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第十五章
703:事件の陰で動くもの
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ECN社ではインデストの状勢や一連の事件に関する調査が進められていた。
これらの調査はECN社の今後の意思決定に大きな影響を与えるものであったが、大部分の従業員には極秘とされていた。
社内のごく一部の者だけが知っている切り札の存在、それを他者に悟られたくなかったためだ。
ECN社に期待されているのは、インデストの治安の回復、そして全島で問題となっている電力供給問題の解決である。
この両者は密接に関係しており、これらを同時に解決する根本的な解決策が必要な状況である。
一方で、ECN社はこれらの問題に対する直接的な関係者ではない。
このためミヤハラらECN社幹部は慎重な対応が必要と判断し、他者につけ入る隙を与えぬよう、必要な情報を極秘裏に収集していたのである。
行方不明であったオイゲンとヌマタの参入はECN社にとって大きなアドバンテージとなった。
インデストの混乱の一因である「オーシャンリゾート」の爆発事件について、彼らは他者の知りえぬ多くの情報を持っている。
更にオイゲンはECN社の前社長という立場もあり、市民の知り得ぬ島の情報を数多く有している。
調査においてミヤハラが特に重視したのは、「オーシャンリゾート」爆発事件がどのようにして起きたか、という点であった。
この事件ついては、ヌマタ、オイゲン以外の何者かが関与したことが判明している。
過去の調査で、事件は地下に貯蔵されていた爆発物に発火装置が発した火が燃え移ったことにより爆発したものであることが判明していた。
ヌマタは発火装置を仕掛けたのが自分だと主張した。
だが、ECN社による詳細な調査の結果、実際にはヌマタが仕掛けた発火装置は作動しておらず、爆発物に火をつけたのは別の発火装置であることが判明した。
ヌマタは調査結果に不満を表したが、証拠となる品物やデータを持ち出されて、ようやく自身の仕掛けた発火装置が事件に関与していないことを認めた。
一方、オイゲンは、自身が休憩所の照明のスイッチを入れた直後に地下から火が見えたと証言していた。
これにより照明のスイッチを入れることで、発火装置を起動させた可能性が疑われた。
照明のスイッチと発火の因果関係は確認できなかったものの、オイゲンの行動はOP社治安改革部隊が徹底して管理しており、その詳細な記録がOP社より得られた。
記録からはオイゲン自身が発火装置を仕掛けたり、何者かに発火装置の設置を依頼するといったことに結びつく行動は一切発見できなかった。OP社の記録は詳細で、数々の証拠に裏打ちされていたから、少なくとも発火装置に関してオイゲンの関与は完全に否定されたのだった。
これらの結果から、発火装置を仕掛けた第三者の存在が浮かびあがったのである。
また、地熱発電所の火災事件についても、「勉強会」グループが公表している調査結果を覆す物証が得られた。
ヌマタがIMPUのサン・アカシとキースから預かった通信機である。
地熱発電所の火災事件については、何者かが通信機を改造して作った発火装置による人為的なものとされていた。
そして、該当の通信機は「OP社グループ労働者組合」が、OP社治安改革部隊との戦闘中に用いていたものであった。
発火装置として使われた通信機と現存している通信機を調査した結果、事件の容疑者の一人、シン・スザキが戦闘中に使用していたものである可能性が高いとされていた。
しかし、ヌマタが持ってきた通信機がシン・スザキが使用していたものと判明したのである。
すなわち、「勉強会」グループが、事件に使われた発火装置として保有しているものは、シン・スザキの使用していた通信機ではないことを意味している。
善意に解釈すれば「勉強会」グループの誤認である。
だが、「勉強会」グループに悪意があるとすれば、彼らがシン・スザキを陥れるために証拠を捏造したと考えられる。
調査の結果、ミヤハラたちは、「勉強会」グループが何らかの意図を持って現在のIMPUの幹部や「OP社グループ労働者組合」を陥れようとしているということを確信していた。
何者かが意図をもって行ったとしか考えられない行動があまりにも多かったからだ。
これを受けてミヤハラはインデストの問題についてECN社を直接介入させることを決めた。
現在の状況を放置すればIMPUや組合は言われなき罪により、市民からの評判を落とすことになる。
それだけではなく、彼らに取って代わろうとしている勢力、「勉強会」グループと「EMいのちの守護者の会」の活動には、大いに疑問がある。
前者については、IMPUの現幹部や組合が気に入らない、というのが本音ではないかと思われる。
一方、後者については前者よりはるかに性質が悪い、とミヤハラたちは考えている。
オイゲンが通貨システムの情報を調査したことにより、「EMいのちの守護者の会」の資金の動きが明らかになってきた。
収入のかなりの割合の金額が、実態不明の企業や団体等に流れていた。
こうして流出した資金は、会に刃向かう者を黙らせるために使われていた可能性が指摘されている。
これらの調査はECN社の今後の意思決定に大きな影響を与えるものであったが、大部分の従業員には極秘とされていた。
社内のごく一部の者だけが知っている切り札の存在、それを他者に悟られたくなかったためだ。
ECN社に期待されているのは、インデストの治安の回復、そして全島で問題となっている電力供給問題の解決である。
この両者は密接に関係しており、これらを同時に解決する根本的な解決策が必要な状況である。
一方で、ECN社はこれらの問題に対する直接的な関係者ではない。
このためミヤハラらECN社幹部は慎重な対応が必要と判断し、他者につけ入る隙を与えぬよう、必要な情報を極秘裏に収集していたのである。
行方不明であったオイゲンとヌマタの参入はECN社にとって大きなアドバンテージとなった。
インデストの混乱の一因である「オーシャンリゾート」の爆発事件について、彼らは他者の知りえぬ多くの情報を持っている。
更にオイゲンはECN社の前社長という立場もあり、市民の知り得ぬ島の情報を数多く有している。
調査においてミヤハラが特に重視したのは、「オーシャンリゾート」爆発事件がどのようにして起きたか、という点であった。
この事件ついては、ヌマタ、オイゲン以外の何者かが関与したことが判明している。
過去の調査で、事件は地下に貯蔵されていた爆発物に発火装置が発した火が燃え移ったことにより爆発したものであることが判明していた。
ヌマタは発火装置を仕掛けたのが自分だと主張した。
だが、ECN社による詳細な調査の結果、実際にはヌマタが仕掛けた発火装置は作動しておらず、爆発物に火をつけたのは別の発火装置であることが判明した。
ヌマタは調査結果に不満を表したが、証拠となる品物やデータを持ち出されて、ようやく自身の仕掛けた発火装置が事件に関与していないことを認めた。
一方、オイゲンは、自身が休憩所の照明のスイッチを入れた直後に地下から火が見えたと証言していた。
これにより照明のスイッチを入れることで、発火装置を起動させた可能性が疑われた。
照明のスイッチと発火の因果関係は確認できなかったものの、オイゲンの行動はOP社治安改革部隊が徹底して管理しており、その詳細な記録がOP社より得られた。
記録からはオイゲン自身が発火装置を仕掛けたり、何者かに発火装置の設置を依頼するといったことに結びつく行動は一切発見できなかった。OP社の記録は詳細で、数々の証拠に裏打ちされていたから、少なくとも発火装置に関してオイゲンの関与は完全に否定されたのだった。
これらの結果から、発火装置を仕掛けた第三者の存在が浮かびあがったのである。
また、地熱発電所の火災事件についても、「勉強会」グループが公表している調査結果を覆す物証が得られた。
ヌマタがIMPUのサン・アカシとキースから預かった通信機である。
地熱発電所の火災事件については、何者かが通信機を改造して作った発火装置による人為的なものとされていた。
そして、該当の通信機は「OP社グループ労働者組合」が、OP社治安改革部隊との戦闘中に用いていたものであった。
発火装置として使われた通信機と現存している通信機を調査した結果、事件の容疑者の一人、シン・スザキが戦闘中に使用していたものである可能性が高いとされていた。
しかし、ヌマタが持ってきた通信機がシン・スザキが使用していたものと判明したのである。
すなわち、「勉強会」グループが、事件に使われた発火装置として保有しているものは、シン・スザキの使用していた通信機ではないことを意味している。
善意に解釈すれば「勉強会」グループの誤認である。
だが、「勉強会」グループに悪意があるとすれば、彼らがシン・スザキを陥れるために証拠を捏造したと考えられる。
調査の結果、ミヤハラたちは、「勉強会」グループが何らかの意図を持って現在のIMPUの幹部や「OP社グループ労働者組合」を陥れようとしているということを確信していた。
何者かが意図をもって行ったとしか考えられない行動があまりにも多かったからだ。
これを受けてミヤハラはインデストの問題についてECN社を直接介入させることを決めた。
現在の状況を放置すればIMPUや組合は言われなき罪により、市民からの評判を落とすことになる。
それだけではなく、彼らに取って代わろうとしている勢力、「勉強会」グループと「EMいのちの守護者の会」の活動には、大いに疑問がある。
前者については、IMPUの現幹部や組合が気に入らない、というのが本音ではないかと思われる。
一方、後者については前者よりはるかに性質が悪い、とミヤハラたちは考えている。
オイゲンが通貨システムの情報を調査したことにより、「EMいのちの守護者の会」の資金の動きが明らかになってきた。
収入のかなりの割合の金額が、実態不明の企業や団体等に流れていた。
こうして流出した資金は、会に刃向かう者を黙らせるために使われていた可能性が指摘されている。
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