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第九章 Grand Galaxy Grand prix [Ready?〕
トライジュエルの輝き
しおりを挟むたどり着いたのは、ある一つの恒星系だった。
「ここが、G3レースの舞台か。……確か、情報によると」
フウマは端末機器で情報を確認する。
恒星系の名称は、トライジュエル星系。
星は全て、宝石の名前を冠してつけられており、中心に輝く銀色の輝きを見せる恒星、ダイヤモンドを中心に三つの惑星、サファイア、ルビー、エメラルドが、青、赤、緑の順に、綺麗に一列に並んでいる。
この星系では三惑星の周回速度の奇跡の調和により、常に惑星直列の状態が保たれた環境にある。そして、G3レースはどうやら、その星系で行われるのが恒例らしい。
惑星はどれも有人惑星、惑星間の軌道も近く、星系に置ける生命発生が可能な範囲、ハビタブルゾーンに三惑星とも含まれている。
これらの星はテラフォーミングされているわけでなく、自然にこの環境の中にあった。
生命が生まれる環境の発生確立は極めて低く、その点を取っても同じ星系に三つもそうした惑星がある事など、奇跡に近い。
至高な三つの宝石、その名の所以は決して、惑星の色彩によるものだけではない。
情報によると、恒星ダイヤモンドから一番離れた、惑星サファイアは99%が海で構成された海洋惑星、障害物はほとんどない。だが、一面海に覆われているために上昇、下降気流が発生し雲も発生し、気流の流れが強い。
また積乱雲による嵐も発生する事もあるが、それは遠くからでも確認出来、回避しようと思えば十分に可能だ。
……が、積乱雲の規模によれば回避するにも手間がかかり、遠回りとなる可能性もあり得る。回避するか、危険を承知で突っ込むか、決断が試されるだろう。
続いて惑星ルビーは自然が少なく、赤色の岩石と砂で形作られた岩と砂漠の惑星。ここからは岩山による山間部に、砂漠では砂嵐が吹き荒れるなど、サファイアとはまた違う環境となる。だがレースを全体的に見ればルビー上空を飛行するのは少なく、レースに影響を及ぼす要素としては、これだけでは大したものとならない。
だが、惑星ルビーでは惑星の環境以外に、星の広範囲に広がる小惑星の輪が存在し、その範囲はものの見事にコースへと重なる。この点も、注意すべき点の一つとなる。
そして、恒星の距離が一番近い惑星エメラルドは、一面緑の森に覆われた自然豊かな星であり、あちこちに川や湖さえあるが、それさえ緑に近い色をしているが、やはりここも簡単には行かない。
エメラルドの気候の変化は激しく、突然の大雨に強風、雷さえ珍しいことではない。
更に地形においても、確かに一面は森であるが、その場所平地に限らず、深い谷や、幾重にも重なる岸壁、更には機体が通過可能なほどに大きい洞窟さえもがあり、地形のバリエーションも高い。ここの攻略こそ、他との差に大きく繋がると言っても、過言ではない。
惑星の大きさはサファイア、エメラルドは惑星にしては格段に大きい部類に入り、ガス惑星のそれに近い規模である。二惑星とも大きさはほぼ同じだが、その真ん中の惑星、ルビーは二つの惑星と比べればその十分の一にも満たないほどに小さい。
G3レースのコースは、サファイアを起点としてルビーとエメラルド、そして再びルビーを通過してサファイアに戻りゴールを果たすという、三つの惑星を8の字に一周するコースとなる。
「トライジュエル星系……ねぇ、恒星の名前って、確か『ダイヤモンド』だよね」
集合地点は、スタート地点となる惑星サファイアだ。
惑星へと進路を向ける中、フウマはふと、そんな事を言った。
「情報ではそうあったわ。あんなにキラキラ輝いているから、それがダイヤモンドに見えたのかな?
……ちょっと、ロマンチックかも」
ディスプレイに映るのは、美しい輝きを見せる恒星ダイヤモンド、ミオはその光景を眺めている。
「せっかくだから、お父さんやリアン、ミリィにも見せたかったな。でも? いきなりどうしたの?」
ミオの問いに、フウマは少し考えている様子を見せる。
「……恒星ダイヤモンドに、惑星がそれぞれ、サファイア、ルビー、そしてエメラルドの三つ。
なら、宝石の名前を持つ星は、トライ(三つ)ではなくて、四つじゃない?
トライジュエル星系って名前は……ちょっと違う気がするんだよね」
これにはちょっと、ミオは苦笑いをした。
「うーん、そこ気になっちゃうかな? 多分恒星は、カウントしてないのかもしれないし、それとも単に、『トライジュエル』って名前が、聞こえが良かったのかも。……考えてみると、ちょっと分からない、かな」
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