【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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109. 後日談 優階位の冒険者

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109. 後日談 優階位の冒険者
 受付も終わったので、今日泊まるところを決めなければならない。以前泊まっていた海鳥の館に行ってみると、すでに宿は廃業したのかアパートのようになっていた。
 20年前の情報だけど、いくつか聞いていた宿があったので町の散策がてら見て回り、残っていた宿の中から少し高級なところのカスサの宿というところに決める。

「すみません、今日泊まりたいのですが部屋は開いていますか?ツインかダブルの部屋でお願いします。」

「はい、大丈夫です。手続きをしますのでこちらに身分証明証をかざしていただけますか?」

 そういって小さな箱のようなものを出された。町に入るときと同じような感じなのかな?順番に身分証明証を当てると青い光がともった。前は身分証明証を一回一回確認されていたのである意味助かるな。

「はい、問題ありませんね。宿泊は305号室のツインの部屋で2500ドールとなりますがよろしいでしょうか?」

 宿のレベルを考えるとちょっと高いような気もするけど、途中で売っているものの値段を考えると物価が2~3割くらい上がっているのでこんなものなのかな?

「はい、お願いします。」

 カードから引き落とししてもらい、領収書を受け取って部屋に移動する。建物は5階建てでエレベーターもあった。部屋の鍵はカード式になっているので、もうこれが普通になってきているのかもしれないな。

 夕食は近くにあった食堂で魚料理を食べる。料理の味付けなどは以前とそれほど変わっていない感じでちょっとスパイスが効いているものだった。

 以前よりも治安は良くなってきていけどが、やはり夜に一人で暗い道を歩くのはやめておいた方がいいみたいなので、表通りのお店を見ながら宿に戻る。明日から情報収集をしなければならないな。

 夜はいつもの様に求め合ったが、明日からのこともあるのでほどほどにしておいた。やっぱり身体は若返っているみたいなんだよな・・・。



 翌日宿の食堂で朝食をとってから役場に行っていろいろと調べてみる。
 ヤーマン国は当時の国王であったクマライアス国王陛下はすでに引退しており、現在は長男だったクレアン国王陛下に変わっていた。亡くなったわけではなく、55歳になったところ機に引退したようだ。
 王家の家系図は公開されているので確認したところ、クリスさんはまだ存命のようだ。王家からは外れているため、クリスさんしか名前は載っていないのでスレインさん達についてはよく分からない。他の兄妹は全員結婚しているみたいだ。
 アルモニアとハクセンは民主化が少し進んでいるようで、貴族の特権は大分無くなってきているみたいだ。
 ハクセンでは実質的にどのくらいの権限があるのか分からないけど、平民の議会のようなものができて国政に携わるようになっているようだ。ルイドルフ家とハックツベルト家は順当に長男があとを継いでいるみたいだけど、ラクマニア爵とピルファイア爵は引退なのか、亡くなったのかは分からないな。
 アルモニアの賢者のジョニーファン様はまだご健在のようだ。ただ今はほとんど表に出てこないようなので体調が心配だな。今はジョニーファン様の弟子という感じで北の五賢者と言われる人たちがいるみたい。
 ナンホウ大陸は民主化の進行がかなり早いみたいで、モクニク国でも民主化運動が起こって国が二つに分かれてしまったようだ。いまはなんとか落ち着いてきているようだけど、10年ほど前までは争いが続いていたいみたいだ。いつ戦争が再開されてもおかしくはないかもしれない。東側が従来のモクニク国で、西側が昔そこにあった国名のランタク国が誕生していた。
 モクニク国はまだ貴族の権限が強いみたいだけど、ランタク国はサビオニアと同じような感じになっているようだ。
 モクニク国の内戦の間にサビオニアが国力を大きく上げているみたい。まあ隣の国で起きた戦争特需のようなものだろうな。国の中枢に何人か知っている名前が載っていた。
 トウセイ大陸については特に大きな変化はないみたいで、皇帝は代替わりしているけど、今も盤石な王政を維持しているみたい。

 魔獣のことについて調べてみたると、自分たちの知っている情報と生息エリアが大きく変わっていて、町の近くや街道にはほとんど魔獣が出なくなってきているようだ。これは魔道具の魔獣除けの効果の強化と普及率が関係しているようだ。
 どうやら魔獣を寄せ付けない道具だけでなく、魔素の発生を抑制する道具が開発されたことが要因らしい。魔素の濃いところではほとんど効果が出ないけど、薄いところには効果が大きくなるようだ。
 このため、魔素の濃いところと薄いところの二極化が進み、特定の地域には凶暴な魔獣が多くなってしまっているようだ。このため新たな町の開拓はあまり進んでいないみたい。

 町の周りには初階位の魔獣がいるくらいで並~上階位の魔獣がいるエリアは結構限定されているみたい。町によっては狩り場となるエリアが離れすぎてしまうため、並~上階位の冒険者は町から少し離れた前線基地のようなところに滞在することが多くなっているようだ。
 そのせいでルイサレムの町の冒険者の数が少ないのかな?そのレベルの冒険者が泊まる宿が少なくなっているのもそれが影響しているのかもしれないな。
 細かなところは実際に冒険者とかから話を聞かないと分からないだろう。まあこれについては少しずつ調べていけばいいだろうな。


 昼前に窓口に行くと、確認試験は明日か明後日なら受けることが出来るらしい。遅くなってもしょうが無いので明日にお願いする。
 お昼は近くの食堂でとってから車の免許の更新へと向かう。講習と行っても実技があるわけではなく、60分の講習を受けるだけだった。どうやら標識や罰則、ルールの改定についての説明だった。まあこの辺りは地球の免許更新と同じだな。講義の最後に試験があるんだけど、講習さえちゃんと聞いていれば簡単な問題だった。
 免許の更新は5年おきで、更新を忘れてしまった場合は実技を含めた試験を受け直さなければならないようだ。それでも地球の免許の失効よりはかなり緩いのは助かるね。


 役場を出てからカサス商会へと向かう。お店の場所は変わっていないようだったので迷わず到着できたんだけど・・・なんかかなり大きくなっていないか?

「どう考えても規模が三倍くらいになっているよね?」

「ええ、建物の造りもかなり立派になっているわね。あれからさらに商会の規模が大きくなっているという事かしら?」

「まあ、あのときでもかなり規模が大きくなっていたし、コーランさんの手腕を考えるとおかしくないのかな?」

 店の外だけ見ていてもしょうが無いので店に入ると、簡単な商会の説明があったので読んでみる。いまでは世界中に店舗が広がっているようだ。
 会長の名前はコーランさんの息子のカルニアさんになっていたんだけど、相談役としてコーランさんの名前が載っていたのでまだ存命なんだろう。相談役といってもまだいろいろとやっているイメージしか沸かないな。
 ここの支店長の名前も載っていたんだけど、すでに他の人になっているようだったのでステファーさんは引退したのかな?あのときにもう結構な年だったからもしかしたらすでに亡くなっているかもしれないな。
 説明の横には非売品として重量軽減バッグが展示されていた。これって自分たちの作ったバッグだよな?

「このバッグが気になりますか?」

 バッグを見ていると不意に店員から声をかけられた。

「ええ、これは非売品なのですか?」

「20年ほど前までは普通に売られていたんですけどね。いまでは生産が出来なくなったために販売は停止されています。これは記念としてここに展示しているんですよ。

 このバッグは魔符核を作成した付与魔法士と先々代の支店長のステファー女史が共同で考案したと聞いています。その後改良されたものも作られたようですが、20年ほど前に付与魔法士の方がなくなられたようで、生産が出来なくなってしまったようなのです。
 その後もいろいろと重量軽減バッグは作られましたが、未だにこれを超えるものは出来ていませんよ。改良前のものも含めてです。当時の業績をたたえて、残っていたバッグを展示しているのです。」

「そうなのですね。
 ところで、そのステファー元支店長はもう亡くなられたのですか?」

「私がこのお店に来たときにはすでに代替わりしてまして、そのときにはもう亡くなられたと聞いています。15年ほど前のことみたいですよ。」

 ステファーさんは亡くなっていたのか・・・。かなり元気な人だったよなあ・・・。

 折角なのでお店の商品を見ていくことにしたところ、そのままその人が説明してくれた。
 携帯電話のようなものが普及し始めているようだけど、まだ高価なこともあり、持っている人ははかなり限定されるようだ。まだ持ち運びも簡単ではなく、地球でも携帯電話の普及前にあった車載電話のような印象だ。
 コンパスの性能は前よりも上がって距離が伸びており、ここからサクラまでは届くようになっているようだ。
 以前は品数が少なくてほとんど出回っていなかったカメラも売られていた。機能はかなり制約されているけど、こちらはまだ購入できる金額という価格帯だ。話を聞くと、とりあえず記念に残しておきたいという要望に応えて販売されるようになったらしい。
 今回デジカメやスマホなどを持ってきているのでもっと手軽にはとれるけどね。デジカメはかなり高性能な物を持ってきているからこれは買わなくてもいいだろう。データのバックアップも出来るようにいろいろと機器も持ってきているので写真は結構ちょこちょこ撮っている。
 ちなみに動画の記録が出来るものあるらしいけど、まだ一般には出回っていないようだ。前はとったものをそのまま投影と言うくらいしか出来なかったからね。
 あまり性能の変わらないものもあったが、便利な機能が追加されたり、性能が上がっているものについては購入することにした。

 このあとカルミーラ商店にも顔を出すが、ショウバンさんはすでに亡くなっているようだった。さすがにあのときにかなり高齢だったからね。あの別荘はまだカルミーラ商店の所有みたいだが、特に使われていないようだ。

 港にも顔を出してみると、聞いたことのある声が聞こえてきた。かなり年は行っているが、ガバナンさんに間違いなさそうだ。

「元気な方がいらっしゃいますね。」

 港の事務員に声をかけてみる。

「ああ、ガバナンさんだな。身体を少し壊したときに息子に引き継いで船は下りたんだが、結局港で働いているんだよ。周りから慕われていたから、いろいろとやってくれて助かっているんだ。」

「もうお体は大丈夫なんですかね?」

「ああ、治療がうまくいったらしくてな。ただ船は息子に譲ったんだからといって復帰はしなかったんだ。」

 元気そうで何よりだ・・・。折角なので明日の朝に魚の仕入れの約束を取り付けておく。

 このあとはいろいろな店を見ながら町を散策し、夕食をとった後宿に戻る。明日は試験があるので早めに休むことにする。


 昨日約束していたので朝一で港に行って魚を仕入れた後、少し遅めの朝食をとる。試験は1時半からなのでゆっくりしても大丈夫だ。

 役場の受付に行って確認すると、まずは魔法の威力についての確認試験を受けることになった。これは一定時間内に的に向かって魔法を放つだけだったのでそこまで時間はかからない。いくつかの魔法で的を破壊できたので問題は無いだろう。
 そのあとまもなく試験を行ってくれる二人が来るので訓練場に移動しておくように言われる。ちなみに受付の女性はマルリーラというらしく、最近になって受付業務を担当することになったみたい。

「今回、運良く試験を受けてくださるのは優階位パーティー・タルバンのユータさんとカナさんです。ご存じかもしれませんがお二人はあのアムダの英雄とも親交があったんですよ。」

 タルバンのユータとカナだって!?それってどう考えてもあの二人だよな?ジェンを見ると同じように驚いている。
 それにアムダの英雄って・・・アムダの討伐のことを考えると自分たちのことか?そういえば今の情勢の確認をすることを優先してあの戦いのことについてはまだ調べていなかったな。無事に討伐できたという話は聞いていたので後回しになっていたよ。
 知り合いに会ったときのいいわけは考えているけど、まさかいきなり会うことになるとは思わなかった。もう少しいろいろと資料を読んでおかないとまずいかもしれないなあ。この町を出発する前に他の資料もいろいろと読んでいた方が良さそうだな。

 二人についての説明を聞いていると、「あ、もう来られましたね。」と言われ、そっちを見ると、年配の男女ふたりが目に入る。
 年はとっているが、面影があるので間違いなくあの二人だろう。二人とも優階位まで上がっていたのか。こちらを見て少し驚いたような顔をしているけど、もしかして気がつかれたかな?

「今回試験担当を引き受けていただいてありがとうございます。こちらのお二人が試験対象の方です。」

「「初めまして。よろしくお願いします。」」

「ああ、初めまして。もう引退していてもおかしくない歳になっていますが、いまだに冒険者にしがみついてやっているユータです。こちらはパートナーのカナです。
 ジュンイチさんとジェニファーさんと言われるのですね。アムダの英雄から名前をとられたのでしょうか?残念ながらお二人の写し絵などは残っていませんが、自分たちの記憶にある姿によく似ていますよ。」

 やっぱり、アムダの英雄って自分たちのことみたいだな。しばらく受付の人から説明があった後、訓練場へと向かう。


 訓練場は以前とあまり変わっておらず、それなりの広さがあった。他の冒険者の姿もあるけど、ユータ達の姿を見てちょっと緊張しているようだ。「後で声をかけてみてもいいだろうか?」とか聞こえてくるので、二人はかなり有名なのかもしれないな。

「それじゃあさっそく試験を行いましょう。」

 今回のこの試験はあくまで武器を使った戦闘能力の確認だけだ。自分はユータが、ジェンはカナが相手することになった。

「いきます!!」

 ユータに攻撃を仕掛けるが、なかなか攻撃が当たらない。盾で防がれるし、避けられてしまう。目は姿をちゃんと追えているんだが、やはり身体の方がうまく動かない感じだ。動かないと言うよりは先に動きすぎてうまく狙ったところに当たらないといった方がいい。
 ユータからの攻撃も躱したり防いだりしようとするが、やはり動きの方が先回りしすぎてうまくいかないことがある。

 レベルが高い人が相手だとやっぱりこのちょっとした差が大きいな。まあジェンとの模擬戦の時から感じていたんだが、やはり慣れない相手だと余計にはっきり認識できる。
 しばらく打ち合った後、装備を少し変更してやってみるが、根本的に身体の動きがずれているのでやはりユータにはかなわなかった。ずれが治ればなんとか互角くらいにはなるのかな?

「それじゃあ、このくらいにしましょうか。」

 しばらく打ち合った後、ユータから終わりを告げられたが、最後まで決定打を与えることは出来なかった。うーん、良階位の維持は厳しいかな?

 ジェンも試験が終わったみたいでこっちにやって来た。ユータとカナの二人は試験結果の話をするために別の部屋に行くようだ。

「どうだった?」

「やっぱり思ったようには攻撃できなかったわね。さすがに優階位にあがっただけあってかなり実力が上がっていたわ。」

「やっぱりそうか。まあ自分たちでやっていたときも違和感はなくならなかったからなあ。この辺は少しずつ治していくしかないよな。」

「でも戦闘能力としては良階位としてのレベルは十分だったと思うわ。魔法の方は優階位レベルはあると太鼓判は押されていたしね。」


 しばらくするとマルリーラさんがユータとカナと一緒に戻ってきた。

「おめでとうございます。ユータさんとカナさんからお聞きした実力から、良階位のままで登録することとなりました。」

「「ありがとうございます。」」

「このあと手続きがありますので受付の方に来られてください。」

「分かりました。」

「ジュンイチさん、ジェニファーさん、お二人とも魔法も使えると言うことを差し引いても十分に良階位の実力はあります。久しぶりに剣を使ったせいなのか分かりませんが、身体の動きに不自然さがありますので今後も鍛錬を続けていってください。」

 ユータ達にお礼を言ってから受付へと向かう。手続きをしてもらい、晴れて冒険者の階位が良階位となった。

「やっぱり良階位となっているとうれしいもんだね。」

「せっかく良階位まで上がっていたからね。」



 二人で話しながら役場を出ようとすると、入口付近にいた男性から声をかけられる。

「すみませんが、少しお時間よろしいでしょうか?魔道具ですこし変装していますが、先ほど会ったユータです。」

 魔道具を解除したのか、顔立ちがユータの顔に戻った。

「え・・・と、それは大丈夫ですが、お二人の方こそよろしいのでしょうか?」

「ええ、もちろん大丈夫ですよ。」

「折角なので一緒に食事でもどうですか?ちょうどお昼になるところですし・・・」

「ありがとうございます。それじゃあご一緒しましょう。」

 この町にも慣れているのか、行きつけにしているお店があるというので二人についていく。案内してくれたお店はちょっと高級なところで、個室をとってくれた。うーん、やっぱり気がつかれたのかなあ?一通りの料理を注文して給仕の人がいなくなったところでユータが話しかけてきた。

「率直に聞きます。お二人はアムダの英雄のジュンイチとジェニファーではないですか?見た目や装備や戦闘スタイルがあまりにそっくりなのです。他にも理由がありますが、本人としか思えないのです。
 なにか秘密にしなければならなかった事情があるのかもしれませんが、絶対に秘密にしますので話してもらえないでしょうか?」

 ジェンの方を見るとうなずいてくれた。

「ユータ、カナ、久しぶりと言っていいのかな?言われている通りです。まだあのときに渡したバッグを使われているんですね。もう必要が無いくらいになっているでしょう?まさか二人が優階位までなっているとは思わなかったですよ。証明するものと言っても身分証明証くらいしかないけど、一応見てみますか?」

 自分たちの身分証明証をみて驚いている。

「あ、あと二人だったらこれも証明になるかな?」

 二人にもらった刺繍をしたタオルを出した。

「や、やっぱり・・・。いったいどうして今まで・・・いったい何があったのですか?」

「あまり詳しいことは自分たちも分からないと言った方がいいかもしれません。あの戦いの後、気がついたら違う場所に転移したんですよ。
 後でわかったのですが、この近くの島に転移したようです。ただ、状況もわからないし、移動手段も考えて、しばらくその島で生活した後、やっとこの町にたどり着いたという感じです。
 身分証明証でおかしな事は気がついていたのですが、この町に来て時間を超えてやって来たと確信しました。おそらく空間転移だけでなく、時間転移まで起きてしまったのでは無いかと思います。」

「ま、まさかそんなことが・・・。」

 ジェンともいろいろと考えて、時間を超えてこの時代にやって来たとするのが一番いいだろうと言うことになった。隠れる理由もないし、町の発展などについてあまりに知識がなさ過ぎてもおかしいからね。

「町の様子は変わっているし、冒険者登録も期限切れになっているし、結構大変でしたよ。」

「そうだったんですね。何か身体に変化はなかったんですか?」

「日常生活では問題ないレベルだったんですが、戦闘になると、どうも実際の動きと感覚がずれてしまっているようなのです。これは時間転移の弊害なのかもしれません。
 感覚のずれもあり、このままではまずいと転移した島で少し鍛錬しましたが、残念ながらベストの状態までは戻ってません。」

「それで戦闘に違和感があったんですね。」

「今はやっとこの町に来て状況を確認しているところなのです。身分証明証の年齢や他にいろいろと調べた中で、やっと状況が分かってきたところです。
 ただ、まさかここでお二人と再会するとは思っていませんでしたよ。」

「アムダの爆発の時に転移しただけでなく、時間まで飛び越えてしまったと・・・。それで身分証明証の年齢は上がっているのに見た目が当時から変わってないと言うことなんですね。」

 とりあえずは納得してくれたみたいだ。


 このあと、二人からアムダとの戦闘の後のことをいろいろと聞いた。

 古代兵器アムダの討伐に参加した人たち全員が英雄としてたたえられたけど、その中でも冒険者だった自分たち二人はアムダの英雄として語り継がれることになったらしい。今ではアムダの英雄とは自分たち二人のことを指すようだ。
 そして自分たちのことは冒険譚として本が出版され、演劇の舞台にもなっているようだ。ただ内容は本によってかなり異なっているので、一度読んでみたらと言われてしまった。
 容姿については写真などの記録が残っていないのでかなり想像が入っており、特に有名な演劇俳優のイメージが強くなっているみたい。まあありがちだな。
 ユータが持っていた本の挿絵を見せてもらったけど、自分はかなり美化されているようだ。本物を見たらがっかりされそうだな。ユータは持っている本がまだ一番事実に近いと思って買ったものらしい。
 彼らが自分たちと親交があったということは冒険者仲間では知られていたため、未だに自分たちのことを聞かれることが多いようだ。どうやら冒険譚の中に二人が登場することも結構多いらしく、なぜか一緒に冒険したりする話もよく出てくるらしい。

 二人には子供が出来なかったみたいで、今もいろいろな国を回っているようだ。他の国でも自分たちと親交のあった人たちと交友関係がもてたらしく、お礼を言われてしまった。
 結局お昼からお店に入ったんだけど、話が終わったの時にはもう暗くなっていた。まあおかげでこの20年のことがいろいろ聞けて良かったけどね。


~ユータSide~
 カナと一緒に冒険者になってから少しずつ階位をあげていった。なかなか実力も上がらなくて苦しんだ時期もあったが、ジュンイチやジェニファーの助言に従い、地道に鍛えていった。
 二人が古代兵器の戦いで亡くなったと聞いたときはかなり悲しんだ。その後二人を知る人に会ったときには思い出話に花が咲いたものだ。

 いろいろと幸運に恵まれたこともあって優階位にまで上がることが出来た。あの二人と親交があったことも影響したように思う。二人の冒険譚にも自分たちが登場するからな。彼らが生きていたらおそらく特階位まで上がっていたんだろうな。あれだけの功績があれば間違いないだろう。

 カナとは残念ながら子供は出来なかったが、その分自由にいろいろな国を回ることが出来た。そろそろ引退も考えないといけない年齢になっているんだが、無理をしなければまだまだいけると思い、いまだに冒険者としてがんばっている。
 良階位の時にサクラで購入した拠点は持っているが、そこに住んでいるのは一年の内どのくらいだろうか?もったいないという気持ちがあるが、十分な資金はあるので保持したままだ。

 今回も帝国に行こうとルイサレムに滞在していると、良階位の再取得の試験をしてくれないかという依頼があった。船の出航まで時間があったので、受けることにしたが、再試験を受けるというふたりの名前を聞いて少し昔のことを思い出した。アムダの英雄のふたりの名前だったからだ。
 以前はかなり珍しい名前だったが、この話が伝わった後、ジュンイチとジェニファーという名前は多くなり、今では普通の名前となった。


 翌朝、役場に行くと記憶にあるふたりがそこにいた。ジュンイチとジェニファー?本人ではないかと思ってしまったが、どう考えても当時のままの姿というのはおかしい。あれから20年以上経っているのだ。

 訓練場に移動してから試験を行ったが、思った以上の実力だった。復帰したと言っていたので感覚が鈍っているのか動きがぎこちないが、本調子になれば自分たちよりも実力が上かもしれない。しかしこの動き・・・記憶にあるジュンイチそのままだな。
 動きにぎこちなさがあるが、魔法も使えると言うことを抜きにしても良階位の実力は十分にあると判断を出した。ジェニファーの方も同じ感じだったみたいだ。

 試験の結果を伝えた後、カナと話をしたが、やはりジェニファー本人のように感じたらしい。二人でそう思うと言うことはやはり・・・。それともあの二人の子供なのだろうか?だとしたら今まで表舞台に出てこなかった理由は何なんだろう?なにか理由でもあったのだろうか?
 あと、身につけている装備が全く同じだったからな。汎用の装備なら分かるが、特注の装備で同じ物はないはずだ。よく二人の姿をまねている人間はいるが装備をあそこまで忠実に再現している人はいない。

 二人が登録を終えて出てきたところで声をかけて食事に誘った。あのふたりのことを考えると素直に聞いた方がいいと思い、問いかけてみるとあっさりと認めてくれた。身分証明証を見せてもらい、さらに出してきたのはじぶん達が結婚祝いに送ったタオルだった。
 このあとアムダの英雄の話や昔話で盛り上がり、他の国で会った人たちとの話をしていると、もう夜が更けていた。
 最後に二人のことについて聞いたところ、自分たちで過去に行った国を実際に見ていきたいのでこのことは秘密にしてくれと頼まれた。話すつもりはないが、またどこかで会いたいものだ。


 アムダの英雄として有名になった後、二人の名をかたる人が多くなった。名前については変更させることは出来なかったが、アースというパーティー名は登録できなくなっているはずだ。
 受付で身分証明証を出したときに気づかれなかったのだろうか?受付が新人みたいだったから、もしかしたら知らなかったのかもしれないな。まあある意味気がつかれなくてよかったのかもしれない。もし知られていたら大変なことになってしまったかもしれないからな。
 書類が通ってしまったのであれば意識して調べない限り分からないだろう。何かの時のために自分たちの紹介状を書いておいたので少しは役に立つだろうか?


~~~~~

 ユータ達はトウセイ大陸に渡るためにこの町にやって来ていたらしく、数日後に船で出発するようだ。折角なので二人の見送りに行くと、町のお偉いさんもやって来ていて対応が大変そうだった。かなり有名人になっていたんだなあ。

「わざわざ見送りまで来てもらってありがとう。」

 やっと一段落したのか、自分たちのところに挨拶に来てくれた。

「またこっちに戻ってきたら会おう。気をつけて!!」

「ジュンイチの方こそ、あまり無茶をしないようにね。戻ってきたら連絡を入れるよ。」

 握手を交わしてから二人が船に乗り込むのを見送る。甲板までは距離があるが、風魔法を使って出航までは話をしていた。二人と話していた自分たちは周りからちょっと奇異の目で見られていたけど気にしないでおこう。
 前に向こうの大陸に行ったときはアムダの討伐だけだったから、またあっちの大陸に行ってみるのもおもしろいかもしれないな。


 二人を見送った後、自分たちも出発することにした。目的は王都のサクラだ。サクラの町に行く交通手段は自分たちの車の他に二つあり、一つは前からあるバスのようなものだ。途中宿泊するところもあるけど、オーマト経由の直行バスだと12日、乗り継ぎで移動した場合は乗り継ぎのタイミングもあるけど、15日ほどかかるようだ。バスの移動時間は以前とそれほど変わっていない感じだな。
 もう一つは飛行艇で、これだと5日くらいで着くらしいけど、週に1回しか出ておらず、出発は3日前だったので次の出発は7日後とタイミングが悪かった。ちなみに運賃はバスの5倍くらいかかるみたい。
 車で移動した場合、急げば10日くらいで着くのでユータ達は普段は車で移動しているらしい。最近は列車のようなものも出来ているようなんだけど、あくまで貨物の運搬がメインの短距離のものだけらしく、人を運ぶ目的のものはかなり限定されているようだ。

 ちなみにヤーマン国の町の移動は以前と比べて格段に安全になっているらしく、護衛業務はかなり減ってしまっているようだ。主要街道ではほとんど魔獣の被害は出ていないみたい。
 ただ地方の方はまだ魔獣が出ることも多いし、未だに盗賊の被害もあるようなので、大手の商会は今も護衛依頼は出しているようだ。ユータ達もいくつかの商会と契約をしているらしい。
 護衛依頼を出す商会はかなり減っているので、今の冒険者の昇格に関わる実績ポイントについてはいろいろと見直され、上位の魔獣を退治した場合のポイントが前よりも高くなっているようだ。もちろん詳細までは発表されていないけど、良階位や優階位の魔獣の実績ポイントは2倍以上になっているらしい。


 出発してから走って行くが、車の速度は周りと比べても遜色はなさそうだ。まあかなりの改造を行っていたからね。
 今のところ郊外ではスピードの制限がないのでかなり助かる。速度については自分たちの車の方がやはり速いみたいで途中車を追い抜いていくことになった。

 休憩がてら途中の町や村にも寄ってみたけど、以前に比べると発展しているとはいえ、大きな町ほど発展具合が顕著ではなかった。まあ、地球でも20年で一気に変わってしまうわけでもないからね。オーマトの町にも少し寄っていったけど、この街はあまり縁がなくて知り合いもいないんだよなあ。

 宿泊はタイミングが合ったときだけ町に泊まり、そのほかは拠点に泊まっていった。町以外にも野営エリアのようなところが出来ていてキャンピングカーのような感じの車で寝泊まりしている人たちの姿もあった。
 もちろん管理人という形で護衛が付いているところなので、ただというわけではないけど、町と町の間にあるのでそれなりに使っている人がいるみたい。

 途中の町に寄っていったこともあり、結局10日ほどかかってサクラの町に到着する。


~ジェンSide~
 長年考えていた異世界への転移が現実のものとなった。可能性は低いとは思っていたのだけど、こっちの世界に来ることが出来てほんとにうれしかったわ。

 元の世界に戻り、イチの事も思い出せて本当に良かった。もしあのまま記憶が戻らなかったら全く違う人生だったでしょうね。きっとなにか心の一部が抜けた感じで結婚もしなかったと思うのよね。
 子供も出来ていろいろ大変なこともあったけど、とても充実した日々だったわ。でもずっと心に引っかかっていたのよね。やっぱりちゃんとお別れが出来なかったせいだと思うわ。


 時間がずれていたらライハンドリアに行ってもみんなに会えないかと思ったけど、20年と聞いてちょっとほっとした。20年ならまだみんな元気な可能性もあると思うのよね。

 向こうで作った薬を飲んで身体が若返ったのも良かったわ。みんなからは「若くみえてうらやましいわ。」とよく言われていたけどね。一度こっちの世界に来たせいなのかは分からないけど、確かに老化が遅いようには感じていたんだけど、やっぱり本当に若い身体というのは違うわ。
 今までも定期的に関係は持っていたけど、やっぱり感じ方も違ってくるのよね。イチも我慢できなかったみたいだけど、私も久しぶりに堪能した感じだったわ。やっぱり若い身体というのはいいわね。

 島での鍛錬は大変だったけど、身体のエネルギーがあふれていたので苦にはならなかったのよね。昼にあれだけ身体を動かしたのに夜も体力は余っていたのよねえ。治癒魔法は使ったけど、前はここまで体力も気力も持たなかったわ。


 島を出てからルイサレムの町が見えたときはほんとに懐かしかったわ。ただ町に入るときはかなり緊張したんだけどね。イチがゲートで引っかかったときはどうなるかと思ったわ。単なる期限切れと言うことで良かったんだけどね。

 あといろいろと調べてみると自分たちの知り合いがまだ存命ということを知ってほっとしたわ。もちろん亡くなっている人もいるんだけど、それは仕方が無いことだわ。できたらみんなに会って回りたいわよね。イチもそのつもりみたいだし、時間も十分にあるわ。

 だけど出来れば最初にいろいろと内情まで分かっている人に話を聞いておきたいのよね。そう考えてみると一番聞きやすいのはクリストフ殿下になるのかしら?
 まあそうは言ってもせっかくこっちの世界にやって来たんだからいろいろと楽しんでいった方がいいわよね。折角身体も若返ったことだしね。たぶん今晩もイチが求めてくるだろうし・・・。さすがにもう年齢的に着れなくなった服も今なら大丈夫よね?


 冒険者登録の試験で会ったのはユータとカナの二人でかなり驚いたわ。二人ともかなり立派な冒険者になったのね。二人に指導していた頃が懐かしいわ。

 今の時代にこの姿でいることについては時間転移としたんだけど、さすがに異世界という話はしなかったのよね。異世界の知識と言うことを公開してしまった場合、異質な文明をこの世界に持ち込んでしまう可能性があるからね。出来るだけ異質な文明を持ち込まないようにするため、このことについては話さないことに決めたのよね。

 このため持ってきている道具についても基本的に持ち出さないことにしたわ。もし間違ってこちらの世界の人に渡ってしまったらまずいことになってしまうからだ。正直に話してしまいたい気持ちもあるけど、やっぱりこれは譲れないことだった。古代文明が滅びた原因を考えると余計に・・・。


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手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

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