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第四章 前哨戦
ツインズ
しおりを挟む「……? どうして、フィナが二人も?」
フウマは、まるで鏡合わせのように瓜二つな、二人の姿を交互に見比べて困惑する。
すると、リッキーの横にいた本物の? フィナが自分とそっくりの少女を見て、喜びの表情を見せる。
「……ティナお姉ちゃん! ようやく会えた!」
その少女もフィナに気付き、彼女のもとへ駆け寄る。
「こんな所にいたのかよ! フィナ! 随分と探したんだぜ!」
「もう、お姉ちゃんってば……、少しは方向音痴の癖を、直してください。簡単な案内に沿って会場に向かうだけなのに、すぐはぐれて、いなくなるなんて……」
フィナのぼやきに、彼女の双子の姉、ティナは反省する様子もなく、カハハと笑う。
二人を注意深く見ていたフウマは、ようやく気が付いたことがある。確かに二人の姿と恰好は殆ど同じ。しかしフィナは前髪の右に銀色のメッシュ、そして左に星形のヘアピンを付けているが、ティナは右前髪にヘアピン、左にメッシュと、そこだけが左右対称になっていた。
「気が付いた時にはフィナとはぐれて、たったしばらく歩いていただけで、いつの間にかコロニー内の牧畜プラントで、羊に囲まれていたのは俺も驚いたぜ!
まぁ、自分でも自分の方向音痴な所も分かっているから、あっちこっちで人をとっ捕まえて、ここまで道案内させて来たんだけどな!」
こんな話をすぐ横で聞いていたリッキーは、半分苦笑いを見せていた。
「よく言うもんだな、このじゃじゃ馬娘は。戻る途中の俺をいきなり捕まえて、『妹を探す手伝いをしてくれ』とはな。そして、いくら断っても、しつこく絡んで来るときた。 全く……遠慮って奴がどこにも無いと来ている」
「おいおい、こんな可愛い少女に向かって、それは無いぜ。一応は、悪いとは思っているし、感謝もしているんだしさ。それに……こうしてすぐ見つかったから、手間もかからなかったろ?」
「それを自分で言う奴がいるかよ。たまたまフウマ達の所に妹さんがいたから良かったが、もし居なかったら、見つかるまでこのだだっ広い会場を引きずり回す気、満々だっただろうが」
「へへっ! バレたか!」
ティナとリッキーのやりとりは、互いに性格面で共通している部分が多いせいか、まるで漫才のように息が合っていた。
「けど、良かったね、フィナ。やっとお姉さんと会うことが出来て」
ミオはフィナに言った。
「……はい!」
「それに、ティナさんも。……そうだ! 良かったら一緒に、レースを見て行きまさんか? リッキーさんの席以外にジョンとフィナ、そしてあと一つ、空席が残っていますから」
「マジか! それはラッキーだな!」
この提案にティナは、嬉しそうに目を輝かせた。
「いやぁ! 今からフィナと二人分の空席を確保するにも大変だし、助かるぜ。それに賑やかな方が、楽しいしな」
そしてティナはフィナの横に並び、腕を組み自慢そうに胸を張って、自己紹介をする。
「じゃあ改めて自己紹介だ、俺はティナ・トゥインクル、そして妹のフィナ。二人揃って『トゥインクルスター・シスターズ』、G3レースに参加する、プロレーサーだぜ!」
こうして、フウマにリッキーとジョン、そして、フィナとティナの二人と、G3レースへと出場権を得る程の実力を持つレーサー達がここに揃った。
彼らも宇宙レースにおいて相当の実力を持つが、現在親善試合で奮闘しているレーサー達は、果たして……。
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