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第一章 王国編
第4話 新たなる出会い
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屋敷から外へ出ると、庭に馬車が待機していた。馬車に乗車するといえば今日はドレスを着ているし、彼女をエスコートせねばなるまいと手をかけて馬車へ乗せた。
「ありがとう。慣れてるね」
「そうか? 初めてなんだけどな。元の世界では馬車は乗った事ないし、こういう乗り物に乗る時のエスコートはドアを開け閉めするくらいのものだったな」
そう言うと彼女は少し怒ったような顔をして言った。
「そうなんだ。じゃあ、乗せた事はあるんだ」
「ある。でも、乗せたことのある子にこういう子が居た。二人っきりで乗り物に乗って遠出するし、服や下着を一緒に見て買ったりすることも何度もあった。
なのに俺を男として見る事は出来ないって言っていて、そういう事も全くなかったどころか拒絶していたな。下着を着た姿も見せるのにだ」
そう言うと御者が驚いた顔で聞いていたが、二人が乗り込んだのを確認すると馬車のドアを閉め、走らせた。
「ええ……なんでそんな事するの? 好きな人とじゃないとそんな事、普通はしないよ」
「それが全く分からないんだよな。本人に聞いても、私なんてお断りでしょ? だからしないし、男として見れないんだ。って言っていたな」
「ねえ、他に乗せた子はいるの?」
「いるけど俺は御者じゃない! って思ってからはほとんど乗せて無いな。恋人とかがいるのばかりだったし。君みたいな子と向こうで出会っていたらどこまでも行っていた気がするな」
「それも楽しそう。あ、畑に着いたよ」
馬車のドアが開いたので彼女の手を取り、畑へと下りた。広大な畑にはジャガイモのような野菜やキャベツのような野菜、そして薬草のようなものが栽培されている。
本当に植物まで前の世界とよく似ているなと感心していると薬草のようなものが気になったので、これは何かとソフィアに尋ねた。
「この薬草のような植物は何に使うんだ?」
「これは君が思ったとおり、薬草なんだ。昨日のポーションを作るときにも使うんだよ。これは体の熱を冷ましたりする効果があるよ」
「じゃあ、このイモのようなものは?」
「それは食べるためのイモだね。そのまま茹でて食べたり、つぶしたりして食べるよ。前の世界にもあったの?」
「ああ。前の世界でもイモだったな。しかも食べ方まで似てるんだな。あと油で揚げたりしているな」
「本当にそっくりなんだね。こっちでも屋台とかで揚げて売っているよ。このあと、町に行くから食べよ?」
「いいねえ。あと、それにはビールが合うんじゃないか?」
「麦で作ったお酒の事なら同じものかもしれないね。それも屋台で売ってるよ」
それは楽しみだと話していると御者は言った。
「お二方、そろそろ次に向かいましょう」
そう言われ、馬車に乗り込んだ。農業が主な産業というだけあって農地を走るだけでもかなりの距離があった。しばらくすると橋が見え、それを渡ると町が見えてきた。
町はあまり大きくはないが、石畳に木骨造の建物が並んでいるどこか懐かしさすら覚える美しい町だ。馬車の停留所があったのでそこで降りるとすぐ前に通りがあった。
しばらく歩くと、さっきソフィアが言っていたビールとフライドポテトを売っている屋台が目に入った。フレンチフライとも言うのかも知れないがこの世界ではどちらだろうか?
「さっき言っていたのはあの屋台の事だよ。注文しよう」
「よし、ビールも注文しよう」
「まだ見て回るところはあるんだから飲みすぎないようにね。最初に会った時なんて酔いすぎておかしくなっていたし」
「ああ。あの時はこのジョッキだと六杯は飲んでいたからな。あんなに飲む事はほとんどないぞ。それにソフィアもテンションがおかしくなかったか? 今日はあんなしゃべり方をしていないと思うんだが?」
「うう……あの時は二日間、寝てなかったんだ。私もあの混ぜる棒に目が行っちゃってさらにおかしくなっていたし。目が回っていたから私も酔っていた感じだったのかも?」
「まあなあ。仕事で無理をし続けるとおかしくなって、自分が一体何をしているのか分からなくなるって事はよくあったな」
「その時はどうしていたの?」
「普通ならそこまでいくと休むべきだろうが、あの時の俺は趣味も充実させたかったから寝る間を惜しんで趣味に没頭する事もあったな。なのでさらにおかしくなっていったんだが、本当に危ない時には何も考えられなくなっていたんだ。
そういう時にはネットで可愛い子を眺めたりしていたんだが、目の前に現れる事は無くてなあ……」
「なんか、気が滅入る話ばかりだね。それにマゾなの?」
「自分ではそうは思わないんだが、医者にも同じ事を言われたよ。それに、あなたは自分に人並の幸せも無いという事が分かっていないんですか! と言われたので、はい、分かってます。って言ったら、では今すぐ会社を休んでくださいというので休んだんだ。結局、辞めるしかなくなったんだけどな」
ソフィアが何とも言えない表情でフライドポテトを食べていると、向こうから格闘家のような恰好の女性が近づいて来た。
どうやらソフィアと知り合いのようで、女性の犬のような獣人である。茶色の短髪で身長は一六五センチ程、皮鎧に籠手を装備している。ソフィアが彼女に声をかけると走って来た。
「ありがとう。慣れてるね」
「そうか? 初めてなんだけどな。元の世界では馬車は乗った事ないし、こういう乗り物に乗る時のエスコートはドアを開け閉めするくらいのものだったな」
そう言うと彼女は少し怒ったような顔をして言った。
「そうなんだ。じゃあ、乗せた事はあるんだ」
「ある。でも、乗せたことのある子にこういう子が居た。二人っきりで乗り物に乗って遠出するし、服や下着を一緒に見て買ったりすることも何度もあった。
なのに俺を男として見る事は出来ないって言っていて、そういう事も全くなかったどころか拒絶していたな。下着を着た姿も見せるのにだ」
そう言うと御者が驚いた顔で聞いていたが、二人が乗り込んだのを確認すると馬車のドアを閉め、走らせた。
「ええ……なんでそんな事するの? 好きな人とじゃないとそんな事、普通はしないよ」
「それが全く分からないんだよな。本人に聞いても、私なんてお断りでしょ? だからしないし、男として見れないんだ。って言っていたな」
「ねえ、他に乗せた子はいるの?」
「いるけど俺は御者じゃない! って思ってからはほとんど乗せて無いな。恋人とかがいるのばかりだったし。君みたいな子と向こうで出会っていたらどこまでも行っていた気がするな」
「それも楽しそう。あ、畑に着いたよ」
馬車のドアが開いたので彼女の手を取り、畑へと下りた。広大な畑にはジャガイモのような野菜やキャベツのような野菜、そして薬草のようなものが栽培されている。
本当に植物まで前の世界とよく似ているなと感心していると薬草のようなものが気になったので、これは何かとソフィアに尋ねた。
「この薬草のような植物は何に使うんだ?」
「これは君が思ったとおり、薬草なんだ。昨日のポーションを作るときにも使うんだよ。これは体の熱を冷ましたりする効果があるよ」
「じゃあ、このイモのようなものは?」
「それは食べるためのイモだね。そのまま茹でて食べたり、つぶしたりして食べるよ。前の世界にもあったの?」
「ああ。前の世界でもイモだったな。しかも食べ方まで似てるんだな。あと油で揚げたりしているな」
「本当にそっくりなんだね。こっちでも屋台とかで揚げて売っているよ。このあと、町に行くから食べよ?」
「いいねえ。あと、それにはビールが合うんじゃないか?」
「麦で作ったお酒の事なら同じものかもしれないね。それも屋台で売ってるよ」
それは楽しみだと話していると御者は言った。
「お二方、そろそろ次に向かいましょう」
そう言われ、馬車に乗り込んだ。農業が主な産業というだけあって農地を走るだけでもかなりの距離があった。しばらくすると橋が見え、それを渡ると町が見えてきた。
町はあまり大きくはないが、石畳に木骨造の建物が並んでいるどこか懐かしさすら覚える美しい町だ。馬車の停留所があったのでそこで降りるとすぐ前に通りがあった。
しばらく歩くと、さっきソフィアが言っていたビールとフライドポテトを売っている屋台が目に入った。フレンチフライとも言うのかも知れないがこの世界ではどちらだろうか?
「さっき言っていたのはあの屋台の事だよ。注文しよう」
「よし、ビールも注文しよう」
「まだ見て回るところはあるんだから飲みすぎないようにね。最初に会った時なんて酔いすぎておかしくなっていたし」
「ああ。あの時はこのジョッキだと六杯は飲んでいたからな。あんなに飲む事はほとんどないぞ。それにソフィアもテンションがおかしくなかったか? 今日はあんなしゃべり方をしていないと思うんだが?」
「うう……あの時は二日間、寝てなかったんだ。私もあの混ぜる棒に目が行っちゃってさらにおかしくなっていたし。目が回っていたから私も酔っていた感じだったのかも?」
「まあなあ。仕事で無理をし続けるとおかしくなって、自分が一体何をしているのか分からなくなるって事はよくあったな」
「その時はどうしていたの?」
「普通ならそこまでいくと休むべきだろうが、あの時の俺は趣味も充実させたかったから寝る間を惜しんで趣味に没頭する事もあったな。なのでさらにおかしくなっていったんだが、本当に危ない時には何も考えられなくなっていたんだ。
そういう時にはネットで可愛い子を眺めたりしていたんだが、目の前に現れる事は無くてなあ……」
「なんか、気が滅入る話ばかりだね。それにマゾなの?」
「自分ではそうは思わないんだが、医者にも同じ事を言われたよ。それに、あなたは自分に人並の幸せも無いという事が分かっていないんですか! と言われたので、はい、分かってます。って言ったら、では今すぐ会社を休んでくださいというので休んだんだ。結局、辞めるしかなくなったんだけどな」
ソフィアが何とも言えない表情でフライドポテトを食べていると、向こうから格闘家のような恰好の女性が近づいて来た。
どうやらソフィアと知り合いのようで、女性の犬のような獣人である。茶色の短髪で身長は一六五センチ程、皮鎧に籠手を装備している。ソフィアが彼女に声をかけると走って来た。
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