異世界に招かれしおっさん、令嬢と世界を回る

いち詩緒

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第二章 魔族領編

第47話 敵はどこに?

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 街道から現れた敵の装備を見ると妙に良い装備であり、敵の兵士そのものも異様な強さであった。これについて王国に連絡を取ったところ、千里眼を使っても敵の部隊の見えない部分がありそこに何かあるのではないかとの事だった。
 空路から近づけば何か見えるのではないかという事なので、ソフィアとカセム、アリアンヌの四人で敵陣に向かう事になった。

「敵陣か。妙な予感がするな」

 ライリーのひとりごとにソフィアが答える。

「それってどんな?」
「この川を使って王国領に進軍する計画があるんじゃないかって思ってな」

「そうだよね。何かおかしい感じだよね」

 これにカセムが答える。

「ああ。今回の魔族の動きは最近の小競り合いとは何かが違う。装備の良い強い兵士を投入してくる理由はいくつかあるだろうが、俺たちの強さを見るためだけかが分からんな」
「魔族にとってこの村がそこまで重要とも思えないし、王国が贔屓にしている村を落されただけで感情的に攻めてくると思ってもいないと思うがな」

「そんな単純な理由で攻めてたらキリがないからな。と言ってもまだ本気で王国に進軍するつもりという感じでもない」
「俺の前にいた世界では何十年もかけて攻め落とすという壮大な計画を立てて攻める事もあったというがそういうのか?」

「それは既にやってるな。でも、時間差の関係で実現は出来ない」
「ああ。そうか。中枢で計画を立てたところですぐに王国には分かるからな。それに計画が進行していてもその後の予測は簡単に出来るということか」

「そういう事なんだが、今回は珍しく敵陣に見えないところがあるって言っていただろ? 今までも街で魔族がやらかしている時に見えない敵が何人も居たがそれとも違う」
「それは気になっていた。どうして見えないんだってな。向こうから千里眼で見ていればじっくり探れるんじゃないのか?」

「時間差が問題でな。それこそ王国からこっちを見たら流れが相当、早いから見逃すところがどうしても出てくる。敵もそれを知っているから、敵が撤退する時は異様に速いわけだ」

 アリアンヌに何か知らないか尋ねてみた。

「アリアンヌは何か知らないのか? 魔族領出身だろ?」

「私は魔王が何を企んでいるかは知らないなあ。田舎だったから何も情報は入って来なかったし、それに私って獣人じゃん。
 獣人の集落は人里離れたところにある事がほとんどだから外の事はあまり分からないんだ」

「そうだなあ。例えば徴兵するために魔王軍が来たとかもないのか?」
「ないよ。それに魔族領じゃ徴兵なんてしなくても戦いが好きな魔族はいくらでもいるからギルドとかで募集をかけていればすぐに集まるからね」

「やはり情報統制は徹底しているようだな」
「奴らは情報操作で優位に立とうとするのはいつもの事だからな」

 しばらく話していると敵陣の上空に出た。ソフィアが透視したところ、大きめの洞窟があり、そこが本陣となっている。

「洞窟が本陣か。敵はどこくらいいる?」

 ライリーがソフィアに尋ねた。

「あ~……よく見えない。認識阻害魔法とか使っているのかも」
「なら魔法士に見てもらおう……見えてるか? こちらからでは洞窟の中がよくみえない。透視してくれ」

 通信機を使い、魔法士と話す。

『わかりました。……輪郭しか見えませんが、四百体くらいいます。でも、問題があります。認識阻害魔法を魔道具と一緒に使っています。本当に敵が四百なのかははっきりしません』

「それはいいんだが天然の洞窟で四百体も敵が入るような大きさのがあるのか?」

『この辺りでは所々、ある事はあるのですがこの大きさもはっきりしません。認識阻害魔法で大きく見せている可能性もあります』

「カセム。これは一旦、戻るか? ここももしかしたら本陣じゃないかもしれない」
「その可能性はあるな。一旦、戻ろう」

 敵の正体がはっきりしないが、認識阻害魔法を使っている地点で奇襲を掛ける算段かもしれないのでこういう時は早めに戻った方がいいだろう。
 こういう時にいつの間にか攻められて敵が奇襲に成功したとかいうのはよくあるパターンなのでそれは避けたいところである。

 村に戻ると心配されていた事態にはなっていなかったが向こうから光源が大量に見えるとの事で、このままだと本隊が到着するだろうとの事だった。
 しかし、洞窟の本陣と見られるところには四百近い敵が居たと見られるためどうしてそんなに数が来ているのかは倒すか尋問しないと分からないところなので村の近くに敵が潜んでいないかを探ると偶然にも一体いたため、捕まえて尋問する事になった。

 自警団とカセムが尋問を開始すると、思いのほかこの兵士は口が軽いので色々と話し出した。そこで分かった事は、この村に攻め入るのはやはりというか王国へ攻め入るためのルート作りのためなのだという。
 近くで起きている紛争を続けるために村を落とすのではないかと尋ねると、それは一旦、体勢を立て直すフリをしてこの村を攻める事に決定したのだという。

 洞窟の本陣については自分はギルドで募集の張り紙を見て来ただけなので詳しくは知らされていないので分からないとの事だった。
 これはいよいよ、敵がこちらの実力を図ろうとしていると見られる動きである。こうなると詳しい情報が必要なので敵の隊長以上のクラスを捕まえる必要があるのだが向こうは思いのほか慎重なようなので逃げられる心配がある。

 そのため、敵の本陣と見られる場所に潜入する部隊と村を防衛する部隊に分ける事になった。
 潜入はライリー、アリアンヌ、エルフの魔法士で行う。装備を整え、三人は本陣へ向かった。

「王国の読みが敵にバレているような動きに感じるな。どう思う?」
「敵は王国が作戦行動をする場合、先にどのように動くかを読んでから行動するというのを知っていますからそれを利用して行動を乱れるように仕組む場合があります。今回はそれでしょう」

「その行動を乱すというのも織り込み済みで千里眼は見ているわけじゃないのか?」

「それもあるのですが何度も行動を変更されるとその時に読んだ結果とは変わった結果になるので何度も千里眼を使い続ける必要があります。
 向こうも行動をいつも変えるのは効率が悪いので普通はしませんが、こちらの実力を見るためとはいえここまで行動を変えるのは何か意味があるはずです。敵を捕えましょう」

 しばらく飛行すると先ほどの洞窟に到着した。近くに着陸し、魔道具を使って姿を消した。

「ソフィア。具合はどうだ?」
「うん。ちゃんと使えてる。ライリーも見えてないね」

「そりゃよかった。そっちはどうだ?」
「はい。大丈夫です。行きましょう」

 装備の具合を確認したライリーらは潜入を開始した。
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