契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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従魔との遭遇2

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数日後、安全が確認されたからと外に出るのがようやく許可された。早速、リリカは美しい庭園を見に行くことにした。魔物に間違っても遭遇しないように、前回のように奥には行かないように十分に注意している。

美しい花々に癒されていると
『久しぶりね』
とどこからか声が聞こえた。

「貴方はこの前のうさぎさん!?」
首輪がされている綺麗な毛並みの白うさぎが近づいて来た。

『そうよ。あのときのお話しの続きがしたくて会いに来たの』

そういえばこの前何か言おうとしてたわね。その前に騎士の男性が連れて帰ったから聞けず仕舞いだったけれど。

「私に何かお話しがあるのね?」
『ええ、貴方良い香りがするの』
「え?」
『私だけじゃないわ。他の子たちも貴方が気になっているみたい。動物を惹き寄せちゃうっていうかね、そんな不思議な力を感じるの。貴方のところまではなかなか辿り着けなくてね。大変だったわ』
「そんな力があったなんて」
昔の記憶を思い出しても、動物がよく私の近くに現れたりしていたような。

もしかしてあの魔物が私のところに来たのって……。
この前、城内で魔物に襲われたときのことを思い出した。

いやいや、レイリック様は誰かが招き入れたって仰ってたわ。それに私があの子を追いかけなければ、あんなことにはならなかった。だけど、私の近くに現れたのは偶々ではないの?

『大丈夫?』
心配そうにその白うさぎは尋ねる。

「ねぇ、もしかして、私って全ての魔物を惹き寄せる力があるの?」
『ええ、特に力の弱い小さな魔物ほど惹きつけちゃうのね』
「なら強い魔物は寄って来ないのね」
それならまだ大丈夫。とはいえ、私の力では戦っても勝てないかもしれないけれど。

『今の貴方には惹き寄せられる力を特に感じないの。だから心配はいらないわ』
「えっ、どういうことなの?」
『そのネックレスよ。ものすっごい力を感じるから、それで貴方の力が感じられなくなっているの。この前はちゃんと感じれたのだけど。まあ私は貴方と今度こそゆっくりお話ししたくて探し出したのだけれどね。それと、魔物避けにもなっているわね。魔物避けって言っても敵意のある魔物が近付けないだけで、従魔とか敵意のない魔物は普通に近付けるけれどね。ほら、生き物って本能で自分より強い力を恐れるものでしょ。敵意がある生き物だけ、それを感じられるように上手く調整されているわね。まあ、人間は感じ取れないでしょうけど』

その言葉にリリカは目を瞬いた。

そして、あのとき、ネックレスが魔物の攻撃で壊れたため身につけていなかったことを思い出した。

さすがレイリック様の魔法ね。色々な危険から守ってくださって感謝しかないわ。だけど、レイリック様は女性嫌いだから、“好きにならない”って契約を交わした私が都合が良かったのかもしれないけれど、本当にそれでいいのかしら? 幼い時から公爵家の娘としての教育は受けてきたけれど、特に何かに秀でているわけではないのに。そこまでして、守ってもらえるだけのことを出来ているの?

レイリックと自分自身を比べ、ついつい自問自答してしまう。レイリックほど優秀な人物なんてほとんどいないだろうとリリカも理解しているのだが。

『どうしたの?』
黙りこくってしまったリリカに、白うさぎは不思議そうに尋ねる。その声にはっとして顔を上げる。

「いいえ、なんでもないわ」
「公爵令嬢様!! またっ、申し訳ございません。私の従魔がご迷惑を」
従魔の主人である騎士の男性が駆け寄って来た。

「いいえ、気にしなくていいから。白うさぎさん、次からは勝手に動き回ったらダメよ?」
レイリック様がまた処分なんて言い出したら困るんだから。

『仕方ないわね。貴方が言うなら分かったわ』
渋々といった感じで言う。

「やあ、君たちは何をしているのかな?」

いきなり背後から聞こえた男性の声に、リリカは思わずびくっと肩を震わす。

「レイリック様、どうされたのです?」
「いや? 君たちが随分仲良さそうに話しているのが見えてね」

?この男性は今ここに来たばかりで……ってことはもしかして私と白うさぎさんのこと?

「そうだよ。随分その白うさぎと仲が良いみたいだね」
リリカの心の声に答えるようにレイリックは言う。

「二度目か」
そうです。ですがどうか罰なんて言い出さないでっ。
とリリカは祈るような気持ちでレイリックと騎士の男性を交互に見る。
騎士の男性はレイリックの言葉に顔面蒼白になっている。

「行っていい。ただし分かっているね?」
にっこりと笑顔で言うが、目の奥が笑っていないのが分かった。

「はっ、はいっ!! 勿論でございます。失礼いたします!!」
そう大きな声で言うと、慌ただしく去って行った。

どことなく圧を感じるような……。でも一応は許されたのよね?
リリカはほっと胸を撫で下ろした。



しかし、その騎士は城内100周走る羽目になったのであった。
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