貧乏人と金持ちの熾烈な友情

ポルネス・フリューゲル

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第一話 将棋道場にて

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此処は昭和の町並み、嗚呼、恋しタバコのポイ捨てがまだまだ盛んであった頃合いか。

その歩きっぷりはガサツで右指にシガレットの煙を燻らせながら大通りのど真ん中でぶつぶつ呟きながら、それがトレードマークと言えるような、がに股はみていてサバサバするくらいだ。

彼の行く道は周りの皆がカーブして或いはシンカーのように道が開くのだった。

彼の仕事は三和証券会社の代表取締役会長で名は角田斬九郎という。

ちょうど右側に将棋道場が彼の瞳に映った。

店に入るなり、ぎゅうぎゅう詰めに客の入った道場に角田の眼が光った。

青年の名は森ヶ崎純也だったが彼は喋れないようだ。

角田はそれを察して「一局せえへんか?」というと彼は将棋盤を用意した。

「ナンボ掛ける?」

と角田が云うと彼は1本指と0を2 つを並べ喋れない口で万円と言い微笑んだ。

「お前変わった事言うな?まあまあ、面白いじゃあ100万円でな」と角田は言い先手は振り駒森ヶ崎純也となった。

彼はスリムな指先で中飛車と来た。

後手の角田は「おおっ!はっはーん」と嬉しそうにこれも中飛車で合わせて来た。

森ヶ崎純也は次に、案の定中飛車の上の歩を前進させた。

後手角田は「おお!これは」不利な展開やなあ。

先手の森ヶ崎は常に角田の捉える目の先の盤上の位置を把握していた。

一方で角田は呟く事で集中力に欠いていた。

最終的に角田の完敗となった。

森ヶ崎純也の手に100万円の小切手を献上した角田は「久々に楽しく過ごせた。」と言って道場を後にした。



今日の森ヶ崎純也の収入100万円也。
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