「君を愛することはない」からの溺愛展開ってデフォルト設定だと思ってたんですが違いますか?

つかさ文研

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真夜中の光

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四年前――

 カミュレスが寮の自室から外を見ると、少し離れた林の中からかすかに水色に光るのが見えた。
「今日もか……」
 毎晩、夜中の2時を過ぎた頃、木と木の間から光が漏れ出ている。寮の消灯は10時。魔力の消費が多い、魔術学校の生徒は皆死んだように寝る。
 カミュレスがその光に気付いたのはつい数週間前のことだった。
 その日は、魔力をほぼ使い果たしヘトヘトになり、夕飯も食べずに夕方にはベッドで眠ってしまった。そのせいか、夜中の変な時間に目覚めてしまったカミュレスは閉め忘れたカーテンを閉めようとベッドから起き上がった。カーテンに手をかけ、引こうとした瞬間、林の中から水色の光が発するのが見えた。水魔術の光だ。
(こんな時間まで魔術の練習をしてるなんて感心したもんだ)
 その日は気にも留めず、そのまま眠りについた。

 それから数日経った夜中、カミュレスはまたあの光を見た。凄く綺麗な光だと思うと同時に違和感があった。
 学内で魔術を使用することは禁止されていない。しかし、実技の授業以外で基本的に使用していない。なぜなら魔力が枯渇してしまえば、授業の単位を落としかねないからだ。簡易なものならまだしも、木々の間から光が漏れ出るほどの魔力消費の多い魔術を使うなんて言語道断だ。次の日の授業に響くからだ。それなのにこんな夜中に魔力を使うとは相当な魔力量のある生徒がいる。カミュレスは興味が出た。
 それから毎晩夜中の2時に起きて外を見た。大雨の日以外は毎日その光を見た。一度光った直後に寮から出てその場所に行ってみたが、もうそこには人は一人もいなかった。

 その次の日、大体の場所を突き止めていたカミュレスは、木の陰に隠れてその人が来るのを待った。
 来たのは学校の体操着にサンダルを履いた髪の長い人だった。辺りが真っ暗でよく顔は見えないが、体型から女性であることが分かった。
 彼女はポケットからゴツゴツとした黒い魔石を取り、両手に持った。そしてその瞬間、魔石は水色に変わり一瞬にして散り散りになり強い光を放った。もうどれが魔石だったか分からないほど砂のように粉々になり、辺り一面に散らばった。
 強い光を放った瞬間、彼女のターコイズブルーの髪がふわっと浮き上がった。カミュレスは彼女を知っていた。名前は忘れたがBクラスの貴族令嬢だと。彼女には『校舎を水浸しにした』や『山の木をなぎ倒した』など様々な噂があったが、どれも信じてはいなかった。本当ならBクラスなんかで甘んじていい人材じゃないからだ。
 でも、目の前の光景を見て真実だと確信した。彼女は凄まじい魔力量の持ち主だ。それを何らかの理由で隠しているのだと。

「毎晩、ここで何してるんですか?」

 カミュレスは貼り付けたような女性なら誰しもが高感度マックスになる笑顔で木の陰から現れた。

「キャァァアアアッ!んぐっ!!」

 カミュレスは突然叫んだ彼女の口を凄まじい速さで塞いぎ、後ろから押さえるように腕を体に回した。魔石が放つ光が消えた今、彼の笑顔なんて彼女には全く見えていない。怖がるのも当然だ。
「しーっ!夜中なんだから声出すな!」
「んっ!んんっ!」
 男性の強い力で押さえつけられ、涙目になりながら振り払おうともがいている。
「ちがっ!ごめっ!」
 泣きそうな彼女を見てカミュレスは押さえつけていた口と体の拘束を解いた。
 彼女は地面にへたり込み、ハァハァと一生懸命に息をしている。
 カミュレスはおでこを地面に擦り付けて土下座をした。
「ほんっとうに!すみませんでした!貴族のお嬢様に!違うんです!毎晩あの光が気になってて、それで……。あっ、俺は3年A組のカミュレスです!」
 そう言って顔を上げたカミュレスに対して、彼女はパチンッと頬を叩いた。

「サイッテー!」

 これが、カミュレスとハレアの出会いである。
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