偽りの聖女に断罪された本物の聖女、神と騎士に愛される

林 真帆

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プロローグ

第3話 忠誠の騎士

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 王都の夜風が柔らかく街を撫でる中、セシリアは神殿の中庭から星空を見上げていた。
 

   祝福の光に包まれた広場で見かけた、あの少女――リディアの姿。どうしてあんなところにいたのだろうと、胸に小さなざわめきが残っている。あの時間帯、リディアには神殿内で務めがあったはず。

「予定が変わったのかしら……」

 祈りを捧げながらも、心のどこかで違和感が消えない。広場の賑わいの中で、笑みを浮かべていたあの少女の視線が、今でも頭から離れないのだ。

 そのとき、神殿と中庭を繋ぐ扉が静かに開き、重厚な鎧に身を包んだ男が姿を現した。


「セシリア様、夜分に失礼します」

 
 振り返ると、そこに立っていたのはレオンハルト・フォン・ヴァルデン――王都でも名高い忠誠心に篤い騎士だった。


「レオンハルト……?」
 
 セシリアは少し驚きながらも自然に微笑む。


「どうしてここに?」


「お見回りの途中で、貴女の姿を見かけました。今晩の夜風はお身体を冷やします」
 

 その目はただただ純粋にセシリア自身を真っ直ぐに見据えていた。


 レオンハルトは静かに膝をつき、セシリアの言葉を待った。


「ありがとう、レオンハルト……気遣ってくれて」


 皇太子と婚約をしているにも関わらず、一抹の不安が拭い去れない。だが、忠誠を誓う騎士がそばにいる――それだけで、不思議とどんな不安にも立ち向かえる勇気が湧くのだった。

 
 そして、神殿の窓の向こうでは、リディアと母ルシアの影が静かに次の策を巡らせていた。
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