本的に後遺症はないらしい。そのあとは魔符核をつくったり、魔法の練習をしたりした。


 翌日からしばらく金属蜥蜴と金属蠍の狩りに明け暮れた。初日に失敗したこともあり、かなり慎重に索敵し、落とし穴などの罠も作成して倒していく。しばらくして解体魔法も覚えたのでだいぶ楽になった。

~魔獣紹介~
金属蜥蜴:
良階位下位の魔獣。岩場の多いエリアに多く生息している蜥蜴の形をした魔獣。体長は2キヤルドほどで、体の半分は強靱な尻尾となっている。
鋭い牙を持っており、唾液に多くの病原菌が含まれているため、かまれると炎症を起こし、数日間高熱を出す場合がある。子供は死亡する事例も報告されている。また鋭い爪を持った前足と、強靱な尾を使って攻撃をしてくる。
皮膚には金属が含まれており、普通の剣などの武器ではダメージを与えられないため鈍器での攻撃が有効。ある程度ダメージを与えて動きが弱くなってきたところで体をひっくり返してとどめを刺そう。おなか側の皮膚は柔らかいため、剣や短剣などでとどめを刺すとよい。首の付け根あたりに刺すと一撃で倒すことができる。
魔法攻撃もダメージをあまり与えられないが、唯一雷魔法が有効で、強力な雷魔法であればかなり動きを止めることができる。動きを止めている間に攻撃をすれば反撃のリスクも軽減できる。ただし雷魔法が効くと言っても油断してはいけない。止めていられる時間は数秒がいいところだ。複数の雷魔法使いがいれば連続して動きを止めることができるかもしれない。
素材としての買い取り対象は爪と皮膚で、頭のところはもっとも価値が高い。肉はとれる量が少ないが高級食材とされており、かなり濃厚で食べ応えのあるものとなる。

金属蠍:
良階位下位の魔獣。岩場の多いエリアに多く生息している蠍の形をした魔獣。体長は2キヤルドくらいだが、毒を持つ尻尾だけでも1キヤルドある。
鋏と尻尾で攻撃してしてくるが、特に尻尾にある毒には注意しなければならない。即効性はないが毒の回復には中級回復薬以上が必要となる。回復しなければ徐々に体力が奪われ、数日後には死亡してしまう。
外骨格には金属が含まれており、普通の剣などの武器ではダメージを与えられないため鈍器での攻撃が有効。ある程度ダメージを与えて動きが弱くなってきたところで体をひっくり返してとどめを刺そう。おなか側の外骨格は剣が通るくらいなので剣や短剣などでとどめを刺すとよい。
魔法攻撃もダメージをあまり与えられないが、唯一雷魔法が有効で、強力な雷魔法であればかなり動きを止めることができる。動きを止めている間に攻撃をすれば反撃のリスクも軽減できる。ただし雷魔法が効くと言っても油断してはいけない。止めていられる時間は数秒がいいところだ。複数の雷魔法使いがいれば連続して動きを止めることができるかもしれない。
素材としての買い取り対象は外骨格部分と尻尾が対象となっており、尻尾の毒は薬の材料として使われる。死んだ後でも毒の効果は失われないため、取り扱いには注意が必要。間違っても尻尾の毒腺を破らないようにしなければならない。
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