【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
203 / 430
第二部 異世界の古代文明

183. 異世界1169日目 城塞都市テルクへ

しおりを挟む
 朝早くから出発して東に向かって走っていく。さすがに主要道路ではないので道の整備レベルは下がるが、そんなにひどいわけではないので大丈夫だ。魔獣なども索敵にはかかるがそこまで強い魔獣もでないので、定期的に討伐はされているのだろう。
 途中はいつものように拠点に泊まりながら3日目のお昼にはテルクの町に到着する。テルクの町はそれほど大きな町ではないが、かなり立派な城壁に囲まれたところだった。少し離れた山の方には良階位の魔獣まで出るし、王都からも近いので冒険者には人気のところのようだ。

 人の出入りはそれなりにあるみたいで入場口にも結構な列があった。特に貴族用の入口がないので普通に並んでいたんだが、どうやら貴族用の入口は少し南側にいったところにあったらしい。そのまま人の流れに付いてきてしまったからなあ。まあそこまで待ったわけではないからいいけどね。係の人はかなり焦っていたけど。


 町の規模はそれほどではないが、貴族の人も多いのか貴族エリアがあるようだった。どうやら王都から貴族の冒険者が結構来ているみたいだ。まずは事前に聞いていた宿に行って泊まるところを確保する。
 今回泊まるのは平民エリアにある宿で、1階が食堂になっていて2階からが宿泊の部屋になっているよくある形のところだ。シャワーとトイレは共用となっているが、建物も綺麗なところで雰囲気は良い。ダブルの部屋で朝食付きで800ドールなら十分だろう。
 ここは事前にデリアンさんに聞いていたところで、デリアンさん達の分も仮予約を済ませておく。部屋はシングル二つと言うことなので付き合ってはいないのだろう。自分たちは付き合う前から同じ部屋を取っていたけどね。


 このあと役場に行って登録を済ませる。役場は一つしか無いようだが、貴族専用の窓口が別途設けられていた。手続きをしていると貴族用のところの窓口で大声で怒鳴っている人がいた。なんなんだ?

「わざわざ申請したのになぜ1級の調査許可証が発行されていないんだと聞いているんだ!」

「申し訳ありません。何度もご説明させていますように発行申請は受け付けていますが、残念ながら発行できないと連絡を受けています。こちらでは詳細についてはわかりかねますので、王都の役場にて確認をお願いします。」

「くそっ!!わざわざ調査に来てやったというのにこれだったらいつもと同じところにしか入れないではないか。これだけ実績報告をしているのに許可を出さないとはふざけてる。」

 どうやら1級の調査許可証が発行されなくて怒っているようだ。貴族と言っても何でも簡単に許可証が発行されるわけではないみたいだな。まああまりあんな連中に関わらない方がいいだろう。


 このあとは役場の資料を見てみるが、王都で読んだものとそこまで変わらない。とりあえず狩り場の確認をしておく。依頼書も特に変わったものが張り出されているわけでもない。
 このあと聞いておいたお店に行って夕食を食べてから宿に戻る。食事は一人100ドールくらいで結構な量を食べることができるので物価はそれほど高くないようだ。まあ貴族エリアだとこの倍はしそうだけどね。



 翌日からは近くに狩りに行くことにしたのでいったん宿はキャンセルしておく。ここから東に行ったところが岩場になっているらしく、岩系の魔獣が結構いるらしいのだ。素材も結構良い値段で売れるようなのでお金にもなるからね。

 車で半日ほど走ったあたりから木々が少なくなって岩場が多くなってきた。砂漠という感じかな?このあたりには並階位~良階位の岩蜥蜴、岩蠍、岩蜘蛛、金属蜥蜴、金属蠍、鉄蜘蛛という魔獣がいるようだ。金属蠍や金属蜥蜴は以前にも何度か狩ったことがあるので戦い方は慣れている。どの魔獣も雷系の魔法に弱いので狩りやすいと言うこともある。
 ただ岩蜘蛛と岩蠍は素材になるところがないので倒しても魔獣石しか収穫はない。岩蜥蜴も肉の部分が少しだけということで収入にはほとんどならないのが残念なところだ。しかも解体は気をつけないと刃がやられてしまうしね。うまく関節部分に刃を入れないといけない。その上位種は素材がかなりの値段になるのでかなり美味しい魔獣なんだけどね。


 前に比べて装備も良くなったし、戦闘力も上がっているのでかなり楽に倒すことができる。まあ雷魔法の威力が上がったことが一番効果が大きい。3匹くらいなら十分に対処できるからね。ただ探す方に時間がかかるのでそこまで荒稼ぎというわけではないが、一日で5万ドールくらいは稼げるのでかなり美味しいことには変わりは無い。
 ここで4日ほど狩りをしてから待ち合わせの日の昼にテルクの町に戻ることにした。到着は夕方くらいになると言っていたから十分間に合うだろう。

 役場に行って買取を依頼するとかなりの額になった。4日間で20万ドール近くなので十分な収入だろう。買取額の上乗せもあるので余計にありがたい。


 お昼を食べてから買い物をして宿に戻ると、デリアンさんとカルアさんがちょうど宿に着いたところだった。さすがに収納バッグとかがあるわけではないのでかなりの荷物を持ってきている。このあたりはしょうが無いだろうな。


 宿の受付を終えたところで夕食に向かうことにした。この町に来たらいつも行っているというお店があるのでそこに行くことになった。今回はお礼をかねておごってくれるらしい。一緒に行きたかったので事前にこの店のことは教えてくれなかったようだ。
 お店は平民用なんだが、ちょっとおしゃれな感じのところだった。どうやら学生時代の同級生がやっているところらしく、店長らしき人が挨拶にやってきた。

「デリアン、久しぶりだな。カルア以外の人と来るのは珍しいな。」

「ああ、今回遺跡調査の依頼を受けてくれた二人なんだ。いろいろとお世話になる人だからよろしく頼むよ。」

 簡単に挨拶をするが、自分たちの身分のことはふせてもらっている。

「ところでお前はまだ結婚はしていないのか?」

「そんな相手とかいないからな。」

 その言葉に店長のルミナスという人はため息をついていた。

「研究に没頭するのはいいが、もう少し周りを見た方がいいぞ。もうおまえもいい年だろう。カルアも苦労するな?」

 やはり二人の関係は思った通りのようである。自分も鈍いとは言われていたが、デリアンさんよりはましだろう。そう思っていたんだけど、ジェンに「誰かさんと同じね。」と突っ込まれてしまったよ。


 このあと料理はお任せで注文してもらい、食事を堪能する。ちょっとスパイスの利いた料理が多かったが、十分に楽しむことができた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...