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114. 後日談 鍛冶屋の今
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114. 後日談 鍛冶屋の今
メイサンとルミナと再会してからしばらくは二人も一緒の宿に泊まることになった。というのも二人の住んでいる近くに宿が無くて、折角だからと宿に移ってもらったのだ。ジェンが出来るだけ一緒にいたいと言って譲らなかったからね。
メイサンもかなり身体の調子が良くなってきたようで、一緒に買い物に行ったりもしている。3人で一緒に買い物をしている姿を見ると本当に親子のようだな。年齢的には孫という感じだけどね。
他にもマラルさんやアキラさんにも会っているようだ。こっちに来てから一番楽しそうにしている。こっちも年齢的に親子みたいな感じなので端から見ると変な印象だろうな。
結局10日間もこの町に滞在することになってしまったよ。もう一日、もう一日と引き延ばしていたんだけどきりが無いし、ルミナさんにも発破をかけられていたからね。
オカニウムを出発してから北上していったんアーマトへ寄っていく。前によく泊まっていたカイランの宿に行ってみると、息子のカインが結婚して夫婦できりもみしていた。大きくなったんだなあ。最初に会ったときはほんとうにちっちゃな子供だったのに・・・。息子はカインが小さな頃にそっくりだった。
さすがに素性を明かすわけにもいかないので普通の宿泊客として泊まったんだけど、夕食の時にカインと少し話すことができた。
「お客さんはこの町は初めてかい?」
「ええ、今回は初めてやって来ましたよ。」
「ここは知る人ぞ知る宿なんだぜ。なんせあのアムダの英雄のジュンイチさんが若い頃に長期間泊まっていたところだからな。まあそうは言っても普通の宿なんだがな。
俺も小さい頃には何度か会っていてな、最後にあったときには大きくなったなあと驚かれたもんだよ。奥さんのジェニファーさんはすごい美人でな。最初にジュンイチさんが連れてきたときは驚いたもんだ。ほかに・・・・」
しばらくいろいろと話をして行ったが、ほんとに元気そうだな。こうやって知っている人が自分たちのことを覚えてくれているのはうれしいものだな。
ちなみにカイドルンとランミル夫妻はカイン家族にこの家を譲ってから近くに住んでいるらしく、今も時々手伝いにやって来ているようだ。まだまだ元気らしい。
翌日役場に行って以前お世話になったと言うことでクラーエルと風の翼の話を聞いてみたんだけど、残念ながらクラーエルの二人はすでに亡くなっていた。魔獣に襲われて命を落としたというわけでは無く、普通に寿命という感じらしい。
風の翼のメンバーのうちフェルナーさんはすでに亡くなっており、カルマさんとニックさんは冒険者を引退していた。
フェルナーさんは魔獣との戦いで負った怪我が元で亡くなったみたい。子供達はすでに成人して働いているようだけど、冒険者にはならなかったようだ。
アーマトでは2泊ほどして、昔行っていたお店などを見てまわった。他の町と同じようにかなり変わってしまっているのは仕方が無いだろう。
この後アーマトから西へと向かい、タイガ国との境界にある山脈までやって来た。ここにやって来たのは遺跡の調査のためだ。
実はデリアンさんに分けてもらった資料にこの付近にある連絡通路のことが書かれていた。場所の記載部分は失われていたせいで一般的にはナンホウ大陸で見つかった連絡通路と解釈されていたようだけど、デリアンさんはホクサイ大陸の連絡通路の可能性について記載していた。
一応連絡通路の場所が数字で書かれていたけど、現在もこの数字の意味は解明されていないし、資料の大部分はかけて残っているのは一部だけだから余計に分からないのだろう。
以前に書き写していた地図と地点の数値からヤーマンとタイガ国の間の山脈にある連絡通路と予想できたので、事前にクリスさんに連絡を取り、調査のことは伝えている。
この話をしたときにはやはりこっちにもあったのかいうのが感想だった。まあナンホウ大陸にあれだけ連絡通路があるのにこっちにないというのも変だからね。
ただ、予想される場所がかなり山の奥の方となるので、もし見つかったとしても実際に使えるようになるにはかなりの期間が必要となるかもしれない。タイガ側も結構厳しそうなとこに繋がっていそうだからね。
山の方へと入っていくと、徐々に魔獣のレベルが上がってきた。優階位上位の魔獣までいるので気を抜くと危ない。とはいえ、警戒しながら進むことでこちらが先手を打つことが出来るのでいまのところなんとか倒すことが出来ている。
前回の宿泊は小さな拠点を出して交代で休んでいたけど、いろいろと試した結果、新しく造った拠点なら大丈夫だろうと言うことで今回はこれを使うことにした。まあ今回は周りに人がいることもないだろうからね。
日が落ちる前に十分な広さのある場所を見つけて拠点を出す。拠点は直径20mくらいの円柱状の岩で、高さは8mくらいある。この岩山の2階くらいのところに入口があり、中をくりぬいて部屋にしている。
外壁は加工して自然の岩のままに見えるし、入口は高い位置にあるうえ、ぴったりとはめ込んでいるため、まず知らないと分からない外観となっている。自分たちは飛翔魔法で出入りは自由だ。まあ最悪はしごも用意できるけどね。
魔獣についても認識阻害の魔道具でわかりにくくなっているし、前回確認したときでも問題は無いだろうと言うことになった。まあもし襲われたとしても外壁が厚いからいきなりやられるということもないだろう。外壁の中には炭素繊維を錬金で埋め込んでいるのでかなりの強度になっているしね。
そして中は前の拠点よりも広く造っていて、寝室にリビング、客用の二部屋に台所、トイレにお風呂と贅沢な感じになっている。一応警戒はするけど、ずっと楽になるだろうな。
事前に近くにいる魔獣は退治しておくが、優階位の魔獣の行動範囲は結構広いから安心は出来ない。一応休憩は取るが一人はいつでも対応できるように警戒はしていたけど、やはり前の拠点よりもずっと安心して休むことが出来た。
交替で見張りながら森の中を進むこと10日、やっと目的の場所までやって来たけど、簡単には遺跡は見つからなかった。まあ書かれている位置の数値だとやっぱり範囲はあるからなあ。あと山の中腹がかなり崩れてしまっているのも問題だ。
ナンホウ大陸の連絡通路はありそうな場所がかなり限定されていたのでわかりやすかったんだけど、こっちは結構な範囲が崖になっているので簡単には分からない。
おおよその当たりを付けてから地中の探査をやっていくとそれらしきものを発見する。探知が出来ないものが広範囲にわたっていあるのである意味分かりやすい。岩を除いたりして掘り進むとやっと遺跡のようなものが見えてきた。
さらに掘り進んでやっと空洞部分に到達できた。中から空気の流れは感じることが出来るが、特に魔獣の気配は感じない。
中に入ってみると、壁の一部が崩落しているところもあって結構厳しい状態だ。さすがにこのまま進むのも怖いので、いったん休憩を取って、十分に休養してから調査を開始する。
さすがに崩落したら危ないので、道しるべの玉を持って移動するしかない。もしもの時は転移すればいいからね。途中完全に土砂が落ちて埋まってしまっているところもあって掘り進みながらの移動となったが、さすがにこの中で寝るのは怖いのでひたすら歩いて行く。
しかし、いままで発見した中で一番状態が悪い。使えるようになるまでかなり時間がかかりそうだ。壁とかも強化しなおさないととてもではないけど使えないよな。まあ一から掘るよりは断然楽だろうけどね。
寝ないでひたすら歩き続け、なんとか反対側に出たときには二日経っていた。きつい・・・。辺りを見てみるとやはり優階位の魔獣の気配がする。すぐ近くはいないけど、これはまずいな。とりあえず拠点を出して交代で仮眠を取った。
このあと魔獣を討伐しながら森を進み、森を抜けたときにはすでに15日経っていた。結局ここに来るまでに1ヶ月近くもかかってしまったよ。
ここからタイガにある龍のいるところの近くにある町、チルトへ。ここの役場に行ってクリスさんに連絡を取ってみる。
「クリスさん、お久しぶりです。さっそくですが用件に入って良いですか?」
通話にかかる費用も馬鹿にならないのですぐに本題に入る。
「わかった。連絡があったと言うことは見つかったと言うことなのか?」
「ええ、なんとか発見してタイガ国にやってこれました。今いるのはタイガのチルトという町です。」
「さすがジュンイチ達だな。まさか本当に見つけてくるとは・・・。」
「ええ、ただそれほど喜ばしい話ばかりではありません。実は・・・」
とりあえずおおよその位置と周りの状況、連絡通路の状況について説明する。細かなものについてはあとで書面でも送ることにしているが、場所については目印としておいてきた魔道具について説明をしておいた。
「状況は分かった。個人でどうにかなる話ではなさそうなので、兄にも相談してタイガ国との共同事業として進める方向で考えるよ。
報酬については事前に話していたものでいいのか?」
「ええ、それで大丈夫ですよ。それではまたそちらに行ったときには顔を出しますね。」
「ああ、待ってるよ。」
場所や状況を考えると、1、2年で使えるようになるとは思えないよな。まああとは経済性のメリットとの天秤になるだろうけど、ナンホウ大陸よりも価値は低そうなんだよなあ。
事前にヤーマン国からの依頼で山越えをしてきたということにしていたので手続きは特に困らなかった。狩ってきた優階位の魔獣を出したら納得してくれたしね。まあ冒険者の階位は良階位だからかなり驚かれたけどね。かなりの実績ポイントになりそうだ。
~~クリストフ王爵Side~~
サビオニアに行った二人から定期的に連絡は受けていたんだが、またとんでもないものを見つけたと連絡が入った。なんとヤーマンとタイガの間にある山脈を貫く連絡通路だ。
もともとナンホウ大陸での連絡通路が公開されたときにホクサイ大陸でもあるのではないかという話は持ち上がった。このため何度か調査が行われたが、手がかりすら見つからなかった。
今回遺跡の文献で連絡通路のことが書かれているようなので調査に行ってくると連絡があり、それから2ヶ月ほどで発見したと連絡があったのは驚きだった。
ただ連絡通路の状態がかなり悪いこと、出入り口付近には優階位の魔獣が多く生息しているため、すぐに使用できるものではない事などを説明された。それでも大きな発見だ。
場所については事前に話していたとおり調査は出来そうなので早めに調査隊を組織しなければならない。いや、それより前にまずは兄に相談だろう。タイガにも連絡を取らないといけないからな。
戻ってきて早々にこれだけの偉業を成し遂げるとは、相変わらずだな・・・。二人の冒険譚はかなり創作のところも多いが、実際にはそれ以上に事もやって来ているからな。
~~~~~
タイガではいろいろと寄り道をしてハクセンまでやって来た。ハクセン国に入る国境の入口は今も貴族用と平民用に別れているけど、かなり簡素化されているのでどちらも行列があるわけではない。ただし入国のチェックがあるので、貴族籍がある人は貴族用の通路を通るように言われている。
入国してからまずはカルマの鍛冶屋へと向かう。鍛冶屋の場所は変わっていなかったんだけど、建物はさらに立派になっていた。かなり繁盛しているんだろうなあ。お店には多くの兵士や冒険者と思われる人たちがやってきていた。
とりあえずカルマさんのことを聞くことにするか。
「すみません、親方のカルマさんは今いらっしゃいますか?装備のことについて相談したいのですが?」
「えっと、装備の依頼でしょうか?申し訳ありませんが、今工房への依頼は1年先まで予約がいっぱいなのです。あと、カルマ大親方への依頼は現在受け付けていないんですよ。申し訳ありません。」
今は大親方とか言われているのか・・・。
「いえ、この武器を製作してもらったものですが、少し話が出来ないかと思いまして・・・。」
そう言って持っていた剣を見せる。これを見ればここで作ったと言うことは分かるはずだ。マニュアル通りのような対応をしていたのだが、剣の柄の部分を見て驚愕していた。
「こ、これは・・・。
す、すみません。少し確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言われたので渡して見てもらうことにした。
「・・・間違いなくナンバー品!!
しょ、少々お待ちください。」
このナンバー品というのはここにお世話になった時にカルマさんと話をしたものだ。本人の気に入ったものだけになにか印を付けてみたらどうかと話をしたのだ。付けるのは買ってもらった本人と造ったものが気に入ったときだけで、うれしいことに最初に自分たちのものに付けてくれたものだ。
このことは公にされておらず、模様の入ったものはできのいい物だけという認識で通っており、詳細に知っているのはかなり限られた人間だけとなっている。
しばらくすると先ほどの女性がカルマさんを連れて戻ってきた。カルマさんもかなり年を取ったなあ・・・。こっちをみて少し驚いた顔をしている。
「ナンバー品を持ったやつというのはこっちの客か?」
「ええ、そうです。詳細はまだ聞いていませんが、まずは確認してもらった方が良いかと思いまして・・・。」
「すまんが、その装備を見せてもらうことは出来るか?」
そういって剣をみると、目を見開いてこっちを見てきた。
「わかった。とりあえず詳しい話を聞きたいのでこっちの部屋に来てもらっていいか?」
そういうと先に歩き出したので、受付の女性にお礼を言ってから慌てて付いていく。部屋に入るとなにやらスイッチを入れていた。
「すまんな、うかつに言うと面倒なことになりそうだったんでな。ここなら外に音は漏れないぞ。かなり特殊な魔道具だからな」
「まだこの魔道具を使っていたんですね。よかった壊れていなくて・・・。」
「うん?この魔道具の話も聞いていたのか?
それでアムダの英雄の二人の装備を持っているというのはどういうことなのか聞いておこう。どこまで話しを知っているのかはわからないが、場合によっては通報させてもらうことになるぞ。
見た感じからして二人の子供なのか?しかし二人の子供がいたという話は聞いたことがなかったんだがな。」
「あらためて、お久しぶりです、カルマさん。お元気そうで何よりです。」
そう言って変装の魔道具を外す。
「ジュ、ジュンイチとジェニファー??」
「ええ、いろいろあって・・・」
今回の事について説明するとさすがに驚いていた。まあ仕方が無いだろう。ただ前にあったいろいろなことを話すと信じてくれたようだ。
「それで今回来たのはこの装備の手入れをしてほしいからなんです。そこまで手入れはいらないものとは聞いていますが、なかなか頼める人もいなくて困っていたんですよ。」
「わかった、任せとけ。ナンバー品については最優先でやることになっているからな。たださすがに今日明日というわけにもいかんから少し待ってもらうことになるぞ。」
「それは大丈夫です。せっかくなので少しお手伝いしましょうか?」
「それは助かるが、いいのか?英雄の二人に手伝ってもらうというのは気が引けるんだが・・・。」
「それは気にしないでください。ここでは自分たちはあくまで見習いみたいなものですから。ただあまりこのことは広めたくないのですが、あの当時のメンバーはまだいらっしゃいますか?」
「あのときの主要メンバーではムワニは今は王都に出した支店に移動してな、そこにカルキアたち数人がついて行っている。
実はあれからも兵士からの依頼も多くて、手入れを考えるとさすがに毎回ここに来るというわけにもいかなくてな。いろいろと融通してくれたこともあって支店を出すことにしたんだ。
お前がよく知っているタルトは今はここで親方として指揮を執ってるぞ。息子もここで働いているからな。ゆくゆくはここを継がせようと考えているんだ。」
「タルトさん、そこまで成長したんですね。」
「ああ、お前達に刺激を受けたみたいでな。いつか自分も英雄のための装備を造ってみたいとかなりがんばっていたな。それもあって一気に成長した感じだったよ。今ではものによっては俺のものよりもいい物を造るようになってるからな。」
「そうなのですね。タルトさんには話した方がいいかなあ?」
翌日からは短期的な体験と言うことで働かせてもらったけど、自分たちの実力には結構驚いていた。まあそうは言っても出来るのはミスリルまでなんだけどね。
地球に戻ったときに向こうでもいろいろと体験していたのが役にたったのだろう。日本刀を打ったりもしていたからね。向こうでは魔力の操作がかなり難しかったのでいろいろと調整する能力は上がっていたと思う。
~タルトSide~
ジュンイチとジェニファーが亡くなったことを聞いた。アムダという古代兵器の討伐に参加して身を挺して倒したと言うことだった。
二人がいなかったら倒すことが出来なかったし、倒せていなかったらへたすればこの世界がまた滅びていたかもしれないと言われている。そのため二人はアムダの英雄と言われるようになった。
二人の話が伝わり、多くの伝記が書かれた。その中でうちの鍛冶屋のことも取り上げられ、多くのお客が訪れることになった。
そしてカルマ親方はなんと国から褒賞を受けるという前代未聞の事が起きた。ただの町の鍛冶屋が褒賞を受けるというのはこの国始まって以来初めてのことだ。どうやらジュンイチ達の知り合いらしい貴族達がいろいろと動いてくれていたようだ。
それからも多くの注文を受けることになり、いろいろと話し合った結果、王都に支店を出すことになった。場所などはかなりいいところを準備してくれたのはきっと例の人たちの力なのだろう。責任者としてムニワさん達が行くことになったが、俺はここに残ることにした。
俺も王都に言った連中には負けられないと今まで以上に真剣に取り組んだ。そして10年ほどした頃に、この店を任されるようになった。カルマ親方も引退したわけではないが、依頼を受けるのは特別なものだけだったので、実質は俺がメインでやるしかなかった。俺の代になって腕が落ちたと言われるのがいやで今まで以上にがんばった。
知り合いの紹介で結婚した嫁の間に息子3人と娘一人を授かり、そのうち息子二人が鍛冶をやってくれることになったが、腕の方はまだまだだ。どうもまだ集中力に欠けることがあるが、いずれは成長してほしいものだ。
それからさらに10年ほど経ち、カルマ親方も半分隠居して、気に入った注文のみを受けるようになっていた。まだまだ俺以上の腕は持っているが、やはり体力的にきついようだ。
ある日、カルマ親方から突然「短期的な研修を受け入れる」と言われて驚いた。今までも受け入れはやったことはあるが、かなり審査が厳しくてなかなか受け入れられない上に最低限3ヶ月は受け入れることが前提だ。
それが特に審査もなく、1週間くらいという話を聞いて驚いた。どうやら昔からの知り合いと言うことらしいが、珍しいこともあるものだ。
最初にみんなへの紹介となったが、一人は女性だったので男連中のテンションがかなり上がっていた。ただ二人が夫婦と言うことで落ちこんでいたけどな。
ジェニファーさんがここで鍛冶をやっていたと言うことでいまでは女性鍛冶も増えてきているがまだ少数派だ。しかもここまでの美人だと余計にテンションは上がるだろう。
しかしその腕には驚きを隠せなかった。息子達と同じくらいの年齢なのに実力はかなりのものだったからだ。うちの店の中でもかなり上位に入る腕だろう。
しかもこの二人の雰囲気がなにか懐かしさを感じる。そう思っていると、カルマ親方に夕食に誘われて二人もやって来た。珍しいこともあるものだと思ったが、そこで衝撃のことを聞いた。
「お久しぶりです。」と挨拶された後、魔道具の変装をとくとそこには懐かしい顔があったのだ。生きていたのか?話しを聞いてとんでもない話だけど納得できた。というよりも納得せざるを得ないだろう。
その日はカルマ親方を交えておいしい酒を飲んだ。いろいろと昔話や失敗談など懐かしい話をした。二人と再会できるとは思ってもみなかったことだ。
二人の実力を見た息子達はかなり衝撃を受けていた。俺もそんな感じだったからなあと懐かしく思ってしまう。いろいろと話しを聞いているが、これがいいきっかけになってくれるといいんだがな。
メイサンとルミナと再会してからしばらくは二人も一緒の宿に泊まることになった。というのも二人の住んでいる近くに宿が無くて、折角だからと宿に移ってもらったのだ。ジェンが出来るだけ一緒にいたいと言って譲らなかったからね。
メイサンもかなり身体の調子が良くなってきたようで、一緒に買い物に行ったりもしている。3人で一緒に買い物をしている姿を見ると本当に親子のようだな。年齢的には孫という感じだけどね。
他にもマラルさんやアキラさんにも会っているようだ。こっちに来てから一番楽しそうにしている。こっちも年齢的に親子みたいな感じなので端から見ると変な印象だろうな。
結局10日間もこの町に滞在することになってしまったよ。もう一日、もう一日と引き延ばしていたんだけどきりが無いし、ルミナさんにも発破をかけられていたからね。
オカニウムを出発してから北上していったんアーマトへ寄っていく。前によく泊まっていたカイランの宿に行ってみると、息子のカインが結婚して夫婦できりもみしていた。大きくなったんだなあ。最初に会ったときはほんとうにちっちゃな子供だったのに・・・。息子はカインが小さな頃にそっくりだった。
さすがに素性を明かすわけにもいかないので普通の宿泊客として泊まったんだけど、夕食の時にカインと少し話すことができた。
「お客さんはこの町は初めてかい?」
「ええ、今回は初めてやって来ましたよ。」
「ここは知る人ぞ知る宿なんだぜ。なんせあのアムダの英雄のジュンイチさんが若い頃に長期間泊まっていたところだからな。まあそうは言っても普通の宿なんだがな。
俺も小さい頃には何度か会っていてな、最後にあったときには大きくなったなあと驚かれたもんだよ。奥さんのジェニファーさんはすごい美人でな。最初にジュンイチさんが連れてきたときは驚いたもんだ。ほかに・・・・」
しばらくいろいろと話をして行ったが、ほんとに元気そうだな。こうやって知っている人が自分たちのことを覚えてくれているのはうれしいものだな。
ちなみにカイドルンとランミル夫妻はカイン家族にこの家を譲ってから近くに住んでいるらしく、今も時々手伝いにやって来ているようだ。まだまだ元気らしい。
翌日役場に行って以前お世話になったと言うことでクラーエルと風の翼の話を聞いてみたんだけど、残念ながらクラーエルの二人はすでに亡くなっていた。魔獣に襲われて命を落としたというわけでは無く、普通に寿命という感じらしい。
風の翼のメンバーのうちフェルナーさんはすでに亡くなっており、カルマさんとニックさんは冒険者を引退していた。
フェルナーさんは魔獣との戦いで負った怪我が元で亡くなったみたい。子供達はすでに成人して働いているようだけど、冒険者にはならなかったようだ。
アーマトでは2泊ほどして、昔行っていたお店などを見てまわった。他の町と同じようにかなり変わってしまっているのは仕方が無いだろう。
この後アーマトから西へと向かい、タイガ国との境界にある山脈までやって来た。ここにやって来たのは遺跡の調査のためだ。
実はデリアンさんに分けてもらった資料にこの付近にある連絡通路のことが書かれていた。場所の記載部分は失われていたせいで一般的にはナンホウ大陸で見つかった連絡通路と解釈されていたようだけど、デリアンさんはホクサイ大陸の連絡通路の可能性について記載していた。
一応連絡通路の場所が数字で書かれていたけど、現在もこの数字の意味は解明されていないし、資料の大部分はかけて残っているのは一部だけだから余計に分からないのだろう。
以前に書き写していた地図と地点の数値からヤーマンとタイガ国の間の山脈にある連絡通路と予想できたので、事前にクリスさんに連絡を取り、調査のことは伝えている。
この話をしたときにはやはりこっちにもあったのかいうのが感想だった。まあナンホウ大陸にあれだけ連絡通路があるのにこっちにないというのも変だからね。
ただ、予想される場所がかなり山の奥の方となるので、もし見つかったとしても実際に使えるようになるにはかなりの期間が必要となるかもしれない。タイガ側も結構厳しそうなとこに繋がっていそうだからね。
山の方へと入っていくと、徐々に魔獣のレベルが上がってきた。優階位上位の魔獣までいるので気を抜くと危ない。とはいえ、警戒しながら進むことでこちらが先手を打つことが出来るのでいまのところなんとか倒すことが出来ている。
前回の宿泊は小さな拠点を出して交代で休んでいたけど、いろいろと試した結果、新しく造った拠点なら大丈夫だろうと言うことで今回はこれを使うことにした。まあ今回は周りに人がいることもないだろうからね。
日が落ちる前に十分な広さのある場所を見つけて拠点を出す。拠点は直径20mくらいの円柱状の岩で、高さは8mくらいある。この岩山の2階くらいのところに入口があり、中をくりぬいて部屋にしている。
外壁は加工して自然の岩のままに見えるし、入口は高い位置にあるうえ、ぴったりとはめ込んでいるため、まず知らないと分からない外観となっている。自分たちは飛翔魔法で出入りは自由だ。まあ最悪はしごも用意できるけどね。
魔獣についても認識阻害の魔道具でわかりにくくなっているし、前回確認したときでも問題は無いだろうと言うことになった。まあもし襲われたとしても外壁が厚いからいきなりやられるということもないだろう。外壁の中には炭素繊維を錬金で埋め込んでいるのでかなりの強度になっているしね。
そして中は前の拠点よりも広く造っていて、寝室にリビング、客用の二部屋に台所、トイレにお風呂と贅沢な感じになっている。一応警戒はするけど、ずっと楽になるだろうな。
事前に近くにいる魔獣は退治しておくが、優階位の魔獣の行動範囲は結構広いから安心は出来ない。一応休憩は取るが一人はいつでも対応できるように警戒はしていたけど、やはり前の拠点よりもずっと安心して休むことが出来た。
交替で見張りながら森の中を進むこと10日、やっと目的の場所までやって来たけど、簡単には遺跡は見つからなかった。まあ書かれている位置の数値だとやっぱり範囲はあるからなあ。あと山の中腹がかなり崩れてしまっているのも問題だ。
ナンホウ大陸の連絡通路はありそうな場所がかなり限定されていたのでわかりやすかったんだけど、こっちは結構な範囲が崖になっているので簡単には分からない。
おおよその当たりを付けてから地中の探査をやっていくとそれらしきものを発見する。探知が出来ないものが広範囲にわたっていあるのである意味分かりやすい。岩を除いたりして掘り進むとやっと遺跡のようなものが見えてきた。
さらに掘り進んでやっと空洞部分に到達できた。中から空気の流れは感じることが出来るが、特に魔獣の気配は感じない。
中に入ってみると、壁の一部が崩落しているところもあって結構厳しい状態だ。さすがにこのまま進むのも怖いので、いったん休憩を取って、十分に休養してから調査を開始する。
さすがに崩落したら危ないので、道しるべの玉を持って移動するしかない。もしもの時は転移すればいいからね。途中完全に土砂が落ちて埋まってしまっているところもあって掘り進みながらの移動となったが、さすがにこの中で寝るのは怖いのでひたすら歩いて行く。
しかし、いままで発見した中で一番状態が悪い。使えるようになるまでかなり時間がかかりそうだ。壁とかも強化しなおさないととてもではないけど使えないよな。まあ一から掘るよりは断然楽だろうけどね。
寝ないでひたすら歩き続け、なんとか反対側に出たときには二日経っていた。きつい・・・。辺りを見てみるとやはり優階位の魔獣の気配がする。すぐ近くはいないけど、これはまずいな。とりあえず拠点を出して交代で仮眠を取った。
このあと魔獣を討伐しながら森を進み、森を抜けたときにはすでに15日経っていた。結局ここに来るまでに1ヶ月近くもかかってしまったよ。
ここからタイガにある龍のいるところの近くにある町、チルトへ。ここの役場に行ってクリスさんに連絡を取ってみる。
「クリスさん、お久しぶりです。さっそくですが用件に入って良いですか?」
通話にかかる費用も馬鹿にならないのですぐに本題に入る。
「わかった。連絡があったと言うことは見つかったと言うことなのか?」
「ええ、なんとか発見してタイガ国にやってこれました。今いるのはタイガのチルトという町です。」
「さすがジュンイチ達だな。まさか本当に見つけてくるとは・・・。」
「ええ、ただそれほど喜ばしい話ばかりではありません。実は・・・」
とりあえずおおよその位置と周りの状況、連絡通路の状況について説明する。細かなものについてはあとで書面でも送ることにしているが、場所については目印としておいてきた魔道具について説明をしておいた。
「状況は分かった。個人でどうにかなる話ではなさそうなので、兄にも相談してタイガ国との共同事業として進める方向で考えるよ。
報酬については事前に話していたものでいいのか?」
「ええ、それで大丈夫ですよ。それではまたそちらに行ったときには顔を出しますね。」
「ああ、待ってるよ。」
場所や状況を考えると、1、2年で使えるようになるとは思えないよな。まああとは経済性のメリットとの天秤になるだろうけど、ナンホウ大陸よりも価値は低そうなんだよなあ。
事前にヤーマン国からの依頼で山越えをしてきたということにしていたので手続きは特に困らなかった。狩ってきた優階位の魔獣を出したら納得してくれたしね。まあ冒険者の階位は良階位だからかなり驚かれたけどね。かなりの実績ポイントになりそうだ。
~~クリストフ王爵Side~~
サビオニアに行った二人から定期的に連絡は受けていたんだが、またとんでもないものを見つけたと連絡が入った。なんとヤーマンとタイガの間にある山脈を貫く連絡通路だ。
もともとナンホウ大陸での連絡通路が公開されたときにホクサイ大陸でもあるのではないかという話は持ち上がった。このため何度か調査が行われたが、手がかりすら見つからなかった。
今回遺跡の文献で連絡通路のことが書かれているようなので調査に行ってくると連絡があり、それから2ヶ月ほどで発見したと連絡があったのは驚きだった。
ただ連絡通路の状態がかなり悪いこと、出入り口付近には優階位の魔獣が多く生息しているため、すぐに使用できるものではない事などを説明された。それでも大きな発見だ。
場所については事前に話していたとおり調査は出来そうなので早めに調査隊を組織しなければならない。いや、それより前にまずは兄に相談だろう。タイガにも連絡を取らないといけないからな。
戻ってきて早々にこれだけの偉業を成し遂げるとは、相変わらずだな・・・。二人の冒険譚はかなり創作のところも多いが、実際にはそれ以上に事もやって来ているからな。
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タイガではいろいろと寄り道をしてハクセンまでやって来た。ハクセン国に入る国境の入口は今も貴族用と平民用に別れているけど、かなり簡素化されているのでどちらも行列があるわけではない。ただし入国のチェックがあるので、貴族籍がある人は貴族用の通路を通るように言われている。
入国してからまずはカルマの鍛冶屋へと向かう。鍛冶屋の場所は変わっていなかったんだけど、建物はさらに立派になっていた。かなり繁盛しているんだろうなあ。お店には多くの兵士や冒険者と思われる人たちがやってきていた。
とりあえずカルマさんのことを聞くことにするか。
「すみません、親方のカルマさんは今いらっしゃいますか?装備のことについて相談したいのですが?」
「えっと、装備の依頼でしょうか?申し訳ありませんが、今工房への依頼は1年先まで予約がいっぱいなのです。あと、カルマ大親方への依頼は現在受け付けていないんですよ。申し訳ありません。」
今は大親方とか言われているのか・・・。
「いえ、この武器を製作してもらったものですが、少し話が出来ないかと思いまして・・・。」
そう言って持っていた剣を見せる。これを見ればここで作ったと言うことは分かるはずだ。マニュアル通りのような対応をしていたのだが、剣の柄の部分を見て驚愕していた。
「こ、これは・・・。
す、すみません。少し確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言われたので渡して見てもらうことにした。
「・・・間違いなくナンバー品!!
しょ、少々お待ちください。」
このナンバー品というのはここにお世話になった時にカルマさんと話をしたものだ。本人の気に入ったものだけになにか印を付けてみたらどうかと話をしたのだ。付けるのは買ってもらった本人と造ったものが気に入ったときだけで、うれしいことに最初に自分たちのものに付けてくれたものだ。
このことは公にされておらず、模様の入ったものはできのいい物だけという認識で通っており、詳細に知っているのはかなり限られた人間だけとなっている。
しばらくすると先ほどの女性がカルマさんを連れて戻ってきた。カルマさんもかなり年を取ったなあ・・・。こっちをみて少し驚いた顔をしている。
「ナンバー品を持ったやつというのはこっちの客か?」
「ええ、そうです。詳細はまだ聞いていませんが、まずは確認してもらった方が良いかと思いまして・・・。」
「すまんが、その装備を見せてもらうことは出来るか?」
そういって剣をみると、目を見開いてこっちを見てきた。
「わかった。とりあえず詳しい話を聞きたいのでこっちの部屋に来てもらっていいか?」
そういうと先に歩き出したので、受付の女性にお礼を言ってから慌てて付いていく。部屋に入るとなにやらスイッチを入れていた。
「すまんな、うかつに言うと面倒なことになりそうだったんでな。ここなら外に音は漏れないぞ。かなり特殊な魔道具だからな」
「まだこの魔道具を使っていたんですね。よかった壊れていなくて・・・。」
「うん?この魔道具の話も聞いていたのか?
それでアムダの英雄の二人の装備を持っているというのはどういうことなのか聞いておこう。どこまで話しを知っているのかはわからないが、場合によっては通報させてもらうことになるぞ。
見た感じからして二人の子供なのか?しかし二人の子供がいたという話は聞いたことがなかったんだがな。」
「あらためて、お久しぶりです、カルマさん。お元気そうで何よりです。」
そう言って変装の魔道具を外す。
「ジュ、ジュンイチとジェニファー??」
「ええ、いろいろあって・・・」
今回の事について説明するとさすがに驚いていた。まあ仕方が無いだろう。ただ前にあったいろいろなことを話すと信じてくれたようだ。
「それで今回来たのはこの装備の手入れをしてほしいからなんです。そこまで手入れはいらないものとは聞いていますが、なかなか頼める人もいなくて困っていたんですよ。」
「わかった、任せとけ。ナンバー品については最優先でやることになっているからな。たださすがに今日明日というわけにもいかんから少し待ってもらうことになるぞ。」
「それは大丈夫です。せっかくなので少しお手伝いしましょうか?」
「それは助かるが、いいのか?英雄の二人に手伝ってもらうというのは気が引けるんだが・・・。」
「それは気にしないでください。ここでは自分たちはあくまで見習いみたいなものですから。ただあまりこのことは広めたくないのですが、あの当時のメンバーはまだいらっしゃいますか?」
「あのときの主要メンバーではムワニは今は王都に出した支店に移動してな、そこにカルキアたち数人がついて行っている。
実はあれからも兵士からの依頼も多くて、手入れを考えるとさすがに毎回ここに来るというわけにもいかなくてな。いろいろと融通してくれたこともあって支店を出すことにしたんだ。
お前がよく知っているタルトは今はここで親方として指揮を執ってるぞ。息子もここで働いているからな。ゆくゆくはここを継がせようと考えているんだ。」
「タルトさん、そこまで成長したんですね。」
「ああ、お前達に刺激を受けたみたいでな。いつか自分も英雄のための装備を造ってみたいとかなりがんばっていたな。それもあって一気に成長した感じだったよ。今ではものによっては俺のものよりもいい物を造るようになってるからな。」
「そうなのですね。タルトさんには話した方がいいかなあ?」
翌日からは短期的な体験と言うことで働かせてもらったけど、自分たちの実力には結構驚いていた。まあそうは言っても出来るのはミスリルまでなんだけどね。
地球に戻ったときに向こうでもいろいろと体験していたのが役にたったのだろう。日本刀を打ったりもしていたからね。向こうでは魔力の操作がかなり難しかったのでいろいろと調整する能力は上がっていたと思う。
~タルトSide~
ジュンイチとジェニファーが亡くなったことを聞いた。アムダという古代兵器の討伐に参加して身を挺して倒したと言うことだった。
二人がいなかったら倒すことが出来なかったし、倒せていなかったらへたすればこの世界がまた滅びていたかもしれないと言われている。そのため二人はアムダの英雄と言われるようになった。
二人の話が伝わり、多くの伝記が書かれた。その中でうちの鍛冶屋のことも取り上げられ、多くのお客が訪れることになった。
そしてカルマ親方はなんと国から褒賞を受けるという前代未聞の事が起きた。ただの町の鍛冶屋が褒賞を受けるというのはこの国始まって以来初めてのことだ。どうやらジュンイチ達の知り合いらしい貴族達がいろいろと動いてくれていたようだ。
それからも多くの注文を受けることになり、いろいろと話し合った結果、王都に支店を出すことになった。場所などはかなりいいところを準備してくれたのはきっと例の人たちの力なのだろう。責任者としてムニワさん達が行くことになったが、俺はここに残ることにした。
俺も王都に言った連中には負けられないと今まで以上に真剣に取り組んだ。そして10年ほどした頃に、この店を任されるようになった。カルマ親方も引退したわけではないが、依頼を受けるのは特別なものだけだったので、実質は俺がメインでやるしかなかった。俺の代になって腕が落ちたと言われるのがいやで今まで以上にがんばった。
知り合いの紹介で結婚した嫁の間に息子3人と娘一人を授かり、そのうち息子二人が鍛冶をやってくれることになったが、腕の方はまだまだだ。どうもまだ集中力に欠けることがあるが、いずれは成長してほしいものだ。
それからさらに10年ほど経ち、カルマ親方も半分隠居して、気に入った注文のみを受けるようになっていた。まだまだ俺以上の腕は持っているが、やはり体力的にきついようだ。
ある日、カルマ親方から突然「短期的な研修を受け入れる」と言われて驚いた。今までも受け入れはやったことはあるが、かなり審査が厳しくてなかなか受け入れられない上に最低限3ヶ月は受け入れることが前提だ。
それが特に審査もなく、1週間くらいという話を聞いて驚いた。どうやら昔からの知り合いと言うことらしいが、珍しいこともあるものだ。
最初にみんなへの紹介となったが、一人は女性だったので男連中のテンションがかなり上がっていた。ただ二人が夫婦と言うことで落ちこんでいたけどな。
ジェニファーさんがここで鍛冶をやっていたと言うことでいまでは女性鍛冶も増えてきているがまだ少数派だ。しかもここまでの美人だと余計にテンションは上がるだろう。
しかしその腕には驚きを隠せなかった。息子達と同じくらいの年齢なのに実力はかなりのものだったからだ。うちの店の中でもかなり上位に入る腕だろう。
しかもこの二人の雰囲気がなにか懐かしさを感じる。そう思っていると、カルマ親方に夕食に誘われて二人もやって来た。珍しいこともあるものだと思ったが、そこで衝撃のことを聞いた。
「お久しぶりです。」と挨拶された後、魔道具の変装をとくとそこには懐かしい顔があったのだ。生きていたのか?話しを聞いてとんでもない話だけど納得できた。というよりも納得せざるを得ないだろう。
その日はカルマ親方を交えておいしい酒を飲んだ。いろいろと昔話や失敗談など懐かしい話をした。二人と再会できるとは思ってもみなかったことだ。
二人の実力を見た息子達はかなり衝撃を受けていた。俺もそんな感じだったからなあと懐かしく思ってしまう。いろいろと話しを聞いているが、これがいいきっかけになってくれるといいんだがな。
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