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第十章 Grand Galaxy Grand prix [Action!〕
前半戦、決着
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――――
ジンジャーブレッドは、ついに敗北を喫した。
――まさか、ジンジャーブレッドである私が敗れるとは。やはり…………『違う』と言うのか――
未だその身体には激痛が走る。だが、彼にとって初めての敗北、肉体の痛みよりも、精神的なショックが大きかった。
しかし、彼は何かを悟ったような、諦めのついたような……まるで憑き物が落ちたような、さっぱりした様子を見せる。
――だが、最後で私は私なりにレースに全力を注ぎ、そして敗れた。もはやそれで満足だ、悔いはない、例え私が――
……高潔な精神を持つジンジャーブレッド。
だが――残酷な運命は、それを踏みにじった。
――――
突然、自身の脳髄そして神経に、何かが無理やり流れ込んで来た。
――何だっ!? これは? 一体――
激しい頭痛に、吐き気、自分が自分でなくなるような、脳が蝕まれ支配されて行く感覚……。
考えられる可能性は、一つだけだ。
――まさか、ブラッククラッカーのシステムが、私を支配すると言うのか!――
人機一体システム、それはパイロットの神経を直接、機体システムに接続して高精度で動かすものだ。
つまり人が機械を支配するのが本来のありかた。その逆など考えられる訳がない、はずだった。
しかし現実それは起こっており、ジンジャーブレッドの意識は、もはや機体をコントロールすることさえ――出来なくなりつつあった。
――馬鹿な! 支配権は私にしかないはずだ。機体制御のコンピュータが、勝手に機体と私の脳神経を操り出すなどと――
自我を保つことさえ、やっとの状態だ。
自身の脳が機体によって、勝手に動かされているのが分る。
言うなれば、機体制御は完全にオートとなり、ジンジャーブレッドは機体コンピューターの単なる、補助システムにすぎなくなっていた。
そして、コンピューターが自動で動かそうとしているものは――
――よせ! そんな事など、私は絶対に認めはしない!――
それが何なのかを理解するジンジャーブレッドは、必死に抵抗しようとする。……が。
「うっ……ぐあああああっ!」
彼の意に反し、無理やり脳を操られる事への拒絶は、想像を絶した。
だが、そんなジンジャーブレッドの抵抗も――もはや叶わなかった。
――――
ブラッククラッカーを追い越し、残るはゴールに辿りつくだけだ。
……しかし、その前に。
――けどこれで、シロノには、少し先頭を取られてしまったな――
そう、先ほどの出来事で、ホワイトムーンにほんの僅か、リードされてしまっていた。
ゴールとなるリングは、目の前に大きく迫っている。
――最後の最後……いけるか――
フウマがそう考えていた時……後方から異変を感じた。
後ろを飛行するブラッククラッカー、その全体が怪しく、銀色に輝き出す。
――あれは、親善試合の時の――
フウマも覚えがあった。
親善試合で見た、あの超加速の前兆……しかも、今度は前方にテイルウィンド、ホワイトムーンの両機が存在していた状態だった。
嫌な予感を――彼は感じる。
――――
そしてそれは、シロノも同様に――。
――ジンジャーブレッド、まさかあの加速を……正気ですか!?――
親善試合で直接目にした彼は、この状況の不味さを、フウマ以上に感じていた。
後方に見えるブラッククラッカーの輝きは、更に増す。このままでは――ホワイトムーンとテイルウィンドに衝突しかねない。
――とにかく、今は進路から避けないと――
とっさにホワイトムーンは右へと避ける。
フウマも同じ事を考えたのか、逆の左方向へと舵を取った。
それと同時に……後ろから、光り輝くブラッククラッカーが、ついに加速した――
――――
両機とも間一髪の所で間に合ったらしく、二機のすぐ真横を、ブラッククラッカーは急加速し、飛び去った。
そして機体は……呆気なく、一気にゴールを迎えた。
フウマはその姿を、見送ることしか出来なかった。
――結局、ジンジャーブレッドには逆転されちゃった、か。 残念だな――
ジンジャーブレッドとの勝負に、敗北したフウマ。そして……テイルウィンドにもとうとう、限界が訪れた。
次の瞬間、テイルウィンドの動力機関の機能が、急速に低下し出した。
速度を失う機体、ホワイトムーンはそれを追い越し、ブラッククラッカーに次いで易々と二位にゴールインする。
続いてフウマは、シロノにも敗北を喫した訳だ。
だが、不幸中の幸いと言うべきか……動力部は停止さえせず、辛うじて稼働を続けていた。
あまり動かしていないせいか、熱も少しづつではあるが低下している。オーバーヒートによるこれ以上の危機は、ないだろう。
――速度は低下したけど、全然飛べるもんね。故障して止まることも、なかったから。これもミオが、よく整備くれたおかげ……だよね――
改めてフウマは、彼女のメンテに感謝した。
後はもう……ゴールに向かうだけ。テイルウィンドはどうにか飛行可能であり、それは何とか叶いそうだ。
――結局僕は三位か。でもまぁ、案外悪くないかも。僕なりにベストは尽くせたんだからさ――
機体は難なく飛行し、黄金のリングをくぐり抜け、ゴールインを果たした。
――これでゴール! ……って所だけど、最後は地味な終わり方だね――
一人フウマは、苦笑いを浮かべた。
結果、フウマが満足した終わりではなかったが、……これで前半戦は幕を閉じた。
残りの勝負は、後半戦に引き継がれることになるだろう――
ジンジャーブレッドは、ついに敗北を喫した。
――まさか、ジンジャーブレッドである私が敗れるとは。やはり…………『違う』と言うのか――
未だその身体には激痛が走る。だが、彼にとって初めての敗北、肉体の痛みよりも、精神的なショックが大きかった。
しかし、彼は何かを悟ったような、諦めのついたような……まるで憑き物が落ちたような、さっぱりした様子を見せる。
――だが、最後で私は私なりにレースに全力を注ぎ、そして敗れた。もはやそれで満足だ、悔いはない、例え私が――
……高潔な精神を持つジンジャーブレッド。
だが――残酷な運命は、それを踏みにじった。
――――
突然、自身の脳髄そして神経に、何かが無理やり流れ込んで来た。
――何だっ!? これは? 一体――
激しい頭痛に、吐き気、自分が自分でなくなるような、脳が蝕まれ支配されて行く感覚……。
考えられる可能性は、一つだけだ。
――まさか、ブラッククラッカーのシステムが、私を支配すると言うのか!――
人機一体システム、それはパイロットの神経を直接、機体システムに接続して高精度で動かすものだ。
つまり人が機械を支配するのが本来のありかた。その逆など考えられる訳がない、はずだった。
しかし現実それは起こっており、ジンジャーブレッドの意識は、もはや機体をコントロールすることさえ――出来なくなりつつあった。
――馬鹿な! 支配権は私にしかないはずだ。機体制御のコンピュータが、勝手に機体と私の脳神経を操り出すなどと――
自我を保つことさえ、やっとの状態だ。
自身の脳が機体によって、勝手に動かされているのが分る。
言うなれば、機体制御は完全にオートとなり、ジンジャーブレッドは機体コンピューターの単なる、補助システムにすぎなくなっていた。
そして、コンピューターが自動で動かそうとしているものは――
――よせ! そんな事など、私は絶対に認めはしない!――
それが何なのかを理解するジンジャーブレッドは、必死に抵抗しようとする。……が。
「うっ……ぐあああああっ!」
彼の意に反し、無理やり脳を操られる事への拒絶は、想像を絶した。
だが、そんなジンジャーブレッドの抵抗も――もはや叶わなかった。
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ブラッククラッカーを追い越し、残るはゴールに辿りつくだけだ。
……しかし、その前に。
――けどこれで、シロノには、少し先頭を取られてしまったな――
そう、先ほどの出来事で、ホワイトムーンにほんの僅か、リードされてしまっていた。
ゴールとなるリングは、目の前に大きく迫っている。
――最後の最後……いけるか――
フウマがそう考えていた時……後方から異変を感じた。
後ろを飛行するブラッククラッカー、その全体が怪しく、銀色に輝き出す。
――あれは、親善試合の時の――
フウマも覚えがあった。
親善試合で見た、あの超加速の前兆……しかも、今度は前方にテイルウィンド、ホワイトムーンの両機が存在していた状態だった。
嫌な予感を――彼は感じる。
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そしてそれは、シロノも同様に――。
――ジンジャーブレッド、まさかあの加速を……正気ですか!?――
親善試合で直接目にした彼は、この状況の不味さを、フウマ以上に感じていた。
後方に見えるブラッククラッカーの輝きは、更に増す。このままでは――ホワイトムーンとテイルウィンドに衝突しかねない。
――とにかく、今は進路から避けないと――
とっさにホワイトムーンは右へと避ける。
フウマも同じ事を考えたのか、逆の左方向へと舵を取った。
それと同時に……後ろから、光り輝くブラッククラッカーが、ついに加速した――
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両機とも間一髪の所で間に合ったらしく、二機のすぐ真横を、ブラッククラッカーは急加速し、飛び去った。
そして機体は……呆気なく、一気にゴールを迎えた。
フウマはその姿を、見送ることしか出来なかった。
――結局、ジンジャーブレッドには逆転されちゃった、か。 残念だな――
ジンジャーブレッドとの勝負に、敗北したフウマ。そして……テイルウィンドにもとうとう、限界が訪れた。
次の瞬間、テイルウィンドの動力機関の機能が、急速に低下し出した。
速度を失う機体、ホワイトムーンはそれを追い越し、ブラッククラッカーに次いで易々と二位にゴールインする。
続いてフウマは、シロノにも敗北を喫した訳だ。
だが、不幸中の幸いと言うべきか……動力部は停止さえせず、辛うじて稼働を続けていた。
あまり動かしていないせいか、熱も少しづつではあるが低下している。オーバーヒートによるこれ以上の危機は、ないだろう。
――速度は低下したけど、全然飛べるもんね。故障して止まることも、なかったから。これもミオが、よく整備くれたおかげ……だよね――
改めてフウマは、彼女のメンテに感謝した。
後はもう……ゴールに向かうだけ。テイルウィンドはどうにか飛行可能であり、それは何とか叶いそうだ。
――結局僕は三位か。でもまぁ、案外悪くないかも。僕なりにベストは尽くせたんだからさ――
機体は難なく飛行し、黄金のリングをくぐり抜け、ゴールインを果たした。
――これでゴール! ……って所だけど、最後は地味な終わり方だね――
一人フウマは、苦笑いを浮かべた。
結果、フウマが満足した終わりではなかったが、……これで前半戦は幕を閉じた。
残りの勝負は、後半戦に引き継がれることになるだろう――
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