常世の守り主  ―異説冥界神話談―

双子烏丸

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 番外編 その3  ささやかな幸せの、物語。

二人の手にした、幸せ

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 青い空に吸い込まれるように、遠ざかっていく蝶を、名残惜しそうに見つめる二人。

「行っちゃい、ましたね。もう少しルーフェと、見ていたかったのですけれど」

 少し寂しそうな、エディア。
 そんな彼女の手を、ルーフェはぎゅっと、握った。

「僕だって同じ気持ちだよ。……けど、仕方ないよ。
 でも今日もとっても、良い一日だったね。花も蝶も、見ることが出来たし」

 にこっと優しく笑いかけるルーフェに、微笑みをかえす。

「うん。とっても、素敵な一日でした! ……ルーフェ」

「ん?」
  
 ふとした呼びかけに、ルーフェは反応する。

「いつも私の傍にいてくれて、ありがとうございます、ルーフェさま。
 ……ふふっ、さま付けする必要がないことは、分かっているのですけれど。少しだけ、ね」

 やはりエディアは何より、愛しているルーフェが傍にいることが何より、幸福だった。
 もちろんルーフェも、それは同じ。互いに両思いのカップル、いや……。



「それじゃあ、少し暗くも、肌寒くなったし、家に帰ろうか。
 エディアが身体を冷やすのは、悪いからね。だって、君の身体は、もう一人だけのものじゃないんだから」

 これを聞いたエディアは、つい自分の腹部を、優しくさする。


 手の薬指には、銀の結婚指輪。同じ指輪はルーフェの指にも、はまっている。
 また、彼女の腹部も、ほんの僅かに、膨らんでいた。
 この事が、意味するのは。
 
「でも、結婚して、子供が出来るだなんて。……ずっと夢だったの、もし許されるなら、ルーフェとの子供が出来たらって」

 そう。二人はすでにこの村で、人々の祝福の中で結婚し、結ばれ、そして子供ももうけていた。

「子供……か。生まれるのはまだ先、なのかな。 良い父親になれるか、少し心配だよ」

 子供はもちろん、嬉しい。
 しかし、同時に不安も、いくらかあったルーフェだ。
 だがエディアは、大丈夫と、言うかのように優しい表情を投げかける。

「ルーフェならきっと、良いお父さんになれますよ。だってとても優しい人だって、知っていますから」

 ルーフェも、ラキサも、これからの事に、希望と夢を抱いていた。
 二人はその希望に、、胸を膨らませながら……家路へとつくのであった。

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