48 / 63
番外編 その3 ささやかな幸せの、物語。
二人の手にした、幸せ
しおりを挟む
青い空に吸い込まれるように、遠ざかっていく蝶を、名残惜しそうに見つめる二人。
「行っちゃい、ましたね。もう少しルーフェと、見ていたかったのですけれど」
少し寂しそうな、エディア。
そんな彼女の手を、ルーフェはぎゅっと、握った。
「僕だって同じ気持ちだよ。……けど、仕方ないよ。
でも今日もとっても、良い一日だったね。花も蝶も、見ることが出来たし」
にこっと優しく笑いかけるルーフェに、微笑みをかえす。
「うん。とっても、素敵な一日でした! ……ルーフェ」
「ん?」
ふとした呼びかけに、ルーフェは反応する。
「いつも私の傍にいてくれて、ありがとうございます、ルーフェさま。
……ふふっ、さま付けする必要がないことは、分かっているのですけれど。少しだけ、ね」
やはりエディアは何より、愛しているルーフェが傍にいることが何より、幸福だった。
もちろんルーフェも、それは同じ。互いに両思いのカップル、いや……。
「それじゃあ、少し暗くも、肌寒くなったし、家に帰ろうか。
エディアが身体を冷やすのは、悪いからね。だって、君の身体は、もう一人だけのものじゃないんだから」
これを聞いたエディアは、つい自分の腹部を、優しくさする。
手の薬指には、銀の結婚指輪。同じ指輪はルーフェの指にも、はまっている。
また、彼女の腹部も、ほんの僅かに、膨らんでいた。
この事が、意味するのは。
「でも、結婚して、子供が出来るだなんて。……ずっと夢だったの、もし許されるなら、ルーフェとの子供が出来たらって」
そう。二人はすでにこの村で、人々の祝福の中で結婚し、結ばれ、そして子供ももうけていた。
「子供……か。生まれるのはまだ先、なのかな。 良い父親になれるか、少し心配だよ」
子供はもちろん、嬉しい。
しかし、同時に不安も、いくらかあったルーフェだ。
だがエディアは、大丈夫と、言うかのように優しい表情を投げかける。
「ルーフェならきっと、良いお父さんになれますよ。だってとても優しい人だって、知っていますから」
ルーフェも、ラキサも、これからの事に、希望と夢を抱いていた。
二人はその希望に、、胸を膨らませながら……家路へとつくのであった。
「行っちゃい、ましたね。もう少しルーフェと、見ていたかったのですけれど」
少し寂しそうな、エディア。
そんな彼女の手を、ルーフェはぎゅっと、握った。
「僕だって同じ気持ちだよ。……けど、仕方ないよ。
でも今日もとっても、良い一日だったね。花も蝶も、見ることが出来たし」
にこっと優しく笑いかけるルーフェに、微笑みをかえす。
「うん。とっても、素敵な一日でした! ……ルーフェ」
「ん?」
ふとした呼びかけに、ルーフェは反応する。
「いつも私の傍にいてくれて、ありがとうございます、ルーフェさま。
……ふふっ、さま付けする必要がないことは、分かっているのですけれど。少しだけ、ね」
やはりエディアは何より、愛しているルーフェが傍にいることが何より、幸福だった。
もちろんルーフェも、それは同じ。互いに両思いのカップル、いや……。
「それじゃあ、少し暗くも、肌寒くなったし、家に帰ろうか。
エディアが身体を冷やすのは、悪いからね。だって、君の身体は、もう一人だけのものじゃないんだから」
これを聞いたエディアは、つい自分の腹部を、優しくさする。
手の薬指には、銀の結婚指輪。同じ指輪はルーフェの指にも、はまっている。
また、彼女の腹部も、ほんの僅かに、膨らんでいた。
この事が、意味するのは。
「でも、結婚して、子供が出来るだなんて。……ずっと夢だったの、もし許されるなら、ルーフェとの子供が出来たらって」
そう。二人はすでにこの村で、人々の祝福の中で結婚し、結ばれ、そして子供ももうけていた。
「子供……か。生まれるのはまだ先、なのかな。 良い父親になれるか、少し心配だよ」
子供はもちろん、嬉しい。
しかし、同時に不安も、いくらかあったルーフェだ。
だがエディアは、大丈夫と、言うかのように優しい表情を投げかける。
「ルーフェならきっと、良いお父さんになれますよ。だってとても優しい人だって、知っていますから」
ルーフェも、ラキサも、これからの事に、希望と夢を抱いていた。
二人はその希望に、、胸を膨らませながら……家路へとつくのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる