銀の花は運命に微笑む

深緋莉楓

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 消毒薬に全身浸かっているような不快感と、迫り上がってくる吐き気に橋垣尚哉はたまらずトイレに駆け込んだ。
「うぅ」
 今度は消毒液に消臭芳香剤の臭いが全身を下から上へと撫で上げるような感覚に慌てて目の前のドアをノックして、個室に入ると鍵をかける暇もなく、顔を突き出して嘔吐した。寝起きに飲んだ水に混じった自身の胃液の臭いに更に吐き気が波のように何度も押し寄せる。
 ひとしきり吐いてコックを捻ると、乱暴にハンカチで鼻と口を覆って、申し訳なく思った。本当はトイレで、持参していたエチケット袋に吐こうと思っていたのだが、芳香剤の匂いのキツさに耐えきれず便器に出してしまった。待合室に戻る際に看護師に伝えなくては、と思いトイレから出た尚哉は再び消毒液を全身に浴びているような気持ちになり、暗い気持ちで受付に向かった。
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