屋根に登れば

雨田ゴム長

文字の大きさ
4 / 15

匠の技

しおりを挟む
初冬の日曜日、大工さんの補助で、リホーム家屋の窓サッシを、勝手口ドアに変える仕事があったの、ベテラン大工さん72歳は、当然ナビなんて関係無い人で、部材を積んだ私の先導で、、、ありゃりゃ、ついてこないんですけど、、、そう、安全運転の権気、北海道で国道上なら50キロで走行する方が、かなり危険運転だと思うけど、恐らく絶対捕まっちゃいけない何かがあるね、ま、深くは追及しないけどさ、そして、何が凄いかって言うと、今日何の作業するか知らないの、感動しました、現場に行けば何とかなるんだろうという、場当たり的な受け答えも去ることながら、経験に裏打ちされた自信て言うのか、施主さんとこで、ダチョウ倶楽部を彷彿とさせる語り口が素晴らしいの。

「ペンキ屋さん、この窓を、あのドアに変えるのかい」

「はい、大丈夫ですかね」

「大丈夫もなにも、これ終らせないば、二人共帰れないべさ、違うのかい」

「いや、そうなんですけど、中に入ってみますか」

もうね、そのやり取りだけで、ここの現場は初めてだけど、こんなことは、何時もの事だよ、みたいな雰囲気でね、あーこの人に取っちゃ、なんて事無い作業なんだろな、と、きっと国道を50キロ走行するより簡単な事なんだろうな。

ピンポーン

「おはようございます、朝からすみません、ドアを付けに来ました」

日曜日の朝8時に来られて、いくら自分の家の事とは言え正直やだよね。

「ペンキ屋さん、取り敢えず、中の造作するわ、道具取ってくっからよ」

「じゃあ、養生(汚したり、傷が付かないようにするために、囲ったりする事)取りますね」

「さあ、道具も揃ったしやるべぇーか、あ、旦那さん、奥さん、こんな朝早くからご免なさいね、ドア付けますからね、でも、上手くできるかなあ~、あんまし自信無いな~やったことあったべか~」

「え~、みんな不安になるから、そう言う事言うの止めてよ、大工さん」

旦那さんも奥さんも、目がさめたね、そして笑い出したよ、じゃあ何しに来たのさ、こんな遠くまで、、、だよね。

「ペンキ屋さん日曜日だよ、冗談言いながらでもやらないば、楽しくないべさ、ねぇ、奥さん」

まるで落語だよ、でも、喋る口以上に手が動いて、みんな感心して見ているね。

「ペンキ屋さん、クロス剥ぐけど、クロス屋さんは入るの、あそう、壁材は、あ、あるね、お、外の材料足りねえな、12のコンパネ欲しいね」

「あ、じゃあ一回戻って、取って来ます」

「うん、今年中には、終るから」

「あ、いや、日暮れまでには終わらせてくださいよ、是非とも」

「しゃーないな、どれ、中終ったから外の造作だね、ペンキ屋さんが戻った頃に、窓を外してドアを付けてみっかな、それまで何してようかな~」

結構やること有るのに、言い方だけが呑気な、皆を楽しくさせる凄腕の人。

初めて組んだのに、楽しいわ、そして、作業が早い事。

「大工さん、昼だけど、どうします」

「いんや、作業が外だし、取らないで続けるよ、日曜だし、早く帰るベエよ、さあ、窓外して、ドアつけるよ、持ってよ、あらよっと」

「こんな、感じでいいかな」

「奥さん、今からドア付けるけどさ、縦が良いかい、横にするかい、横はあんましいないけどね、それでも、やれってんなら、そうするけど、あ、普通が良いのね、みんなそうだよ、そう、横は俺も付けた事無いな」

良いなあ、なんだかんだで、昼過ぎに終了したよ。
本人は、又、国道を50キロで帰って行ったよ。
大工さんの腕の良し悪しは、あんましわからないけど、匠って別に、物凄い技術よりも、一般家庭なら、この人の方がいろんな意味で、匠だと、そう思った日曜日の午後だったな。




















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

処理中です...