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第一部 異世界での懐かしい人々

144. 異世界761日目 アーマトの町にて

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 いつもの時間に起きたあと、朝食をとってからいったん役場に向かう。夕べの内にクラーエルの二人が来ていたらしく、運良くさすらいの治癒士に治療してもらえたと報告していたようだ。
 ただ冒険者は正式に引退することにしたらしく、世話になった冒険者達はかなり残念がっていた。でも引退すると言いながら近くで魔獣狩りをしていそうだなといっていたけどね。まあ冒険者としてわざわざ登録を破棄する人はそうそういないしね。


 いろいろと冒険者の人達と話をしていると、風の翼のメンバーがやってきて声をかけてきた。

「「「ジェニファーさん!!ありがとう!!おかげで彼女ができたよ!」」」

 なぜか自分より先にジェンの方に挨拶に行かれてしまった。どうしたんだ?

「いえ?あの?私なにかしました?」

「前に話したとき、女性と話すときには自分の好きな話、できる話をして格好をつける必要は無いって言ってくれただろ?その言葉を聞いて無理しないで話をしたんだ。そうしたら興味ない女性も多かったが、話を熱心に聞いてくれる女性もいたんだ。」

「そうそう、それでうまく付き合いができるようになってな、こいつはもうすぐ結婚する予定なんだよ。」

「ありがとう。」

 どうやら彼女ができないことについてジェンから聞いたことを実践して彼女ができたらしい。まあもともとちょっと強面だったりするけど、見た目がそんなに悪いわけでもなかったし、女性とはうまく話せなかったらしいけど、面倒見もよかった人達だからね。

「それじゃあパーティーのメンバーが替わったりするんですか?」

「いや、付き合っている相手は全員冒険者じゃないんだ。だからパーティーはこのまま活動する予定だよ。まあ町から離れることもあるが、戻ってきたときに家と家族があると言うのもいいもんだからな。」

「まあおまえ達みたいに夫婦での冒険者というのもいつも一緒にいられていいものだろうがな。」

「いえ、別に夫婦というわけでは・・・。」

「・・・おい、もしかしてまだ付き合っていないとか言うんじゃないだろうな?」

「あの・・・その・・・付き合っているわけではないです。」

「ジェニファーさん、ちょっとジュンイチをお借りするね。」


 外に連れて行かれて3人に詰め寄られる。

「どういうことだよ!一緒の部屋に寝ていて、一緒のベッドに寝ている状態で1年近くだろ。それでなんで付き合っていないなんていえるんだ?」

「いや、その、ジェンには故郷に大切な人がいると言われているのでその間に手を出すわけにはいかないでしょう?正直ジェンとは付き合いたいとは思いますし、ジェンも好意は持ってくれているとは思うんですけど、俺なんかじゃ釣り合わないですし・・・。」

 なぜかあきれる3人がいた。

「おまえまだそんなことを言っているのか?」

「あまりに自分を卑下しすぎだろう?おまえは十分魅力があるぞ。なんでそんなに自分が魅力無いような言動をするんだ?」

「いくらなんでも鈍感すぎるぞ。俺たちも人のことはいえなかったかもしれないが、おまえはひどすぎだ。」

 どう考えてもジェンがかなり好意を持っているはずだし、自分も十分釣り合っていると言われる。故郷に大切な人がいると言われていたとしても本気で好きなのならちゃんと話をしてみろと言われてしまった。

「・・・わかりました。ジェンとはどこか一度話てみようと思います。この後行くサクラに話せそうな人達がいるので相談してみます。」

「よし、絶対だぞ。そして結婚することになったら連絡をくれよな!お祝いに行くからな。」

「いや、いきなりそれは無いですよ。」


 3人に解放されてからジェンと一緒にカサス商会へ。ジェンには何があったかはごまかしておいたけど、何を言われたのかある程度わかっていそうだな。でも腕に絡みついてくるのは恥ずかしいからやめてくれ。



 カサス商会に行って支店長のユニスさんと話をする。魔道具についてはスキルも上がってきて、重量軽減の魔道具で70%近く軽減できるものまで作れるようになったことを伝えていくつかのサンプルを渡しておいた。ただこちらについては造るのに時間がかかるため、納品は時間がかかることは言っておく。
 今までのは10kgで20kg運べるようになっていたのが30kgまでになるのはいいんだが、容量の問題もあるのでどこまで需要があるのかがわからないんだよね。自分たちも重さ的に運べても容量が大きくて結構つらかった記憶があるからなあ。



 アルマエラさんのいる教会に行くと、自分のことを覚えてくれていたようだ。治癒士としてはどうなのか聞いてきたので結構頑張っていますとだけ言っておいた。
 さすらいの治癒士という方が出てきて治療をしていることは教会でも少し噂になっているらしい。ただほんとにそんな人がいるのかは眉唾だからわからないけど、少しでも助かる人が増えるといいわと言っていた。とりあえずまだ本格的にばれているわけではなさそうなので大丈夫かな?

 このあと変装してから孤児院にもよって治療をしていく。さすがにこの町に来ていることがわかっているのにここに来ないというのはちょっと不自然すぎるからね。ただしアーマトはまだ孤児院の環境はいいみたいでそこまでひどい症状の人はいなかった。それでも治療をしたことはかなり喜ばれた。せっかくなので今回も肉などの差し入れをしていく。


 この日の夜はクラーエルの2人と一緒に食事をすることにした。せっかくだからと彼女たちもやってきたんだが、幸せそうで何よりだった。


 翌日は一日買い物したりしてのんびりと過ごし、夜には風の翼のメンバーと彼女たちと一緒に食事をした。なれそめなどかなりのろけていたけど幸せそうだ。結婚式の案内を送るので都合がつけばやってきてほしいと言われる。
 さすがに移動に時間もかかるけど、せっかくなら参加してみたいなあ。まあそれ以前にクリスさん達の結婚式が先にあるんだけどね。


 さらに翌日の朝一で出発することにしたんだが、クラーエルや風の翼の人たちは朝早いにもかかわらず見送りに来てくれたのは嬉しかった。最後にまたハッパをかけられたけどね。
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