起源召喚士〜魔法が使えないと宣言されたのに召喚魔法に目覚めた件〜

ユズル

文字の大きさ
18 / 53
騎士団入団

試合開始!

しおりを挟む
「うおおおおおおおお!?」



「ほらぁ!さっきまでの威勢はどうしたぁ!?」



 試合開始早々。ソウルはフィールドを逃げ回っていた。


 エドワードの手から風の渦が出現し、次々にソウルへと飛来する。

 それはコロシアムの壁を抉り、綺麗な円の跡を残していく。

「くっそ、よりによって【トルネード】かよ!?」

 逃げ回るソウルは悲鳴を上げる。

 【ファイアボール】などの単発魔法であれば、距離を詰めて行くことが出来るのだが、【トルネード】は、広い範囲への攻撃を得意としており、打つだけでソウルが近づく隙ができない。

 そして、エドワードはソウルに接近の隙を与えないようにそれを次々に連発していた。

「ちゃんと考えて魔法を選んでやがるな」

 この闘技場に身を隠すための障害物はない。これではソウルの攻め方も限られる。

 しかもそこに広範囲魔法を連続で展開されると完全に飛び込む余裕がなくなってくる。

 エドワードはそこまで考えた上でトルネードの魔法でソウルを追い詰めていた。

 観客は逃げ惑うソウルを笑いながらエドワードに「いいぞ!もっとやれ!」と野次を飛ばしている。

 試合を監督する審判も呆れたように試合を見ており、次の試合の準備を始めている者までいる始末だった。

「痛い目を見たくなければ、さっさと諦めるんだな!【トルネード】!!」

「くっ……そおおおおおおおおおおおおお!?!?」

 また放たれた風の渦を横っ飛びで躱しながらソウルは悲鳴をあげる。

 ドゴオオオン!!

 空を切った風の渦はフィールドの壁を砕き、その衝撃でソウルは地を転がった。

「……なぁ!エドワードよぉ!!」

「なんだ!?」

 ソウルは体勢を立て直しつつトルネードが抉った爪痕を眺めてエドワードに話しかける。

「おまえ、ちゃんと強いじゃねぇか!なんでこんなせこい方法使ってまで俺と戦うことを選んだんだ!?」

「確実に騎士団に入るためだ!!」

 エドワードはさらにトルネードをソウルに放ちながら叫ぶ。

「僕は貴族として騎士団に入団しなければならない!」

「それだけか!?」

 ソウルはまた横に飛んで魔法を回避しながら尋ねる。

「そうだ!それだけが今僕にとっての全てだ!」

 そんなソウルに叫びながらまたエドワードはマナを溜める。

「……そうか」

 対するソウルは黒剣を抜いてエドワードを睨む。



「だったら……お前は俺に勝てねぇよ」



 突然の勝利宣言。

 ソウルのその言葉に目を丸くしたエドワードは鼻で笑う。

「はっ、逃げ惑うだけのお前に何が出来る!?」

 エドワードはさらにトルネードを放ち、ソウルをフィールドの端へと追いやる。逃げ道さえ無くしてしまえばソウルに勝ち目はない。

「しまっ!?」

「僕は、負ける訳にはいかないんだ!!!!」

 【トルネード】

 トドメの一撃。エドワードは今日1番の魔法を打ち込んだ。

ーーーーーーー

エドワードは代々由緒正しい貴族の生まれだった。

 家訓として、民を導く者は常に品位を重んじ、民の誇りとなるように振る舞わねばならない。

 エドワードの父は彼の誇りだった。常に凛とし、民を導くその背中は偉大でエドワードの理想そのものだったのだ。

 ………………あの日が来るまでは。

 父が下女と関係を持っていた。当然母は激しく父を責め立てた。

 エドワードも尊敬していた父に失望しつつも、せめて……せめて、貴族としての誇りを守るため、父には責任を持った行いを望んだ。

 しかし、現実はそうはいかなかった。父は下女をいなかったことにし、母も力で押さえつけたのだ。

 この一連の事件は他の貴族の耳へと入り、激しく言及、エドワードの家の名誉は地の底へ堕ちた。

「僕は、父とは違う。他の貴族の評価などどうでもよい。だが、上に立つものが愚図であれば民はどうなる?生きているだけであの愚図の民と蔑まれることになる。それだけは、それだけは我慢ならない。だから、だから騎士となり、民が誇れる貴族となる!」

 幼いエドワードは堕落する父を見下しながら固く誓った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...