常世の守り主  ―異説冥界神話談―

双子烏丸

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番外編 その2  竜の娘の、その旅路。

二人の旅立ち

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 ――――

 それから数日間……ラキサは、工芸都市アリアスレーンでゆっくり、楽しく過ごした。
 町の工芸品を見て回り、街の地元料理を味わったり、現地の人々との交流、ガラス工芸の製造体験をしたりもした。
 さながら、観光みたい……と言ったところか。
 数日の間、街を満喫したその後で、荷物をまとめたラキサは宿屋を後にして、ついにアリアスレーンを発った。
 


 街を離れ、草原を歩くラキサ。
 彼女はふと、後ろへと振り返る。
 そこには……朝日に照らされてシルエットを映し出す、アリアスレーンの街並み。
 
 ――やっぱり、名残惜しいかな。本当なら、もっとゆっくりしたかったんだけど、仕方ないよね――

 後ろ髪を引かれる思いを感じながら、ラキサは街から離れて行く。
 

 
 ……すると。

「――ごめんなさい。準備に遅れてしまって、ラキサさん」

 彼女のもとへと、後ろから駆けて来た誰か。 
 それはアリアスレーンで知り合いになった、テオだった。

「ううん、私は大丈夫だよ、テオくん」 

「これから巡るところも、色々考えたんだ。だからラキサさんも、楽しみにしていてよ」

 ラキサは嬉しそうに、彼に笑いかける。

「ありがとうね。私のために、考えてくれて。……テオくんがどんな所を旅していたのか、楽しみにしているよ」

「僕の方こそ、一人で旅するの、寂しかったから。その、君と一緒に、旅が出来たらって」



 今後の旅は、ラキサとテオ、二人の旅になる。
 テオの方が、彼女よりも旅をした日数は長い、。だから、彼はラキサに対して自身がしてきた旅路を案内し、共に同行しようと申し出た。


 テオ曰く、一人旅に寂しさを覚えていたとの理由らしいが、それはラキサもまた、同じだった。

 ――誰かと一緒に旅をするの、私も望んでいたんだ。寂しいのは……私も分かるから――

「これからは二人旅、かしら。テオくん、あらためて宜しくね」
 
 ラキサの言葉に、テオはこくっと頷く。


「もちろん。よろしくね――ラキサさん」

 
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