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第二章 魔族領編
第40話 ジャングルを進む
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昨日の出来事は誰かに見られていないかと不安に思ったが、ソフィアが何かに勘付いているということ以外は特に問題はなさそうな雰囲気なので特に気にすることもないように思えた。
カセムがこれから密林地帯を進む事になるというのでライリーはこんな長くて大きい馬車じゃ進めないんじゃないかと尋ねると、実はこの馬車は分割して小回りが利くように出来るのだという。
かなり考えて設計されている馬車で、中も地球のキャンピングカーより快適で振動も地上から僅かに浮いているので感じにくくなっている。馬に引かせているのは技術が渡ると都合が悪いからだという。
王国領地では、車のような牽引が出来る魔道具で引く事もあれば馬で引く事もあるがこの車のような魔道具を魔族領に持ち込むのはさらに都合が悪いのでよほどのことが無ければ持ち込むことはないのだという。
整備兵も兼ねた兵士が言うには燃料に王国領で採れる魔石から抽出されるものを使うため、どちらにしろ魔族領で運用するには改造しなければならないが移動が早くなるものの技術が渡るのは攻められる時に都合が悪い。
しばらくすると、馬車の分割と連結作業が終わり出発する事になった。ライリーは前の世界でやたらと車で長距離を運転していた時もあったのでその癖で御者台に座りがちになってしまう。今日も馬とソフィアと話ながら進む。
馬は言った。
「昨日の夜は馬車が揺れているような気がしたな」
ライリーは答えた。
「気のせいじゃないか? この重い馬車が固定状態で揺れる事があるのか?」
「まあ、地震でも起きなけりゃ揺れないな」
ソフィアも気になる事があると言ってきた。
「私も何だか気になったんだけど。ライリーが寝ていた辺りを今朝、通ったら妙な匂いがしたんだよね」
「何人も寝てるんだから誰かの匂いと混じる事もあるだろ?」
「じゃあ、どうして今日のライリーは匂いが薄いの? おかしいよね?」
「そりゃ日によって違うしな」
確かに日によって違うのだが、どうしてソフィアはそんな事を知っているのか謎である。まあ、ソフィアも考えてみれば経験していても不思議でない歳だしこれだけの美少女なので何も無かったらその方が不思議だ。
と言っても、かなり聞きづらいし、経験があったらあったでガッカリしそうなので聞かないでおこうと思う。
そんな事を考えていると崖沿いの狭い道に出た。向こうから馬車とかが来たらすれ違うのに一苦労だが、この馬車と同じサイズの馬車自体が魔族領にはまずないので大丈夫だという。
ふと、空を見上げると竜のようなものが飛んでいるのが見えた。
「なあ、ソフィア。アレは竜なのか?」
「うん。あれは……誰か乗ってるのかな?」
話しているとカセムが顔を出してきた。
「ああ。あれはこの辺りの先住民が乗っているヤツだ。あの竜は人懐っこい竜でな。飼いならせば乗って空を飛んで移動できる。
かなり便利なんだが、長時間連続で飛び続ける事が出来ないのとあまり遠くに行きたがらないから移動範囲が限られるな」
「なら、王国にとって特に脅威になる事もなさそうだな」
「まず、無いな。それに臆病なので薬で混乱させないと戦いには使えない」
「そうなのか。俺のいた世界のドラゴンは好戦的で人類を根絶やしにしてやるって意気込んでいるのもいるような存在って言われていたけどな」
「ああ。そういうのもいるぞ。中枢の都市の防衛をしているな」
「そんなのと戦うのか王国軍は?」
「あの魔法士も昔は戦った事があるって言っていたぞ。デカくて動きが速いのに大火力魔法を使って一撃で仕留めないと被害が出るから難しいって言っていたな」
「大食いの魔法士か?」
「いや。あそこの爺さんだ」
「ああ。居るな。老子って感じではあるがそんなに強いのか? 見た目によらないな。ん? でもよ、そんな本格的な戦闘があったのはかなり昔の話じゃないのか?」
「四百年くらい前の話じゃないか?」
「あの爺さんは人間じゃないのか?」
「ああ。エルフだな」
「……耳が長くないぞ?」
「耳? 何で長いんだ?」
「ああ。この世界のエルフは耳が長くないのか」
「この世界は広いからな。もしかしたら耳が長いエルフもいるのかもしれないが俺は見た事ないな」
「そうか。あ、見えた。ちょっと尖っているのか?」
「そうだな。少し尖った耳をしているな」
振動が増えて来たのでどうしたのか馬に尋ねた。
「かなり振動が増えてきたが、馬車を浮かせる燃料が無くなってきたのか?」
「多分な。道が悪いから足が重いのかと思ったが、馬車自体も重くなってきたみたいだ。推進用の燃料が無くなると進む事自体が出来なくなる。カセム、機関士に確認してみてくれ。一旦、停車する」
「分かった。少し待て」
そう言うとカセムは機関士に確認をした。すると、確かに燃料が切れてきているようで計算ではこの先の集落までは持つ量だったというが、到着が遅れているのが理由で大分減っているのだという。
今は自動で燃料を節約する状態だが、集落までの距離からして十分持つので節約状態を解除してそのまま進むことにした。
崖際の道を抜けるとまたジャングルだが、前を歩いているモンスターが居たのでカセムにどうするのか確認した。
「カセム、あれはモンスターにしか見えないんだが、どうすりゃいいんだ? 始末するのか?」
「あれは友好的なモンスターなので大丈夫だ。人間の言葉も話すぞ。もしかしたらこの先の集落の住民かもしれない。尋ねてみよう」
そう言うと、陽気に歩いている鶏みたいな見た目のモンスターとキノコみたいな見た目のモンスターにカセムが尋ねた。
「よう。今日も暑いな。集落に寄りたいんだがこの先の道は問題ないか?」
「ああ。問題ないな。俺たちも狩りを終えて集落に戻っているところだぜ。乗せて行ってくれるか?」
「俺も頼むよ。キノコだから軽いし」
「いいぞ」
「じゃあ、このスキットルに入った酒を飲みかわそう。集落で作った焼酎だ」
そう言うと鶏みたいなモンスターが出した酒を御者台に居る四人で飲んだ。確かに前の世界の焼酎にそっくりだ。ライリーは焼酎について尋ねた。
「果物みたいな香りもするが材料は何か変わったものを使っているのか?」
「変わっているのかどうかはイマイチ分からねえが、この辺りに生えてる草とか野菜とかを使ってるぜ」
「ああ。それで果物みたいな味もあるのか」
「酒が好きみたいだな」
「そうなんだよ。前の世界でもなるべく飲まないようにって思う度に飲んでしまう。困ったもんだった。こっちに来てからは幾ら飲んでも、すぐに酔いが覚めるいい薬もあるし魔法もあるから特に困ったことにはならないけどな」
「転移者だったのか。こっちの世界でも飲みすぎると体はおかしくなるぜ。かといって飲まないとつまらないしな」
「まあ、こっちに来てからは飲まないとやってられないって事は無くなったから飲む必要も本当は無いんだけどな」
「充実しているようで良かったな」
「全くだ。向こうにツリーハウスみたいなのが見えるが、あれが集落なのか?」
「ああ。そうだ。木が生い茂っていて雰囲気があるだろう?」
「いいねえ。大木の上にある家とは住んでみたいなって思った時もあったな。まあ、この辺りで住むと暑さと湿気で大変だろうけどな」
「そうだな。窓は開けっ放しにしないと暑いし、洗濯物も日の光が差し込むポイントでないと乾かないから大抵、魔法か魔道具を使って乾燥させてるな。
よっぽど、植物が好きなヤツとかじゃないとわざわざ移り住もうなんざ思わないだろうぜ」
しばらく話していると集落に到着した。エルフの里みたいな雰囲気の森だが、高温多湿な気候なのとエルフっぽい人間は見当たらない。
住民は褐色の肌に露出の多い服装をしている。人によっては服を着ていないように見えるのもいる。
痴女なのかもしれないが魅力的なので目が離せないなと思っているとソフィアが顔を近づけて来たので目を逸らした。
カセムがこれから密林地帯を進む事になるというのでライリーはこんな長くて大きい馬車じゃ進めないんじゃないかと尋ねると、実はこの馬車は分割して小回りが利くように出来るのだという。
かなり考えて設計されている馬車で、中も地球のキャンピングカーより快適で振動も地上から僅かに浮いているので感じにくくなっている。馬に引かせているのは技術が渡ると都合が悪いからだという。
王国領地では、車のような牽引が出来る魔道具で引く事もあれば馬で引く事もあるがこの車のような魔道具を魔族領に持ち込むのはさらに都合が悪いのでよほどのことが無ければ持ち込むことはないのだという。
整備兵も兼ねた兵士が言うには燃料に王国領で採れる魔石から抽出されるものを使うため、どちらにしろ魔族領で運用するには改造しなければならないが移動が早くなるものの技術が渡るのは攻められる時に都合が悪い。
しばらくすると、馬車の分割と連結作業が終わり出発する事になった。ライリーは前の世界でやたらと車で長距離を運転していた時もあったのでその癖で御者台に座りがちになってしまう。今日も馬とソフィアと話ながら進む。
馬は言った。
「昨日の夜は馬車が揺れているような気がしたな」
ライリーは答えた。
「気のせいじゃないか? この重い馬車が固定状態で揺れる事があるのか?」
「まあ、地震でも起きなけりゃ揺れないな」
ソフィアも気になる事があると言ってきた。
「私も何だか気になったんだけど。ライリーが寝ていた辺りを今朝、通ったら妙な匂いがしたんだよね」
「何人も寝てるんだから誰かの匂いと混じる事もあるだろ?」
「じゃあ、どうして今日のライリーは匂いが薄いの? おかしいよね?」
「そりゃ日によって違うしな」
確かに日によって違うのだが、どうしてソフィアはそんな事を知っているのか謎である。まあ、ソフィアも考えてみれば経験していても不思議でない歳だしこれだけの美少女なので何も無かったらその方が不思議だ。
と言っても、かなり聞きづらいし、経験があったらあったでガッカリしそうなので聞かないでおこうと思う。
そんな事を考えていると崖沿いの狭い道に出た。向こうから馬車とかが来たらすれ違うのに一苦労だが、この馬車と同じサイズの馬車自体が魔族領にはまずないので大丈夫だという。
ふと、空を見上げると竜のようなものが飛んでいるのが見えた。
「なあ、ソフィア。アレは竜なのか?」
「うん。あれは……誰か乗ってるのかな?」
話しているとカセムが顔を出してきた。
「ああ。あれはこの辺りの先住民が乗っているヤツだ。あの竜は人懐っこい竜でな。飼いならせば乗って空を飛んで移動できる。
かなり便利なんだが、長時間連続で飛び続ける事が出来ないのとあまり遠くに行きたがらないから移動範囲が限られるな」
「なら、王国にとって特に脅威になる事もなさそうだな」
「まず、無いな。それに臆病なので薬で混乱させないと戦いには使えない」
「そうなのか。俺のいた世界のドラゴンは好戦的で人類を根絶やしにしてやるって意気込んでいるのもいるような存在って言われていたけどな」
「ああ。そういうのもいるぞ。中枢の都市の防衛をしているな」
「そんなのと戦うのか王国軍は?」
「あの魔法士も昔は戦った事があるって言っていたぞ。デカくて動きが速いのに大火力魔法を使って一撃で仕留めないと被害が出るから難しいって言っていたな」
「大食いの魔法士か?」
「いや。あそこの爺さんだ」
「ああ。居るな。老子って感じではあるがそんなに強いのか? 見た目によらないな。ん? でもよ、そんな本格的な戦闘があったのはかなり昔の話じゃないのか?」
「四百年くらい前の話じゃないか?」
「あの爺さんは人間じゃないのか?」
「ああ。エルフだな」
「……耳が長くないぞ?」
「耳? 何で長いんだ?」
「ああ。この世界のエルフは耳が長くないのか」
「この世界は広いからな。もしかしたら耳が長いエルフもいるのかもしれないが俺は見た事ないな」
「そうか。あ、見えた。ちょっと尖っているのか?」
「そうだな。少し尖った耳をしているな」
振動が増えて来たのでどうしたのか馬に尋ねた。
「かなり振動が増えてきたが、馬車を浮かせる燃料が無くなってきたのか?」
「多分な。道が悪いから足が重いのかと思ったが、馬車自体も重くなってきたみたいだ。推進用の燃料が無くなると進む事自体が出来なくなる。カセム、機関士に確認してみてくれ。一旦、停車する」
「分かった。少し待て」
そう言うとカセムは機関士に確認をした。すると、確かに燃料が切れてきているようで計算ではこの先の集落までは持つ量だったというが、到着が遅れているのが理由で大分減っているのだという。
今は自動で燃料を節約する状態だが、集落までの距離からして十分持つので節約状態を解除してそのまま進むことにした。
崖際の道を抜けるとまたジャングルだが、前を歩いているモンスターが居たのでカセムにどうするのか確認した。
「カセム、あれはモンスターにしか見えないんだが、どうすりゃいいんだ? 始末するのか?」
「あれは友好的なモンスターなので大丈夫だ。人間の言葉も話すぞ。もしかしたらこの先の集落の住民かもしれない。尋ねてみよう」
そう言うと、陽気に歩いている鶏みたいな見た目のモンスターとキノコみたいな見た目のモンスターにカセムが尋ねた。
「よう。今日も暑いな。集落に寄りたいんだがこの先の道は問題ないか?」
「ああ。問題ないな。俺たちも狩りを終えて集落に戻っているところだぜ。乗せて行ってくれるか?」
「俺も頼むよ。キノコだから軽いし」
「いいぞ」
「じゃあ、このスキットルに入った酒を飲みかわそう。集落で作った焼酎だ」
そう言うと鶏みたいなモンスターが出した酒を御者台に居る四人で飲んだ。確かに前の世界の焼酎にそっくりだ。ライリーは焼酎について尋ねた。
「果物みたいな香りもするが材料は何か変わったものを使っているのか?」
「変わっているのかどうかはイマイチ分からねえが、この辺りに生えてる草とか野菜とかを使ってるぜ」
「ああ。それで果物みたいな味もあるのか」
「酒が好きみたいだな」
「そうなんだよ。前の世界でもなるべく飲まないようにって思う度に飲んでしまう。困ったもんだった。こっちに来てからは幾ら飲んでも、すぐに酔いが覚めるいい薬もあるし魔法もあるから特に困ったことにはならないけどな」
「転移者だったのか。こっちの世界でも飲みすぎると体はおかしくなるぜ。かといって飲まないとつまらないしな」
「まあ、こっちに来てからは飲まないとやってられないって事は無くなったから飲む必要も本当は無いんだけどな」
「充実しているようで良かったな」
「全くだ。向こうにツリーハウスみたいなのが見えるが、あれが集落なのか?」
「ああ。そうだ。木が生い茂っていて雰囲気があるだろう?」
「いいねえ。大木の上にある家とは住んでみたいなって思った時もあったな。まあ、この辺りで住むと暑さと湿気で大変だろうけどな」
「そうだな。窓は開けっ放しにしないと暑いし、洗濯物も日の光が差し込むポイントでないと乾かないから大抵、魔法か魔道具を使って乾燥させてるな。
よっぽど、植物が好きなヤツとかじゃないとわざわざ移り住もうなんざ思わないだろうぜ」
しばらく話していると集落に到着した。エルフの里みたいな雰囲気の森だが、高温多湿な気候なのとエルフっぽい人間は見当たらない。
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