257 / 313
第二部 異世界での訓練
233. 異世界1671日目 護衛として
しおりを挟む
役場から同行する白狼の牙パーティーが戻ってきたと連絡があり、明日の朝に時間をとれないかと打診されたので承知する。
翌日に朝食をとった後、役場に行くと、受付から白狼の牙のメンバーを紹介された。
「初めまして。今回急遽護衛として同行させていただくことになりましたアースのジュンイチです。隣がメンバーのジェニファーです。」
「初めまして。私が白狼の牙のリーダーのハルト、あとはカオリ、タツマ、マイル、リューカの5人メンバーだ。今回同行すると言われたのでこちらこそよろしく頼む。
いきなりですまないが手合わせしてもらってもいいか?特に何も起きないとは思うのだが、やはりお互いの力量はある程度把握しておかなければいざというときに困るからな。」
「ちょっと、ハルト!!」
「いや、実力も分からない状態で護衛をするというのは無理があるだろ?今までまったく面識もないからな。」
やっぱりいきなり護衛を追加されたので気になるのだろうな。
「確かにそうですね。それではお手合わせ願います。これでも一応あなた方と同じ良階位ですので手加減無用です。」
彼らは全員20代後半くらいかな?優階位にはなかなか上がれないので同じ良階位でも実力にはかなり幅があるとは思うけど、それでもそんなに劣っているわけではないと思う。
訓練場に移動し、練習用の装備を借りて対戦することになった。相手をするのは前衛らしいハルトさんとタツマさんの二人だ。体格的に自分がハルトさん、ジェンがタツマさんの相手をすることにした。ハルトさんはかなり大きいからね。
ハルトさんは片手剣と盾を使う自分と同じスタイルだ。剣さばきは鋭いが、動きが見えないわけではないのでなんとか捌くことが出来る。それに対人での戦いはあまりしたことがないのか、盾の使い方がちょっと甘い気がする。魔獣相手に腕を鍛えたのだろう。
そうはいっても勢いはすごいのでこちらからもなかなか攻撃出来ない。隙を突いて剣を繰り出すが、なかなかうまく当たらない。
お互いに有効打が出ないままやり合っていたんだが、彼らの仲間から「これだけやれば十分だろう。」とストップがかかった。思ったよりも長い時間やり合っていたみたいだ。まあ負けはしなかったけど、判定だったら負けという感じかな?
ジェンも同じ時間耐えていたようだが、相手が片手剣と盾というスタイルでリーチの関係もあってほとんど防御に徹する形だったらしい。それでも決定打をもらわなかったようなので十分じゃないかな?
「私たちと違って対人相手にも訓練しているみたいだな。ただ、防御に比べて攻撃するときの動きが若干劣っているような感じがするんだが、これだと魔獣を倒すのには時間がかからないか?」
ハルトさんは先ほどまでとはちょっと違って納得したような表情で言ってきた。
「いえ、攻撃は魔法も使っているのでそうでもありません。」
「魔法も使えるのか?もしかして二人とも?」
「ええ、どちらかというと魔法の方が得意なので・・・。剣での戦闘は魔法前提ですので守りを主体においています。」
「そういうことか。どおりで防御から攻撃に移る際の動きに違和感があったわけだ。これだけの技量があって魔法が得意というのであればかなりの実力だな。
すまなかった。正直なことをいうと、良階位と言っても実力は疑っていたんだよ。本当かどうかは分からないが、貴族とつながりがあると若干融通してくれるという話を聞いたことがあったからな。」
「自分たちはヤーマンで昇格試験を受けましたからそれはないと思いますよ。そもそも貴族だから融通されるというのは昔のサビオニアくらいじゃないですかね?当時は平民だと実力があっても良階位以上に上がれないと言っていましたからね。」
「サビオニアまで行ったことがあるのか!?それはすごいな。若く見えるけど本当はもっと年上なのか?」
「いえ、よく言われますが、自分もジェンも21歳ですよ。機会に恵まれていろいろと行くことが出来たのです。ハクセンに来るのも2回目ですからね。
今回ももともと護衛する予定はなかったのですが、ルイアニア様達と一緒に王都に向かうことになって、どうせ同行するならと護衛依頼を出してくれたのです。ですからルイアニア様からもあなたたちに不満があるわけではなく、信頼の置けるパーティーだと言うことを聞いていますよ。」
「それはありがたいことだな。しかし、ルイアニア様と同行するように言われるとはすごいな。」
「以前ハクセンに来たときにいろいろとあって知り合うことが出来たんです。正直なところただの平民の自分がいいのだろうかと思うことは多いですけどね。」
他のメンバーも交えて話をする。女性のカオリさんはクロスボウを使った遠距離攻撃と罠解除などの支援、男性のマイルさんは攻撃魔法、女性のリューカさんは攻撃魔法と治癒魔法を使うみたいだ。ちなみに5人ともに結婚していて、マイルさんとリューカさんは夫婦らしい。他の3人の相手は冒険者ではないようだ。
「あれ?そのクロスボウですけど、最近購入されました?」
なんか見覚えのあるクロスボウだったので気になって聞いてみた。
「え、ええ。どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと見せていただくことはできますか?」
「少しなら。でもかなり貴重な物なので取り扱いには注意してくださいね。」
確認してみると、やっぱりあのとき売ったクロスボウのようだ。ジェンも同じ事を言っている。
「どうかされたのですか?」
「いえ、3年ほど前に自分たちが手放したものに似ていたのでちょっと懐かしいなと思っていたんです。運良く手に入れたんですけど、魔法が使えたこともあって結局使わなくて、ハルストニアの武器屋で買い取ってもらったんです。あのときは壊れていたのですが、いい物なので本当に売っていいのかと念押しされたんです。」
「たしかに買ったのはハルストニアだったわね。ここで逃したらもう二度と手に入れられない一品と言われたのよ。それで無理して買ったのよね。」
「いい人に買われてもらったようで良かったです。使わないまま眠らせておくにはもったいないものでしたからね。」
折角なのでクロスボウの腕前を見せてもらったが、さすがに精度が高い。
説明では矢の威力を向上させる効果と書かれていたんだが、威力はかなり落ちるが矢を使わなくても魔力を少し込めると矢のような物が打ち出せる仕様だったらしい。かなりの一品だったようだが、そんな物がのみの市で投げ売りされていたとは、のみの市侮れないな。
それから5日ほどしてから王都に向けて出発することになった。よく聞く話だが、貴族は途中の町にはある程度寄っていかないといけないらしく、自分たちのペースで走れば5日くらいで到着できそうなところだが、10日くらいかけて移動するようだ。まあたまにはこういうのもいいかな。
ルイアニアさんの家族は大きめの車一台にのり、護衛などが4台に分乗してその前後を、そして白狼の牙が先頭を走り、自分たちが最後尾を走るという布陣となった。
基本的に移動中の護衛対応は雇われた冒険者が行うことになっており、よほどでなければ専属の護衛たちは手を出さない。野営がある場合は見張りは冒険者のみで行うようだ。
そうはいっても、そもそもこの国で貴族にちょっかいを出そうとする盗賊はいないし、今回のルートではそうそう強い魔獣が出ることもないみたいだけどね。
今回の宿泊はすべて町の宿なので野営の必要はないのはうれしいね。一日の行程は200メヤルドと自分たちが走る距離の半分くらいだが、走るペースも遅いし、走る時間も短いので仕方がないだろう。
途中の町では一番いい宿に泊まるんだが、自分たちも一緒の宿にされてしまった。普通、雇われた冒険者はランクの落ちる宿に泊まるものだし、まして食事を一緒にすることはない。ハルトさん達は最初かなり驚いていたもんなあ。
食事の時には町の長官達も同席するんだが、自分たちは何者なのか?という目で見てくるんだよなあ。まあそれはそうだろうね。ただ他の家族の態度を見て変なことは言えないと悟っていたけど。
さすがに大きな街道だったので特に事件もなく、予定通り10日間で王都のハルストニアに到着する。途中出てきたのは並階位くらいの魔獣くらいだったからね。
~ハルトSide~
護衛の任務のために、いつもよりも遠征期間を短くしてハイレニアの町に戻ってきた。ここ数年間ずっと依頼を任されていたルイアニア様の護衛だったが、今回は追加で他の冒険者が護衛に付くという話を聞いた。どういうことなのか?それも私たちが依頼を受けた後で追加で言われたので余計に気分が悪かった。
もともとこの町と王都の移動は正直出番がないくらい安全だ。その上自前の護衛も同行するため冒険者の護衛は形式上であり、実力がそれほどいるわけでもない。ただし護衛を受けるにはそれなりの実力を貴族の護衛に示さなければならないはずだ。
今回は護衛を変更するための布石なのかと思ってしまった。護衛による報酬や実績ポイントはやはり大きいからな。
本人達に会って話を聞くと、あくまでルイアニア様の知り合いと言うことで護衛を依頼されたようだった。そもそもヤーマンの冒険者だった。
実力を確認させてもらったが、良階位に違わぬ実力を持っていた。魔法の腕前については確認できなかったが、剣よりも得意と言っていることからも相応の腕前だと予想できる。二人だけのパーティーなのでもしかしたら治癒魔法も少し使えるかもしれないな。
二人と会った後で受付のユーミンから話を聞いてちょっと焦ってしまった。どうやらヤーマンだけでなくここハクセンでも爵位相当の褒章を受けていると聞いたからだ。場合によっては不敬罪が適用されていたかもしれない。
そして移動が始まった後、驚いたのはルイアニア様達の態度だった。知り合いとは聞いていたが、扱いがそのレベルを超えていたからだ。二人はルイアニア様の家族と一緒の宿に泊まり、食事も一緒にしているのだ。しかも家族全員が普通に慕っている。ルイアニア様だけでなく、奥様のタスマール様、そして子供達もだ。
そのくせ私たちにも年上といって敬語で接してくる。時間があるときには一緒に訓練をしたりもするし、正直どう対応していいのか分からないくらいだ。本人達は爵位相当を持っているけど平民ですからといっているので正直困ってしまう。
そして衝撃だったのは護衛の人たちから聞いた話だった。「ルイアニア様ではなく、ラクマニア様がお客様として対応するほどの人物だから対応には注意した方がいい。」と言われたときは本気で焦ってしまった。ただこのことは決して口外しないように念を押されてしまった。
翌日に朝食をとった後、役場に行くと、受付から白狼の牙のメンバーを紹介された。
「初めまして。今回急遽護衛として同行させていただくことになりましたアースのジュンイチです。隣がメンバーのジェニファーです。」
「初めまして。私が白狼の牙のリーダーのハルト、あとはカオリ、タツマ、マイル、リューカの5人メンバーだ。今回同行すると言われたのでこちらこそよろしく頼む。
いきなりですまないが手合わせしてもらってもいいか?特に何も起きないとは思うのだが、やはりお互いの力量はある程度把握しておかなければいざというときに困るからな。」
「ちょっと、ハルト!!」
「いや、実力も分からない状態で護衛をするというのは無理があるだろ?今までまったく面識もないからな。」
やっぱりいきなり護衛を追加されたので気になるのだろうな。
「確かにそうですね。それではお手合わせ願います。これでも一応あなた方と同じ良階位ですので手加減無用です。」
彼らは全員20代後半くらいかな?優階位にはなかなか上がれないので同じ良階位でも実力にはかなり幅があるとは思うけど、それでもそんなに劣っているわけではないと思う。
訓練場に移動し、練習用の装備を借りて対戦することになった。相手をするのは前衛らしいハルトさんとタツマさんの二人だ。体格的に自分がハルトさん、ジェンがタツマさんの相手をすることにした。ハルトさんはかなり大きいからね。
ハルトさんは片手剣と盾を使う自分と同じスタイルだ。剣さばきは鋭いが、動きが見えないわけではないのでなんとか捌くことが出来る。それに対人での戦いはあまりしたことがないのか、盾の使い方がちょっと甘い気がする。魔獣相手に腕を鍛えたのだろう。
そうはいっても勢いはすごいのでこちらからもなかなか攻撃出来ない。隙を突いて剣を繰り出すが、なかなかうまく当たらない。
お互いに有効打が出ないままやり合っていたんだが、彼らの仲間から「これだけやれば十分だろう。」とストップがかかった。思ったよりも長い時間やり合っていたみたいだ。まあ負けはしなかったけど、判定だったら負けという感じかな?
ジェンも同じ時間耐えていたようだが、相手が片手剣と盾というスタイルでリーチの関係もあってほとんど防御に徹する形だったらしい。それでも決定打をもらわなかったようなので十分じゃないかな?
「私たちと違って対人相手にも訓練しているみたいだな。ただ、防御に比べて攻撃するときの動きが若干劣っているような感じがするんだが、これだと魔獣を倒すのには時間がかからないか?」
ハルトさんは先ほどまでとはちょっと違って納得したような表情で言ってきた。
「いえ、攻撃は魔法も使っているのでそうでもありません。」
「魔法も使えるのか?もしかして二人とも?」
「ええ、どちらかというと魔法の方が得意なので・・・。剣での戦闘は魔法前提ですので守りを主体においています。」
「そういうことか。どおりで防御から攻撃に移る際の動きに違和感があったわけだ。これだけの技量があって魔法が得意というのであればかなりの実力だな。
すまなかった。正直なことをいうと、良階位と言っても実力は疑っていたんだよ。本当かどうかは分からないが、貴族とつながりがあると若干融通してくれるという話を聞いたことがあったからな。」
「自分たちはヤーマンで昇格試験を受けましたからそれはないと思いますよ。そもそも貴族だから融通されるというのは昔のサビオニアくらいじゃないですかね?当時は平民だと実力があっても良階位以上に上がれないと言っていましたからね。」
「サビオニアまで行ったことがあるのか!?それはすごいな。若く見えるけど本当はもっと年上なのか?」
「いえ、よく言われますが、自分もジェンも21歳ですよ。機会に恵まれていろいろと行くことが出来たのです。ハクセンに来るのも2回目ですからね。
今回ももともと護衛する予定はなかったのですが、ルイアニア様達と一緒に王都に向かうことになって、どうせ同行するならと護衛依頼を出してくれたのです。ですからルイアニア様からもあなたたちに不満があるわけではなく、信頼の置けるパーティーだと言うことを聞いていますよ。」
「それはありがたいことだな。しかし、ルイアニア様と同行するように言われるとはすごいな。」
「以前ハクセンに来たときにいろいろとあって知り合うことが出来たんです。正直なところただの平民の自分がいいのだろうかと思うことは多いですけどね。」
他のメンバーも交えて話をする。女性のカオリさんはクロスボウを使った遠距離攻撃と罠解除などの支援、男性のマイルさんは攻撃魔法、女性のリューカさんは攻撃魔法と治癒魔法を使うみたいだ。ちなみに5人ともに結婚していて、マイルさんとリューカさんは夫婦らしい。他の3人の相手は冒険者ではないようだ。
「あれ?そのクロスボウですけど、最近購入されました?」
なんか見覚えのあるクロスボウだったので気になって聞いてみた。
「え、ええ。どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと見せていただくことはできますか?」
「少しなら。でもかなり貴重な物なので取り扱いには注意してくださいね。」
確認してみると、やっぱりあのとき売ったクロスボウのようだ。ジェンも同じ事を言っている。
「どうかされたのですか?」
「いえ、3年ほど前に自分たちが手放したものに似ていたのでちょっと懐かしいなと思っていたんです。運良く手に入れたんですけど、魔法が使えたこともあって結局使わなくて、ハルストニアの武器屋で買い取ってもらったんです。あのときは壊れていたのですが、いい物なので本当に売っていいのかと念押しされたんです。」
「たしかに買ったのはハルストニアだったわね。ここで逃したらもう二度と手に入れられない一品と言われたのよ。それで無理して買ったのよね。」
「いい人に買われてもらったようで良かったです。使わないまま眠らせておくにはもったいないものでしたからね。」
折角なのでクロスボウの腕前を見せてもらったが、さすがに精度が高い。
説明では矢の威力を向上させる効果と書かれていたんだが、威力はかなり落ちるが矢を使わなくても魔力を少し込めると矢のような物が打ち出せる仕様だったらしい。かなりの一品だったようだが、そんな物がのみの市で投げ売りされていたとは、のみの市侮れないな。
それから5日ほどしてから王都に向けて出発することになった。よく聞く話だが、貴族は途中の町にはある程度寄っていかないといけないらしく、自分たちのペースで走れば5日くらいで到着できそうなところだが、10日くらいかけて移動するようだ。まあたまにはこういうのもいいかな。
ルイアニアさんの家族は大きめの車一台にのり、護衛などが4台に分乗してその前後を、そして白狼の牙が先頭を走り、自分たちが最後尾を走るという布陣となった。
基本的に移動中の護衛対応は雇われた冒険者が行うことになっており、よほどでなければ専属の護衛たちは手を出さない。野営がある場合は見張りは冒険者のみで行うようだ。
そうはいっても、そもそもこの国で貴族にちょっかいを出そうとする盗賊はいないし、今回のルートではそうそう強い魔獣が出ることもないみたいだけどね。
今回の宿泊はすべて町の宿なので野営の必要はないのはうれしいね。一日の行程は200メヤルドと自分たちが走る距離の半分くらいだが、走るペースも遅いし、走る時間も短いので仕方がないだろう。
途中の町では一番いい宿に泊まるんだが、自分たちも一緒の宿にされてしまった。普通、雇われた冒険者はランクの落ちる宿に泊まるものだし、まして食事を一緒にすることはない。ハルトさん達は最初かなり驚いていたもんなあ。
食事の時には町の長官達も同席するんだが、自分たちは何者なのか?という目で見てくるんだよなあ。まあそれはそうだろうね。ただ他の家族の態度を見て変なことは言えないと悟っていたけど。
さすがに大きな街道だったので特に事件もなく、予定通り10日間で王都のハルストニアに到着する。途中出てきたのは並階位くらいの魔獣くらいだったからね。
~ハルトSide~
護衛の任務のために、いつもよりも遠征期間を短くしてハイレニアの町に戻ってきた。ここ数年間ずっと依頼を任されていたルイアニア様の護衛だったが、今回は追加で他の冒険者が護衛に付くという話を聞いた。どういうことなのか?それも私たちが依頼を受けた後で追加で言われたので余計に気分が悪かった。
もともとこの町と王都の移動は正直出番がないくらい安全だ。その上自前の護衛も同行するため冒険者の護衛は形式上であり、実力がそれほどいるわけでもない。ただし護衛を受けるにはそれなりの実力を貴族の護衛に示さなければならないはずだ。
今回は護衛を変更するための布石なのかと思ってしまった。護衛による報酬や実績ポイントはやはり大きいからな。
本人達に会って話を聞くと、あくまでルイアニア様の知り合いと言うことで護衛を依頼されたようだった。そもそもヤーマンの冒険者だった。
実力を確認させてもらったが、良階位に違わぬ実力を持っていた。魔法の腕前については確認できなかったが、剣よりも得意と言っていることからも相応の腕前だと予想できる。二人だけのパーティーなのでもしかしたら治癒魔法も少し使えるかもしれないな。
二人と会った後で受付のユーミンから話を聞いてちょっと焦ってしまった。どうやらヤーマンだけでなくここハクセンでも爵位相当の褒章を受けていると聞いたからだ。場合によっては不敬罪が適用されていたかもしれない。
そして移動が始まった後、驚いたのはルイアニア様達の態度だった。知り合いとは聞いていたが、扱いがそのレベルを超えていたからだ。二人はルイアニア様の家族と一緒の宿に泊まり、食事も一緒にしているのだ。しかも家族全員が普通に慕っている。ルイアニア様だけでなく、奥様のタスマール様、そして子供達もだ。
そのくせ私たちにも年上といって敬語で接してくる。時間があるときには一緒に訓練をしたりもするし、正直どう対応していいのか分からないくらいだ。本人達は爵位相当を持っているけど平民ですからといっているので正直困ってしまう。
そして衝撃だったのは護衛の人たちから聞いた話だった。「ルイアニア様ではなく、ラクマニア様がお客様として対応するほどの人物だから対応には注意した方がいい。」と言われたときは本気で焦ってしまった。ただこのことは決して口外しないように念を押されてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
514
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる