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桶狭間の後に
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1560年、永禄三年五月十九日
尾張国桶狭間
「よいか皆のもの、目指すは今川義元の首ただ一つ、本陣目掛けて突き進むのじゃ、ぬかるなよ、かかれーぃ、止まるなー押せ押せーぃ」
雷雨の中から、雄叫びと共に忽然と現れた織田の軍勢2500が、休息で心も体も弛んでいた今川義元の軍勢に
襲いかかった。
戦いは織田軍の奇襲が成功し、敵将今川義元を撃ち取り、今川の軍勢は敗走していった。
東海一の弓取と言われていた今川義元が、京を目指して25000の大群で西上し、まさか、尾張の小大名に首を取られるとは誰もが思ってはいなかった。
信長は、勝利を実感しながら、意気揚々と清洲の城へ引き揚げて来た。
「ワアッハハハ、帰蝶(きちょう、信長の妻)、帰蝶、今帰ったぞ、ワシじゃ、オ~イ」
城内は、大人から子供、老若男女、上から下まで誰もが慌ただしく動き回っていた。
「おう、そうか、さては戦勝の報を聞き、祝いの支度に忙しいとみえる、いたいた、これ、市(いち、信長の妹)、いちッ何をしておる」
「チッ、うッせーな、人の事気安く呼んでんじゃネ~よ、見りゃわかんだろ逃げる算段つけてんじゃんかッ、てか、あれっ、の信にいじゃん、生きてるし、へ~よく逃げてこれたね~」
「馬鹿者が、今川に勝って戻ってきたわ、何が逃げてこれたねだ、少しは喜ばんか」
「えっ、ちょっ、へ~勝ったんだ、お疲れツす~」
「お疲れツすじゃないわ、それはそうと帰蝶はどうした、何処におるのだ」
「帰蝶義姉さんも荷造りして、子供達連れて美濃に逃げる支度してたよ、なんしろ名前が帰蝶ってくらいだしさ」
「上手い事を言わんでも良いわ、まあ、戦に勝った事でもあるし許してやるわ」
「そんな事より信にい、連れ戻したほうが良くね、そろそろ城から出てくんじゃね」
市に言われた信長は、走りながら帰蝶達家族を引き留めにいった。
「帰蝶~勝ったぞー織田の勝利ぞー荷造りと逃亡の支度今すぐ止め~イ」
「クスクス、アッハッハッハッ、勝った方の大将にしちゃださくね、てかどうでもいいけど、この荷物もとに戻すの超面倒くさいんすけど」
「ハアハアハアハア、い、戦よりしんどいわ」
確かに戦の時より髪を振り乱している信長の姿があった。
「大体、ノブにいが悪いわ変な時間に、あつ森だっけ、そんなん急に付き合わせて踊り狂ってたんじゃ、帰蝶義姉さんも、実家に引き揚げる決心がつくって、違くね」
「な、なんじゃ、あつ森とは、敦盛だわ、第一お前に敦盛の意味がわかるのか」
「知ってるし~ィ、人間五十年大体そん位生きれば良くなくねって意味の唄じゃんか
もう、ほらッ荷物元に戻さなくちゃなんねーし、ノブにいだって首実検とか色々あんじゃね、どいてくんないッてか、邪魔なんすけど~」
「ムムムおのれ~城主を虚仮にしおってからに、只ではおかぬぞ」
とは言ったものの
「殿はおられませぬか、皆の者揃いましてございます」
小姓が呼びに来た。
「ここに居るわ、今参る」
ドカドカと大股で去って行った
「へェ~勝っちまったんだ、て事は~からの~当然あれが~くる~~、おっしゃー、おかる、おかる(側女、実はくノ一)短文を廻して」
笑顔なのだが、目が笑っていないおかるが音もなく現れた。
「お呼びでございますか、お市様」
「ウン、皆に三日後、戌の刻(いぬのこく、大体夜10時)遅れたら罰遊戯と伝えて」
「ハッ、確かに」
おかるは、姿を消した。
大戦に勝利したとは言え、織田の領内,外における戦闘や小競り合いは、未だ続いていた。
只、以前に比べ圧倒的に勝利して順調に領地を広げていた。
信長は、日々戦略、調略の立案に余念の無い時を送っていた。
そんなある日、織田家重臣、柴田権六勝家と池田恒興が信長に会いに来た。
「おう、権六と恒興が揃ってわしに用件とは、何やら善からぬ話しであろう」
「は、申しあげまする、桶狭間以来我が軍勢は、連戦連勝の気配、誠にめでたき事、しかしながら、最近この城内に於いて不穏な噂と怪奇な出来事が生じておりまする」
「戦に勝利を収めたのち、その二~三日後必ず、戌の刻から丑三つ時(夜10時~朝3時位)にかけて、この城内に於いて
女達の悲鳴や鳴き声、時には呻き声が頭の上から聴こえるとの噂を聞き
正にこれは、戦で亡くなった亡霊どもの仕業に相違ないと主に城内の見廻り役を中心に広まった次第
この話しを恒興にしたところ、
自分の兵を不寝番にしてこの件を突き止めようではないかと、言うてくれました」
「恒興が申しあげまする、一昨日恒興旗下の不寝番二名が行方知れずとなりあちらこちら探したところ
朝方 調理場の土間に両名共に褌一丁の姿で、高手小手に縛られて武具と共に見つかりました」
「ふーむ、してその両名に危害はなかったのか」
「はァ、ただその」
「なんじゃ、早よう申さぬか」
「両名共に全身に墨書で悪口雑言を書かれており
下手人は、また、見た物聞いた事を他言すると、本人はもとより禍いは、城内の兵全てに及ぶと抜かした由にございます」
「して悪口雑言とは、何が書いてあったのだ、正直に申せ 」
「申し上げます、足臭い、粗珍、背中の毛肝、その他口にするのも忌まわしい、諸々にございます」
「なんと、思い遣り、心づかいの欠片もなき言葉の数々、この信長心が折れる、もう良い
わしが自らのりだし決着をつけてくれるわ、その時が来たらどちらか共をせい」
「ははッ、この権六いささか毛深うございますゆえ、恒興が適任かと思われまする」
「申し上げます、わたくし、恒興は足が臭いらしく、部下達にカメムシなどと陰口を叩かれております、ここは、是非とも権六様がよろしいかと」
歴戦の猛者二名、お互いお前が行けとばかりに肘でつつき合っていた。
「良いわ、共は、権六そして新しく入れた明智光秀にする、何か文句は
あるか」
「ははー」
天守の怪・宴(うたげ)
それから六日後、そろそろ戌の刻から亥の刻(11時位)に変わろうとするその時
「殿、殿、光秀にございます」
「おう、どうしたのだ光秀」
「はっ、例の声らしきものが聞こえて参りまする、柴田(権六)様にも使いを出しましてございます、おっ、早速参られました」
「殿、権六が参りました、光秀よう気付いたのう、殿、かくなるうえは、それがしの隊500さらに恒興の隊800をこの時の為に留めおいてございます、光秀出陣の支度せい」
「ハッ、僭越ながらこの光秀、弓隊20鉄砲隊30を密かに用意いたしましてございます」
「流石は光秀、殿これで最早相手は袋の鼠、とらまえたも同然ですな、
ワハハハハハ」
「な、な、なんと、大袈裟な必要ないわその様な大部隊、わしとお前達二人で十分だわ、みな帰せ」
どう考えても、味方とは言え織田家の中でも特に勇猛果敢な、権六と恒興の部隊を城の中に入れることは
動く物皆斬り刻まれ、万が一助かったとしても、冷静沈着な光秀の鉄砲隊、弓隊の的になるのだ。
もしそうなったら明日の朝この城の中で生きて居るのは信長だけになりかねない。
そして信長には、一つ気掛かりがあった、最近お市が静かなのだ、考えてみると、丁度この騒動が持ち上がったあたりから、時を同じくして鳴りを潜めていた。
何かありそうな、はっきりとはしないが、言葉にはならない不安を信長だけが感じていた。
「良し、参るぞ光秀、灯りを持って先頭に、しんがりは権六じゃ」
三名は廊下に出てから微かに声が聞こえる方へと歩き出した。
やはり、ここよりももっと上の方から声が聞こえる、それも一人、二人の人数ではなかった。
三人は、そろりそろりと階段を登って行く。
光秀が囁き声で
「どうやら、天守閣がきゃつらの居場所のようです、どういたしましょう、援軍は要りませぬか」
「くどいぞ光秀、臆したか、このまま進むのだ、魑魅魍魎と言えどもわしが切り捨ててくれるわ、何をしておるか、かまわん、さっさとすすめい」
階段を進むにつれ、女達の悲鳴、鳴き声、嗚咽、笑い声がはっきりと聞こえてきた。
「おおお、なんと笑い声まで、恐らく悲しみの余り気がおかしくなってしもうたのか」
「ふん、権六まで怖じ気付きおって、じきに解ろうと言うものよ」
ついに三名は、天守閣に出る階段の持ち上げ式の扉まで着いた
「光秀」
信長が階段の扉を持ち上げるよう促した、信長は抜刀し、権六は手槍を構えた
三名同時にうなづき
「それっ」
天守閣に突入した、と同時に力が抜けた。
そこでは大層な宴が催されていた、しかも女達とその子供、乳飲み子までいた。
その数三~四十人は居るようだ、車座になって酒を酌み交わしながら大騒ぎに成っていた。
尾張国桶狭間
「よいか皆のもの、目指すは今川義元の首ただ一つ、本陣目掛けて突き進むのじゃ、ぬかるなよ、かかれーぃ、止まるなー押せ押せーぃ」
雷雨の中から、雄叫びと共に忽然と現れた織田の軍勢2500が、休息で心も体も弛んでいた今川義元の軍勢に
襲いかかった。
戦いは織田軍の奇襲が成功し、敵将今川義元を撃ち取り、今川の軍勢は敗走していった。
東海一の弓取と言われていた今川義元が、京を目指して25000の大群で西上し、まさか、尾張の小大名に首を取られるとは誰もが思ってはいなかった。
信長は、勝利を実感しながら、意気揚々と清洲の城へ引き揚げて来た。
「ワアッハハハ、帰蝶(きちょう、信長の妻)、帰蝶、今帰ったぞ、ワシじゃ、オ~イ」
城内は、大人から子供、老若男女、上から下まで誰もが慌ただしく動き回っていた。
「おう、そうか、さては戦勝の報を聞き、祝いの支度に忙しいとみえる、いたいた、これ、市(いち、信長の妹)、いちッ何をしておる」
「チッ、うッせーな、人の事気安く呼んでんじゃネ~よ、見りゃわかんだろ逃げる算段つけてんじゃんかッ、てか、あれっ、の信にいじゃん、生きてるし、へ~よく逃げてこれたね~」
「馬鹿者が、今川に勝って戻ってきたわ、何が逃げてこれたねだ、少しは喜ばんか」
「えっ、ちょっ、へ~勝ったんだ、お疲れツす~」
「お疲れツすじゃないわ、それはそうと帰蝶はどうした、何処におるのだ」
「帰蝶義姉さんも荷造りして、子供達連れて美濃に逃げる支度してたよ、なんしろ名前が帰蝶ってくらいだしさ」
「上手い事を言わんでも良いわ、まあ、戦に勝った事でもあるし許してやるわ」
「そんな事より信にい、連れ戻したほうが良くね、そろそろ城から出てくんじゃね」
市に言われた信長は、走りながら帰蝶達家族を引き留めにいった。
「帰蝶~勝ったぞー織田の勝利ぞー荷造りと逃亡の支度今すぐ止め~イ」
「クスクス、アッハッハッハッ、勝った方の大将にしちゃださくね、てかどうでもいいけど、この荷物もとに戻すの超面倒くさいんすけど」
「ハアハアハアハア、い、戦よりしんどいわ」
確かに戦の時より髪を振り乱している信長の姿があった。
「大体、ノブにいが悪いわ変な時間に、あつ森だっけ、そんなん急に付き合わせて踊り狂ってたんじゃ、帰蝶義姉さんも、実家に引き揚げる決心がつくって、違くね」
「な、なんじゃ、あつ森とは、敦盛だわ、第一お前に敦盛の意味がわかるのか」
「知ってるし~ィ、人間五十年大体そん位生きれば良くなくねって意味の唄じゃんか
もう、ほらッ荷物元に戻さなくちゃなんねーし、ノブにいだって首実検とか色々あんじゃね、どいてくんないッてか、邪魔なんすけど~」
「ムムムおのれ~城主を虚仮にしおってからに、只ではおかぬぞ」
とは言ったものの
「殿はおられませぬか、皆の者揃いましてございます」
小姓が呼びに来た。
「ここに居るわ、今参る」
ドカドカと大股で去って行った
「へェ~勝っちまったんだ、て事は~からの~当然あれが~くる~~、おっしゃー、おかる、おかる(側女、実はくノ一)短文を廻して」
笑顔なのだが、目が笑っていないおかるが音もなく現れた。
「お呼びでございますか、お市様」
「ウン、皆に三日後、戌の刻(いぬのこく、大体夜10時)遅れたら罰遊戯と伝えて」
「ハッ、確かに」
おかるは、姿を消した。
大戦に勝利したとは言え、織田の領内,外における戦闘や小競り合いは、未だ続いていた。
只、以前に比べ圧倒的に勝利して順調に領地を広げていた。
信長は、日々戦略、調略の立案に余念の無い時を送っていた。
そんなある日、織田家重臣、柴田権六勝家と池田恒興が信長に会いに来た。
「おう、権六と恒興が揃ってわしに用件とは、何やら善からぬ話しであろう」
「は、申しあげまする、桶狭間以来我が軍勢は、連戦連勝の気配、誠にめでたき事、しかしながら、最近この城内に於いて不穏な噂と怪奇な出来事が生じておりまする」
「戦に勝利を収めたのち、その二~三日後必ず、戌の刻から丑三つ時(夜10時~朝3時位)にかけて、この城内に於いて
女達の悲鳴や鳴き声、時には呻き声が頭の上から聴こえるとの噂を聞き
正にこれは、戦で亡くなった亡霊どもの仕業に相違ないと主に城内の見廻り役を中心に広まった次第
この話しを恒興にしたところ、
自分の兵を不寝番にしてこの件を突き止めようではないかと、言うてくれました」
「恒興が申しあげまする、一昨日恒興旗下の不寝番二名が行方知れずとなりあちらこちら探したところ
朝方 調理場の土間に両名共に褌一丁の姿で、高手小手に縛られて武具と共に見つかりました」
「ふーむ、してその両名に危害はなかったのか」
「はァ、ただその」
「なんじゃ、早よう申さぬか」
「両名共に全身に墨書で悪口雑言を書かれており
下手人は、また、見た物聞いた事を他言すると、本人はもとより禍いは、城内の兵全てに及ぶと抜かした由にございます」
「して悪口雑言とは、何が書いてあったのだ、正直に申せ 」
「申し上げます、足臭い、粗珍、背中の毛肝、その他口にするのも忌まわしい、諸々にございます」
「なんと、思い遣り、心づかいの欠片もなき言葉の数々、この信長心が折れる、もう良い
わしが自らのりだし決着をつけてくれるわ、その時が来たらどちらか共をせい」
「ははッ、この権六いささか毛深うございますゆえ、恒興が適任かと思われまする」
「申し上げます、わたくし、恒興は足が臭いらしく、部下達にカメムシなどと陰口を叩かれております、ここは、是非とも権六様がよろしいかと」
歴戦の猛者二名、お互いお前が行けとばかりに肘でつつき合っていた。
「良いわ、共は、権六そして新しく入れた明智光秀にする、何か文句は
あるか」
「ははー」
天守の怪・宴(うたげ)
それから六日後、そろそろ戌の刻から亥の刻(11時位)に変わろうとするその時
「殿、殿、光秀にございます」
「おう、どうしたのだ光秀」
「はっ、例の声らしきものが聞こえて参りまする、柴田(権六)様にも使いを出しましてございます、おっ、早速参られました」
「殿、権六が参りました、光秀よう気付いたのう、殿、かくなるうえは、それがしの隊500さらに恒興の隊800をこの時の為に留めおいてございます、光秀出陣の支度せい」
「ハッ、僭越ながらこの光秀、弓隊20鉄砲隊30を密かに用意いたしましてございます」
「流石は光秀、殿これで最早相手は袋の鼠、とらまえたも同然ですな、
ワハハハハハ」
「な、な、なんと、大袈裟な必要ないわその様な大部隊、わしとお前達二人で十分だわ、みな帰せ」
どう考えても、味方とは言え織田家の中でも特に勇猛果敢な、権六と恒興の部隊を城の中に入れることは
動く物皆斬り刻まれ、万が一助かったとしても、冷静沈着な光秀の鉄砲隊、弓隊の的になるのだ。
もしそうなったら明日の朝この城の中で生きて居るのは信長だけになりかねない。
そして信長には、一つ気掛かりがあった、最近お市が静かなのだ、考えてみると、丁度この騒動が持ち上がったあたりから、時を同じくして鳴りを潜めていた。
何かありそうな、はっきりとはしないが、言葉にはならない不安を信長だけが感じていた。
「良し、参るぞ光秀、灯りを持って先頭に、しんがりは権六じゃ」
三名は廊下に出てから微かに声が聞こえる方へと歩き出した。
やはり、ここよりももっと上の方から声が聞こえる、それも一人、二人の人数ではなかった。
三人は、そろりそろりと階段を登って行く。
光秀が囁き声で
「どうやら、天守閣がきゃつらの居場所のようです、どういたしましょう、援軍は要りませぬか」
「くどいぞ光秀、臆したか、このまま進むのだ、魑魅魍魎と言えどもわしが切り捨ててくれるわ、何をしておるか、かまわん、さっさとすすめい」
階段を進むにつれ、女達の悲鳴、鳴き声、嗚咽、笑い声がはっきりと聞こえてきた。
「おおお、なんと笑い声まで、恐らく悲しみの余り気がおかしくなってしもうたのか」
「ふん、権六まで怖じ気付きおって、じきに解ろうと言うものよ」
ついに三名は、天守閣に出る階段の持ち上げ式の扉まで着いた
「光秀」
信長が階段の扉を持ち上げるよう促した、信長は抜刀し、権六は手槍を構えた
三名同時にうなづき
「それっ」
天守閣に突入した、と同時に力が抜けた。
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