352 / 430
再編集版
39. 異世界330日目 異世界の年末年始
しおりを挟む
39. 異世界330日目 異世界の年末年始
年末まで狩りと鍛錬のサイクルを繰り返して結構いい具合に武術のレベルも上がってきた。上階位上位の魔獣も順調に狩れるようになったし、魔道具の納品も順調に行っている。
魔道具は今日までで300個納めたので105万ドールの収入だ。一気に所持金が2倍となったけど、これでも良レベルの防具を揃えるには全然足りないレベルなんだよね。付与魔法が複数ついたものとか洒落にならないくらい高いし。自分でできるようになればいいんだけどねえ。
今年最後の鍛錬も終わり、夕食を終えて宿に戻ってきた。明日12/30で12月が終わり、明後日から新年となる。年末年始の休みというのは一応あるんだけど、12/30、1/1、1/2の3日間だけのようだ。12/31がある場合は4日間の休みとなる。
1年で連休というのが確定しているのはこの年末年始だけらしく、特に年明けの2日間は多くの店も休むらしい。
もともとみんなが同じ時期に長期で休むという風習はあまりなく、長期の休暇は個別に取るというスタンスが普通のようだ。仕事についても年休という休みをとるシステムはあるみたいで、務めているところによるけど、年間に10~30日間とることができるみたい。
年末は12/30か12/31に教会に行って1年間無事に過ごせたことに感謝する人が多いようだ。また屋台などの店も出るのでかなり賑やかになるらしい。最近は教会にも行っていないので久しぶりに顔を出してみるかな?
そして新年は自分の家や知り合いのところでゆっくりするらしい。そもそも店が開いていないので出歩いても何もできない。宿は営業せざるを得ないが、開いている食堂もかなり限定されるようだ。
「明日から年末年始の休暇みたいだけど、どうする?」
「サクラやアーマトやオカニウムとかだったら親しい人もいたんだけど、こっちでは特に親しいという人がいるわけでもないしね。店も開いていないだろうし、どうしようか?」
「いつものように狩りに行くとか魔法の訓練とか勉強かなあ?」
「え~~~、それじゃいつもと一緒じゃない。なにか違うことがした~~~い!!」
「そんなこと言っても、どこに行っても店は開いていないみたいだし、簡単に行ける場所で楽しめるようなところはないよ。野外は魔獣がいるから地球のようにスキーとか山登りとかのレジャーはないし、遊園地のようなものも基本的に子供向けくらいしかないからね。そもそも年末年始は開いていないからなあ。」
「う~~~~っ!」
なんか最近は前みたいな遠慮がなくなってきている。まあそれだけ打ち解けてきたせいなんだろうけど、わがままが多くなってきたような気もする。
「・・・それじゃあ、今実験していることを試してみるからそれで納得して。」
まだ実験段階でかなり魔獣石を使うことになるけど、まあ正月くらいはいいか。
「なになに?どんなこと?」
「今それを言ったら楽しみが無くなるから明後日まで秘密!」
「う~~~~~~っ!」
「うなられても、教えてあげないよ。」
翌朝、朝食をとった後で町に出てみると、どの店もかなり賑わっていた。大売り出しとして一部商品は値引きされているみたい。特に買いたいものはないんだけど、せっかくなのでいろいろな店をのぞいていく。
高いものではないけどそれなりにお金がなくなっていくのは仕方がないところか。まあ服なんてそんなに買ってもいないしね。収納バッグがないと買うのは躊躇するけど、最近はあまり気にしなくなってる。
この後教会に行って祈りを捧げてみる。
「アミナ様、お世話になっています。もとの世界に戻れるのはいつになるのか分かったでしょうか?」
祈りを捧げてみるが、予想通り返事はない。まあそうそう回線はつながらないと言っていたしね。
「ジェン。なにか聞こえてきた?」
「ううん。特に何もなかったわ。まあ何か進展があったらきっと連絡をくれるはずだから待つしか無いわよね。」
「まあそうなんだけどね。」
今日は教会に行く人も多いし、いろいろと活動しているから忙しいのかもね。まあわざわざ神様が願い事などをすべて聞いているとは思えないけど。
お昼は屋台でいろいろと買い食いしながらぶらぶらとしていく。他にも大道芸のようなものを見たり、買い物をしたりと楽しんだ。
夕食のあと、宿に戻ってから久しぶりにお互いのスキルについて再確認を行った。
「武術系は結構頑張ったんだけど、やっぱり3からはなかなか上がらないね。実感としては間違いなく上達はしているんだけど、レベルが上がらないというのは3と4の差が大きいのかな?これは魔法にもいえることだからね。」
「レベル4は少なくとも良階位レベルだと思うので簡単じゃないんでしょうね。とりあえず槌や杖については2まで上がっているのでいい方なのかな?2ということはそこそこ使えるレベルになったということだし。とりあえず今後も地道に訓練していかないといけないわね。」
「威圧、突撃、回避については順調に上がっているんだよね。特に意識はしていないんだけど、突撃は攻撃の時に、回避はよけるときに補助がかかるという感じかな。これは戦闘をしていると地道に経験が貯まっているのかもしれない。」
「そうなのかも。」
「威圧は人に対しても有効みたいなんだけど、さすがになかなか使えないからなあ。」
「魔獣に対しては上階位の下位までには効果がでてるくらいで、それ以上だと効果が出ない感じかな。イチと私は同じくらいのレベルのせいか効果を確認出来ないのよね。たしか威圧を持っている相手には効きにくいって話だったし、効かなくてもレベルが上がるかは分からないのよね。」
「威圧で動かなくなるとかだったらいいけど、中途半端に効くと逃げられるのが問題だなあ。折角倒そうと思っても逃げられたら意味が無い。」
「威圧はかけられる側になることを考えるとある程度は上げておきたいのよね。高位の魔獣はかなりの確率で持っているらしいし、それで動けなくなったらしゃれにならないわ。」
「魔法に関しては雷、氷、光、闇の4つについてはレベル2まで上がったんだけど、他のは3のままで上がらないなあ。やっぱり4になるのはかなりの熟練者という事なんだろうな。」
「魔法も地道にがんばっていくしかないわよね。なかなかイメージ出来ない魔法もあるからその辺りも問題なのよね。」
4大魔法については威力も上がってきていて、攻撃範囲も上がってきている感じ。あとは魔素の取り扱いレベルを上げていくしかないだろう。
氷魔法は大分慣れてきて大きさ5cmくらいまで出せるようになった。氷矢だとそれなりの威力になる。冷気での攻撃では対象を凍らせるまでは無理だが、しもやけになるくらいにはなった。正直ものを冷やすのに使っている感じ。夏にアイスとか作るのには良さそうだ。
雷魔法は接触した状態だとスタンガンのように相手をしびれさせることができるので有効なんだが、離れたところになると途端に威力が落ちてしまう。魔力を貯めるとかなりの威力だ。ある程度離れたところからの威力が出せるとさらにいいんだけどね。
光魔法はライト代わりとしてはかなり有効で、浮かべて照明代わりにできる。浄化魔法にも一部応用しているようで浄化魔法の性能が上がったように思える。殺菌とかの効果があるのだろう。
また、フラッシュのような目潰しという使い方はできるようになっている。あと光を収束させて攻撃しようとしているけど、もう少し収束させていかなければ攻撃力がない。どうもイメージがうまくいかない。
闇魔法は暗闇を作って視界を奪うような感じなんだけど、まだ暗いなと言うレベルでしかない。それと夜目が効くようになることに気がついた。闇魔法なのかどうかはわからないけど、特に目に集中するとかなり暗いところでも見ることができる。これは場所によってかなり有効だと思う。
攻撃については本を読んでもよくイメージできなくて困っている。影の攻撃とか言われてもイメージできないよ。とりあえずブラックホールみたいな感じで小さな玉を作ると当たったところが消失する感じにはなった。
「治癒と回復はどこまで上がった?」
「こっちもやっぱり3から上がらないわね。」
「自分はやっと3にあがったので治癒士のクラスをもらうことができたよ。やっぱり3から4に壁があるなあ。」
レベルを上げるにはできるだけ治療を経験して行くしかないよなあ・・・。定期的に孤児院とかには行っているんだけど、そんなに大けがした人とかがそうそういるわけではないからね。
「肉体強化系については変化なかったなあ。毒耐性と麻痺耐性が2に上がっていたのは結構受けていたせいだろうね。」
「まあ少しわざと受けている感じにしていたのもあるわね。無毒化とかは出来ないけど、耐性レベルがあるだけでも大分違ってくるわね。」
「学術については神学が4に上がったんだけど、医学はなかなか上がらないんだよね。やっぱりこの辺りはなかなか難しいね。」
「私もこれは上がってないわね。ただ日本語のレベルが4に上がったせいなのか分からないけど、言語のレベルが5に上がってるわ。4以上の言語の個数でレベルが決まるとかなのかしら。」
「自分も勉強しているけどまだまだだなあ・・・。」
その他こっちの言葉や古代文字の勉強も始めている。ライハンドリア公用語はあるんだけど、みんなが使える言葉ではないし、また一般的な単語しかないので語彙が少ないのが問題だからね。一緒に始めたんだけど、やっぱりジェンの上達が早いのはもともとの能力差なのか?
あとジェンの鑑定レベルが4に上がって遠距離でも鑑定できるようになっていたんだけど、あとでよく確認してみると、スキルレベルは見ることができなかったようだ。レベル-2が触れなくて見えるというところか?レベルが5になったら見えるようになるのかねえ?
索敵レベルはジェンも3にあがり、隠密もレベル2になった。これで隠密を持った魔獣を発見しやすくなるし、逆に発見されにくくなるはずだ。
技術系は学識や技能もそれぞれ上がっている。ジェンの商人スキルは3まで上がっていた。元々資質があったせいだろう。
知識だけはだいぶ上がってきているのであとは実際の経験がいるのだろう。まあこの辺りはボチボチやっていくしかない。
翌日はせっかくなので早めに起きてから新年の朝日を見ることにした。ここの部屋からちょうど見えるからよかった。アメリカにはそのような風習はないみたいだけど、せっかくなので付き合ってくれるようだ。天気が良くて良かった。
もちろんこっちでも新年の朝日を拝むというような風習はないみたい。夕べ明日の日の出の時間を聞いたら「0時過ぎに決まってる。」と返された。正確な時間が聞きたかったんだけどね。
日の出前だけど、0時になったところで挨拶をする。
「「新年おめでとう!」」
そう言ったところで、おもむろにジェンの顔が近づいてきてほっぺにキスされる。
「え?え?」
「今年もよろしくね!」
軽くだけど、いまキスされたよね? ほっぺにだけど・・・。
「新年の挨拶よ。いやだった?」
「いや!そんなことはないよ!!」
なんて返事をしていいのか分からない・・・。そういえばアメリカとかで新年を迎えたときに近くの人とキスするとか言うことがあったような気がする。
だけど・・・ええ~~~っ!!
ジェンの唇に目線が行く。ジェンは普通にしているけど・・・ええっ?そんな軽いのりでいいの?
自分のほっぺに触ると、顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。まだ暗いからばれないかな。これはただの挨拶だ。アメリカでは普通の挨拶だ。気にしちゃだめだ。
ジェンが何か言っているけど全く耳に入ってこない。
しばらくしてやっと落ち着いた頃に地平線から太陽が昇ってきたのでそっちに目線を移す。異世界での初日の出かあ・・・。まさかこんなことになるとはねえ。お互いに改めて新年の挨拶をしてから朝食へ向かう。
こっちは新年に何か特別なものを食べるのかと調べたところ、地域によって差はあるけど魚や動物や魔獣などが丸ごと調理されたものをみんなで食べるということみたい。この町では港町らしく魚が多いようだ。
朝食に行くと、大きな魚が丸ごと焼かれたものがテーブルに置かれていた。そこから食べられる分をよそってもらって食べるらしい。魚はブリかな?
食事を終えてから準備をして出かけることにした。
「どこに行くの?」
「先に言ったらおもしろくないから、とりあえず付いてきてよ。」
ジェンをつれて港から少し離れた海岸へとやって来た。
「魔法で体を浮かべてみて。」
ジェンの体が浮いたところで自分も土魔法と風魔法で体を浮かせる。それから造っていた魔道具に魔獣石をセットして稼働すると、魔道具を中心に空気の壁のようなものができた。
「よし!それじゃあ移動するからついてきてよ。」
そう言ってジェンの手を取って海の上へと誘導する。
「水の中に入るから驚かないでよ。魔法は解除しないでね?」
「えっ?えっ?」
ある程度海の上を進んでいき、目標辺りで下に移動する。周りの空気の層に囲われたまま海の中へと入っていく。
「大丈夫だから落ち着いて。」
ゆっくりと海の中に沈んでいくと、波や空気との境が落ち着いて海の中がよく見えてきた。
「空中の移動を考えたときにやっぱり風圧とかが問題になりそうだから空気の層を包むようなことが出来る魔道具を造っていたんだ。途中でこれだったら水の中に潜れるんじゃないかと思って試したらうまくいったんだよ。
ただあまり深く潜ると水圧に耐えられないかもしれないので今のところこのくらいまでしか試してないけどね。それでも結構見応えあると思うよ。どうかな?」
目の前には熱帯の珊瑚礁が広がっていた。360度の水族館という感じで、なかなか見応えはあると思っている。
「こんなことやっていたんだ。時々出かけてくると言ってどっか行っていたのはこれだったの?」
「まあね。他にもいろいろとやっているけど、使えそうなのは今のところこのくらい。」
「すごいね!ダイビングはやったことがあるけど、それよりも自由に動けるし、すごいよ!!」
「よかった。喜んでくれて。」
「空気の関係もあるから30分ほどで上に戻るからね。安全君が作動したらすぐに上がらないと危ないので。」
魔道具を中心に空間を確保しているのでその中なら自由に動くことができる。残念ながら自分は中心からは動けないんだけどね。少しずつ移動しながらしばらく珊瑚や魚などを鑑賞してから地上に戻る。
「すごかったわねえ。久しぶりに海の世界を見たわ。ありがとう。」
「よかった。ただ問題なのは、浮遊できないと使えないからこっちの世界の人には今のところは無理だと思うんだよね。
魔道具なしでやってみたかったんだけど、ある程度の大きさを確保しようとすると魔道具を使わないと出来なかったんだ。それで魔道具を使ったんだけど、魔道具の魔獣石の消費が半端ないんだよ。10分で1000ドールほど使ってしまうんだ。まあたまの贅沢という感じでならいいけどね。」
「うん、ありがとう。少し休憩してからもう一回くらいいかな?」
「大丈夫だよ。そのくらいの資金なら十分にあるからね。ちょっと場所を変えて潜ってみよう。」
このあとも2回ほど潜り、魚を見ながら水の中で昼食を食べるというかなり贅沢な時間を過ごした。時々魚が飛び込んできてから下に落ちていくこともあってちょっと驚いた。餌をやるとかなり魚も集まってきて大量に魚がこっちに落ち込んできたときは焦ってしまったよ。
せっかくなので港の方に行ってみると、なぜかえらく人が集まっていた。どうも宴会をしているようだ。邪魔したら悪いと思って立ち去ろうと思ったらガバナンさんに見つかって宴会に引きずり込まれてしまった。刺身や魚料理を堪能できたけど、夜中まで宴会は続きそうだったので、さすがに夕方には退散することにした。
宿に戻ると宿でも宴会している人たちがいた。さすがにもうお腹いっぱいなので早々に部屋に撤収する。ただ、買ってきていたケーキで二人の誕生日を祝うことにした。
自分たちの誕生日はそれぞれ10月30日と12月15日なんだけど、そもそも日付がずれているので意味がないとお祝いはしなかったからね。それでこっちの決まりに基づいて誕生日を祝うことにした。まあ、こっちでは成人の時以外は特に祝ったりはしないみたいだけどね。
「「これ誕生日のプレゼント。」」
ハモってしまった。どうやらジェンも準備していたみたいだった。収納バッグがあるからそうそうばれないからねえ。
プレゼントを交換してさっそく中を確認する。ジェンからもらったのは鷹のようなものをかたどった感じのブローチだった。そして自分が渡したのは同じくブローチで猫のような形のものだ。さっそくお互いにブローチをつけてみる。
「どんなものが好きなのかわからなかったから、前に家で猫を飼っていたと言っていたからそれっぽいのを見つけたので買ったんだ。」
「ありがとう。うれしい・・・。私も悩んだんだけど、前にこんな感じのレリーフを見ていいねって言っていたからそれにしたんだけど、よかった?」
「うん、ありがとう。」
前に雑貨屋で見ていたのを覚えていたんだな。狩りの時には使えないけど、普段の町中ではつけてもいいかもね。
ケーキは町で有名なところのものだったのでなかなか美味しかった。年末年始などは結構忙しいので早めに購入して収納袋に入れていたんだよね。こういうときに収納袋があるのはいいね。
朝のキスのせいで今日は一日ジェンの顔をまともに見られなかったなあ。見てしまうと唇に目が行ってしまい、顔が熱くなってしまう。今では一緒の部屋で生活しているとはいえ、女性と付き合ったことがない自分にとってはかなり刺激的な一日だった・・・。
翌日は店も開いているところが増えていたので、演劇などを見たり買い物をしたりとゆっくりと過ごす。夜は宿で宴会となっていたので参加させてもらった。いろいろな情報も聞けて楽しい時間を過ごすことができた。
~ジェンSide~
今日はこっちの世界の新年だ。特にカウントダウンと言ったような新年のイベントと言うものはないみたいだったので、せっかくだから日本の風習にある初日の出を見ることになった。
朝早く起きると、空は快晴で朝日が拝めそうだった。0時になったところで新年の挨拶をする。
「「新年おめでとう!」」
そしてイチのほっぺにキスすると、イチがかなり動揺していた。
「え?え?」
「今年もよろしくね!」
「新年の挨拶よ。いやだった?」
「いや!そんなことはないよ!!」
なぜかえらく大声で言われてしまった。
「そういえば、日本ではこんな風習はなかったわね。私も小さな頃は父にしていたけど、最近はそこまで親しい人もいなかったからしていなかったわ。
あれ?
イチ?聞いてる?ねえ、大丈夫?」
声をかけても返事がない。どうしちゃったんだろう?なにかブツブツ言っているけど、どうしたのかな?そういえばほっぺにキスしてしまったけど、日本ではそういう文化はなかったかな。それで私にはしなかったのね。
朝日が昇ってくるときにはイチも復活していたけど大丈夫かな?
今日は何かイチが試していたことに連れて行ってくれると言っていたけど、行ったところは海岸だった。飛翔魔法を使ってと言われたので使って浮かぶとイチが何やら魔道具をセットした。そのあと手を引かれて海の上についていくとそのまま海の中へ。
えっ?えっ?
事前に少し説明してくれたけど海に入るの?
海の中に入っていくけどカプセルに入っているみたいに水がよけていく。水中に入ると360度の水族館のような景色が広がっていた。そういえばこっちの世界には自分たちの世界のような水族館はなかったわね。
ダイビングと違って自由に動けるのもいいわね。水の中での食事はとても幻想的だった。空気の壁があるけど、勢いがあるとこっちに魚が飛び込んでくるのよね。それはそれで楽しかったけどね。
魔獣石の消費が結構激しいみたいだけど、結局3回もやってもらった。まあ正月くらいはと許してくれたけどね。
このあと港でガバナンさんに捕まってしまったのでそのまま宴会に参加させてもらった。これはこれで楽しかったけど、あまり遅くなってもいけないので早めに退散させてもらうことにした。きっと夜中まで宴会してそうだしね。
宿に戻ってから誕生日祝いと思ったらイチもプレゼントを用意してくれていた。前に雑貨屋で見ていた猫のブローチだった。ちゃんと覚えてくれていたんだね。うちの猫は大丈夫かなあ?っていっても戻ったら時間はたっていないはずよね。
このあとケーキも食べて楽しい一日は終わった。イチは今日一日、ずっと目を合わせないような感じだったけど、朝のキスのせいなのかな?イチとならもっとしてもいいけど、ある程度は控えた方がいいかな。
~ジュンイチとジェニファーのステータス~
名前:ジュンイチ(大岡純一郎)
生年月日:998年10月30日
年齢:17歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(上階位・アース)
賞罰:なし
資格:なし
クラス:戦士(武術力向上-1)、魔法使い(魔力向上-2)、治癒士(治癒力向上-1)、学者(思考力向上-2)、神の祝福(物理耐性上昇-2、魔法耐性上昇-2)
婚姻:なし
スキル:
体術-3、片手剣-3、両手剣-2、短剣-2、槌-2、盾-3、刀剣-1
威圧-2、突撃-2、回避-2
一般魔法-3、火魔法-3、風魔法-3、水魔法-3、土魔法-3、氷魔法-2、雷魔法-2、光魔法-2、闇魔法-2
治癒魔法-3、回復魔法-3
肉体硬化-1、筋力強化-1、持久力強化-1、俊敏強化-1、魔力強化-1、治癒力強化-1
毒耐性-2、麻痺耐性-2、睡眠耐性-2
演奏-1、歌唱-1、絵画-2、彫刻-1、工作-2、料理-2、裁縫-1
日本語-5、英語-4、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-2、モクニク語-1、サビオニア語-1、古代ライハン語-1、古代ホクサイ語-2
思考強化-2、鑑定-3
索敵-3、罠探知-2、罠解除-2、隠密-2
錬金-2、付与-2、商人-1
採掘-2、採取-2、解体-3、解体魔法-3
知識スキル:
戦学-3、武学-3、防学-3
魔法学-4、魔素吸収-3、魔素放出-3、魔素操作-3
算学-4、自然科学-4、社会科学-4、生物学-4、植物学-4、地学-4-、神学-4、医学-3、天文学-4、言語学-4
罠学-3、鍛冶学-2、調合学-2、錬金学-3、付与学-3
ガイド本-3
秘匿スキル:
アミナの祝福(知識吸収上昇)
タミスの祝福(技術吸収上昇)
名前:ジェニファー(ジェニファー・クーコ)
生年月日:998年12月15日
年齢:17歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(上階位・アース)
賞罰:なし
資格:なし
クラス:戦士(武術力向上-1)、魔法使い(魔力向上-2)、治癒士(治癒力向上-1)、学者(思考力向上-2)、技術者(技術力向上-1)、神の祝福(物理耐性上昇-2、魔法耐性上昇-2)
婚姻:なし
スキル:
体術-3、片手剣-2、短剣-3、杖-2、弓-2、盾-3
威圧-1、突撃-2、回避-2
一般魔法-3、火魔法-3、風魔法-3、水魔法-3、土魔法-3、氷魔法-2、雷魔法-2、光魔法-2、闇魔法-2
治癒魔法-3、回復魔法-3
肉体硬化-1、筋力強化-1、持久力強化-1、俊敏強化-1、魔力強化-1、治癒力強化-1
毒耐性-2、麻痺耐性-2、睡眠耐性-2
演奏-3、歌唱-2、絵画-3、彫刻-1、舞踊-3、料理-2、裁縫-2
英語-5、スペイン語-4、ドイツ語-3、フランス語-3、中国語-2、日本語-4、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-3、モクニク語-2、サビオニア語-1、古代ライハン語-1、古代ホクサイ語-2
思考強化-2、鑑定-4
索敵-3、隠密-2
調合-2、錬金-2、付与-2、商人-3
採掘-1、採取-2、解体-3、解体魔法-3
知識スキル:
戦学-3、武学-3、防学-3
魔法学-4、魔素吸収-3、魔素放出-3、魔素操作-3
算学-4、自然科学-4、社会科学-4、生物学-4、植物学-4、地学-4、神学-4、医学-3、天文学-4、言語学-5
罠学-2、鍛冶学-2、調合学-3、錬金学-2、付与学-3
ガイド本-3
秘匿スキル:
アミナの祝福(知識吸収上昇)
タミスの祝福(技術吸収上昇)
年末まで狩りと鍛錬のサイクルを繰り返して結構いい具合に武術のレベルも上がってきた。上階位上位の魔獣も順調に狩れるようになったし、魔道具の納品も順調に行っている。
魔道具は今日までで300個納めたので105万ドールの収入だ。一気に所持金が2倍となったけど、これでも良レベルの防具を揃えるには全然足りないレベルなんだよね。付与魔法が複数ついたものとか洒落にならないくらい高いし。自分でできるようになればいいんだけどねえ。
今年最後の鍛錬も終わり、夕食を終えて宿に戻ってきた。明日12/30で12月が終わり、明後日から新年となる。年末年始の休みというのは一応あるんだけど、12/30、1/1、1/2の3日間だけのようだ。12/31がある場合は4日間の休みとなる。
1年で連休というのが確定しているのはこの年末年始だけらしく、特に年明けの2日間は多くの店も休むらしい。
もともとみんなが同じ時期に長期で休むという風習はあまりなく、長期の休暇は個別に取るというスタンスが普通のようだ。仕事についても年休という休みをとるシステムはあるみたいで、務めているところによるけど、年間に10~30日間とることができるみたい。
年末は12/30か12/31に教会に行って1年間無事に過ごせたことに感謝する人が多いようだ。また屋台などの店も出るのでかなり賑やかになるらしい。最近は教会にも行っていないので久しぶりに顔を出してみるかな?
そして新年は自分の家や知り合いのところでゆっくりするらしい。そもそも店が開いていないので出歩いても何もできない。宿は営業せざるを得ないが、開いている食堂もかなり限定されるようだ。
「明日から年末年始の休暇みたいだけど、どうする?」
「サクラやアーマトやオカニウムとかだったら親しい人もいたんだけど、こっちでは特に親しいという人がいるわけでもないしね。店も開いていないだろうし、どうしようか?」
「いつものように狩りに行くとか魔法の訓練とか勉強かなあ?」
「え~~~、それじゃいつもと一緒じゃない。なにか違うことがした~~~い!!」
「そんなこと言っても、どこに行っても店は開いていないみたいだし、簡単に行ける場所で楽しめるようなところはないよ。野外は魔獣がいるから地球のようにスキーとか山登りとかのレジャーはないし、遊園地のようなものも基本的に子供向けくらいしかないからね。そもそも年末年始は開いていないからなあ。」
「う~~~~っ!」
なんか最近は前みたいな遠慮がなくなってきている。まあそれだけ打ち解けてきたせいなんだろうけど、わがままが多くなってきたような気もする。
「・・・それじゃあ、今実験していることを試してみるからそれで納得して。」
まだ実験段階でかなり魔獣石を使うことになるけど、まあ正月くらいはいいか。
「なになに?どんなこと?」
「今それを言ったら楽しみが無くなるから明後日まで秘密!」
「う~~~~~~っ!」
「うなられても、教えてあげないよ。」
翌朝、朝食をとった後で町に出てみると、どの店もかなり賑わっていた。大売り出しとして一部商品は値引きされているみたい。特に買いたいものはないんだけど、せっかくなのでいろいろな店をのぞいていく。
高いものではないけどそれなりにお金がなくなっていくのは仕方がないところか。まあ服なんてそんなに買ってもいないしね。収納バッグがないと買うのは躊躇するけど、最近はあまり気にしなくなってる。
この後教会に行って祈りを捧げてみる。
「アミナ様、お世話になっています。もとの世界に戻れるのはいつになるのか分かったでしょうか?」
祈りを捧げてみるが、予想通り返事はない。まあそうそう回線はつながらないと言っていたしね。
「ジェン。なにか聞こえてきた?」
「ううん。特に何もなかったわ。まあ何か進展があったらきっと連絡をくれるはずだから待つしか無いわよね。」
「まあそうなんだけどね。」
今日は教会に行く人も多いし、いろいろと活動しているから忙しいのかもね。まあわざわざ神様が願い事などをすべて聞いているとは思えないけど。
お昼は屋台でいろいろと買い食いしながらぶらぶらとしていく。他にも大道芸のようなものを見たり、買い物をしたりと楽しんだ。
夕食のあと、宿に戻ってから久しぶりにお互いのスキルについて再確認を行った。
「武術系は結構頑張ったんだけど、やっぱり3からはなかなか上がらないね。実感としては間違いなく上達はしているんだけど、レベルが上がらないというのは3と4の差が大きいのかな?これは魔法にもいえることだからね。」
「レベル4は少なくとも良階位レベルだと思うので簡単じゃないんでしょうね。とりあえず槌や杖については2まで上がっているのでいい方なのかな?2ということはそこそこ使えるレベルになったということだし。とりあえず今後も地道に訓練していかないといけないわね。」
「威圧、突撃、回避については順調に上がっているんだよね。特に意識はしていないんだけど、突撃は攻撃の時に、回避はよけるときに補助がかかるという感じかな。これは戦闘をしていると地道に経験が貯まっているのかもしれない。」
「そうなのかも。」
「威圧は人に対しても有効みたいなんだけど、さすがになかなか使えないからなあ。」
「魔獣に対しては上階位の下位までには効果がでてるくらいで、それ以上だと効果が出ない感じかな。イチと私は同じくらいのレベルのせいか効果を確認出来ないのよね。たしか威圧を持っている相手には効きにくいって話だったし、効かなくてもレベルが上がるかは分からないのよね。」
「威圧で動かなくなるとかだったらいいけど、中途半端に効くと逃げられるのが問題だなあ。折角倒そうと思っても逃げられたら意味が無い。」
「威圧はかけられる側になることを考えるとある程度は上げておきたいのよね。高位の魔獣はかなりの確率で持っているらしいし、それで動けなくなったらしゃれにならないわ。」
「魔法に関しては雷、氷、光、闇の4つについてはレベル2まで上がったんだけど、他のは3のままで上がらないなあ。やっぱり4になるのはかなりの熟練者という事なんだろうな。」
「魔法も地道にがんばっていくしかないわよね。なかなかイメージ出来ない魔法もあるからその辺りも問題なのよね。」
4大魔法については威力も上がってきていて、攻撃範囲も上がってきている感じ。あとは魔素の取り扱いレベルを上げていくしかないだろう。
氷魔法は大分慣れてきて大きさ5cmくらいまで出せるようになった。氷矢だとそれなりの威力になる。冷気での攻撃では対象を凍らせるまでは無理だが、しもやけになるくらいにはなった。正直ものを冷やすのに使っている感じ。夏にアイスとか作るのには良さそうだ。
雷魔法は接触した状態だとスタンガンのように相手をしびれさせることができるので有効なんだが、離れたところになると途端に威力が落ちてしまう。魔力を貯めるとかなりの威力だ。ある程度離れたところからの威力が出せるとさらにいいんだけどね。
光魔法はライト代わりとしてはかなり有効で、浮かべて照明代わりにできる。浄化魔法にも一部応用しているようで浄化魔法の性能が上がったように思える。殺菌とかの効果があるのだろう。
また、フラッシュのような目潰しという使い方はできるようになっている。あと光を収束させて攻撃しようとしているけど、もう少し収束させていかなければ攻撃力がない。どうもイメージがうまくいかない。
闇魔法は暗闇を作って視界を奪うような感じなんだけど、まだ暗いなと言うレベルでしかない。それと夜目が効くようになることに気がついた。闇魔法なのかどうかはわからないけど、特に目に集中するとかなり暗いところでも見ることができる。これは場所によってかなり有効だと思う。
攻撃については本を読んでもよくイメージできなくて困っている。影の攻撃とか言われてもイメージできないよ。とりあえずブラックホールみたいな感じで小さな玉を作ると当たったところが消失する感じにはなった。
「治癒と回復はどこまで上がった?」
「こっちもやっぱり3から上がらないわね。」
「自分はやっと3にあがったので治癒士のクラスをもらうことができたよ。やっぱり3から4に壁があるなあ。」
レベルを上げるにはできるだけ治療を経験して行くしかないよなあ・・・。定期的に孤児院とかには行っているんだけど、そんなに大けがした人とかがそうそういるわけではないからね。
「肉体強化系については変化なかったなあ。毒耐性と麻痺耐性が2に上がっていたのは結構受けていたせいだろうね。」
「まあ少しわざと受けている感じにしていたのもあるわね。無毒化とかは出来ないけど、耐性レベルがあるだけでも大分違ってくるわね。」
「学術については神学が4に上がったんだけど、医学はなかなか上がらないんだよね。やっぱりこの辺りはなかなか難しいね。」
「私もこれは上がってないわね。ただ日本語のレベルが4に上がったせいなのか分からないけど、言語のレベルが5に上がってるわ。4以上の言語の個数でレベルが決まるとかなのかしら。」
「自分も勉強しているけどまだまだだなあ・・・。」
その他こっちの言葉や古代文字の勉強も始めている。ライハンドリア公用語はあるんだけど、みんなが使える言葉ではないし、また一般的な単語しかないので語彙が少ないのが問題だからね。一緒に始めたんだけど、やっぱりジェンの上達が早いのはもともとの能力差なのか?
あとジェンの鑑定レベルが4に上がって遠距離でも鑑定できるようになっていたんだけど、あとでよく確認してみると、スキルレベルは見ることができなかったようだ。レベル-2が触れなくて見えるというところか?レベルが5になったら見えるようになるのかねえ?
索敵レベルはジェンも3にあがり、隠密もレベル2になった。これで隠密を持った魔獣を発見しやすくなるし、逆に発見されにくくなるはずだ。
技術系は学識や技能もそれぞれ上がっている。ジェンの商人スキルは3まで上がっていた。元々資質があったせいだろう。
知識だけはだいぶ上がってきているのであとは実際の経験がいるのだろう。まあこの辺りはボチボチやっていくしかない。
翌日はせっかくなので早めに起きてから新年の朝日を見ることにした。ここの部屋からちょうど見えるからよかった。アメリカにはそのような風習はないみたいだけど、せっかくなので付き合ってくれるようだ。天気が良くて良かった。
もちろんこっちでも新年の朝日を拝むというような風習はないみたい。夕べ明日の日の出の時間を聞いたら「0時過ぎに決まってる。」と返された。正確な時間が聞きたかったんだけどね。
日の出前だけど、0時になったところで挨拶をする。
「「新年おめでとう!」」
そう言ったところで、おもむろにジェンの顔が近づいてきてほっぺにキスされる。
「え?え?」
「今年もよろしくね!」
軽くだけど、いまキスされたよね? ほっぺにだけど・・・。
「新年の挨拶よ。いやだった?」
「いや!そんなことはないよ!!」
なんて返事をしていいのか分からない・・・。そういえばアメリカとかで新年を迎えたときに近くの人とキスするとか言うことがあったような気がする。
だけど・・・ええ~~~っ!!
ジェンの唇に目線が行く。ジェンは普通にしているけど・・・ええっ?そんな軽いのりでいいの?
自分のほっぺに触ると、顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。まだ暗いからばれないかな。これはただの挨拶だ。アメリカでは普通の挨拶だ。気にしちゃだめだ。
ジェンが何か言っているけど全く耳に入ってこない。
しばらくしてやっと落ち着いた頃に地平線から太陽が昇ってきたのでそっちに目線を移す。異世界での初日の出かあ・・・。まさかこんなことになるとはねえ。お互いに改めて新年の挨拶をしてから朝食へ向かう。
こっちは新年に何か特別なものを食べるのかと調べたところ、地域によって差はあるけど魚や動物や魔獣などが丸ごと調理されたものをみんなで食べるということみたい。この町では港町らしく魚が多いようだ。
朝食に行くと、大きな魚が丸ごと焼かれたものがテーブルに置かれていた。そこから食べられる分をよそってもらって食べるらしい。魚はブリかな?
食事を終えてから準備をして出かけることにした。
「どこに行くの?」
「先に言ったらおもしろくないから、とりあえず付いてきてよ。」
ジェンをつれて港から少し離れた海岸へとやって来た。
「魔法で体を浮かべてみて。」
ジェンの体が浮いたところで自分も土魔法と風魔法で体を浮かせる。それから造っていた魔道具に魔獣石をセットして稼働すると、魔道具を中心に空気の壁のようなものができた。
「よし!それじゃあ移動するからついてきてよ。」
そう言ってジェンの手を取って海の上へと誘導する。
「水の中に入るから驚かないでよ。魔法は解除しないでね?」
「えっ?えっ?」
ある程度海の上を進んでいき、目標辺りで下に移動する。周りの空気の層に囲われたまま海の中へと入っていく。
「大丈夫だから落ち着いて。」
ゆっくりと海の中に沈んでいくと、波や空気との境が落ち着いて海の中がよく見えてきた。
「空中の移動を考えたときにやっぱり風圧とかが問題になりそうだから空気の層を包むようなことが出来る魔道具を造っていたんだ。途中でこれだったら水の中に潜れるんじゃないかと思って試したらうまくいったんだよ。
ただあまり深く潜ると水圧に耐えられないかもしれないので今のところこのくらいまでしか試してないけどね。それでも結構見応えあると思うよ。どうかな?」
目の前には熱帯の珊瑚礁が広がっていた。360度の水族館という感じで、なかなか見応えはあると思っている。
「こんなことやっていたんだ。時々出かけてくると言ってどっか行っていたのはこれだったの?」
「まあね。他にもいろいろとやっているけど、使えそうなのは今のところこのくらい。」
「すごいね!ダイビングはやったことがあるけど、それよりも自由に動けるし、すごいよ!!」
「よかった。喜んでくれて。」
「空気の関係もあるから30分ほどで上に戻るからね。安全君が作動したらすぐに上がらないと危ないので。」
魔道具を中心に空間を確保しているのでその中なら自由に動くことができる。残念ながら自分は中心からは動けないんだけどね。少しずつ移動しながらしばらく珊瑚や魚などを鑑賞してから地上に戻る。
「すごかったわねえ。久しぶりに海の世界を見たわ。ありがとう。」
「よかった。ただ問題なのは、浮遊できないと使えないからこっちの世界の人には今のところは無理だと思うんだよね。
魔道具なしでやってみたかったんだけど、ある程度の大きさを確保しようとすると魔道具を使わないと出来なかったんだ。それで魔道具を使ったんだけど、魔道具の魔獣石の消費が半端ないんだよ。10分で1000ドールほど使ってしまうんだ。まあたまの贅沢という感じでならいいけどね。」
「うん、ありがとう。少し休憩してからもう一回くらいいかな?」
「大丈夫だよ。そのくらいの資金なら十分にあるからね。ちょっと場所を変えて潜ってみよう。」
このあとも2回ほど潜り、魚を見ながら水の中で昼食を食べるというかなり贅沢な時間を過ごした。時々魚が飛び込んできてから下に落ちていくこともあってちょっと驚いた。餌をやるとかなり魚も集まってきて大量に魚がこっちに落ち込んできたときは焦ってしまったよ。
せっかくなので港の方に行ってみると、なぜかえらく人が集まっていた。どうも宴会をしているようだ。邪魔したら悪いと思って立ち去ろうと思ったらガバナンさんに見つかって宴会に引きずり込まれてしまった。刺身や魚料理を堪能できたけど、夜中まで宴会は続きそうだったので、さすがに夕方には退散することにした。
宿に戻ると宿でも宴会している人たちがいた。さすがにもうお腹いっぱいなので早々に部屋に撤収する。ただ、買ってきていたケーキで二人の誕生日を祝うことにした。
自分たちの誕生日はそれぞれ10月30日と12月15日なんだけど、そもそも日付がずれているので意味がないとお祝いはしなかったからね。それでこっちの決まりに基づいて誕生日を祝うことにした。まあ、こっちでは成人の時以外は特に祝ったりはしないみたいだけどね。
「「これ誕生日のプレゼント。」」
ハモってしまった。どうやらジェンも準備していたみたいだった。収納バッグがあるからそうそうばれないからねえ。
プレゼントを交換してさっそく中を確認する。ジェンからもらったのは鷹のようなものをかたどった感じのブローチだった。そして自分が渡したのは同じくブローチで猫のような形のものだ。さっそくお互いにブローチをつけてみる。
「どんなものが好きなのかわからなかったから、前に家で猫を飼っていたと言っていたからそれっぽいのを見つけたので買ったんだ。」
「ありがとう。うれしい・・・。私も悩んだんだけど、前にこんな感じのレリーフを見ていいねって言っていたからそれにしたんだけど、よかった?」
「うん、ありがとう。」
前に雑貨屋で見ていたのを覚えていたんだな。狩りの時には使えないけど、普段の町中ではつけてもいいかもね。
ケーキは町で有名なところのものだったのでなかなか美味しかった。年末年始などは結構忙しいので早めに購入して収納袋に入れていたんだよね。こういうときに収納袋があるのはいいね。
朝のキスのせいで今日は一日ジェンの顔をまともに見られなかったなあ。見てしまうと唇に目が行ってしまい、顔が熱くなってしまう。今では一緒の部屋で生活しているとはいえ、女性と付き合ったことがない自分にとってはかなり刺激的な一日だった・・・。
翌日は店も開いているところが増えていたので、演劇などを見たり買い物をしたりとゆっくりと過ごす。夜は宿で宴会となっていたので参加させてもらった。いろいろな情報も聞けて楽しい時間を過ごすことができた。
~ジェンSide~
今日はこっちの世界の新年だ。特にカウントダウンと言ったような新年のイベントと言うものはないみたいだったので、せっかくだから日本の風習にある初日の出を見ることになった。
朝早く起きると、空は快晴で朝日が拝めそうだった。0時になったところで新年の挨拶をする。
「「新年おめでとう!」」
そしてイチのほっぺにキスすると、イチがかなり動揺していた。
「え?え?」
「今年もよろしくね!」
「新年の挨拶よ。いやだった?」
「いや!そんなことはないよ!!」
なぜかえらく大声で言われてしまった。
「そういえば、日本ではこんな風習はなかったわね。私も小さな頃は父にしていたけど、最近はそこまで親しい人もいなかったからしていなかったわ。
あれ?
イチ?聞いてる?ねえ、大丈夫?」
声をかけても返事がない。どうしちゃったんだろう?なにかブツブツ言っているけど、どうしたのかな?そういえばほっぺにキスしてしまったけど、日本ではそういう文化はなかったかな。それで私にはしなかったのね。
朝日が昇ってくるときにはイチも復活していたけど大丈夫かな?
今日は何かイチが試していたことに連れて行ってくれると言っていたけど、行ったところは海岸だった。飛翔魔法を使ってと言われたので使って浮かぶとイチが何やら魔道具をセットした。そのあと手を引かれて海の上についていくとそのまま海の中へ。
えっ?えっ?
事前に少し説明してくれたけど海に入るの?
海の中に入っていくけどカプセルに入っているみたいに水がよけていく。水中に入ると360度の水族館のような景色が広がっていた。そういえばこっちの世界には自分たちの世界のような水族館はなかったわね。
ダイビングと違って自由に動けるのもいいわね。水の中での食事はとても幻想的だった。空気の壁があるけど、勢いがあるとこっちに魚が飛び込んでくるのよね。それはそれで楽しかったけどね。
魔獣石の消費が結構激しいみたいだけど、結局3回もやってもらった。まあ正月くらいはと許してくれたけどね。
このあと港でガバナンさんに捕まってしまったのでそのまま宴会に参加させてもらった。これはこれで楽しかったけど、あまり遅くなってもいけないので早めに退散させてもらうことにした。きっと夜中まで宴会してそうだしね。
宿に戻ってから誕生日祝いと思ったらイチもプレゼントを用意してくれていた。前に雑貨屋で見ていた猫のブローチだった。ちゃんと覚えてくれていたんだね。うちの猫は大丈夫かなあ?っていっても戻ったら時間はたっていないはずよね。
このあとケーキも食べて楽しい一日は終わった。イチは今日一日、ずっと目を合わせないような感じだったけど、朝のキスのせいなのかな?イチとならもっとしてもいいけど、ある程度は控えた方がいいかな。
~ジュンイチとジェニファーのステータス~
名前:ジュンイチ(大岡純一郎)
生年月日:998年10月30日
年齢:17歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(上階位・アース)
賞罰:なし
資格:なし
クラス:戦士(武術力向上-1)、魔法使い(魔力向上-2)、治癒士(治癒力向上-1)、学者(思考力向上-2)、神の祝福(物理耐性上昇-2、魔法耐性上昇-2)
婚姻:なし
スキル:
体術-3、片手剣-3、両手剣-2、短剣-2、槌-2、盾-3、刀剣-1
威圧-2、突撃-2、回避-2
一般魔法-3、火魔法-3、風魔法-3、水魔法-3、土魔法-3、氷魔法-2、雷魔法-2、光魔法-2、闇魔法-2
治癒魔法-3、回復魔法-3
肉体硬化-1、筋力強化-1、持久力強化-1、俊敏強化-1、魔力強化-1、治癒力強化-1
毒耐性-2、麻痺耐性-2、睡眠耐性-2
演奏-1、歌唱-1、絵画-2、彫刻-1、工作-2、料理-2、裁縫-1
日本語-5、英語-4、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-2、モクニク語-1、サビオニア語-1、古代ライハン語-1、古代ホクサイ語-2
思考強化-2、鑑定-3
索敵-3、罠探知-2、罠解除-2、隠密-2
錬金-2、付与-2、商人-1
採掘-2、採取-2、解体-3、解体魔法-3
知識スキル:
戦学-3、武学-3、防学-3
魔法学-4、魔素吸収-3、魔素放出-3、魔素操作-3
算学-4、自然科学-4、社会科学-4、生物学-4、植物学-4、地学-4-、神学-4、医学-3、天文学-4、言語学-4
罠学-3、鍛冶学-2、調合学-2、錬金学-3、付与学-3
ガイド本-3
秘匿スキル:
アミナの祝福(知識吸収上昇)
タミスの祝福(技術吸収上昇)
名前:ジェニファー(ジェニファー・クーコ)
生年月日:998年12月15日
年齢:17歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(上階位・アース)
賞罰:なし
資格:なし
クラス:戦士(武術力向上-1)、魔法使い(魔力向上-2)、治癒士(治癒力向上-1)、学者(思考力向上-2)、技術者(技術力向上-1)、神の祝福(物理耐性上昇-2、魔法耐性上昇-2)
婚姻:なし
スキル:
体術-3、片手剣-2、短剣-3、杖-2、弓-2、盾-3
威圧-1、突撃-2、回避-2
一般魔法-3、火魔法-3、風魔法-3、水魔法-3、土魔法-3、氷魔法-2、雷魔法-2、光魔法-2、闇魔法-2
治癒魔法-3、回復魔法-3
肉体硬化-1、筋力強化-1、持久力強化-1、俊敏強化-1、魔力強化-1、治癒力強化-1
毒耐性-2、麻痺耐性-2、睡眠耐性-2
演奏-3、歌唱-2、絵画-3、彫刻-1、舞踊-3、料理-2、裁縫-2
英語-5、スペイン語-4、ドイツ語-3、フランス語-3、中国語-2、日本語-4、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-3、モクニク語-2、サビオニア語-1、古代ライハン語-1、古代ホクサイ語-2
思考強化-2、鑑定-4
索敵-3、隠密-2
調合-2、錬金-2、付与-2、商人-3
採掘-1、採取-2、解体-3、解体魔法-3
知識スキル:
戦学-3、武学-3、防学-3
魔法学-4、魔素吸収-3、魔素放出-3、魔素操作-3
算学-4、自然科学-4、社会科学-4、生物学-4、植物学-4、地学-4、神学-4、医学-3、天文学-4、言語学-5
罠学-2、鍛冶学-2、調合学-3、錬金学-2、付与学-3
ガイド本-3
秘匿スキル:
アミナの祝福(知識吸収上昇)
タミスの祝福(技術吸収上昇)
20
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる