屋根に登れば

朝の景色

職人さんて、朝が早いイメージだけど、大体今は、お客さんの生活に合わせて、現場には８時過ぎに着くようにしてるけど、そうすると、一晩経った屋根は、埃や、落ち葉なんかがどうしても付いて仕舞うの、だからね掃除しなくちゃなんない、足場に上がり家根に登って、ふと、周りを見ると、丁度通勤、通学の時間なのよ、中学生や高校生だと、おお、学校行くのか、程度の景色だけど、小学生は、やっぱ面白いね、動きがあってさ、個性もあるしね、見ていて厭きないよ。
普通に歩いていて、いきなり走り出したりね、なんでだろうね、何らかの心の動きがあったのかね。
かと思えば、拾った小枝を振りながら歩いているよ、この光景はきっと、縄文時代以前から同じだよね、俺なんかが、あの子の目の前で倒れていたら、きっとあの小枝で突付かれていたろうね、チョンチョンてさ、そして、少しでも動いたら、ワーって逃げてくの。
来たよ来たよ、遥々遠くから、歩道の縁石だけを伝って歩いて来たよ、きっと、体操か、綱渡りの練習だね、大丈夫だって踏み外しても、同じ歩道の上だってば。
はい、今日のチャンピオン決定、女の子が水色のランドセルを、背負うんじゃなくて、胸にかけて歩いてます、しかも、単独行動だよ、お～い、何があった、良かったら、おじさんに聞かせておくれ。
大丈夫だよ、心配とかしてないから、単なる好奇心てやつだから、帰りも頼むよ、画像に残したいからさ。
大抵のお姉ちゃんは、妹も弟もちゃんと手を引いて歩いてるね、感心するよ、そこへ行くと男兄弟は、兄貴が先頭に立って、なーんかやらかしながら、歩いてるね。
たった、５分位の光景だけど、面白いし、楽しいな、見ていて厭きないよ、うん、ずっと見ていられるな。
しかしまあ、子供達は、小綺麗になったね、カラフルでさ、でも、良く見るとその行動は、今も昔もあんまし変わんないね。
ああ、いけね、屋根塗りに来たんだった、子供達見て、テンション上がったから頑張るよ、
寒いけど、晴れ渡った空が眩しいよ、今日は、外の仕事日和だね。
もう、冬だから、一回塗ったら、後は終いだわ、片付けて帰るんだけど、まだ早いから、下校時刻じゃないね、さあ、引き上げようや、帰りに仲間の現場を冷やかして帰ろう。
あれ、前のほうから、ちっちゃいのがゾロゾロ歩いて来るよ、ああ、そうか、低学年は、早いんだ、どうでも良いけどさ、君達ランドセルの方が大きく無いかな。
アハハ、いたいた、いきなり
て、て、てッと、駆け出す子が、かと、思えば、立ち止まって、何かをじっと見つめる子、良いね、実にいい、後5年もしたら、中学生だよ、直ぐだよ、そこからは、直ぐに二十歳になって、面倒くさいことが山程起きるから、今のうちに、しっかり楽しみな、何の欲も無い今が一番良いよ。
そのうち、生きてる事自体が、勉強なんだと気づいて頂戴。
勿体ないから、間違っても自殺なんかすんなよ、どうでも良いけどさ、寄り道してないで早く帰れよな。