君の手の温もりが…

海花

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ゲーム

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「は⁉︎全然意味解んないんだけど……」
葵がイラつきを隠すでもなく口から吐き出した。
「何で解んないの?……だからさぁ」
たった今説明した問題を再び、しかももっと噛み砕いて説明する。
「……解った?」
眉を顰め首を傾げている葵を俊輔が訝しげに見つめる。

———これ……多分……いや絶対…解ってない………。

「……………………解んない………」

———やっぱり……

俊輔はため息をついて
「少し休憩しようか……」
飲み物を取りに行くために立ち上がった。
「お前………俺のことバカだと思ってるだろ………」
葵が八当たりで俊輔を睨みつける。
「思ってないよ」
俊輔が笑いながら冷蔵庫を開け麦茶を取り出しコップに注ぐと
「俺にも」
葵が椅子の背もたれに寄りかかりため息をついた。その様子にまた笑いながら葵のコップも取り出し麦茶を注いだ。
まさかバカだとは思わないが、ここまで拗らせているとも思ってなかった……。
「少し休んだらまたやろう。教えてやるから」
俊輔がコップを手渡すと
「えー……もういいよ……。それよりゲームやろう!久々にさ」
葵が一気に飲み干し嬉しそうに提案した。
「お前……課題どうすんだよ」
「えー………最悪……俊にやってもらう」
「何だよそれ……」
俊輔が苦笑いする。
さっさと課題を片付け始める葵を机に肘をつき俊輔が笑いながら見ている。夏休みが始まったばかりの頃か…それより以前に戻ったみたいで……居心地の良さに二人とも浸っていた。


リビングに置いてある一台のゲーム機で二人で交互にプレイしている。葵の部屋にあるゲーム機を使えば二人で一緒に出来たが、どちらともそれを口にしなかった。
「俊、下手過ぎ……」
葵がバカにするように俊輔を見ている。
「うるさいなぁ……仕方ないだろ……ずっとやって無かったんだから……」
今度は俊輔が不貞腐れている。
実際、葵に誘われなければまずやらない。それも葵が藤井とゲームをやる様になってからはほぼ触ることすらしていなかった。
「見ててみ。俊はさ、武器のチョイスも悪いんだよ……」
次は葵がコントローラーを受け取って始めた。
俊輔はゲームが始まると夢中になる葵を思わず笑いながら見つめる。
口の端から舌が少しだけ出て上唇を舐めている。集中している証拠だ。

───昔から変わらない……。

ふと昨夜の葵とのキスが蘇った。
今は薄い唇から見え隠れする舌が…昨日は俊輔を受け入れ熱く絡んだ……。
俊輔の心臓が早くなる……。発作の時とは明らかに違っている。

───もう一度……触れたい…………。

「そう言えばさ……」
突然葵が喋りだし、俊輔は我に返った。
「さっき……結衣から電話あったから……」
ゲームの画面を見ながら葵が話し続けた。
「明日にでも連絡しろよな……。俺が……あいつんち行けたのも、結衣が電話で教えてくれたお陰だし……」
「…………結衣が……」
そう言えば…昨日別れ際に前に葵の番号を教えてると言った。
「分かった……。明日電話してみるよ」

───結局……結衣にも迷惑かけたんだ……。

「あー!話してたら負けた!」
画面に『GAME OVER』の文字が映し出されている。
「……でもこれ……2位ってことでしょ?凄いじゃん」
「バーカ。そんなこと言ってるからいつまで経っても下手なんだよ。やるなら1位じゃなきゃ」
葵が肩を落としてコントローラーを俊輔に渡した。

──勉強は1位じゃなくてもいいのに……

俊輔は肩を竦めて画面に集中する様務めた。

──葵が結衣の話をしてくれて良かった。じゃなきゃ……また…………

画面を食い入る様に見つめる俊輔を葵はホッとしながら見ていた。

──良かった……。いつもの俊だ……。

「え!?……俺仲間から置いてかれてんだけど……」
敵を倒すことに集中していて焦る俊輔に笑いながら
「安地移動してるからだよ。ちゃんと見ろよ」
必死で画面を見つめる俊輔から、葵はいつの間にか目が離せなくなっていた。
気が付くと唇を見てしまう。

───昨日……俊と…………

「葵!見た!?今の上手かったんじゃ……」
葵は嬉しそうに振り向く俊輔の頬を手で抑えると…………

─────口付けた────


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