【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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32. 異世界247日目 目的地と思われる島

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32. 異世界247日目 目的地と思われる島
 最近まともに狩りに行っていなかったので今日は狩りに行くことにした。というのも3ヶ月依頼を達成できていないと冒険者のカードが休止状態になることを思い出したからだ。もちろん特別依頼の受領中であればまだ免除されるようだけど、今回の依頼がちゃんと達成できるかもわからないので討伐記録は必要だろう。
 もちろん上階位だから上階位の魔獣でないと依頼達成とはならない。一応低いレベルでも実績ポイントにはなるんだけどね。

 休止状態になっても過去の実績は消えないんだけど、手続きに数日かかることと、更新費用が取られてしまうという罰則のようなものがある。更新費用は階位が上がるとその金額は大きくなり、並階位だったら1000ドールでいいんだけど、上階位となるとなんと1万ドールと高額だ。
 事前に休止手続きをしていたら、更新手続きだけでいいんだけど、それでも数日はかかってしまうらしい。良階位以上だと年単位になるのでそうそう忘れることはないらしいけどね。

 狩りに行く場所はおおよそで見当をつけていたのでその辺りは問題ない。サクラでもほとんど狩りはしていないし、こっちにきてからすぐに図書館に詰めていたのでまともに狩りをするのはほんとに久しぶりだ。明日のこともあるので今日は少し早めに町に戻ったほうがいいだろう。


 いつものように重量軽減魔法を使ってから移動すること30分で狩り場に到着。身体強化も付いてきたし、重量軽減魔法もかなり効率よくなってきたのでかなり早くなった。通常だったら1時間コースだもんなあ。

 やってきたのは上階位レベルの魔獣が生息する地域で、近くに水場もあるので、鰐や蛇や蛙や亀みたいな魔獣が対象だ。今まで倒したことのない魔獣なので解体には少し時間がかかりそうだ。まあ面倒なのは収納バッグに入れて後でまとめてやってもいいしね。

 大きな湿原のようなところで、ところどころ木々も茂っている。魔獣は水の中に身を潜めていることが多いので見つけるのが大変らしいけど、索敵を使えばあまり気にしなくていい。とはいえ、水に引きずり込まれるとちょっと面倒なので気をつけなければならない。

 しばらく歩いていると、魔獣の気配を察知するけど、水の中なのかちょっとわかりにくい。自分たちの存在に気がついているのか水辺でじっとしているようで、近くに行かないと正確な位置が分からない。
 ゆっくりと近づいていくと、何かが伸びてきて慌てて避けたけど、足を取られてしまった。ジェンがすぐに対応してくれて、足に絡まっていたものを切り落としてくれたので助かったけど、危なかった。
 どうやら伸びていたのは蛙の舌だったみたいで、舌を切られた蛙が怒っているのかこっちに飛びかかってきた。狂蛙という大きさが子犬くらいある蛙のような生き物だが、目玉が飛び出していてちょっと気持ち悪い。

「ジェンありがとう。しかし、油断したらダメだね。」

「そうよ。ゲームじゃないんだから、死んだら終わりだからね。」

 地上に出てきたら、特に問題もなく無事に討伐。素材となる皮を剥ぎ取るけど、肉は食べられないらしい。

 舌が絡まれたときに手と足を少し怪我して毒も受けていたけど、治療と回復魔法ですぐに回復。こういうときに治癒魔法を使えるというのは助かるなあ。
 大きさはあまり大きくはないんだが、毒をもっていることからもわかるように、毒で獲物を倒してから少しずつ食べていくという魔獣だ。人間サイズだとそこまで強烈には効かないけど、麻痺毒なのでやられて生きたまま食べられるとか考えたくない。

 気になったのでとどめを刺す前に鑑定して見たら隠密スキル-2を持っていた。やはり魔獣のレベルが上がってくるとこういうスキルもレベルの高いものを持っているので気をつけないといけない。


 このあとは初階位の大蛙、並階位の大蛇、牙亀、狂蛙、上階位の大鰐、巨蛇を倒していく。どれも手強いというより、足場があまり良くないので戦いにくいという感じだ。さすがにあちこち怪我をしたり、毒や麻痺を受けたりするので治療しながら退治していく。

 巨蛇を相手したときに足を滑らせて体に巻き付かれたときは危なかった。完全に巻き付かれる前に転がってなんとか逃げられたから良かったけど、巻き付かれたら攻撃もできなくなるので危ないんだよなあ。おかげで泥だらけになってしまったよ。これって浄化魔法がなかったらしゃれにならないところだった。

 大鰐はどう考えても形がおかしかった。鰐の頭だけの生物みたいだったんだもんなあ。一応体もあるんだけど、口の中でかなりの部分を消化するようになっているので一度獲物を捕らえるとしばらくは動かなくなるようだ。ただ思ったより顎の力も強いみたいで怖かったけど、動きが遅いのが救いだった。

 今回の討伐であらためて治癒や回復魔法が使えて良かったと思う。もしなかったら薬代が半端ないからね。まあそうだったらそもそも来てないか。毒や麻痺を使ってくる魔獣は治癒士がいないパーティーにはかなり不人気なので自分たちにはいい狩り場となる。ここでは他のパーティーを見かけないからね。あまりに魔獣が増えてくると討伐依頼も出るようなんだけど、それでも受ける人は少ないようだ。


 3時間ほど狩りをしての成果は大蛙15、狂蛙5、大鰐2、大蛇15、巨蛇5、牙亀6と言う結果となった。素材になるのは大蛙の肉、巨蛙の皮、大鰐の肉、大蛇の皮と肉、巨蛇の皮と肉、牙亀の甲羅だ。単価は安いけど、十分持って帰られる量なのですべて持って帰る。まあ解体スキルのレベルアップにもなるしね。

 狩りの時にはかなり泥だらけになってしまうけど浄化魔法があるのでとてもありがたい。これがなかったら防具とかも傷みが早くなりそうだ。今回も浄化魔法をかけると、後には土の塊が残るだけなのでかなり楽だ。

 町に戻ってから素材を売り払うことにしたけど、収納バッグがばれないように取り出すのは面倒だった。まあ一応その辺りは秘密にしてくれるとは思うけど、現時点ではできるだけリスクは避けたい。収入は6300ドールと結構な金額となった。
 このあと役場に行って討伐記録を確認してもらう。前の討伐が2ヶ月前だったのでとりあえずはしばらく大丈夫だな。今回の討伐記録を見て係の人は喜んでいた。やはりあのあたりに狩りに行く冒険者はほとんどいないらしいので、時間があるようだったらできるだけ行ってほしいと言われる。


 このあと屋台に出ているものを適当につまみながら町を散策。市場の方にも足を伸ばしてみると、港町だけあって多くの魚が並んでいた。カニやエビもあるんだけど、ここではそんなに高くはないみたいだ。どうもゲテモノ扱いらしい。おいしいと思うのにねえ。

 ということで夕食にはカニを食べることにした。ズワイガニのような蟹だったのでとりあえずボイルしたものと焼いたものを準備してもらう。早速食べてみると特に地球で食べた蟹と違和感もなくおいしかった。おなかいっぱいカニを食べて値段はなんと二人で150ドールだ。日本が高いだけだったのかな?

 今日は気分的にシャワーを浴びたくなったのでシャワーを浴びてさっぱり。浄化魔法で落ちているとはいえ、泥をかぶっているという事実があるとなかなかなあ・・・。明日の予定を確認してから眠りにつく。



 翌日、朝食を早々に済ませてから約束の1時前に港の事務所に到着すると、係の人がやってきて今日案内をしてくれるという人を紹介してくれた。

「ガバナンだ。今日はよろしくな。」

「初めまして、パーティーアースのジュンイチ、彼女はジェニファーと言います。今日はよろしくお願いします。」

「丁寧な言葉はいいが、ちょっと調子が狂うな。まあいいか。
 それでどの辺りに行けばいいんだ?指定してもらえば連れて行くぞ。」

「えっと、この辺りの海域まで行ってもらえますか?目的の場所に着いたらまた細かくお願いすることになると思います。」

 持っていた地図を示して予想される領海に行ってもらうことにした。ざっくりとした地図なので正確には分からないけど、候補のエリアだけでも10以上の島がありそうなので結構時間がかかるかもしれない。

「意外としっかりと指定してくるな。だいたいの依頼者はあっちだこっちだとかなり適当なのが多いんだがな。なにか分かったのか?」

「もちろん確証はありませんけどね。とりあえず何かしら目安をつけないと範囲が広すぎるのでどうしようもありませんからね。」

「それはそうだ。まあ簡単に見つかるものならもう見つかっているだろうしな。」

 ほとんどの船がすでに漁に出ているのか停泊している船は少ない。あちこちに木の箱や網などが散乱しており、港の雰囲気は地球とあまり変わらない感じだ。事務所を出てから少し歩いたところでガバナンさんが指さしてきた。

「あれが俺の船だ。」

 船はいかにも漁船という感じのもので、長さ15キヤルドくらいか?テレビで見た大間のマグロ漁船みたいな感じだ。

「ちょっと小さい方だが、パワーは他にも引けを取らないはずだ。この辺りは水深が浅いので大型の魔獣はほぼ出ないと思っていいが、もし出た場合は全速力で逃げるからな。今までもちゃんと逃げ切れているので安心してくれ。
 たださすがにこの船で外洋まではいけないからな。今回の海域は問題ないが、それより先に行きたくてもこちらで制限はさせてもらう。準備が出来ているなら乗ってくれ。」

「「わかりました。」」

 船に乗り込むとガバナンさんが船を動かし始めた。港を出ると少し波が高くなってきたけど、それほどひどくはないので大丈夫そうだ。
 この辺りには島が数百もあるみたいなので正直普通に見ても島の位置が分からない。とりあえず書き取りした地図を頼りに行ってもらうしかないだろう。

 ガイド本の地図と市販の地図を確認しながら位置を絞っていく。計算上だと緯度と経度で1違うと40mくらいずれるくらいなんだけど、拠点となっていたことを考えると島はそこそこ大きいはずなので一つに絞れると思う。まあいくつかあったとしても2、3個くらいだろう。

 地図に現在地が表示されればいいんだけど、そこまでの機能はないので更新された地図と景色を見ながら判断していくしかない。まあ初めての場合は地図が更新されるのでわかるんだけどね。レベルが上がったら表示してくれるのかな?


 しばらくして目的のエリアに到着したので、指示を出しながら船を走らせてもらう。地図で確認して目的の場所と思われる島の目星が付いたんだけど・・・なんかすごい断崖絶壁の島だった。

「この島だと思うけど船が着けられそうにないわねえ。」

「島の大きさを考えると目的の場所はこの島でよさそうだけど・・・。もしずれていたとしても隣の島かな?他の島はちょっと離れすぎているからこの二つのどちらかだよね。」

「ええ、可能性的にはこっちの島なんだけど、船をあっちの島に泊めて移動してきたと言うこともあるかしら?それでもこの断崖だと荷物を運ぶのも大変よね?」

「おい!飯の準備ができたぞ。とりあえず飯を食ってから考えろ。」

 ジェンと二人でどう判断するか悩んでいると、ガバナンさんから声がかかる。昼食に携帯食は準備してきていたんだけど、作ってくれたようなのでいただくことにした。

「俺たちが漁の時にさっと食べるものだから口に合うか分からんが、試してみてくれ。」

 用意してくれたのはご飯に魚の切り身をだしに漬けたものをのせてお湯をかけて食べるといういかにも漁師飯という感じのものだった。用意してくれた食事をしていると、先ほど釣り上げたという魚を裁きだした。

「これは俺用のやつでな。ちょっと特殊な食べ方をするから見たくないなら向こうに行って食べるから言ってくれ。」

「特殊な食べ方?」

「ああ、魚を生で食べるんでな。結構嫌がる客も多いんだ。」

「生!?もしかして刺身?!そ、それ自分にもいただけませんか!?」

「・・・おまえ、魚を生で食べられるのか?」

「大丈夫です。なんだったら浄化魔法もかけられますよ。」

 そういうとガバナンさんは喜んでいた。どうやらガバナンさん達漁師は生魚を食べる人が多いが、漁師以外ではなかなか理解してくれる人がいないようだ。そしてなんと醤油だけでなく、わさびらしきものを持っていた。

「もしかしてそれはわさび!?」

「わさび?その名前は知らんが、”ワルナ”というちょっと刺激のある調味料の一種だ。この町では売っているんだが、まだそこまで知られてないみたいだな。」

 魚を綺麗に捌いてお皿に盛り付けてくれた。

「それじゃあ、ちょっともらいますね。」

 ワルナを少し刺身にのせて醤油をつけて食べてみる。うん、間違いなくわさびだ。こっちの町では普通に売っているのか。

「なんだ、前にも食べたことがあるのか?こだわって食べるやつと同じ食べ方をしているな。初めてでそんな食べ方をするやつはまずいないぞ。おれは醤油に溶いて食べる派だけどな。」

 鯛のような魚とハマチのような魚をさばいてもらって刺身を堪能する。やっぱり取れたてだと鮮度が違うねえ。水魔法で血抜きをしたので血抜きも完璧だ。ガバナンさんもかなり喜んでいた。ジェンも普通に食べている。
 地球にいた時は漁港付近の店の刺身とか買ってきて食べていたからなあ。港に戻ったらワルナは絶対買っておかないといけないな。

 食事の後、もしずれていたことを考えて他のエリアにも船を走らせてもらってから港に戻るとすでに5時前になっていた。目的と思われる島までは大体1時間くらいかな?



 帰りの船で島の位置をもう一度確認してみたんだが、やっぱりあの断崖の島が一番怪しいという結論になった。

「とりあえず島に渡って調査するしかないかしらね?明日は島に渡る準備をするとして、明後日に島に渡る感じかしら?」

「そんな感じかな?ガバナンさん、明後日もう一度島に運んでもらうことは出来ますか?どうなるか分かりませんが、今日行った島で探索してみようと思います。」

「明後日だったら問題ないぞ。時間は今日と同じくらいでいいか?」

「お願いします。」

「費用については港に戻ってから事務所とやってくれ。とりあえずその日の予定は空けとくぞ。」

 港に戻ってから事務所で費用を確認すると、往復するだけなら2000ドールと言われるが、相場も分からないので納得するしかない。まあ船の燃料費とかを考えても結構かかってしまうだろうしね。この辺りは値切っても仕方が無いだろう。
 まずは島に渡って15日後に迎えに来てもらうことにして、もしそれで待ち合わせ場所に来ていなかったらさらに5日おきにきてもらう形で対応してもらうことにした。このため前払いで10000ドール渡して、15日で戻ってきた場合は6000ドール返金と言うことになった。もし30日経過しても戻ってこない場合、ついでの時でもいいので確認してほしいとお願いしておく。

 ちなみに島の魔獣はどのくらいの強さなのか聞いてみると、魔素の強弱と島の環境によって変わるらしい。魔獣も生き物なので、生活環境が整っていなければ死んでしまう。このため特に水場がない島だと魔獣は少ないようだ。
 環境が整った場所になると魔獣の中で淘汰が行われるため、徐々に魔獣が強くなっていくらしい。ただ飛行タイプの魔獣にやられることもあるし、他の島に移動することもあるので、絶対ではないようだ。

 冒険者の中には船を所有して島や海の魔獣をメインに狩っている人たちもいるし、また年に1回程度であるが、強力な魔獣が育っていないかの調査が行われ、強力な魔獣がいる場合は冒険者に討伐依頼が出るようだ。ただ完璧な調査でもないので強い魔獣がいることもあるらしいので気をつけるように言われる。
 あと、強い魔獣がいても、自然淘汰される島には死んでしまった魔獣の魔獣石が結構落ちているらしいので、定期的に魔獣石の回収をしてまわる人たちもいるらしい。

 夕食は町に戻って食べようと思っていたんだけど、昼に刺身を食べたことが伝わったのか、「最高の刺身を食べさせてやるぜ!!」と漁師達が集まってきた。
 マグロみたいなものやブリみたいなものの刺身やいろいろな魚料理が堪能できてかなり満足できるものだ。せっかくなので鰹っぽいもののたたきや鯛の湯引きなども作ってみるとかなり好評だった。ポン酢みたいなものもあったのでちょうどよかったよ。さすがにあまり遅くなるとまずいので7時には撤収したけどね。ごちそうさまでした。


~ガバナンSide~
 今日は最近時々ある冒険者からの依頼で島巡りをすることになった。どうも海賊の宝を探す依頼が出ているらしく、その調査を行うらしい。一回目の費用は依頼者が出してくれるというので依頼を受けた奴らは一度は依頼をしてくる。

 追加で依頼を行う場合、1日の費用は5000ドールほどかかるんだが、冒険者の奴らは高いと値切ってくるので面倒だ。こっちとしては船の燃料費の他、漁をしない分の保証を考えてのギリギリの値段なんだが、そこがわかっていない。
 このため今では漁業組合に値段の交渉を丸投げしている。俺たちが値段交渉をすると足下を見られるのでかなり助かっている。それでも直接値切ってくる奴らもいるが、そんなのは無視だ。


 今回の依頼者はえらく若い男女だった。ジュンイチとジェニファーと言ってえらく丁寧な言葉でちょっと調子が狂ってしまう。年上に敬意を払うのは当たり前だと言ってるんだが、大体の奴らはこっちが雇っているんだと上から目線だからな。

 途中でお昼となったので食べられるならと準備をしてやると喜んでいた。俺の飯用に途中で釣った魚を捌いているとえらく興味を持ってきた。生魚というと「さしみ!!」といってかなり食いついてくる。しかもワルナのことまで知っていた。名前は違っていたがな。
 食べさせてくれと言うのでやるとえらく通な食べ方をして驚いた。ワルナを引き立てるにはこの食べ方が一番いいという奴らがやっている食べ方だ。

 このあとなぜみんな生魚を食べないんだと言うことで話が盛り上がってしまった。さらに刺身の食べ方で生だけでなく色々と説明してきた。火で表面だけあぶって食べる方法とか、皮の方だけ湯通しして食べる方法とか俺たちも知らない方法を色々と知っているのには驚いた。

 港に戻ってから事務へ打ち合わせに行ったので、その間に漁師仲間のところに行った。この依頼があったときにだいたい依頼者の悪口で盛り上がるんだが、今回はかなりのあたりだったと話をすると興味を引いたみたいだった。
 せっかくなので二人を夕食に招待すると喜んでやってきた。さらに昼に話した調理方法について実演をやってもらったところ、かなり美味しくて驚いた。食べ方にこだわっている奴らはちょっと悔しがっていたのが面白かったがな。
 かなり気の荒い連中なので大丈夫か気になっていたんだが、二人ともかなり打ち解けて楽しそうにしていたのでよかった。さすがに宿まで時間がかかるので7時頃には戻っていったが、他の奴らも「若いけどえらく気のいい二人だったな。」と喜んでいた。

~~~~~


 やはり船で一日移動していると思ったよりも疲れがたまってしまうようで、かなりぐっすり眠っていたようだ。まあ昨日の宴会でお酒も飲まされたのも大きいかもしれないけどね。ちょっと遅めに起きてから島に渡る準備に取りかかる。

 今回は期間も長くなるので、拠点は土魔法で作ってみようと思っている。そこでテントや着替えなど必要分以外はまとめて有料の荷物預かりにお願いしておくことにした。収納バッグに十分入るんだが、どれだけ荷物を持って帰るか分からないし、素材とかもあるので出来るだけ空けていった方がいいだろうからね。
 荷物が多い場合は部屋を借りている方がいいけど、リュックに入るくらいなら荷物預かりの方が断然お得だ。一日100ドールだしね。
 予定の日数を過ぎると処分される(売り払われるらしい)ので、とりあえず60日分を先払いしておく。これも日数が短ければ返却してくれるので問題はない。

 魔法があるのでなくてもいいんだけど、いざというときのためにライトやロープなど必要なものをそろえていく。寝るのは寝袋なんだけど、下に敷くマットも購入してみた。軽い素材なので容積は大きいけど、おそらく収納バッグの占有率は低いはずだ。あとは魔獣よけの魔道具なども買っておかないといけない。



 いろいろ揃っているカサス商会で買い物をしていたらステファーさんに見つかってしまい、そのまま店長室に連れて行かれてしまう。

「何かいいものでもできてないかい?」

 なんか期待に満ちた目で見られてしまうが、まだ試作段階のものしかない。

「まだ試作品なのですが、一応こういうものは作ってみました。」

 まだ未完成と断りを入れてから今製作している魔符核について説明する。

「今の段階で売り物になりそうなものは重量軽減の魔符核くらいです。まだ魔素供給の接続まではしていませんが、従来よりも消費魔素も少なくて軽減率も上がると思います。」

 ステファーさんも付与魔法についてはある程度知識があるようで、刻印を見ている。

「これが発動に使っている文字なんだね。見たことがない文字だけど、これで効果が出るのかね?」

「はい、この内容で重量を軽くすることができます。ただ補助の術式をどうすればいいのか悩んでいるところです。とりあえず補助の術式を入れていないものを渡しますので検討してくれませんか?」

「何枚わたしてくれるんだい?」

「とりあえず10枚しかありません。100ヤルドのサイズの中心に自分のできる範囲で刻印していますので、本体を小さくするなり、補助の術式を刻むなりしてみてください。ちなみにそのままでもある程度の軽減機能はあります。」

「これだけでも効果が出るのかい!?それだけでも十分な感じでもあるね。」

 かなり驚いているが、今のもののレベルがわからないからなあ。

「効果をどこまで求めるかで変わってくると思うんですよ。魔素を使ってもいいから軽くしたいという人と魔素をできるだけ使わずにある程度効果を出したいということになると、どう補助の刻印を入れればいいのかわからなくて・・・。
 それにいくら軽く出来たとしても容量が大きくなりすぎても使いにくいだけと思うので、どのくらいの重量がいいのかも予想ができません。」

「わかったよ。これはこちらで検討させてもらうとして、お金は後払いでいいのかい?」

「元手も人件費以外はそれほどかかっていませんので大丈夫です。ただ使えるものとなったとしてもそんなにいっぱいは納められないかもしれませんのでその点はご考慮願います。」

 話を終わって支払いをしようとしたんだけど、購入しようとしたものは「サービスだよ。」と言ってタダにしてもらえたのはありがたかった。

 これが売れるようなら時間があるときに作っておけば固定収入を得られるようになるんだけど、どうなるかなあ・・・。「重力CUT」とか日本語と英語のミックスだからおそらくこっちの世界の人には複製できないだろうからね。
 これを作るには言語を知るだけでなく、重力という概念が必要なのでこの世界の人には簡単ではないだろうなあ。発動の術式だけを自分がやる感じでいけばなんとかなるかな?


 続いていった店はトイレや浴槽などを扱っている店だ。今回拠点を作るに当たって問題となるのがトイレだった。
 今までは日帰りが基本だったので狩りの間は薬を使うことで問題なかったし、野営の場合は簡易トイレを設置して対応していた。同じ場所に拠点を決めた場合、トイレを移動させるのが難しいという問題が出てくる。そこで話になったのはちゃんとしたトイレを購入すると言うことだった。

 一般的に普及しているトイレは普通でいう水洗トイレなんだけど、魔道具を使ったトイレもちゃんと存在する。これだと便器部分で分解処理をしてくれるため、臭いの問題も排泄物の問題もほとんど解決するらしい。

 店に入って説明を聞くと、トイレ本体に魔道具が組み込まれており、排泄後に浄化魔法と治癒魔法と水魔法と土魔法で便器の消毒、排泄物の分解を行うようになっているらしい。水分はすべて蒸発してしまうようだ。このため野外でも少し穴を掘っておけばそれなりの期間使うことができるらしい。
 基本的に自分たちがやっている浄化魔法の様な感じだだけど、こっちの人は浄化魔法での洗い流しと、治癒魔法での殺菌、土魔法と水魔法での分解、乾燥のイメージで魔道具を作っているみたいだ。正直自分たちだと余計な考えが邪魔して作れない魔道具なのかもしれないなあ。
 ちなみに家に付けている水洗トイレも流した先に同じような機能がついた貯蔵槽があってそこでかなりの部分が分解処理されているみたい。乾燥はしないけど、下水といっても流れてるのはかなり綺麗になった水と処理の終わった残渣物が流れているだけのようだ。

 今回のように単独で処理する物の価格は付与している機能で変わってくるけど、安いものでも10万ドールと結構な金額になっている。でもトイレは重要なものなので、自分もだけど、特にジェンは絶対にほしいと言っている。

 携帯用のものもあるので、大きさ、機能などを考えて、結局18万ドールのものを購入することにした。使用する魔素は1回辺り5ドールくらいとなっているが、その辺りはしょうがないかな。一応1000ドールの魔獣石までがセットできるようになっているので9999ドールの魔獣石をセットすればかなりの期間持つだろう。

 便器に関しては宿に運んでもらうように手配しておいた。さすがに収納バッグで持って帰るのはちょっとまずそうだしね。買うことが決まってジェンはかなり嬉しそうにしていた。まあ女性は特に気になるだろうね。

 続いて食料なんだけど、こういうときは収納バッグの存在がありがたい。食べ物はできあがったものを20日分持って行くことにしたけど、現地で調達できるかもしれないので、調味料関係は少し多めにもっていくことにする。もちろんワルナも忘れないで購入しておく。
 できたての熱いまま保存できれば一番いいんだけど、そればかりはしょうがないな。電子レンジみたいなものが作れればまだいいんだけどねえ。

 島には一定おきに迎えにきてもらうので、もし調査に時間がかかりそうならいったん戻ってしまえばいいので飢え死にすることはいだろう。まあ水は魔法で入手できるのでそれだけでもかなり楽だ。

 一通りの準備を整えてから収納バッグに荷物を入れていくと、大体のものは十分収納できた。残りの容量を確認してみたところ、残りの容量は40%くらいとなっていた。まあこれだけ空いていれば十分だろう。

 このあと夕食を食べて今日は早めに寝ることにした。明日からはどこまでちゃんと寝られるかわからないからね。


~ステファーSide~
 店でジュンイチとジェニファーの二人を見つけたので部屋に来てもらって話を聞いてみた。ちゃんと距離感を持って接するようにと言われてはいるが、まあこのくらいなら大丈夫だろう。

 なにかいいものでもないかと話してみると、魔符核を出してきた。発動の術式のみ刻まれたもので、まだ刻印のレベルは低いようだが、問題は書かれている文字だ。これまでいろいろな魔符核を見てきたが、見たことのない文字だった。
 驚いたのはこれだけでも重量の軽減効果があるということだ。今の重量軽減の魔符核は効果増強の補助の術式を組み込んでやっと軽減の効果として認められるレベルなのにこれだけで軽減効果があるというのは驚きだ。

 二人を見送った後、早速試してみて驚いた。当たり前だ。発動の術式だけで20%ちかくの重量削減の機能があるなんて普通は考えられない。いま流通している魔道具は効果増強の術式を入れて20%の軽減しかできない。それも1日で魔素を100以上使うのが前提だ。

 付与の術式なしで小さくすれば同レベルの効果で魔獣石の消費は10以下になるし、このサイズに補助の術式をいれたら重量軽減の機能が大幅に上げられるだろう。おそらくだが50%くらいは削減できるかもしれない。

 付与魔法は習い始めたばかりと聞いていたし、できばえを見てもまだ経験があまりないことがわかる。もっと経験を積んでいけばさらに効果が期待できると言うことだ。

 コーラン坊が認めるわけだ。

 この文字と効果についてはもっと知りたいところだが、そこまで欲張るのは危険だろうね。あとこのことはできるだけ秘密にしておかないと、へたに情報が漏れると強硬手段に出てくる輩もいそうだ。本人達もまだどのくらいのものなのか分かっていないようだから、次に来たときには釘を刺しておいたほうが良さそうだね。

 とりあえず試作品は研究所に送ることにしよう。コーラン坊にも連絡しておかないとね。


~魔獣紹介~
大蛙:
初階位上位の魔獣。水場のあるエリアに生息している蛙の形をした魔物。子犬ほどの大きさで通常は水の中で獲物が通るのを待っている。
舌の長さは1キヤルドくらいで獲物を水の中に引き込もうとするが、小さな動物くらいしか引きずり込むことはできない。それでも人間も引きずり込もうとしてくるため、舌を持って引っ張り出せば簡単に退治することができる。
素材としての買い取り対象は肉のみであるが、1匹あたりから得られる肉の量が少ないため、野営の時に食べてしまうことも多く、野営の時の食料代わりに狩る冒険者も多い。
通常の蛙とは異なり、最初から蛙の姿をしており、オタマジャクシから生長するわけではない。

狂蛙:
並階位上位の魔獣。水場のあるエリアに生息している蛙の形をした魔物。子犬ほどの大きさで目玉が飛び出して水面に目だけを出して獲物を待つ。さらに隠密スキルを持っているのか索敵に引っかかりにくいため水の中から突然攻撃を受けることもあるので注意が必要。
舌は3キヤルドくらいまで届き、体は小さいが足場を固めているため思った以上の力で引きずり込まれる。また舌から麻痺毒を注入することができるため、体が若干しびれてしまう。
舌に巻き付かれたときでも油断しなければ逆に水の中から引っ張り出すことができる。舌を押さえてしまえば逃げることもできないため最初の油断さえなければ討伐は容易と考えられている。
素材としての買い取り対象は背中の皮の部分となるため、討伐の際はおなかの方を狙うとよい。肉は毒を持っているため食べることはできない。

大鰐:
上階位下位の魔物。水場に近い草原や岩場に生息する体の大半が鰐のような顔の魔獣。大きさは犬くらいであるが、口がかなり大きいため、油断すると手を食いちぎられることもある。
体の大半が口となっていることからわかるように動きが遅く、攻撃力は脅威であるが、討伐はそれほど難しくない。ただ飛びかかってきたときにかまれないように籠手やブーツなどで防御しておかないと危険。
素材としての買い取り対象は下顎の部分の肉となるが、食べるところはかなり少ない。ただし味はよいため量の割には単価が高い。

巨蛇:
上階位中位の魔獣。水場に近い草原や岩場に生息する蛇の形をした魔獣。大人の身長くらいあり、大きなものはその2倍の大きさになる。体周りも大きなものは500ヤルドに達する。
 鋭い牙を持ち、体を巻き付けて獲物を絞め殺してから丸呑みする。体も大きく目立つため、突然襲われることはないが、動きも素早く、変則的なため攻撃する際には注意が必要。完全に体に巻き付かれてしまうと、一人では抜け出せないため、巻き付かれそうになった場合は地面を転げ回り、逃げ出すようにしよう。
素材としての買い取り対象は皮と肉となるため、素材確保の場合は頭を潰すのが一番よい。ただし皮は上手に処理を行わないと買い取り対象外となるため、自信がないのであれば専門家に任せる方がいいだろう。

牙亀
並階位中位の魔獣。水場に近い草原や岩場に生息する亀の形をした魔獣。大きさは犬くらいで鋭い牙でかみつき攻撃をしてくる。弱い毒を持っているので注意が必要。動きは鈍いが首から上の動きは素早いのでできるだけ首のない方からの攻撃が有効。
反撃を受けると手足首を甲羅の中に入れることもあるが、ひっくり返すと、下の方には甲羅がないため、楽にとどめを刺すことができる。
素材としての買い取り対象は甲羅部分で、防具の素材に使われることがある。肉は毒が含まれているため食用にはできない。


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手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

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