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番外編 後日談

10. 懐かしい人たち

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すみません、アップの設定を忘れていました。

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コーランさんに続いて入った来た人物を見て驚いた。少し老けてはいるが、間違いなくクリスさんだろう。

「ほ、本当に、本当にジュンイチなのか?」

おもむろに近づいてくると、自分の両肩をつかんで話しかけてきた。

「え、ええ。お、お久しぶりです。

あ・・・、こ、これ!!」

まさかこんなところでクリスさんに会うとは思っていなくて気が動転していたが、クリスさんにもらった装飾品を取り出す。
それを受け取ったクリスさんは装飾品に手を当てて確認しているようだ。

「た、確かに私の渡したもので間違いない!!」

装飾品を手に持ったまま少しうつむいて少し嗚咽を漏らしている。

「無事だったんだな。ほんとうに・・・。」

しばらくして顔を上げたと思ったらすごい勢いでいろいろと聞いてきた。

「いったい今までどこにいたんだ?それにその姿はいったいどういうことだ!?」

とりあえずいったん落ち着いてもらってから席に着く。コーランさんもかなり驚いていたが、クリスさんが先に声を上げたのでタイミングを失ってしまっていたようだ。



まずはカルニアさんから自分たちが本人で間違いないだろうという話をしてもらった。クリスさんは装飾品で間違いないと確認ししていたようだ。どうやら自分が渡した本人であることもあの装飾品で分かったらしい。

そのあとユータ達にしたのと同じ話をする。かなり驚いていたようだが、今の状況を考えると信じるしかないみたいだ。

「二人が亡くなったと聞いた後で二人の夢を見たんだ。夢の中では亡くなったわけではないので、またいつか会おうと言っていた。
きっとあれはジュンイチからのメッセージだと思っていつか戻ってくると信じていたんだが、まさか20年以上も待たされるとはな。しかも時間を超えてくるとは思っていなかったぞ。」

「自分たちもまさかこんな事になるとは思わなかったですよ。それでルイサレムで冒険者登録をしてからサクラまでやって来たというところなんです。
ルイサレムでは知り合いだったユータとカナという二人に会って少し話を聞くことが出来ました。最初は黙っていたのですが、どうも見た目や動きで気がつかれたみたいで同じような話をしたんです。」

「あの二人か。たしか優階位の冒険者だったな。二人と親交があったと言うことで、何度か会ったことがある。」

どうやらクリスさんは面識があるようだ。

「まずはクリスさんに連絡するのが一番かと思ってここまでやって来たんですよ。サクラに着いてからクリスさんの家に行ってみたんですが、クリスさんが不在で確認できる人がいないので連絡先だけを伝えておきました。そのあとここに来たんですが、まさかクリスさんにも会うとは思っていませんでしたよ。」

「私を頼ろうとしてくれてうれしいよ。もしもの時のために家の者にも連絡しておいたんだが、それを見せてもだめだったのか?」

「いえ、門番もこれを見てすぐに連絡を取ってくれて、執事のカルデリアさんと言う方がこられたんですが、確認できるものがいないのであとで連絡するように言われました。」

「・・・ああっ、そうだった。スレイン達は今朝から近くの町に行くと言っていたな。それで確認できないと言うことになったんだろう。」


クリスさんは王家から出たんだが、外交官に随行して他の国に行ったりしているらしく、主にナンホウ大陸を担当しているようだ。最初は自分たちの知り合いがいると言うことで親交を深めるために随行しただけだったんだが、結局そのままずるずると続けることになり、年に数回は出かけているようだ。

「我々カサス商会もジュンイチさん達のおかげでうまくいっていますよ。今ではナンホウ大陸ではサビオニアが経済の中心になっていますからね。そこの大臣とコネがあるというのはやはり強いですよ。」

「大臣って言うのはハクさんですか?ロンさんもかな?」

「ハクさんは今ではあの国の首相となっていますよ。ロンさんは外交大臣として活躍しています。もしお二人に会ったらかなり驚かれると思いますよ。」

「そうなんですね。」

懐かしいなあ。まあこの世界ではアムダの戦いの後にすぐに転移してきたと言っているので変な言動はしないようにしないといけないけどね。


クリスさんは今回はカサス商会と共同で行っている事業についての相談にやって来ていたらしい。外交関係をやっているのに特定の商会と事業をやっていいのかと思ったが、こっちの世界では特に問題にはならないみたい。もちろんあまりにも露骨にひいきをするとまずいみたいだけどね。

クリスさんはこのあとどうしても外せない用事が入っているらしく、スレインさん達が戻ってきた後に会う約束をして帰っていった。



夕食はコーランさん達と食べることになり、クリスさんの経営するレストランの個室での食事となった。その前にいろいろと商売の話をすり事になったけどね。

先に渡していた魔符核については前のものよりもさらに性能アップが確認できたようだ。すぐに売り出しをすすめたいと言うことだったので、事前に作っていたものを、かなりの金額で買い取ってくれた。これでこっちの世界でのお金は気にしなくていいかもしれないな。

前の重量軽減バッグはさすがに年月が経ってだめになって来ているものも多いらしく、今も中古品が結構な値段で取引されているらしい。
ユータとカナに渡したものは試作で作ったものだったので錆びにくい加工をしていたのでまだ普通に使っていたが、普通に下ろしていたものはさすがに錆でやられてしまったものも多いようだ。

食事の間は当時の話やその後の商売の話、今後の商売についての話などしていると、あっという間に夜更けになってしまった。宿に戻ったときにはすでに9時を回っていたからね。


~コーランSide~
最近は長距離の移動が辛くなってきて以前のようにあちこち行けなくなってきている。流石にもう年かな。
大半の業務は息子に渡し、今はやりたいことだけに取り組んでいるので仕事としては楽ではあるのだがな。もうとっくに引退していい年なのだが、やはり私は仕事をしなければ生きていけない身体らしい。


ジュンイチさん達が亡くなったと聞いた時は驚いたものだ。突然にやって来て、突然にいなくなったような不思議な感覚だった。彼らに会っていなかったら私の人生はまた違ったものになっていただろう。
カサス商会の目玉だった重量軽減バッグは納入されていた分で無くなってしまったが、それまでに培った商売の方法と、いろいろと聞いていた今後の戦略を思い出しながら対処していった。あの当時聞いていた将来の経済状況を予想しての販売戦略の的確さには驚いたものだ。



今日は久しぶりにクリストフ様と打ち合わせだ。クリストフ様とはもう20年以上も一緒にやってきた仲だ。これもジュンイチさんのおかげだな。クリストフ様はナンホウ大陸での情報に詳しいため、かなり有益な情報を提供してもらっている。

大方の打ち合わせを終了したころに部屋をノックする音が聞こえた。よほどのことが無い限り打ち合わせの最中に入ってくることは禁止しているので何事かと思ってしまった。やって来た社員もかなり恐縮している。

「緊急の内容と言うことで失礼します。カルニア会長からの伝言です。
『ジュエニさんとジェルさんが来訪された』
以上となります。」

「ジュエニさんとジェルさんだと!!」

聞き間違えかと思ってしまった。あの二人がやって来ただと?これはアドバイザーとしてジュンイチさんとジェニファーさんの社内での偽名だ。
伝言はカルニアからということは、あやつが対応したのだろう。ということは二人に間違いないという確信があるのだろう。

「クリストフ様。打ち合わせの途中ですが、緊急の案件が発生しました。これはあなた様にも関わることですので、よろしければご同伴願えますか?」

「よくわからないが、わざわざそういうということはよほどのことなのだろう。」

「ええ、ジュンイチさんとジェニファーさんがやってこられたようです。」

「!!!」

案内された部屋に入ると、二人の姿を見つけた。たしかにジュンイチさんとジェニファーさんだ。ただどう考えても亡くなったときのままの姿だ。
声をかけようかとしたところで、後ろから着いてきたクリストフ様が声を上げてタイミングを失ってしまった。王爵は涙を流しながら喜んでいた。たしかに親友と言っていたくらいだからな。


このあと聞かされた話はかなりの衝撃だった。ただ二人の容姿を見る限り本当の話としか思えない。少し記憶が混乱しているところがあると言っていたが、まさか時間を超えてやってくるとは・・・。

クリストフ様はもっと話したいことがあったようだが、このあと外せない用事があったらしくお帰りになった。私たちも予定は入っていたが二人との会食を優先したのは当然のことだ。


今回は久しぶりにおいしいお酒だった。商売のことだけで無く、いろいろな話をした。このあと自分たちが守った世界をいろいろ見ていきたいと言っている。出来るだけサポートできればいいと思っている。
しかし商売の戦略に関する知識についてはまだまだ及ばない印象を受けた。前よりもより高度になっているのは、今まで私に合わせてくれていたのだろうか?
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