【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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25. 現世界-3 6日目 うちの家族は大混乱

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25. 現世界-3 6日目 うちの家族は大混乱
 翌日の日曜日はジェンがうちに遊びに来ることになった。うちの家族に挨拶したいというのと今後の話をもっと詰めるためだ。

 うちの父はいわゆるサラリーマンで、母は週に数日だけ近所のスーパーにパートに出ている半専業主婦だ。妹の玲奈は中学2年生で、この年齢にありがちなのか、最近家族との会話も少ない上、特に自分とはあまり口を聞いてくれない。

 ただ家にいるときの食事は一緒に食べるというのがルールとなっているので今朝もみんなでそろって食べる。

「今日この後はみんな家にいるんだよね。友達がやってくるんだけど、折角だから挨拶したいって言っているんだ。」

「「え?友達?」」

 両親が驚いているのは、高校になってから自分が友人を家に連れてくることがなかったからだ。まあ高校の仲のいい友達の家が近くないのにわざわざ家まで来ることはないからなあ。

「まさか女の子ってことはないわよね?」

 母の突っ込みが入る。

「いや、女の子だよ。」

 家族全員が固まる。

「なんだよ。自分が女友達を呼ぶのがそんなに変なのか?」

 そのあといろいろと言ってきたが、もうすぐ来るからそのときに見ればいいだろということで話を終える。
 普通だったらすぐに部屋に戻って何かやっている玲奈はなぜかリビングでテレビを見ていた。こいつジェンを見たくてここにいるな。まあ、結局紹介することになるからまあいいか。

 約束の10時になったところでもうすぐ着くという連絡が入ったので家の前で待っていると、えらく立派なリムジンがやってきた。なんという場違い感!!
 そして頼むから玄関ドアの隙間からのぞくのはやめてくれ、うちの家族~~~っ!!

「迎えの時間はまた連絡するからどこかで待機しておいて。」

「わかりました。」

 運転手にこの後の指示をしてからジェンが車から降りてきた。さすがにドレスというわけではないけど、ちょっと大人っぽい感じのスーツでやって来た。

 さっそくうちに入ってもらうが、ジェンを見て玄関で固まっている家族3人。なんとか3人をリビングに連れて行き紹介する。

「えっと、紹介するよ。見て分かるように、父と母と妹の玲奈だ。こっちはジェニファー。交換留学でやって来ている同級生だ。」

「はじめまして。ジェニファー・クーコといいます。ジェンと呼んでください。純一郎さんの妻となりますのでこれからはお義父、おか・・・・」

「よけいなことをいうんじゃない!!」

 チョップをかまして言葉を止める。

「もーっ。えっと、純一郎さんの同級生で、アメリカからやってきました。日本語は話せますので日本語で大丈夫です。純一郎さんとは仲良くさせていただいています。今後ともよろしくお願いします。」

「ナイストゥーミートゥー・・・」

「いや日本語でいいから。」

 片言の英語を話そうとしている父に突っ込みを入れる。

「父は日本で言う典型的なサラリーマンだ。土日は大体家にいるが、バイクが趣味なので時々ふらっと出かけたりする。
 母は近くのスーパーで週に数日パートをしている半専業主婦だ。母もバイクが趣味なので父と一緒に出かけたりもしている。
 妹は中学2年生で地元の中学校に通っている。」

 一段落すると、まずは妹が堰を切ったようにジェンに話し出した。

「なんで、なんで?なんでこんなきれいな女性がお兄ちゃんと?妻とかいいかけていたけど、彼女?彼女なんですか?」

「えっと、今のところ彼女かな?今後もよろしくね。玲奈ちゃんと呼んでもいいかな?」

「もちろんよ。私もジェンさんと呼んでもいい?で、今のところと言うことはいずれはと言うことなんでしょ?知り合ってからどのくらいなんですか?」

「えっと・・・何年だっけ?・・・」

「えっ?ね、年単位なの?それって・・・どういう?」

 収拾がつかないのである程度のところで話をぶった切って部屋に移動。自分たちの関係を考えると説明が難しくなってくるからなあ。後ろで騒いでいるが、きりがないので部屋には来ないように念押ししていく。


 とりあえず、家族に話が分からないように向こうの言葉で夕べ考えた今後の考えをジェンと話す。

「やっぱり、こっちの世界では学歴がある程度重要視されるから最低限でも高校は出ておいた方がいい。まあ、いろいろとやることも出てくると思うけど、せっかくなので高校生活を満喫するつもりだ。今更という感じではあるんだけどね。
 そのあと大学に行くかどうかは今のところきめてないけど、大学に行く場合は海外で飛び級を狙ってもいいかもしれない。まあ学歴だけをそろえる感じかな?おそらく知識だけならそのくらいは出来ると思ってる。一応ネットでいろいろと調べた感じではこの辺りが候補だと思う。」

「私もそんな感じで考えてるわね。学生生活というのも楽しそうだしね。大学については私も一応調べてみたけど、そこまで差はなさそうね。」

「あと向こうの知識や道具を使って商売とかを始めるのかは分からないけど何かしらの稼ぎ口は作りたいと思ってる。ただ収納したものが取り出せるという時点で正直なところ一生遊んで暮らせるくらいの価値のものがあるんだけどね。」

「貴金属関係を考えるとそうなんだけど、やっぱりそれだけだとね。何かしらの収入源は作っておきたいわね。まあいろいろ技術もあるから今後考えていきましょ。」

「あとはパスポートをとっておかないといけないかな。まだ検証は終わっていないので使えるかわからないけど、もし魔法で移動できるようになったとしても国の移動はそれがないと面倒なことになりそうだ。入国とか出国の手続きってどうやればいいのだろう?」

 話をしていると、お昼の準備ができたというので一緒に食事をとることになった。普段ならとっくに出かけて夕方まで帰ってこないはずの玲奈がなぜ家にいるんだ?

 食事の後はうちの家族と色々と話すことになったのは仕方がないか。14時頃に迎えに来てもらって見送りをしたんだが、帰った後も家族の追求が面倒だった。


~玲奈Side~
 ここ最近、兄の行動がちょっとおかしい。少し前になぜか急に目が良くなると言う不思議なことが起こってから少し変わっていたんだけど、ここ最近はさらにおかしい。
 今までも少しけんかすることも多かったんだけど、ここ最近は私が何か言っても何やら優しい目で見て受け流してくれる。前は何か言うとすぐに言い合いになっていたのに・・・。

 今日は日曜日なんだけど、特に予定は決めてなかったのでどうしようか悩んでいたんだけど、朝食の時に兄が紹介したい人がいると言ってきた。しかもなんと女の人だという。最近態度が変わったのは彼女ができたからなのかな?


 家までやってくるというのでリビングで待つことにした。どんな女性なのかちょっと気になるしね。うちの兄だからそこまでレベルは期待しないけど、まあ優しい人だったらいいかな。
 しばらくして家にやってくるというので玄関から覗いているとなんか大きな車がやってきた。親に送ってもらったのかと思ったんだけど、そんな感じでもない。というか、何あの美人のお姉さんは?しかも金髪って外国の女性??顔の感じからして髪を染めたという感じでもなさそうだよね。

 兄に促されてリビングに入ったんだけど、何を言っていいのかわからない。英語じゃないとだめなのかな?そう思っていると彼女が自己紹介をしてくれたんだけど、妻っ?妻っていった?え?え?どういうこと?そんなに深い関係なの?
 聞いてみると”今のところは彼女”って言い直したんだけど、いずれは結婚する気があるということだよね?もうそんなところまで話が進んでいるの??どのくらい付き合っているのか聞いたら何年って・・・年単位!?
 もっといろいろ聞きたかったのに少し二人で話があるからと部屋に行かれてしまった。二人きりにするのはさすがにということで、定期的に母が確認にはいくようにしたみたい。特にやましいことではなくて何やらいろいろと資料を見ながら真剣に話をしていたようだ。ただ話している内容は分からなかったみたい。


 お昼は一緒に食べたんだけど、箸もちゃんと使えているし、日本語もまったく違和感もないくらいちゃんと喋っている。時々よくわからない言葉で兄と話しているのは何なんだろうな。英語ではないようだけど、いつの間にそんな言葉を覚えたんだろう?
 食事の後、ジェンさんのことをいろいろと聞いたんだけど、どうやっても兄との関係が分からなかった。出会ったのはほんとに最近みたいなのにどう考えてももっと長い間付き合っているとしか思えないのよね。ただ話した限りでは兄のことが大好きみたいだし、とてもやさしいのは分かる。
 見送りをした後で兄にいろいろと聞いても結局は細かいところまでは分からなかった。でもほんとにジェンさんが義理の姉になってくれるのならこんなにうれしいことはないわ。全力で応援しないといけないわね。


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