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合格者講習
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「これから合格者講習を始める。その前に自己紹介をしよう、俺は根津という。ベテランだからって理由でこんな役回りをやらされているが本職は探索者だ」
なるほど、それでスーツがはち切れんほどにパンパンだったのか。
前まで歩いていく時の身ごなしを見て感じた通り、実力もかなりのものだろうな。
それよりもやっぱりなずなの事が気になるぞ……。
「すみませんっ!」
俺はこらえきれなくて思わず手を挙げてしまった。
「ん? 君は……あぁ不破だな。何だ?」
「あの、ここにいる人達はみんな合格っていう事でいいんですか?」
そう聞くと根津さんは少し笑いながら答える。
「ああそうか、君は試験が終わって気絶してしまったようだから不安だったんだな? でも気絶する前に番人の撃破を確認出来たみたいで合格って事になったようだぞ。というかここにいるという事はもう合格で間違いない」
「あ、いえ……それも不安ではあったんですけど。そんな事より……なずなも、ですか?」
「ああ、もちろん合格だぞ。若干特例気味ではあるけど前例がなかった訳ではないしな」
特例気味?それは一体どういう事だろう。
なずなは小さい頃から俺に着いてきて色んな場所へ行ったり色んな遊びをしていた。
そんな関係だからよく分かる。なずなが何かを傷つけるなんて出来るわけがない。
小さな諍いにだって身を震わせてしまうほど臆病……いや優しいんだ。
「どうする? 自分で言うか? 嫌ならもちろん隠しておいても構わないが……」
前に立つ根津さんが優しく問いかけると俺の隣に座っているなずなはこくんと頷いて口を開いた。
「えっと、私はあの部屋に入って……怖くて怖くてたまらなかった。でも、りっちゃんが瑠璃ちゃんの為に試験を受けに来てるの分かってたから。だから私……我慢したの」
「我慢……?」
「うん。たくさん角で刺されたし、たくさん斧で斬られてすごく痛かったけど我慢した。そしたら我慢してるうちにどんどん痛いのがなくなっていって、それからは何されても全然大丈夫になったの。それでちょっとしたら番人さんが疲れたみたいで合格って」
なずなは笑顔でそんな事を言い放つ。
俺も斬られたけどあの痛みはそうそう我慢出来るようなものじゃないぞ。
「あー補足しておくけどな。ちょっとしたら番人が疲れた、という天堂なずなくんが試験を受けていた時間は実に三時間を超える」
「なっ!?」「ひぃっ!」「なずなちゃん……」
根津さんのその言葉には黙って話を聞いていた他の面々も驚いたらしい。
最後のは猿か?いきなりの名前呼びで距離を縮めてきてやがるな。
「ちなみにこの記録は協会の探索者試験が始まって以来の最長記録だそうだ。ま、ちょっとやそっとじゃ破られないだろうなぁ」
「三時間って……そんな長い時間ずっと嬲られ続けて?」
「りっちゃん、そんな顔しないでよ。本当に痛くなかったんだよ? 小鳥が突いてくるくらいの衝撃だったし」
なずなはそう言っているけれど、あの痛みを知っていたら到底信じられはしない。
そういえばなずなは昔から我慢するのが得意だったか。とはいえ、なぁ……。
「なんか勘違いしているようだからさらに補足するとそれはなずなくんが使ったスキルだぞ」
「スキル!?」
「ああ、もう順番に説明するはずだったんだがなぁ……まぁいいか。迷宮は自我が他我に包まれているような世界だ。そこでは自分の意思が最も重要になってくる。つまりは自分を信じる事、だな」
そう言われて周りの面々の顔を見るとみんなそれについては納得した顔をしている。
これについては俺も実体験として納得できる。
「その信じる力は奇跡のような業を生む。それを昔流行ったテレビゲームから取って<スキル>と呼ぶ事に決めたんだ、もちろんお偉いさん方がな。この中の何人かは既にその一端を体験していると思うが……望月はどうだ?」
突然振られた要はふふん、と髪を掻き上げて自慢気に話し始める。
「ええ、僕は魔法を使う事が出来ました。イメージしていたよりやや、というかかなり小振りの魔法でしたけどあれは間違いなく魔法でしょう」
「そうだな、俺の方でも記録を確認したがあれはスキルの中のひとつである<火魔法>で間違いない」
俺達は思わず「おぉ」という感嘆の声をあげてしまった。
隣のなずなはすごーいと言いながら手を叩いているけどなずなもスキルっていうのを使ったんだよな?
「小振りだったのはまぁ仕方のないことだ。スキルというのは使えば使うだけ伸びていくもんだからな。きっかけがあって爆発的に伸びた、なんて例も報告されているが稀だな」
「なるほど、それは僕がやっていたゲームそのものですね」
要はうんうんと頷いて考えこんでいるようだ。
ゲームに詳しいみたいだから後で聞いておいたほうがいいかもしれないな。
「そして天堂くんに話を戻すと、だ。痛みを極限まで我慢する事で<治癒>系統のスキルを発現したようだな。この系統のスキルはかなり珍しいからまだ詳しくは分かっていないが……」
「治癒っていうと体を治すっていうあれですか?」
「ああ、それだ。迷宮の中では実際に体が損害を受けるわけではないから、厳密には心を修復しているという事にはなるだろうが…………非常に貴重なスキルだ」
根津さんは最後に真剣な顔で付け足した。
それを聞いたなずなは顔を綻ばせて喜んでいるけど、俺としてはなずなが迷宮を探索、攻略するのは賛成できない。
あ、というよりもどうやって迷宮を攻略するんだろう?
俺は気になったので根津さんに聞いてみる。
「それも話す予定なんだよ……ったく。迷宮ってのは色んな攻略方法がある。まず最初に挙げられるのはやはり番人を倒すことだな。これが基本だ。あとは迷宮核を壊す、というパターンもある」
「迷宮核というのはなんですか?」
「迷宮には必ず核というものがある。病気でいう所の病原体とでもいえばいいか? うまい言い回しが見つからんが迷宮症候群と言われるだけあって原因菌みたいなものがあるのさ」
「なるほど、それを壊す……それなら簡単そうな……」
俺が素直に思った事を口にすると根津さんはムッとした顔をする。
「いや、そんな事はないぞ。迷宮核は迷宮の奥深くにあるもんだから結局はある程度の戦闘を経てそこまで辿り着く必要があるからな。俺としては結局のところ番人を叩くのが一番だと思っているぞ」
うん、なんとなくこの真っ向勝負感にはシンパシーを感じるな。
「あ、だが番人がいない迷宮もあるな。そういう所は逆に厄介で、殆どが迷路のようになっているから彷徨っているだけでかなりの体力を消耗する。で、ぐるぐるしてるうちに体力が残り10%……なんてなって逃げるように心の隙間から逃げ出したりするもんだ」
「体力が10%というと?」
「ああ。協会が貸し出している患者の迷宮に入る端末……まぁアダプターと呼ばれているが、これを着けると自分の状態が数値化されて見れるようになる」
「あっ、それってステータスオープン!って奴ですかぁ!?」
一番前の列に座っているアマネがはいはーいと元気よく手を挙げて質問をする。
「ん? ステータスとは呼ばれているがオープンというのはないぞ。どこかの国ではいうかもしれないがこの国の端末では常に視界の隅に半透明で表示されている。意識したら見えるようになるから何か言葉を発する必要もないな。ちなみに仕組みは俺もよく知らん」
「じゃあ意識する時にそう叫んでもいいですかぁ?」
「それは勝手にしろ」
そう言われたアマネはヤッターっと念願かなった子供の様に喜んでいるが、俺から見たら呆れられていたようにしか見えない。
「ほな、心の隙間っちゅうのはなんです?」
「むっ、その喋り方は猿川か? お前……似非関西人だろう!」
「あ、バレました? 実は関東生まれですねん」
「俺の実家は関西だからな、正直バカにしているようにしか聞こえんぞ!」
「いや、これはリスペクトでんがな」
「そんな喋り方をするやつはおらんがな!」
おったがな……と言いたくなったがここは我慢しておこう。その方がいいはずだ。
「全く、久しぶりに新人が豊作だっていうから楽しみにしていたのにお前たちは勝手にどんどん話を進めていくな。ごほん、心の隙間だったな? これは迷宮へ出入りするポイントのようなものだ」
「ほう、ポイントといいますと?」
「よくゲームであるだろう、セーブポイントとかそういったやつだ。長い期間探索するとどうしても疲弊するだろう? そこで迷宮の綻びを見つけてそこから外へアクセスして接続を解除するんだ。次に入る時はまたそこから入れるって仕組みだな」
「ははぁ、えらく便利やなぁ……それはどこにあるか、どういう見た目かとかあるんでっか?」
「……もう突っ込まんからな。初めて入る迷宮ではどこにあるか分からん。だから基本は俺みたいなベテランがまずは心の隙間……便宜的にセーブポイントと呼ぶがそれを探索し、後続の探索者に受け渡したりするんだ。ルーキーは攻略されてはいないが比較的安全だ、と確認されている迷宮でまず力をつけてもらうからそこは安心していい」
なるほど、それなら右も左も分からなくても大丈夫……なのか?
「そういえば迷宮というのは何人かで入るものですよね?」
俺のそんな質問に根津さんは何故知っているのか、というような驚いた顔をする。
「あ、あぁなんとなくそう思ったんです、けど……」
「……そういえばさっき天堂くんが言葉の端に出していたな、瑠璃ちゃんと。と、すると……」
根津さんの口から瑠璃、妹の名前を聞くと何故だか顔から血の気が引いた気がした。
「りっちゃん、顔が空みたいに青いよ! 大丈夫?」
「あ、ああ……まぁ隠している訳でもないし平気、だ。根津さんの想像通りだと思います。不破瑠璃は、妹は迷宮症候群の──第一発症者です」
なるほど、それでスーツがはち切れんほどにパンパンだったのか。
前まで歩いていく時の身ごなしを見て感じた通り、実力もかなりのものだろうな。
それよりもやっぱりなずなの事が気になるぞ……。
「すみませんっ!」
俺はこらえきれなくて思わず手を挙げてしまった。
「ん? 君は……あぁ不破だな。何だ?」
「あの、ここにいる人達はみんな合格っていう事でいいんですか?」
そう聞くと根津さんは少し笑いながら答える。
「ああそうか、君は試験が終わって気絶してしまったようだから不安だったんだな? でも気絶する前に番人の撃破を確認出来たみたいで合格って事になったようだぞ。というかここにいるという事はもう合格で間違いない」
「あ、いえ……それも不安ではあったんですけど。そんな事より……なずなも、ですか?」
「ああ、もちろん合格だぞ。若干特例気味ではあるけど前例がなかった訳ではないしな」
特例気味?それは一体どういう事だろう。
なずなは小さい頃から俺に着いてきて色んな場所へ行ったり色んな遊びをしていた。
そんな関係だからよく分かる。なずなが何かを傷つけるなんて出来るわけがない。
小さな諍いにだって身を震わせてしまうほど臆病……いや優しいんだ。
「どうする? 自分で言うか? 嫌ならもちろん隠しておいても構わないが……」
前に立つ根津さんが優しく問いかけると俺の隣に座っているなずなはこくんと頷いて口を開いた。
「えっと、私はあの部屋に入って……怖くて怖くてたまらなかった。でも、りっちゃんが瑠璃ちゃんの為に試験を受けに来てるの分かってたから。だから私……我慢したの」
「我慢……?」
「うん。たくさん角で刺されたし、たくさん斧で斬られてすごく痛かったけど我慢した。そしたら我慢してるうちにどんどん痛いのがなくなっていって、それからは何されても全然大丈夫になったの。それでちょっとしたら番人さんが疲れたみたいで合格って」
なずなは笑顔でそんな事を言い放つ。
俺も斬られたけどあの痛みはそうそう我慢出来るようなものじゃないぞ。
「あー補足しておくけどな。ちょっとしたら番人が疲れた、という天堂なずなくんが試験を受けていた時間は実に三時間を超える」
「なっ!?」「ひぃっ!」「なずなちゃん……」
根津さんのその言葉には黙って話を聞いていた他の面々も驚いたらしい。
最後のは猿か?いきなりの名前呼びで距離を縮めてきてやがるな。
「ちなみにこの記録は協会の探索者試験が始まって以来の最長記録だそうだ。ま、ちょっとやそっとじゃ破られないだろうなぁ」
「三時間って……そんな長い時間ずっと嬲られ続けて?」
「りっちゃん、そんな顔しないでよ。本当に痛くなかったんだよ? 小鳥が突いてくるくらいの衝撃だったし」
なずなはそう言っているけれど、あの痛みを知っていたら到底信じられはしない。
そういえばなずなは昔から我慢するのが得意だったか。とはいえ、なぁ……。
「なんか勘違いしているようだからさらに補足するとそれはなずなくんが使ったスキルだぞ」
「スキル!?」
「ああ、もう順番に説明するはずだったんだがなぁ……まぁいいか。迷宮は自我が他我に包まれているような世界だ。そこでは自分の意思が最も重要になってくる。つまりは自分を信じる事、だな」
そう言われて周りの面々の顔を見るとみんなそれについては納得した顔をしている。
これについては俺も実体験として納得できる。
「その信じる力は奇跡のような業を生む。それを昔流行ったテレビゲームから取って<スキル>と呼ぶ事に決めたんだ、もちろんお偉いさん方がな。この中の何人かは既にその一端を体験していると思うが……望月はどうだ?」
突然振られた要はふふん、と髪を掻き上げて自慢気に話し始める。
「ええ、僕は魔法を使う事が出来ました。イメージしていたよりやや、というかかなり小振りの魔法でしたけどあれは間違いなく魔法でしょう」
「そうだな、俺の方でも記録を確認したがあれはスキルの中のひとつである<火魔法>で間違いない」
俺達は思わず「おぉ」という感嘆の声をあげてしまった。
隣のなずなはすごーいと言いながら手を叩いているけどなずなもスキルっていうのを使ったんだよな?
「小振りだったのはまぁ仕方のないことだ。スキルというのは使えば使うだけ伸びていくもんだからな。きっかけがあって爆発的に伸びた、なんて例も報告されているが稀だな」
「なるほど、それは僕がやっていたゲームそのものですね」
要はうんうんと頷いて考えこんでいるようだ。
ゲームに詳しいみたいだから後で聞いておいたほうがいいかもしれないな。
「そして天堂くんに話を戻すと、だ。痛みを極限まで我慢する事で<治癒>系統のスキルを発現したようだな。この系統のスキルはかなり珍しいからまだ詳しくは分かっていないが……」
「治癒っていうと体を治すっていうあれですか?」
「ああ、それだ。迷宮の中では実際に体が損害を受けるわけではないから、厳密には心を修復しているという事にはなるだろうが…………非常に貴重なスキルだ」
根津さんは最後に真剣な顔で付け足した。
それを聞いたなずなは顔を綻ばせて喜んでいるけど、俺としてはなずなが迷宮を探索、攻略するのは賛成できない。
あ、というよりもどうやって迷宮を攻略するんだろう?
俺は気になったので根津さんに聞いてみる。
「それも話す予定なんだよ……ったく。迷宮ってのは色んな攻略方法がある。まず最初に挙げられるのはやはり番人を倒すことだな。これが基本だ。あとは迷宮核を壊す、というパターンもある」
「迷宮核というのはなんですか?」
「迷宮には必ず核というものがある。病気でいう所の病原体とでもいえばいいか? うまい言い回しが見つからんが迷宮症候群と言われるだけあって原因菌みたいなものがあるのさ」
「なるほど、それを壊す……それなら簡単そうな……」
俺が素直に思った事を口にすると根津さんはムッとした顔をする。
「いや、そんな事はないぞ。迷宮核は迷宮の奥深くにあるもんだから結局はある程度の戦闘を経てそこまで辿り着く必要があるからな。俺としては結局のところ番人を叩くのが一番だと思っているぞ」
うん、なんとなくこの真っ向勝負感にはシンパシーを感じるな。
「あ、だが番人がいない迷宮もあるな。そういう所は逆に厄介で、殆どが迷路のようになっているから彷徨っているだけでかなりの体力を消耗する。で、ぐるぐるしてるうちに体力が残り10%……なんてなって逃げるように心の隙間から逃げ出したりするもんだ」
「体力が10%というと?」
「ああ。協会が貸し出している患者の迷宮に入る端末……まぁアダプターと呼ばれているが、これを着けると自分の状態が数値化されて見れるようになる」
「あっ、それってステータスオープン!って奴ですかぁ!?」
一番前の列に座っているアマネがはいはーいと元気よく手を挙げて質問をする。
「ん? ステータスとは呼ばれているがオープンというのはないぞ。どこかの国ではいうかもしれないがこの国の端末では常に視界の隅に半透明で表示されている。意識したら見えるようになるから何か言葉を発する必要もないな。ちなみに仕組みは俺もよく知らん」
「じゃあ意識する時にそう叫んでもいいですかぁ?」
「それは勝手にしろ」
そう言われたアマネはヤッターっと念願かなった子供の様に喜んでいるが、俺から見たら呆れられていたようにしか見えない。
「ほな、心の隙間っちゅうのはなんです?」
「むっ、その喋り方は猿川か? お前……似非関西人だろう!」
「あ、バレました? 実は関東生まれですねん」
「俺の実家は関西だからな、正直バカにしているようにしか聞こえんぞ!」
「いや、これはリスペクトでんがな」
「そんな喋り方をするやつはおらんがな!」
おったがな……と言いたくなったがここは我慢しておこう。その方がいいはずだ。
「全く、久しぶりに新人が豊作だっていうから楽しみにしていたのにお前たちは勝手にどんどん話を進めていくな。ごほん、心の隙間だったな? これは迷宮へ出入りするポイントのようなものだ」
「ほう、ポイントといいますと?」
「よくゲームであるだろう、セーブポイントとかそういったやつだ。長い期間探索するとどうしても疲弊するだろう? そこで迷宮の綻びを見つけてそこから外へアクセスして接続を解除するんだ。次に入る時はまたそこから入れるって仕組みだな」
「ははぁ、えらく便利やなぁ……それはどこにあるか、どういう見た目かとかあるんでっか?」
「……もう突っ込まんからな。初めて入る迷宮ではどこにあるか分からん。だから基本は俺みたいなベテランがまずは心の隙間……便宜的にセーブポイントと呼ぶがそれを探索し、後続の探索者に受け渡したりするんだ。ルーキーは攻略されてはいないが比較的安全だ、と確認されている迷宮でまず力をつけてもらうからそこは安心していい」
なるほど、それなら右も左も分からなくても大丈夫……なのか?
「そういえば迷宮というのは何人かで入るものですよね?」
俺のそんな質問に根津さんは何故知っているのか、というような驚いた顔をする。
「あ、あぁなんとなくそう思ったんです、けど……」
「……そういえばさっき天堂くんが言葉の端に出していたな、瑠璃ちゃんと。と、すると……」
根津さんの口から瑠璃、妹の名前を聞くと何故だか顔から血の気が引いた気がした。
「りっちゃん、顔が空みたいに青いよ! 大丈夫?」
「あ、ああ……まぁ隠している訳でもないし平気、だ。根津さんの想像通りだと思います。不破瑠璃は、妹は迷宮症候群の──第一発症者です」
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