テイルウィンド

双子烏丸

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第七章 反省会

―進展―(2)

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 そんな彼の様子にミオは、うっすらと微笑んで、続ける。
「昔から…………まだ小さかった頃、私がお父さんとエアケルトゥングに越してきたときから、フウマと一緒。子どもの頃には内気だった私に、フウマは初めて友達になってくれて、いつも私の味方だったわね。一緒に遊んでくれて、虐めっ子から助けてくれたことも、熱を出した時には、仕事で留守にしていたお父さんの代わりに、付きっきりで看病もしてくれたことも……ずっと、感謝しているの」
「あの時、ミオは引っ越して来たばかりで一人だっただろ? だから放っておけなくて、友達になって、それから……色々あって、気が付いたらこうなっていた。今思えば、不思議な感じだ」
「その時のフウマってば、私より背が高くて、頼れるお兄さんみたいだったのに……いつからか私の方が成長して、背丈を追い越しちゃったわね。今では、私の方がお姉ちゃん……かな?」
 これにはフウマは軽く拗ねて、いつものように反論する。
「言っておくけど、年齢で言えば僕の方が一才年上なんだ。だから、今も昔も、僕の方がお兄さんなのは、変わらないんだから!」
 そんな彼の様子は、やはり子供っぽい。
 性格もそうだが、背丈や外見、童顔な顔も相まって幼さが強いフウマ。実年齢は十八だが、まるで一回り実年齢を下回る十三、四才くらいに見える。その部分は、あまり成長は見られない。
 でもそんな所も、フウマに言えば怒るかもしれないが…………やっぱり可愛い、そこもフウマの好きな所だと――ミオはふと思った。



 対するフウマも、いつの間にかミオは自分よりも、むしろ年相応と言った方がいいのか、昔と比べて成長していることを、改めて思い知った。
 それに背丈もフウマや、同年代の少女の平均と比べても高く、ボーイッシュな印象を受けるミオ。今着ている私服もショートパンツ、パーカーと男性的らしいが、やはりミオは女の子、やや体にフィットした服装から覗く身体付きは、よく見れば柔らかく曲線的、ふくよかで女性的だ。
 性格も、かつては無口で内気で、よくフウマにの後ろに隠れてばかりだったミオ。それが今では明るく活発で、頼りになる幼馴染、何だかんだ世話焼きで、メカニックを目指すようになってからは、機体の整備と修理を行い、レーサーとしてのフウマの手助けもしている。


 ――昔は僕が助ける側だったのに……いつの間にかそれも逆転して、ミオに助けられてばっかりだね。……『お姉ちゃん』か、確かにそれも合っているかも。でも――
 思案をはじめたフウマは無意識に、拳を握りしめる。
 どうしてか分からないが、何かモヤモヤする。それは違う気がすると……心の何処かで訴えている、フウマはそんな感じがした。
 しかし、彼のそんな葛藤に気づいてすらいないミオは、さらに続ける。
「まぁ、どっちがお兄ちゃん、お姉ちゃんなのかは置いておいて、幼馴染もいいけど姉弟って関係も悪くないかな? ねぇフウマはどう……」
 この言葉のせいで、フウマの何かが吹っ切れた。
 ミオが言い終わらないうちに、フウマは彼女に詰め寄り、両手を握って顔を見据える。
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