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鍵
しおりを挟む部屋にインターホンの音が響くと藤井の顔が明らかに曇ったのが分かった。
「葵……鍵、開けてあげてくれる?」
そう言われて首を傾げながらモニターの通話ボタンを押し
「……はい」
一言告げ解錠のボタンを押した。そしてそれと同時に
「———葵⁉︎」
俊輔の声がスピーカーから響いた。
『カチャリ』と音がして鍵が開いたのが分かり俊輔は中に入りエレベーターのボタンを押した。
間違いなく葵はここにいた。たった一言だったが葵の声を聞き間違える訳がない。
ゆっくりと開くドアの中に乗り込むと6階のボタンを押した。
俊輔はもう何も迷っていなかった。
葵が藤井を振り返り顔を見つめた。間違いなくスピーカーから俊輔の声が聞こえてきた。
「………葵を…迎えに来たそうだ」
藤井が穏やかな声で告げた。
「なんで………」
葵の顔が歪む。俊輔に対する自分の気持ちを藤井は知っているのに……。
それでも『愛してる』と囁いてくれるのに……。
何で突然………。
頭が混乱した。
「俺が……邪魔になったんですか………?」
藤井が教えなければ俊輔がここに来れるわけが無い。
「それは違う。彼が…葵と話がしたいと……今日店まで来た」
「そんなの……追い返せばいいじゃないですか……!」
葵はそれだけ言うと寝室へ逃げ込み鍵を閉めた。
俊輔に会いたくなかった。まして………何度も藤井に抱かれたこの場所で………。
それに今は俊輔のそばには結衣がいる。
———ふざけるなよ……。今帰ったところで………俺なんか邪魔じゃんか……。
俊輔の中の自分の場所をきっと結衣が奪っていく。それを、そばで見てろと言うのか……。
「………葵…?」
葵が閉めたドアのすぐ向こうから藤井が呼びかける。
「……俊には……会いたくないって言ってください………」
葵は呟くように言うと、今度は玄関のインターホンが鳴った。
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