【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第二部 異世界の争い

207. 異世界1401日目 商人との再会

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 車で移動ができたおかげで予定通りオカロニアに着いたんだが、この町はかなりおちついた感じだった。途中の町も通り過ぎただけだが、普段と変わらない様子だったので、大きな混乱は起きていないのかもしれない。とりあえず町に入ってみようと入口に並んであたりの話を聞いて見る。
 どうもこの町は最初の頃に革命軍が鎮圧してすでにかなりの日数が経過しているみたいで、現在はこの町が革命軍の活動の中心となっているらしい。まあここからだと国全体に行きやすいからわかるけどね。でも最初の反乱は東の方の町で起きたのにこっちが中心と言うことはやっぱり・・・。


 すでに経済活動が安定しているせいか並んでいる人も多いため入るまでに時間がかかりそうだ。ただ人もそれなりにいるが、どちらかというと入口での確認作業に時間がかかっている印象だ。列の動きが遅いからね。ちなみに貴族用の入口は閉鎖されているみたい。

 列に並んでいると、近くを通りかかった人から声をかけられる。

「あれ?ジュンイチさんとジェニファーさんじゃないか?」

 以前この町の近くで知り合った商人のハクさんだった。まずいな・・・彼は自分たちが貴族だったことを知っているんだよなあ。

「人違いではないですか?」

「この場で貴族と言うことをばらされたくなかったら黙って着いてきな。」

 一応言ってみるが、だめだったみたい。小さな声でこう言われては素直に従うしかないか。ここでばらしたいと言うつもりはないみたいだから変なことをしようという気もないと思う。
 ここの門番には顔が利くといって正規の門の脇で簡単なチェックをしただけで通してもらうことができた。門を抜けた後、彼の商会というところに案内される。
 町の中心近くにある結構大きな建物で、お店にやって来ている人も多い。お店は革命前からここにあったお店みたいで結構な人気店だったようだ。たしかこの町に寄った時に少し店を覗いていった記憶がある。


 彼と会ったのは前にオカロニアに寄ったすぐ後のことだ。まさかこんなところで再会するとは思っていなかった。商会の運営者と言う感じだったから貴族だと思っていたんだが、他の国の貴族だったんだろうか?


~~ジュンイチの回想~~
 北の遺跡を出発してから南に向かっていた際、オカロニアを出発して2日ほど走ったところで前方に強い魔獣の存在を確認した。魔素の強さから考えるとどう考えても優階位の魔獣だったのでかなり驚いてしまった。優階位の魔獣が出るくらいこの国の管理は甘くなっているのか?
 さすがに近寄れないと思ったんだが、その魔獣はどうやら戦闘中のようだ。手助けした方がいいのかと思ったが、さすがに優階位の魔獣だと自分たちは手助けになるのか?単に邪魔になるようだったら余計な手助けをしてもしょうが無いよなあ。
 ただ護衛と思われる人たちは自分たちよりは強い感じだったが、ちょっと分が悪い感じもする。魔法の攻撃だったらある程度ダメージを与えられると思うのでとりあえず様子だけでも見に行ってみよう。

 近くに行くと、優階位の突猪が2体襲いかかっているようだ。戦っているのは良~優階位くらいか?ただ数人が地面に倒れているのでもうやられてしまった人もいるのかもしれない。

「ジェンは右のやつをお願い。自分は左のやつを攻撃する。隠密を使って、魔力が貯まったところで一気に近づいて攻撃するよ。」

「わかったわ。」

 この距離からでも攻撃することはできるが、距離が近い方が威力が大きいこと、避けられる可能性が大きいことからできるだけ近くから攻撃した方がいい。
 精神を集中して魔力をためていく。思ったよりも時間が長く感じるが、ここで焦ってはダメだ。限界近くまで魔力をためたところでジェンの方を見るとうなずいてくれた。

「行くよ!!」

 一気に魔獣との距離を詰めて渾身の火矢をぶち込む。ジェンは水弾だ。隠密の魔道具まで付けていたので認識が遅れたのか、魔力を込めた火矢は魔獣の首筋に突き刺さった。ジェンの方も水弾が顔に命中して顔が半分へしゃげた状態になっていた。

「勝手ながら手助けします!!」

 一瞬何が起きたのかわからなかった護衛達もすぐに対応して、一緒に魔獣に斬りかかりとどめを刺した。さすがにあそこまでのダメージを与えることができれば大分楽だった。うまく奇襲できれば優階位の魔獣もなんとかなるかもしれないね。

「危なそうだったので手助けしただけなのであとの処理はお任せしますね。」

 また変な疑いをかけられてもいやなのですぐに立ち去ろうと思ったんだが、車の陰にいた男が大きな声を上げる。

「このまま立ち去るなら優階位の魔獣をけしかけた犯人として手配するぞ!」

「なっ!!さすがに助けてもらったのにそれはないだろう!!」

 さすがに言い返すと、少し笑ってこちらに声をかけてきた。

「さすがにお礼くらい言わせろよ。犯人の心当たりはあるからお前達を疑ったりはしてないからよ。」

 そう言われてはそのまま立ち去るのも悪いと思い、簡単な天幕にテーブルを出してくれたので少し話をしていくことにした。


 彼はハクという名前でこの国で商売をしている人だった。どうやら移動途中で魔獣にいきなり襲いかかられたらしく、その車に乗っていた3人のうち一人が車から投げ出されて亡くなってしまったようだ。残り二人は治癒薬でなんとか回復したみたい。
 車は横転していたが、駆動部分は無事だったみたいでなんとかなるようだが、修理するのに少し時間がかかるようなので、修理が終わるまでくらいは話をしようと言うことになった。

 今回の魔獣はおそらく競合している商会の仕業だろうと言うことだった。しかし優階位の魔獣をけしかけてくるとは思っていなかったようだ。おそらくどこからかこの付近まで魔獣を連れてきていたのだろう。生きたまま捕まえるなんてかなりのリスクが大きいのによくやったものだ。
 近くにそのような気配はなかったので魔獣をけしかけた後はすぐに立ち去ったのだろう。まあ近くにいて被害を受けてもまずいからね。しかし討伐されなかった場合、この魔獣はどうするつもりだったんだろう?

 自分たちはヤーマンから来た冒険者で遺跡の調査を行っているというとかなり驚いていた。さすがに車を持っていることがわかったみたいだったので一応貴族位を持っていることを伝えるしかなかった。

 修理が終わったところで彼と別れることとなったが、何かあれば連絡をくれと連絡先だけは教えてもらえた。オカロニアに商会があるみたいなので、帰りに機会があれば寄ることにしよう。
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