君の手の温もりが…

海花

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告白

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───初めて二日も帰らなかったな………。

葵は寝返りをうって隣で眠る藤井の顔を見上げた。
藤井も送ると言わなかったし、葵も帰ると言わなかった。
帰って俊輔の顔を見るのが怖かったし、それでまた自分を抑えられなくなるのも怖かった。

───俊…………大丈夫かな…………。

ずっと自分のモノにしたいと思いながら、片思いのまま告げることもないだろうと諦めてもいた。もし告げて俊輔の中にある居心地の良い自分の場所が壊されるくらいなら、このままそばにいられるだけでいいと思っていたのに……。
それが、音を立てるように壊れていくのが分かる。

───ただそばにいたかったのに……。

それすら出来なくなっていく。

「葵……?」

いつの間に目を覚ましていたのか藤井に名前を呼ばれ一瞬葵の身体がビクッと震えた。俊輔のことを考えていて目を開けたことに全く気付かなかった。

「……あ……おはようございます…」

葵が思わず目を逸らす。

「……おはよう」

そう言って葵を抱き寄せると

「支度して出掛けよう。葵と一緒に行きたい所があるんだ」

葵が何を考えていたのかだいたい見当はつく。結局自分は取って代われない存在……。

「一緒に行きたい所……?」

「そう。もう明日で休みも終わりだからね。遊び倒さないと」

藤井がいたずらっぽく笑うと

「…………休みって……確か謹慎でしたよね?」

葵が呆れたように笑い返した。



テーブルに“少し”焦げた不格好なオムレツとサラダ、それにスープも並んでいる。

「美味しそうに出来たじゃん」

俊輔が結衣に笑顔を向ける。この“少し”焦げた不格好なオムレツを結衣が作った。

「……本当はもっと美味しそうに出来る予定だったんだけど……」

結衣が肩を落とす。

───家で作った時はもう少し美味しそうに出来たのに…………。

「充分美味しそうじゃん。ほら、せっかくだから温かいうちに食べよう?」

俊輔がトーストを持ってきて、結衣に座るように促す。
結衣が自分の為に一生懸命頑張ってくれているのが全てから伝わってくる。
料理をしている間もいつも通り接してくれた結衣が、切なくなる程健気に見えた……。

「結衣……ジャムだっけ?」

「あ……うん。ありがとう」

結衣にトーストを渡しながら

「俺で良かったら…………付き合おうか?」

俊輔が見つめた。

「あ……もし……結衣がまた…嫌じゃなかったら……だけど……」

結衣が表情も変えずに全ての動きをストップさせている。

「…………結衣……?」

「…………今……なんて言ったの?」

結衣が長い沈黙の後漸く口を開いた。

「え!?…………だから………もし、結衣が嫌じゃなかったら……付き合おうって……」

恥ずかしそうに笑う俊輔の顔が赤く染まり、結衣は無表情のままで見つめ合っている。

───今……この話はまずかったかな……。

俊輔が結衣の様子を窺うと……
結衣の瞳から一気に涙が溢れ出した。

「──え!?ごめん!……そんな…嫌だったら……無理にとかじゃなくて!」

俊輔が慌ててティッシュを持って結衣のそばに走りよった。

「ごめん……結衣……泣かないで……」

焦って狼狽える俊輔に抱きつくと

「嫌な訳ないじゃん!ばかー!」

結衣が声を上げて泣き出して……

「…………返事……待たせてごめんね」

俊輔も優しく結衣を抱きしめた。

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