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転生〜ロッカの街
第16話 生き餌
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夜の帳が降りてからしばらく経った今、村の中には出歩く人などいない。
そもそも明かりなどほとんどないからだ。
普段は各家々からわずかに漏れるであろうランプの光も、今日は消してもらっている。
「あとどれくらいだ?」
俺がそう聞くと、偵察を終えて帰ってきたジャックが答える。
「もうそろそろです——見えて来ましたッ!」
そろそろ寝ようか、と準備していた俺にジャックの声がかかったのは今から三十分ほど前だったか。
いつものように空から哨戒をしていると、魔獣の群れが目に入ったという。
どうやらその魔獣は真っ直ぐにこっちへ向かってきている、ということで理由に思い当たった俺は、外へ出て迎撃してやる事にしたのだ。
その際に、少しでも危険を減らす為にと各家を回って照明を落としてもらった。
俺の【御者】の目と二人の魔族の目ならこの暗闇の中だって見通せる。
フィズには念の為、リリアの側についていて貰うことにした。
狙いはきっとリリアだろうからな。
村の外縁部のさらに外で待ち構えていた俺たちの前に、十数匹の魔獣の姿が見えてきた。
その中には昼間に倒したキングボアの姿も見える。
おい、ジャック……珍しいんじゃなかったか?
それにしても数が多い。
対してこちらは三人しかいないから、通さないように集中しないとな。
「マスター、ちょっといいでしょうか?」
珍しくローズが自分から話しかけてきた。
話しかけると話してくれるけど、あまり積極的に話してきてはくれないんだよな。
「どうした?」
「ジャックとあの魔法を使ってもいいでしょうか?」
「あの魔法というとあの時のか?」
「はい。マスターには効きませんでしたが普通の魔獣程度であればそれなりの手傷を負わせられるはずです」
俺には効かなかったとローズはいっているが、大いに効いたことを忘れているのか?
あの冒険者ギルドで変態、変態と罵られた件を忘れているのか?
俺なんか思い出すだけで悔しい気持ちが滲みでてくるというのに。
まぁそれはいいか。
「じゃあ道の真ん中、奴らの通り道を塞ぐように魔法を使ってくれよ。そうすれば足も鈍るだろうし。お前たちの魔法を抜けた奴を俺が叩こう」
プランが決まったので早速布陣する。
ジャックは道の左で、ローズが右。
俺は正面から魔獣を迎え撃つ。
「来たぞッ!」
俺の声に合わせて二人が魔法を放つ。
サイクロンだかトルネードだかって名前の魔法だったな。
その魔法は名前に恥じない威力を持っていた。
魔獣たちはその吹き付ける風の範囲に入ると、目に見えない風に体が切り刻まれていく。
あれ、あんなに威力があったのか……。
もしかしたら俺の出番はないかもな。
なんて思っていたら、その暴風域を抜けてくる魔獣が現れた。
まずはキングボアだ。
全身に浅くはない傷を作ってはいるものの、まだ戦闘意欲は衰えていない。
それどころか鼻息を荒くして、攻撃性が増しているようにも見える。
それから漆黒の体をもった狼。
こちらは体に傷すら見当たらない。
とんでもない防御力を持っているのだろうか?
俺がそんな敵の姿を観察していると、大魔法を撃ち終わったジャックがやってきた。
「残りは雑魚なのでローズに任せてきました。私にはキングボアをお任せいただけますでしょうか? マスターはフェンリルをお願いします」
「え、あれってフェンリルなのか……まぁわかった、やってみよう」
そういうと先にジャックが駆け出してキングボアへ迫っていく。
俺も鞭を腰から引き抜いて、右手に構えた。
ゆっくりとした時間の流れの中で、フェンリルが飛びかかってくるのが見えた。
おお、集中しててもなかなかのスピードだな。
まあそれでもまだ遅い。
俺は余裕を持ってその爪をかわすと、鞭を横に振り切った。
バチンという乾いた音にわずかな湿り気を伴ったその音は、鞭がフェンリルの横腹の肉をえぐり取った音だった。
「やはり人間にはならないか……まぁそれでもダメージは与えられただろう」
そう思いながら着地したフェンリルを見ると、その横腹ではシューシューという音と煙が上がっていた。
その煙が晴れた時、そこにもう傷はなかった。
「んなっ!?」
「マスターッ、フェンリルは再生能力を持っているらしいのでお気をつけ下さい!」
キングボアと戦っているジャックがそんな事を叫んだ。
ちょっというのが遅いぞ……っと。
俺はフェンリルの噛みつきをかわしながら次の手を思案する。
ちょっと可哀想だけど向こうは本気で殺りにきてるし仕方ないな。
「今からお前を全力で殴るからな!」
そう宣言すると、フェンリルは少しビクッとしたように見えた。
俺は構わず、地面を蹴って素早くフェンリルに近づくと、そのままの勢いで蹴りを放つ。
フェンリルはそのスピードに反応できないようで、俺の蹴りをまともに食らった。
骨を砕くような感覚と共に、フェンリルの体は大きく吹き飛んだ。
地面に転がるその体からは煙がシューシューと激しく吹き出ている。
「回復させてたまるかっ!」
俺はそう短く叫ぶと、フェンリルに追撃をしかける。
駆け寄った勢いのままの踏みつけは紙一重でかわされたものの、その次に放った膝はその顎を強かに打った。
「グルルル…………」
脇と顎を砕かれて血をぼたぼたと流しながらもなお低く唸る目の前の狼は、戦意を少しも衰えさせていない。
が次の瞬間、意外な行動に出た——逃走だ。
「待てッ!」
ここで逃すとまたいつ狙われるか分からないからきちんとここで仕留めておきたい。
俺は鞭を振ると、フェンリルの尻尾を絡めとって動きを止めた。
「ガアァッ」
反対側に駆け出そうとしたフェンリルは、突然自分の行動が制限されて怒りの声を上げた。
そんなフェンリルに俺はゆっくりと近づいていく。
逃げられないのであればこのまま倒しきれるまで攻撃を続ければいいだろう。
まさか不死身ってわけではないだろうしな。
「マサカ、コノ我ガココマデ追イ詰メラレルトハ……」
目の前の狼から言葉が聞こえて俺は一瞬戸惑った。
その瞬間を見計らったのか、フェンリルは自分の尻尾を引きちぎって拘束を抜け出した。
その傷口から吹き出た血が赤い霧のようになってその姿を隠す。
「コノ勝負ハ我ノ負ケダ。シカシ覚エテイロヨ、人間ヨ……次ハ必ズ……」
そんな捨て台詞を残して、フェンリルは姿を消した。
あとに残ったのは漆黒の尻尾だけだった。
「おお、そっちも終わったみたいだな」
「お疲れ様です、マスター」
「いや、こっちの方は逃げられちまった」
そういって俺は漆黒の尻尾を持ち上げてジャックに見せる。
「そうでしたか。フェンリルといえばユニコーンや、麒麟などと並ぶ幻獣種ですからね。マスターから逃げるほどの相手だったのであれば私には歯が立たなかったでしょう」
「幻獣種……か。まぁ今日のところは追い払えたから良しとしておくか」
「では私とローズはこの魔獣どもから素材を獲っておきますのでマスターはお休みください」
ジャックがそういってくれたので俺は一足先に休む事にした。
フィズとリリアが待つ家に戻ると、二人も起きて待っていてくれた。
「ご主人さま、大丈夫だった?」
「ああ、とりあえず全部撃退はしたぞ」
俺がそういうとリリアは暗い顔をうつむかせて口を開く。
「私のせいでごめんなさい……やっぱり私、みなさんと一緒には……」
「おい、リリア。その先は言うな」
「で、でもっ!」
「俺の馬車に乗ったらそれはもう客だ。なら必ず守るさ。だから気にする必要なんてない」
「……あり……がとう……ござい、ます」
リリアはそういって涙を零すと、俺の胸に頭をうずめてきた。
お姫様にこんなことしていいのか、なんて一瞬迷った。
けど、きっとこうしてやった方が安心できると思ったから。
だから俺はその体をぎゅっと抱きしめて、ゆっくりと頭を撫で続けたのだった。
そもそも明かりなどほとんどないからだ。
普段は各家々からわずかに漏れるであろうランプの光も、今日は消してもらっている。
「あとどれくらいだ?」
俺がそう聞くと、偵察を終えて帰ってきたジャックが答える。
「もうそろそろです——見えて来ましたッ!」
そろそろ寝ようか、と準備していた俺にジャックの声がかかったのは今から三十分ほど前だったか。
いつものように空から哨戒をしていると、魔獣の群れが目に入ったという。
どうやらその魔獣は真っ直ぐにこっちへ向かってきている、ということで理由に思い当たった俺は、外へ出て迎撃してやる事にしたのだ。
その際に、少しでも危険を減らす為にと各家を回って照明を落としてもらった。
俺の【御者】の目と二人の魔族の目ならこの暗闇の中だって見通せる。
フィズには念の為、リリアの側についていて貰うことにした。
狙いはきっとリリアだろうからな。
村の外縁部のさらに外で待ち構えていた俺たちの前に、十数匹の魔獣の姿が見えてきた。
その中には昼間に倒したキングボアの姿も見える。
おい、ジャック……珍しいんじゃなかったか?
それにしても数が多い。
対してこちらは三人しかいないから、通さないように集中しないとな。
「マスター、ちょっといいでしょうか?」
珍しくローズが自分から話しかけてきた。
話しかけると話してくれるけど、あまり積極的に話してきてはくれないんだよな。
「どうした?」
「ジャックとあの魔法を使ってもいいでしょうか?」
「あの魔法というとあの時のか?」
「はい。マスターには効きませんでしたが普通の魔獣程度であればそれなりの手傷を負わせられるはずです」
俺には効かなかったとローズはいっているが、大いに効いたことを忘れているのか?
あの冒険者ギルドで変態、変態と罵られた件を忘れているのか?
俺なんか思い出すだけで悔しい気持ちが滲みでてくるというのに。
まぁそれはいいか。
「じゃあ道の真ん中、奴らの通り道を塞ぐように魔法を使ってくれよ。そうすれば足も鈍るだろうし。お前たちの魔法を抜けた奴を俺が叩こう」
プランが決まったので早速布陣する。
ジャックは道の左で、ローズが右。
俺は正面から魔獣を迎え撃つ。
「来たぞッ!」
俺の声に合わせて二人が魔法を放つ。
サイクロンだかトルネードだかって名前の魔法だったな。
その魔法は名前に恥じない威力を持っていた。
魔獣たちはその吹き付ける風の範囲に入ると、目に見えない風に体が切り刻まれていく。
あれ、あんなに威力があったのか……。
もしかしたら俺の出番はないかもな。
なんて思っていたら、その暴風域を抜けてくる魔獣が現れた。
まずはキングボアだ。
全身に浅くはない傷を作ってはいるものの、まだ戦闘意欲は衰えていない。
それどころか鼻息を荒くして、攻撃性が増しているようにも見える。
それから漆黒の体をもった狼。
こちらは体に傷すら見当たらない。
とんでもない防御力を持っているのだろうか?
俺がそんな敵の姿を観察していると、大魔法を撃ち終わったジャックがやってきた。
「残りは雑魚なのでローズに任せてきました。私にはキングボアをお任せいただけますでしょうか? マスターはフェンリルをお願いします」
「え、あれってフェンリルなのか……まぁわかった、やってみよう」
そういうと先にジャックが駆け出してキングボアへ迫っていく。
俺も鞭を腰から引き抜いて、右手に構えた。
ゆっくりとした時間の流れの中で、フェンリルが飛びかかってくるのが見えた。
おお、集中しててもなかなかのスピードだな。
まあそれでもまだ遅い。
俺は余裕を持ってその爪をかわすと、鞭を横に振り切った。
バチンという乾いた音にわずかな湿り気を伴ったその音は、鞭がフェンリルの横腹の肉をえぐり取った音だった。
「やはり人間にはならないか……まぁそれでもダメージは与えられただろう」
そう思いながら着地したフェンリルを見ると、その横腹ではシューシューという音と煙が上がっていた。
その煙が晴れた時、そこにもう傷はなかった。
「んなっ!?」
「マスターッ、フェンリルは再生能力を持っているらしいのでお気をつけ下さい!」
キングボアと戦っているジャックがそんな事を叫んだ。
ちょっというのが遅いぞ……っと。
俺はフェンリルの噛みつきをかわしながら次の手を思案する。
ちょっと可哀想だけど向こうは本気で殺りにきてるし仕方ないな。
「今からお前を全力で殴るからな!」
そう宣言すると、フェンリルは少しビクッとしたように見えた。
俺は構わず、地面を蹴って素早くフェンリルに近づくと、そのままの勢いで蹴りを放つ。
フェンリルはそのスピードに反応できないようで、俺の蹴りをまともに食らった。
骨を砕くような感覚と共に、フェンリルの体は大きく吹き飛んだ。
地面に転がるその体からは煙がシューシューと激しく吹き出ている。
「回復させてたまるかっ!」
俺はそう短く叫ぶと、フェンリルに追撃をしかける。
駆け寄った勢いのままの踏みつけは紙一重でかわされたものの、その次に放った膝はその顎を強かに打った。
「グルルル…………」
脇と顎を砕かれて血をぼたぼたと流しながらもなお低く唸る目の前の狼は、戦意を少しも衰えさせていない。
が次の瞬間、意外な行動に出た——逃走だ。
「待てッ!」
ここで逃すとまたいつ狙われるか分からないからきちんとここで仕留めておきたい。
俺は鞭を振ると、フェンリルの尻尾を絡めとって動きを止めた。
「ガアァッ」
反対側に駆け出そうとしたフェンリルは、突然自分の行動が制限されて怒りの声を上げた。
そんなフェンリルに俺はゆっくりと近づいていく。
逃げられないのであればこのまま倒しきれるまで攻撃を続ければいいだろう。
まさか不死身ってわけではないだろうしな。
「マサカ、コノ我ガココマデ追イ詰メラレルトハ……」
目の前の狼から言葉が聞こえて俺は一瞬戸惑った。
その瞬間を見計らったのか、フェンリルは自分の尻尾を引きちぎって拘束を抜け出した。
その傷口から吹き出た血が赤い霧のようになってその姿を隠す。
「コノ勝負ハ我ノ負ケダ。シカシ覚エテイロヨ、人間ヨ……次ハ必ズ……」
そんな捨て台詞を残して、フェンリルは姿を消した。
あとに残ったのは漆黒の尻尾だけだった。
「おお、そっちも終わったみたいだな」
「お疲れ様です、マスター」
「いや、こっちの方は逃げられちまった」
そういって俺は漆黒の尻尾を持ち上げてジャックに見せる。
「そうでしたか。フェンリルといえばユニコーンや、麒麟などと並ぶ幻獣種ですからね。マスターから逃げるほどの相手だったのであれば私には歯が立たなかったでしょう」
「幻獣種……か。まぁ今日のところは追い払えたから良しとしておくか」
「では私とローズはこの魔獣どもから素材を獲っておきますのでマスターはお休みください」
ジャックがそういってくれたので俺は一足先に休む事にした。
フィズとリリアが待つ家に戻ると、二人も起きて待っていてくれた。
「ご主人さま、大丈夫だった?」
「ああ、とりあえず全部撃退はしたぞ」
俺がそういうとリリアは暗い顔をうつむかせて口を開く。
「私のせいでごめんなさい……やっぱり私、みなさんと一緒には……」
「おい、リリア。その先は言うな」
「で、でもっ!」
「俺の馬車に乗ったらそれはもう客だ。なら必ず守るさ。だから気にする必要なんてない」
「……あり……がとう……ござい、ます」
リリアはそういって涙を零すと、俺の胸に頭をうずめてきた。
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