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つもりのはずがつもりつもって
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信長は、安心しきっていた。
自分の部隊と徳川の援軍、事前の報告では、朝倉方は、一枚岩になってはいない。
盟友浅井は、織田とごく近しい縁戚となっていた。
何しろ、信長の最終秘密兵器お市を、満を持して投入したのだから、浅井長政もそれが
どんな意味を持つことか解っているはずだった。
それでも、念のため、朝倉攻めの報せはせずに、後日詫びをするつもりであった。
ただ、戦場近辺に位置する各大名の動きは全て見張りが付いていた。
「木ノ下藤吉郎、申し上げます、物見の報せによると、近江浅井様小谷城、人馬慌ただしく、戦のそなえかと」
「何かの見間違いであろう、再度確かめよ
わしの進軍を聞き応援を寄越すつもりかもしれぬ」
「報告いたします、浅井の斥候約二十名門を出て我が方へ向かっております、旗指物等は何も持ってはおりませぬ」
「報告いたします、小谷城から越前へ向け早馬が出ました浅井の旗竿です」
「殿、光秀の間者より報告にございます、浅井長政どの父久政どのの説得により、我が織田と開戦する決断をしました」
「報告いたします、小谷城開門兵約三千」
「光秀、殿軍の指揮を取れ、藤吉郎も残す
全軍撤退、ぬかるな」
信長あわや一貫の終りであった
織田と浅井には、言葉は無くとも阿吽の呼吸があるはずだった。
長政とは兄弟以上のつもりでいた。
急ぎ京都を経て、岐阜に戻るとすぐさま合戦の仕度にかかった。
「とーちゃんおかえり
どーだった、ノブにぃの首持って来たの」
「あるか~、みやげ物でもあるまいし」
「そっか、やっぱ、そこまでは無理だったか、しゃーないね」
「のう、お市、お市ならばどうしていたのだ」
「うーん、ほんとに浅井を残すんだったら、ふたつに分けちゃえば、朝倉と織田にさ」
「なるほどのう、その発想が浅井にあれば、、、」
「てか、あっても誰も賛成しねーよ、きっと
伝統、格式、身分の上下、浅井は、いい意味でそれを大事にしてる
どっかの誰かさんは、そんなの気にしないもの
とーちゃんとノブにぃは、お互いの無いものにひかれてたんじゃね」
何をどうするにも、もう遅すぎた
それから約二月後、浅井領内姉川に於いて、浅井、朝倉軍と織田、徳川軍とが戦かった
浅井方は自領でもあり奮戦したが、最後は押し切られ敗走することとなる。
この戦で織田の重臣が戦死した
浅井、朝倉は負けたとは言え未だ力を保っていた。
近江、京都、大阪方面は、将軍義昭、公家、各大名、宗教の思惑を巻き込んで、信長包囲網を形成しつつあった。
「え~ノブにぃ、すっげ~じゃん、みんなに憎まれてて
どんだけ厄介なん
悪魔とか鬼の扱いじゃね」
「おかあ、神様はいいことばかりしないとだめなんだよ、でも悪魔とか鬼だと、たまにいいことすると、それだけで誉められるんだよ」
「あ~あとうとう、あーしの兄きは、人じゃ無くなっちまったよ、はは
あ、とーちゃん今日も戦なん」
「おと~ちゃま、今日も、茶々と初のために、い~っぱい、い~っぱい、敵の首取ってきてね~」
「任せろって言いにくいわ、市なんとかならんのか
この殺伐とした挨拶は」
「申し訳御座いませぬ、
茶々、もう少し、薄皮で餡を包む様に言いなさい」
「おとーさま、今日も、大勢の息の根を止めて、地獄の釜に叩きこんで来てね」
「ふぅ~、、、もう良いわ」
織田の軍団は、畿内各方面の
戦闘に明け暮れていた。
出る杭は打たれるのとおり、
各地で叩かれていた
ところが、その杭は、引っ込むどころか、みるみる延びて手に負えなくなってきた。
「どうだ権六ッ、浅井朝倉の妨害は未だ続くとおもうか」
「は、畿内一帯はその本拠地自体が力を失いつつありまする
しかし、本拠地が越前、近江にあるきゃつらは、資金、兵力共に、健在と見ます」
「よし、先ずは越前、その後近江に繰り出す
いまこそ、金ヶ崎の仇を討とうぞ」
「御意」
信長は待っていた、長政を
死なせたくなかった
越前の結果を見て投降を決断して欲しかった。
越前朝倉は、織田の猛攻により墜ちた。
残すは、浅井のみ
浅井には、もう逃げ道は無く基本は籠城しか無かった
小谷城の護りは固く、猛攻を続け、やっと久政の籠る曲輪を落とし、長政のいる本丸を残すだけになった。
突然織田の猛攻がやんだ、城からは、火の手が上がっている。
「お市様、殿がお呼びに御座います」
もう呼びに来る武士も、いつもの顔見知りでは無かった
ただでさえ、薄暗い城内なのに、煙りで前が見えない
おかるが、みんなに草鞋を履かせた
子供達には可哀想だけどこれで終り
おかるが、茶々と初の手を引いて無言で付いて来る
さっきまで、むせていた煙ももう気にならない
何気に上を見上げると、煙りだと思ったら雲だった、雲の隙間から月も望める。
「月を見ながら(自害)なんて風流じゃん、ねっ、もういんじゃね、この辺で
とーちゃんはもう、あれなんだろ」
中庭だった、鎧姿の者が二十人程片膝立ちで控えていた。
お市が小さな時から見ていた
織田の旗指物
「へっ、どゆこと」
「お市様、お懐かしゅうございます、滝川一益御迎えにあがりました」
城攻めの前から、信長は長政に、長政とお市達の助命を確約していた。
長政からは、お市達とお付きの女中おかるの助命を嘆願してきた、信長はこれを受け入れた。
一益が説明した。
「これより、本陣へお連れいたしまする」
「あッ、カッズ(一益)、あーしノブにぃに会うのお久なんだ、子供達、初顔合わせだし
少しでいいから、身繕いさせてくんない、いいかな」
「は、暫しお待ちいたしまする」
お市達は、おかるも含めて、何か話しながら忙しく、身の回りを整えた。
「殿、お市様お連れいたしました」
「おう、お市無事であったか」
「良くいうよ、人ん家に火着けといて、無事かって、完全に頭おかしい人じゃん」
「光秀、お前今頷いたな、覚悟せよ」
おかるが物凄い殺気を周囲に放つ
何とか話題をそらしたかった
そこへ、茶々が信長の前へ歩み出た
「浅井長政が長女茶々がご挨拶申しあげます」
「む、苦しゅうない、近こうよれ」
その瞬間、茶々は帯に差した懐刀を引き抜き
「覚悟」
蘭丸が立ちはだかる
お市が抱いていた、三女江が大きな声で泣いた(隠れてつねっていた)
その場の者達は、皆そのどちらかに注目した
お市が口を開いた
「ノブにぃ、最後に浅井の勝ちだよ」
「何を言うか、こうして蘭丸が茶々を阻んでいるではないか」
「ざ~んね~ん、甘いよノブにぃ、自分の後ろ見てみなよ」
信長がふと後ろを振り返ると鎧の隙間に煌めく刃が差し込まれていた。
懐刀を握る小さな手は、急所を狙って、ぴたりと止まっていた。
皆の注意が逸れている間、お初が信長に近付き、誰も気づかないうちに刃を向けた
この場の武将達が皆固まった
「どう、ノブにぃ、あーしの子供達結構やるっしょ、蘭丸動いたら、ノブにぃプスッだよ」
「市、何が望みか、申してみよ」
「うちらを、清州にいかせて、それだけ
それが、とーちゃんに対する決別」
「わかった、じゃが、帰蝶に会わんでも良いのか
このたび、安土城を造り一緒に居られるぞ」
「あ、初も茶々も、もういいよ、戻ってきな」
「ね~ね~、かーちゃん、あの蘭丸って子、超かわいくね、一緒に清州に連れてって」
「ばか言ってんじゃねーよ
ったく
ノブにぃ、そりゃ、あーしも、ねーちゃんに会いたいけど、今は違くね
だって、そこの城で此度の戦勝祝いすんじゃん
真っ直ぐ清州に行かせてくんない、おかるもね、うちらこれで一揃えなんよ」
「良かろう、蘭丸意外の望み全て確約いたす」
おかるを含む五名は、直ちに清州へ送られて行った。
権六が
「やはり、虎の子達は猫に見えても虎ですな
お見それいたしました」
滝川一益
「申し訳御座いませぬ、殿に会う前に、身なりを整えたいと申しますので
暫し時間を取りました、お市様が懐刀を所望され
人数分用意致しました」
光秀
「どうやら、その間に取り決めをしたようです
手練れのものは、先ずあの、おかるの殺気を感じ、そこから、気をそらされ、殿に対する警戒をそらされたかと」
「要するにじゃ、この信長は、血縁とはいえ、女、子供の懐刀にかなわなかった
しかも、歴戦の家臣達も手も足もでなかったと」
信長をはじめ、その場の家臣一同、戦勝気分が白けはじめていた。
久々の兄妹の再開は大団円を迎えるはずが、、、
信長は、これを機会に新しく建築する安土城に迎えるつもりでもあった。
自分の部隊と徳川の援軍、事前の報告では、朝倉方は、一枚岩になってはいない。
盟友浅井は、織田とごく近しい縁戚となっていた。
何しろ、信長の最終秘密兵器お市を、満を持して投入したのだから、浅井長政もそれが
どんな意味を持つことか解っているはずだった。
それでも、念のため、朝倉攻めの報せはせずに、後日詫びをするつもりであった。
ただ、戦場近辺に位置する各大名の動きは全て見張りが付いていた。
「木ノ下藤吉郎、申し上げます、物見の報せによると、近江浅井様小谷城、人馬慌ただしく、戦のそなえかと」
「何かの見間違いであろう、再度確かめよ
わしの進軍を聞き応援を寄越すつもりかもしれぬ」
「報告いたします、浅井の斥候約二十名門を出て我が方へ向かっております、旗指物等は何も持ってはおりませぬ」
「報告いたします、小谷城から越前へ向け早馬が出ました浅井の旗竿です」
「殿、光秀の間者より報告にございます、浅井長政どの父久政どのの説得により、我が織田と開戦する決断をしました」
「報告いたします、小谷城開門兵約三千」
「光秀、殿軍の指揮を取れ、藤吉郎も残す
全軍撤退、ぬかるな」
信長あわや一貫の終りであった
織田と浅井には、言葉は無くとも阿吽の呼吸があるはずだった。
長政とは兄弟以上のつもりでいた。
急ぎ京都を経て、岐阜に戻るとすぐさま合戦の仕度にかかった。
「とーちゃんおかえり
どーだった、ノブにぃの首持って来たの」
「あるか~、みやげ物でもあるまいし」
「そっか、やっぱ、そこまでは無理だったか、しゃーないね」
「のう、お市、お市ならばどうしていたのだ」
「うーん、ほんとに浅井を残すんだったら、ふたつに分けちゃえば、朝倉と織田にさ」
「なるほどのう、その発想が浅井にあれば、、、」
「てか、あっても誰も賛成しねーよ、きっと
伝統、格式、身分の上下、浅井は、いい意味でそれを大事にしてる
どっかの誰かさんは、そんなの気にしないもの
とーちゃんとノブにぃは、お互いの無いものにひかれてたんじゃね」
何をどうするにも、もう遅すぎた
それから約二月後、浅井領内姉川に於いて、浅井、朝倉軍と織田、徳川軍とが戦かった
浅井方は自領でもあり奮戦したが、最後は押し切られ敗走することとなる。
この戦で織田の重臣が戦死した
浅井、朝倉は負けたとは言え未だ力を保っていた。
近江、京都、大阪方面は、将軍義昭、公家、各大名、宗教の思惑を巻き込んで、信長包囲網を形成しつつあった。
「え~ノブにぃ、すっげ~じゃん、みんなに憎まれてて
どんだけ厄介なん
悪魔とか鬼の扱いじゃね」
「おかあ、神様はいいことばかりしないとだめなんだよ、でも悪魔とか鬼だと、たまにいいことすると、それだけで誉められるんだよ」
「あ~あとうとう、あーしの兄きは、人じゃ無くなっちまったよ、はは
あ、とーちゃん今日も戦なん」
「おと~ちゃま、今日も、茶々と初のために、い~っぱい、い~っぱい、敵の首取ってきてね~」
「任せろって言いにくいわ、市なんとかならんのか
この殺伐とした挨拶は」
「申し訳御座いませぬ、
茶々、もう少し、薄皮で餡を包む様に言いなさい」
「おとーさま、今日も、大勢の息の根を止めて、地獄の釜に叩きこんで来てね」
「ふぅ~、、、もう良いわ」
織田の軍団は、畿内各方面の
戦闘に明け暮れていた。
出る杭は打たれるのとおり、
各地で叩かれていた
ところが、その杭は、引っ込むどころか、みるみる延びて手に負えなくなってきた。
「どうだ権六ッ、浅井朝倉の妨害は未だ続くとおもうか」
「は、畿内一帯はその本拠地自体が力を失いつつありまする
しかし、本拠地が越前、近江にあるきゃつらは、資金、兵力共に、健在と見ます」
「よし、先ずは越前、その後近江に繰り出す
いまこそ、金ヶ崎の仇を討とうぞ」
「御意」
信長は待っていた、長政を
死なせたくなかった
越前の結果を見て投降を決断して欲しかった。
越前朝倉は、織田の猛攻により墜ちた。
残すは、浅井のみ
浅井には、もう逃げ道は無く基本は籠城しか無かった
小谷城の護りは固く、猛攻を続け、やっと久政の籠る曲輪を落とし、長政のいる本丸を残すだけになった。
突然織田の猛攻がやんだ、城からは、火の手が上がっている。
「お市様、殿がお呼びに御座います」
もう呼びに来る武士も、いつもの顔見知りでは無かった
ただでさえ、薄暗い城内なのに、煙りで前が見えない
おかるが、みんなに草鞋を履かせた
子供達には可哀想だけどこれで終り
おかるが、茶々と初の手を引いて無言で付いて来る
さっきまで、むせていた煙ももう気にならない
何気に上を見上げると、煙りだと思ったら雲だった、雲の隙間から月も望める。
「月を見ながら(自害)なんて風流じゃん、ねっ、もういんじゃね、この辺で
とーちゃんはもう、あれなんだろ」
中庭だった、鎧姿の者が二十人程片膝立ちで控えていた。
お市が小さな時から見ていた
織田の旗指物
「へっ、どゆこと」
「お市様、お懐かしゅうございます、滝川一益御迎えにあがりました」
城攻めの前から、信長は長政に、長政とお市達の助命を確約していた。
長政からは、お市達とお付きの女中おかるの助命を嘆願してきた、信長はこれを受け入れた。
一益が説明した。
「これより、本陣へお連れいたしまする」
「あッ、カッズ(一益)、あーしノブにぃに会うのお久なんだ、子供達、初顔合わせだし
少しでいいから、身繕いさせてくんない、いいかな」
「は、暫しお待ちいたしまする」
お市達は、おかるも含めて、何か話しながら忙しく、身の回りを整えた。
「殿、お市様お連れいたしました」
「おう、お市無事であったか」
「良くいうよ、人ん家に火着けといて、無事かって、完全に頭おかしい人じゃん」
「光秀、お前今頷いたな、覚悟せよ」
おかるが物凄い殺気を周囲に放つ
何とか話題をそらしたかった
そこへ、茶々が信長の前へ歩み出た
「浅井長政が長女茶々がご挨拶申しあげます」
「む、苦しゅうない、近こうよれ」
その瞬間、茶々は帯に差した懐刀を引き抜き
「覚悟」
蘭丸が立ちはだかる
お市が抱いていた、三女江が大きな声で泣いた(隠れてつねっていた)
その場の者達は、皆そのどちらかに注目した
お市が口を開いた
「ノブにぃ、最後に浅井の勝ちだよ」
「何を言うか、こうして蘭丸が茶々を阻んでいるではないか」
「ざ~んね~ん、甘いよノブにぃ、自分の後ろ見てみなよ」
信長がふと後ろを振り返ると鎧の隙間に煌めく刃が差し込まれていた。
懐刀を握る小さな手は、急所を狙って、ぴたりと止まっていた。
皆の注意が逸れている間、お初が信長に近付き、誰も気づかないうちに刃を向けた
この場の武将達が皆固まった
「どう、ノブにぃ、あーしの子供達結構やるっしょ、蘭丸動いたら、ノブにぃプスッだよ」
「市、何が望みか、申してみよ」
「うちらを、清州にいかせて、それだけ
それが、とーちゃんに対する決別」
「わかった、じゃが、帰蝶に会わんでも良いのか
このたび、安土城を造り一緒に居られるぞ」
「あ、初も茶々も、もういいよ、戻ってきな」
「ね~ね~、かーちゃん、あの蘭丸って子、超かわいくね、一緒に清州に連れてって」
「ばか言ってんじゃねーよ
ったく
ノブにぃ、そりゃ、あーしも、ねーちゃんに会いたいけど、今は違くね
だって、そこの城で此度の戦勝祝いすんじゃん
真っ直ぐ清州に行かせてくんない、おかるもね、うちらこれで一揃えなんよ」
「良かろう、蘭丸意外の望み全て確約いたす」
おかるを含む五名は、直ちに清州へ送られて行った。
権六が
「やはり、虎の子達は猫に見えても虎ですな
お見それいたしました」
滝川一益
「申し訳御座いませぬ、殿に会う前に、身なりを整えたいと申しますので
暫し時間を取りました、お市様が懐刀を所望され
人数分用意致しました」
光秀
「どうやら、その間に取り決めをしたようです
手練れのものは、先ずあの、おかるの殺気を感じ、そこから、気をそらされ、殿に対する警戒をそらされたかと」
「要するにじゃ、この信長は、血縁とはいえ、女、子供の懐刀にかなわなかった
しかも、歴戦の家臣達も手も足もでなかったと」
信長をはじめ、その場の家臣一同、戦勝気分が白けはじめていた。
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