君の手の温もりが…

海花

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ふたり

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頭の奥が微かに痛み俊輔は目を開けた。靄がかかった様な頭で起き上がり入口に座っている藤井に目を向けた。直ぐに俊輔を見つめる目と視線が合い昨夜の出来事が夢ではない事を告げる。
「目が覚めた?」
気付かないうちに眠っていたらしい。
俊輔は思わず目を逸らした。
「……落ち着いたみたいだね」
藤井の言葉に
「……ご迷惑おかけしてすみませんでした……」
俯いたまま呟くように口にした。昨夜薫の家で何があったか、まるで映画か何かを見たように記憶に残っている。薫と何をしたかも……その後自分が…葵に何をしたかも………。
「気にする事ない…。昨夜のことは全て薬を使われたせいだから……きみは被害者だよ」
俊輔は藤井の言葉を黙って聞いている。正直頭が混乱していた。信用していた薫に何故あんなことをされたのか……。そして、葵を見た途端……抑えられなくなった欲望……。
弟にキスをした。その恋人の前で……。
──もしこの人が止めなかったら……俺は葵に何をしていた…………?
藤井がずっと俊輔の様子を見ている。戸惑っているのが手に取るようにわかる。
「きみが飲まされたのは幻覚剤の作用もあるみたいだし、親近感を強くするらしい…だから、昨日の子ともセックスしてもいいと思ったんだろうね」
藤井のハッキリとした言葉に俊輔は目を伏せた。
「……もちろん…葵にしたことも……薬のせいだと思ってる」
俊輔の顔が微かに歪んだ。
「この部屋で……きみが俺に言い続けた言葉もね」
藤井の声が部屋の中に冷たく響いている。
俊輔は藤井に目を向けた。
まだ二人が付き合いだす前…葵に聞いていた話より…大分……冷たく見える。少し日本人離れした端正な顔立ちが余計そう見せているのかもしれないが……。
──当然か……。自分の恋人に目の前でキスされ……挙句別れろと言い続けられたんだから……。だけど…………

「それは………本気だったって言ったら……どうしますか……」

俊輔が藤井の冷たい瞳を見つめる。
車の中から藤井が葵にキスするのを見た時ハラワタが煮えくり返るんじゃないかと思う程……腹が立った。
藤井は俊輔をしばらく見つめ
「そうだね……。自分の身くらいは自分で守れるようになってから、人の恋人にちょっかい出した方がいい……って…助言するかな……」
二人はしばらく睨み合っていたが
「……葵が心配してるといけないから、下に行くけど……きみはどうする…?」
藤井がため息をつき声を掛けた。
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