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チェルシー殿下とカイル
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「ここは変わらず、豪華だね~。さすが旧ルルドネア王国だ」
広い談話室にはチェルシー殿下の声だけが響いていた。ハレアをはじめ、他の人は一切発言していない。使用人として来ているルードとリールはハレアが座っているソファの後ろに立っている。ハレアの隣には申し訳なさそうに座っている庶民のカミュレスがいる。
チルは談話室へとチェルシー殿下たちを案内して、どこかへ行ってしまった。カミュレスは何故かチェルシー殿下の後ろに立っている。チェルシー殿下の使用人は一人もいない。信用しているからなのか、何かあったとしても一人でも対応できるという自信の表れかは分からない。
「チェルシー、君がそれを言うのはいささかこの領土の人に失礼に当たるぞ」
カイルは顔色一つ変えずにチェルシー殿下に助言した。
「カイル~、俺の隣に座りなよ~」
チェルシー殿下は自分の隣をポンポンと叩いた。
そう言われてカイルはピクッと一瞬眉をひそめたが、またいつもの表情に戻り、チェルシー殿下の隣に座った。
「俺とカイルはね、同い年でこっちの魔術学校出身なんだよ~!帝都の魔術学校とは違って魔術騎士科があって、俺たちはそこの出なの。だから一緒に第二隊に入るもんだと思ってたのに、勝手に第五隊の入隊試験受けちゃってさ~。ここの屋敷にも何度か来たことがあってさ。あっ、チルちゃん久しぶりに見たけどやっぱ美人だね~。俺、結婚しちゃおうかな?」
「うちは元王国とは言え、子爵家だから無理だと何度言わせれば……」
「でも、俺皇族とはいえ側妃の子だから、ある程度好き勝手できるんじゃない?実際勝手にこっちの魔術学校に入ったし、魔術師団に入るのも親に了承なんてとらなかったし」
「それはチェルシーがイレギュラーなだけで普通はダメだろ。それに、チルは皇族には絶対に嫁がせない」
「キャー!兄さまこわ~い!」
「やめろ。私を兄と呼ぶな」
二人の会話をハレアたちはどう反応していいものやら分からず張り付いたような苦笑いをしていた。
「あ、それで今日ここまでわざわざ来たのは~、カイルが第五隊の――」
チェルシー殿下がそう言いかけた時、カイルがチェルシー殿下の口を塞いだ。
「機密事項だろ」
チェルシー殿下はカイルの手を無理やり剥がした。
「いいよいいよ。団長の奥様だし。帝都にいるわけでもないし、漏れたりしないよ」
「はぁ……。君はいつも……」
カイルは呆れたように吐息交じりの声を出した。学生時代から彼に振り回されていたのがこの数分で垣間見えた。
「実は、今の第五隊長が退任したがっていてね。その後任にカイルを指名していたんだけど、コイツがそれを断ってさ~。そのまま十日も休みを取って逃げるようにここに来たから、俺がそれを追いかけてきたってわけ!一応説得して来いって名目でね」
チェルシー殿下はそう言いながらハレアに向かってウインクをした。
ハレアはキッシュが人事のことでごたついていると言っていた原因が、まさか目の前にいる人のせいだとは思っていなかった。
「俺もカイルと同じだけ休み取ったから、俺の部屋もここで用意してよ~。あっ、ハレア嬢の隣でもいいよ?俺、多分ここにいる誰よりも強いよ?」
そう言って目を細めて笑うチェルシー殿下。
その一言にルードは少し面白くなかったが、言い返せる身分でも間柄でもないため、表情一つ変えずにいた。
「それに君がここにいるんだったら俺を巻き込んでおいた方がいいよ。最悪の事態のためにね」
ハレアはキッシュがチェルシー殿下は何を考えているか分からないと言っていた意味がよく分かった。勘が良く、何かと含みのある言い方をする。彼は完全にハレアの苦手なタイプだ。
広い談話室にはチェルシー殿下の声だけが響いていた。ハレアをはじめ、他の人は一切発言していない。使用人として来ているルードとリールはハレアが座っているソファの後ろに立っている。ハレアの隣には申し訳なさそうに座っている庶民のカミュレスがいる。
チルは談話室へとチェルシー殿下たちを案内して、どこかへ行ってしまった。カミュレスは何故かチェルシー殿下の後ろに立っている。チェルシー殿下の使用人は一人もいない。信用しているからなのか、何かあったとしても一人でも対応できるという自信の表れかは分からない。
「チェルシー、君がそれを言うのはいささかこの領土の人に失礼に当たるぞ」
カイルは顔色一つ変えずにチェルシー殿下に助言した。
「カイル~、俺の隣に座りなよ~」
チェルシー殿下は自分の隣をポンポンと叩いた。
そう言われてカイルはピクッと一瞬眉をひそめたが、またいつもの表情に戻り、チェルシー殿下の隣に座った。
「俺とカイルはね、同い年でこっちの魔術学校出身なんだよ~!帝都の魔術学校とは違って魔術騎士科があって、俺たちはそこの出なの。だから一緒に第二隊に入るもんだと思ってたのに、勝手に第五隊の入隊試験受けちゃってさ~。ここの屋敷にも何度か来たことがあってさ。あっ、チルちゃん久しぶりに見たけどやっぱ美人だね~。俺、結婚しちゃおうかな?」
「うちは元王国とは言え、子爵家だから無理だと何度言わせれば……」
「でも、俺皇族とはいえ側妃の子だから、ある程度好き勝手できるんじゃない?実際勝手にこっちの魔術学校に入ったし、魔術師団に入るのも親に了承なんてとらなかったし」
「それはチェルシーがイレギュラーなだけで普通はダメだろ。それに、チルは皇族には絶対に嫁がせない」
「キャー!兄さまこわ~い!」
「やめろ。私を兄と呼ぶな」
二人の会話をハレアたちはどう反応していいものやら分からず張り付いたような苦笑いをしていた。
「あ、それで今日ここまでわざわざ来たのは~、カイルが第五隊の――」
チェルシー殿下がそう言いかけた時、カイルがチェルシー殿下の口を塞いだ。
「機密事項だろ」
チェルシー殿下はカイルの手を無理やり剥がした。
「いいよいいよ。団長の奥様だし。帝都にいるわけでもないし、漏れたりしないよ」
「はぁ……。君はいつも……」
カイルは呆れたように吐息交じりの声を出した。学生時代から彼に振り回されていたのがこの数分で垣間見えた。
「実は、今の第五隊長が退任したがっていてね。その後任にカイルを指名していたんだけど、コイツがそれを断ってさ~。そのまま十日も休みを取って逃げるようにここに来たから、俺がそれを追いかけてきたってわけ!一応説得して来いって名目でね」
チェルシー殿下はそう言いながらハレアに向かってウインクをした。
ハレアはキッシュが人事のことでごたついていると言っていた原因が、まさか目の前にいる人のせいだとは思っていなかった。
「俺もカイルと同じだけ休み取ったから、俺の部屋もここで用意してよ~。あっ、ハレア嬢の隣でもいいよ?俺、多分ここにいる誰よりも強いよ?」
そう言って目を細めて笑うチェルシー殿下。
その一言にルードは少し面白くなかったが、言い返せる身分でも間柄でもないため、表情一つ変えずにいた。
「それに君がここにいるんだったら俺を巻き込んでおいた方がいいよ。最悪の事態のためにね」
ハレアはキッシュがチェルシー殿下は何を考えているか分からないと言っていた意味がよく分かった。勘が良く、何かと含みのある言い方をする。彼は完全にハレアの苦手なタイプだ。
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