思い出を探して

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告白

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怜が考え付いた方法は、思いもよらないものだった。


「賢太郎さん、私と向かい合ってください」
敬語は心の離れの現れ。そんなことを、思いつつ、賢太郎は言われた通りにする。
「目をつぶって、後ろを向いてください」
怜は、賢太郎の顔の方向に移動する。
そして、賢太郎の顔にジリジリと顔を近付けて、息を止める。自分も目を閉じる。そして、賢太郎にそのままキスをした。フワッと怜の香りがする。2秒間。賢太郎は目を閉じたままだった。えっ?
「目を開けてください。」
「えっと、今のは?」
ちょっと、いや、相当、訳がわかっていない賢太郎。耳の先まで、赤くなった怜。
「これで、私の気持ち、分かりましたか?もう絶対に、他の人と同じことはしないでください。お願いします」
ようやく状況が飲み込めた。ブワーっと顔が熱くなる。
「はい、しません」
それ以外の返事なんて、この顔を前にしてできるわけない。怜の目を見て誓う。
怜は気持ちを伝えるのが不器用だ。プロポーズを受けたときだって、すぐに はい と言わずに、指輪をはめて、、
「きっと私はもう一度記憶を取り戻すことは難しいと思います。でも、同じ人を好きになって、同じ人に恋をしてるんです。勇元賢太郎という人に」
賢太郎は、怜を抱き寄せる。
「僕も、好きだよ、前の怜さんも、今の怜さんも」
女性の体って、こんなに細かったっけ。怜からは柔らかい石鹸の香りがして、思わず、ギュッと力をこめる。すると、怜が賢太郎の背中に手を回した。肩に怜の気配を感じて、この人を一生幸せにしたいと思った。一生、一緒に生きて、どんなことも、乗り越えていける自信が湧く。もう、二度と、あんな思いはさせない。これからは、二人で幸せになるんだ。
みなまで言われると恥ずかしくなる二人。
「二人で幸せになりましょう」
賢太郎は、怜の返事に耳を傾けた。
「幸せに、なります」
小さい声。でも、暖かみのある声だ。

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