契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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魔物の再来

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リリカは今庭園でしゃがんで花を眺めている。

今日こそはゆっくり見るんだから。
前回はジュリアンが現れて、それどころではなかった。

「色とりどりの花……本当に綺麗ね。こっちの花も素敵ねっ」
ついつい奥の方まで移動してしまう。

そのとき、背後から何かの気配を感じた。

デジャブ……まさか、また殿下が?

振り返るとそこにはクマのような魔物が立っていたのだ。しかし、サイズはクマよりも遥かに大きい。

「ひえっ」
リリカは短い悲鳴を上げる。

「な、ななな何で魔物が!? いなくなったんじゃなかったの!?」

このネックレスがあるから大丈夫だと思うけど。
リリカはレイリックから貰ったネックレスを握りしめる。

「リリカ嬢!! 大丈夫か!?」
「ジュリアン殿下っ」
ジュリアンが駆け付けてくれた。彼は地面を蹴ると上から魔物を剣でつき刺した。どうやらたったの一撃で倒したようだ。

「ありがとうございます、殿下」
「……いや、部屋まで送っていく」



「お嬢様……とジュリアン殿下!!」
ジュリアンの姿に気が付いたレイナが慌てて頭を下げる。

「リリカ嬢、少し話しがあるんだが、後日にした方が良いだろうか?」
「いえ、これからでも大丈夫ですわ」

ネックレスがあるので安心でき、またジュリアンがすぐに駆けつけ、倒してくれたお陰で今回は怖い思いもほとんどしないで済んだ。机を挟んで向かい合ってソファに座る。

「それにしてもお強いのですね」
「レイリック王子には及ばないけどな」
「そうなのですか?」
「ああ、レイリック王子は特別だ。5歳で魔法を放ったとか、帝国でも有名な話しだからな」

!? 普通、魔法が使えるようになるのは早くても10歳頃なのに。っていうか、帝国でも有名な話しなのに知らなかったわ。

そのような話しをしていると
「失礼いたします。リュカでございます」
レイナが部屋に戻って来て、用意したお茶を差し出す。
「ありがとう。しかし、珍しいお茶だな」
「はい。主に東方諸国で栽培されている茶葉ですの」
「ん!? これはっ!!」

一口飲み、驚きの声を上げる。余程美味しかったのだろうと思ったリリカだったが、次に聞こえてきた言葉に思わず目を見張った。

「これは緑茶ではないか!!」
彼は驚きのあまり、思いっきり叫んだ。

「はっ!! いや、失礼した。今の言葉は気にしないでくれ」
冷静さを取り戻したジュリアンが慌てて取り繕うとする。

「殿下は緑茶をご存知ですの!? もしかして、元日本人とかだったりしますか!?」
リリカは前のめりになって尋ねた。

「まさか、リリカ嬢もか!?」
「ということは……」
「ああ、そうだっ!!」
「……」

リリカは後ろからの視線を感じた。
あ……レイナがいることを忘れていたわ。
後で説明するわね、とレイナに言う。

「もしかして俺のこの容姿でも避けなかったのは」
「懐かしい色だと思いましたわ。ですが思い出したのは最近なんです」
「なら昔俺があったときは」
「ええ、思い出す前ですわ。その頃から特に色なんて気にしていませんでしたわ」
「そうか」
ジュリアンは嬉しそうに微笑む。

「そういえば私に何か話しがあって来られたのでは?」
「あっ……そのことなんだが」

ジュリアンはしきりに後ろにいるレイナを気にしている素振りを見せる。

もしかして、2人きりの方が話しやすいようなお話しなのかしら。
しかし、それは出来ない。婚約者のいる女性が婚約者以外の男性と2人きりになるなど醜聞になってしまう。

「彼女は信頼出来る口の固い侍女ですわ。ね、レイナ」
「はい。絶対に口外いたしません」
「すまない。……まずは謝罪させてくれ。魔物のこと、本当にすまなかった」
そう言って頭を下げる。

「ええっ!? な、何を!?」
「あの魔物は操られていたんだ……俺たちエスフィート帝国の者の手によってな」

一体、どういうことなんですの!?
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