「君を愛することはない」からの溺愛展開ってデフォルト設定だと思ってたんですが違いますか?

つかさ文研

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ドレス選び

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「私も場違いなのは重々承知なのですが……、そっ、そちらの方はインハート家の方ということでよろしいのしょうか……?」
 コレットは少し渋い顔をしている。パーティー用のドレスを買うのについて来てほしいとハレアにお願いされ、街の貴族御用達のドレスショップに呼び出されたコレット。そこにハレアと一緒に現れたのは黒く長い髪、顔は髪で覆われていて全く見えない。全身真っ黒の服を着ている長身の男だ。従者という様子ではないことは一目瞭然だ。
(なんか分かんないけど、多分強い……)
 コレットはリールを見てそう思った。
「あ~、インハート家の~、う~ん、従者の家族の人で~、私の友達のリールです!」
 ハレアは満面の笑みだ。ハレアの隣のリールはそわそわとしている。
 そして察しのいいコレットにはすぐ分かった。
「ハレアさんってほんと変な人に好かれますね……」
 コレットは目を細め、ハレアに聞こえない小さな声で呟いた。

「私、学校を卒業してすぐに結婚だったので、社交界に参加したのは子供の頃で……。今、どんなドレスが流行なのかとか全く分からなくて……」
 ハレアはドレスショップの店員にそう伝えた。
 第三皇子殿下の誕生日会までは約二週間。オーダーメイドで新しくドレスを作ってもらう時間はない。そして、ハレア自身そこまでのこだわりがないため、既製品のドレスを自分の体形に合わせてもらうため、ここに買いにきたのだ。
「今ですと、首元や袖元にレースをあしらったものが人気ですね!」
「レース……。飲み物をこぼしてしまったら困ってしまうわ……」
 ハレアは少し難色を示している。お洒落より実用性を好むのがこんなところでもでている。
「あとはお連れ様の髪色や瞳の色のドレスを選ばれる方も多くいらっしゃいますよ!」
 店員は少し焦った様子で言った。
「う~ん……。髪色は銀髪だけど、銀や白はマナー違反だし……、目の色は真っ赤で……。私って赤似合う?」
 ハレアはリールとコレットの方を向く。
 コレットは正直に首を振った。リールは表情は見えないが少しおどおどとしている。
「そうよねぇ……。そもそも私の髪色に赤は似合わないわ」
 ハレアは眉をひそめ悩んでいる。
「ハレアさんにはやっぱり寒色系の色のドレスが似合うと思います!」
 コレットは迷わずハレアにそう提案した。
「これとか……」
 リールはそう言って水色のドレスのスカートを握っている。
「まあ、お目が高いわ!」
 店員はリールを押しのけ、彼がこれと言ったドレスを出してきた。
「このスカート部分は水色の生地の上に薄い水色のレースを重ねたデザインでして、貴族様の中でも流行りつつあるものですよ!」
「確かに、ハレアさんに似合いそうだけど……」
 コレットは少し不服そうな目をしてリールを見た。自分が選びたかったのだろう。
「じゃあ、これにするわ!」
「えっ、他のものも見ませんか?」
 店員は動揺している。こんなに即決する貴族の人はなかなかいないからだろう。
「いえ、これにするわ!」
 ハレアはドレスなんかはすぐに決めて、広場でやっている古本市に行きたいのだ。
「で、ではウエストなどの調整をいたしますので、こちらへ……」
 店員はハレアを奥の部屋へと連れて行った。その場にはコレットとリールだけが残された。

「リールさんと言いましたよね?」
 コレットがリールの方を向いた。リールは肩がビクッと上がった。
「ハレアさんとはご友人なんですよね?」
 リールは小さく頷いた。
「ではハレアさんの好きな小説は分かります?」
「氷の冷酷騎士様は私の熱に溶かされ溺愛する……」
「それは分かるのですね。ハレアさんは今その物語の最中なのです!炎の冷徹魔術師様はハレアさんの愛で溶かされて溺愛してしまうんです!」
(冷徹魔術師とは程遠い、ただの魔術バカのお喋り男なんだけどなぁ……)
 リールはコレットの熱弁を聞きながら少々失礼なことを思っていた。
「だから、いくらご友人だとしても邪魔はしないでいただきたいです!」
「は、はぁ……」
 リールは余計なお世話だと思うと同時に、なぜ初対面の人にここまで言われなければならないんだという気持ちでため息のような返事をした。
「ちなみにハレアさんの子供時代に好きだった本は『魔法少女リリルト・リリアス』ですわ!」
 コレットは勝ち誇ったようにリールに向かって言い放った。
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