【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
226 / 430
第二部 異世界の争い

206. 異世界1389日目 反乱の進行状況

しおりを挟む
 国の状態が不安定なときは治安も悪くなるので注意しながら走って行かないといけない。まあかなりの速度で走っているので、いきなり襲われるというのもないとは思うけどね。ただやはりこういうときのせいか歩いている人の姿はほとんど見かけない。
 3日ほどでなんとかニンモニアの町が見えてきた。町の入口には赤と黒の旗が掲げられているのでこの町はすでに貴族はいないまたは処刑か捕獲されたと言うことだろう。

 町の入口に行くと兵士ではなく冒険者のような感じの門番が立っていた。一応ここでも確認作業があるみたいだが、町を出入りする人の数はかなり少ないようだ。もらったペンダントと身分証明証を見せる。

「ヤーマン国民か。せっかくこんなところまで来たのにこんな状況になってすまんな。早いうちに国外に出た方がいいんだが、いまは難しいかもな。できるだけ戦火のないところで時が過ぎるのを待つしか無いかもな。」

「ええ、そのつもりなのですが、とりあえず国境の方へは向かってみようと思っています。ただどうやって行こうかと考えているところです。」

「一応バスは出ていると思うが、役場の方で確認してみてくれ。ある程度落ち着いていると思うので話は聞けるはずだ。」

 町は思ったよりも落ち着いている印象だ。建物の状況を見ても本格的な戦闘があったようにも思えない感じなんだよな。とりあえず言われたとおり役場に行ってみよう。そのあと今の情報をできるだけ手に入れないとまずいな。この国で自分たちが貴族と言うことを知っている人間はかなり少ないというのが救いだ。

 役場に行ってみると、思ったよりも普通の感じで驚いた。受付とかも普通に行っているし、正直革命が起きたとは思えない印象だ。冒険者用の窓口も普通に稼働している。お昼なので人が少ないので話は十分聞けそうだな。

「すみません。ヤーマンの冒険者なんですが、しばらく魔獣狩りに行っていて今の状況がわからないので少し教えていただいてもいいですか?」

「え・・・と、わ、わかりました。とりあえず簡単な状況を説明しますのでそのあと質問があれば言ってください。ただあまり細かなことは説明できませんのでご了承ください。
 でも、また大変なときにやってきていましたね。まだよく分からない事もあるのであくまで参考として聞いて下さい。」

 話を聞くと、1ヶ月ほど前にこのニンモニアにも革命軍がやってきたらしい。大きな戦闘は町の郊外で行われたようだが、戦闘の間に別働隊がこの町を襲撃してあっさりと町は陥落したようだ。もともと町の中に革命軍が入り込んでいたようであっさりと決着が付いたようだ。それに平民の冒険者達も革命軍に協力したようだ。
 大きな混乱もないまま貴族達は捕虜として捕まり、財産は没収されてしまったようだ。町は革命軍の指揮下に入り、今までと同じ形で運営されているようだ。貴族エリアは現在は封鎖されており、一部の建物に貴族達が収容されているらしい。ある程度落ち着くまでは処刑などは行われないみたいだ。

「ここからヤーマンに戻るにはどうすればいいでしょうか?」

「ヤーマンですか・・・。まずはモクニク国に行くしかありませんが、今のところ国の北東エリアはまだサビオニア軍、えっと従来の国の勢力が支配しているようです。このため国境の町のラルトニアまで行くのはかなり厳しいかもしれません。いくらヤーマン国民であっても平民がその勢力内に入るのは危ないと思われます。途中で戦闘に巻き込まれる可能性もありますしね。
 とりあえずオカロニアまでは大丈夫と思いますのでそこまで行ってから状況を確認した方がいいかもしれません。ここよりは新しい情報が入りやすいかと思います。でも途中の安全までは保証できませんよ。
 あと、現在国の出入りができなくなっているようですのでたとえ国境の町に着いたとしても素直に通れるとは保証できません。どうもモクニク国側でも入国を制限しているみたいなのです。」

 国から出られないというのはつらいな。まあ最悪は隠密と飛翔を使って飛んでいく手もあるけど、そこに行くまでが問題だな。

「移動は歩いて行くしかないのでしょうか?」

「正規のバスの運行は現在止まっています。一応乗り合いのバスのようなものは出ていますが、安全は保証できないというのが正直なところですね。貴族が使っていた車を使っての移動となります。」

 車を使っている人もいるのか?

「あの、車での移動でも大丈夫なのですか?車は貴族と見なされて攻撃を受けやすいと聞いていたのですが、大丈夫なら自分の持っている車で行きたいと思います。実はヤーマンにいたときに車は所有していたのですがここでは乗れなかったんですよ。」

「ああ、そうなのですね。町の付近ではやめた方が良いかと思いますが、郊外であればまだ大丈夫ではないかと思われます。最初の頃は車は貴族が乗っているものという認識でしたが、ここ最近はその認識がなくなってきていますので、貴族として襲われることは無いと思います。
 ただ革命軍の方達も頑張って下さっていますが、魔獣や盗賊などの危険はあるかと思います。良階位の冒険者でしたら大丈夫とは思いますが・・・。」

「わかりました。ありがとうございます。」

 とりあえず車で移動は問題ないかな?それだけでもかなり助かるよ。


 町の中を歩いてみると、思ったよりも混乱もないし、商売も普通に行われている感じだ。商品についても前と比べても減った感じもないので特に物流が止まったというわけでもなさそう。
 少し買い物をしながらお店の人にいろいろ聞いていくが、今のところ特に混乱は無いらしい。商品の仕入れについても今のところ問題は起きていないようだ。貴族が営業を行うことができなくなっているが、いくつかの商会は末端の運営は行っているみたいで物流は止まっていないようだ。
 正直なところどっちでもいいから早く落ち着いてほしいというのが本音のようだ。というのも革命軍が勝ったとしても支配する人間が変わるだけで貴族社会が変わるとは思っていないみたい。ただ町の若者達はこれを機に成り上がると言って革命軍に入ったものも結構いたらしい。まあ戦争は成り上がりのチャンスではあるからね。

 しかし今回思ったのは革命軍が思った以上にちゃんとした組織だと言うことだ。装備などはかなりちぐはぐだが、ある程度組織だっての行動というのはわかる。革命軍の中枢はかなりしっかりと統制されているってことだろうな。
 少なくとも各地域にある程度の人材を派遣していると思っていいだろう。この町も制圧されて1ヶ月で普通の生活が送れるようになっているくらいだしね。
 戦争は勝つよりもその後の統治の方が大変だからなあ。おそらく経済などの動向についてもちゃんと理解しているのだろう。かなり前から準備されていたんだろうね。それに大きな商会のいくつかは事前に革命軍側に付いていたのかもしれないね。でなければこんなに物流がうまく流れていないよな。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...